5月2013のアーカイヴ

6月の新刊:『神の身振り』

2013年 5月 27日

書影2神の身振り――スピノザ『エチカ』における場について

アルフォンソ・カリオラート+ジャン=リュック・ナンシー
藤井千佳世+的場寿光 訳
装幀=中山銀士
A5判上製/208頁/定価=3,000円+税
978-4-89176-970-3 C0010 6月5日頃発売予定

 

そのつど来るべき意味の到来に対して、開かれてあるために。 

スピノザ『エチカ』の一節を綿密に分析することにより、二元論の枠に収まらないその思想を、開かれた存在の可能性として新たな読みを大胆に提示する。倫理と政治に関わるスピノザ哲学の根源に触れる理論的かつ実践的マニフェスト。

 《それによって/そこから/それに従ってわれわれは活動し、実在する神の身振りは、われわれを指し示しながらも、われわれの活動や実在が表現しうるいかなる意味においても完遂されることはないし、またわれわれの活動や実在において意味としてくみ尽くされることもない、常に残余あるいは過剰があるのだ。》〔A・カリオラート〕……本文より

《われわれは「存在者ではない」。身振りはおそらく、このこと以外の何ものも名付けない。つまり、存在させられ、実在へと向けられ、投げ出され、それを創造するということである――》〔J=L・ナンシー〕……本文より

 

【関連書】(価格税別)

エティエンヌ・バリバール『スピノザと政治』(水嶋一憲訳)  4,000円

アントニオ・ネグリ『スピノザとわたしたち』(信友健志訳)  2,500円

 

受賞情報

2013年 5月 21日

小社より昨年6月に刊行された、藤原辰史さんの『ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』が、記念すべき第1回の河合隼雄学芸賞を受賞いたしました。藤原さん、おめでとうございます!

「優れた学術的成果と独創をもとに、様々な世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作に与えられる」という同賞の選考委員は、岩宮恵子、中沢新一、山極寿一、鷲田清一(五十音順)の各氏です。選考委員の諸先生および本書にご声援をいただいたみなさま、誠にありがとうございました!

詳細は河合隼雄財団のホームページをご覧ください()。

nazi_kitchenナチスのキッチン 「食べること」の環境史

藤原辰史
四六判上製456頁/定価 4000円+税
ISBN 978-4-89176-900-0 C0022 好評発売中!

 

ヒトラーから《食》を奪還せよ!

いま、もっとも重要な《食》と《エネルギー》の問題を
ファシズムの視座から考える出色の1冊!

ナチスによる空前の支配体制下で、
人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?
システムキッチン、家事労働から、食材、
そしてエネルギーにいたるまで、
台所という《戦場》の超克を試みた、
来るべき時代への《希望の原理》。
新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、
未刊行資料・図版などを多数収録。

《どうして、「食べること」はここまで衰微して
しまったのだろうか。どうして、強制収容所という
私たちの生活世界からもっとも遠いところの現象が、
こんなにもリアルに感じられるのだろうか?
——これは、端的に言ってしまえば、
この世界が、ナチズムと陸続きだからである》


 

目次—————

序章 台所の環境思想史
歴史の基層としての台所/テイラー・システムとナチズム/台所の変革者たち
台所をどうとらえるか――定義とアングル

第1章 台所空間の「工場」化  建築課題としての台所
ドイツ台所小史/ドイツ台所外史/第一次世界大戦の衝撃/
フランクフルト・キッチン/考えるキッチン/ナチス・キッチン?/
労働者約一名の「工場」

第2章 調理道具のテクノロジー化  市場としての台所

電化される家族愛/台所道具の進歩の背景/マニュアル化する台所仕事
市場化する家事/報酬なきテイラー主義の果てに

第3章 家政学の挑戦
家政学とは何か/家政学の根本問題/家政学の可能性と限界
家政学のナチ化/家政学の戦時体制化/家政学が台所に与えた影響

第4章 レシピの思想史
ドイツ・レシピ少史/読み継がれる料理本/企業のレシピ/
栄養素に還元される料理

第5章 台所のナチ化  テイラー主義の果てに
台所からみたナチズム/「第二の性」の戦場/「主婦のヒエラルキー」の形成/
無駄なくせ闘争/残飯で豚を育てる/食の公共化の帰結

終章 来たるべき台所のために
労働空間、生態空間、信仰の場/台所の改革者たちとナチズム/
ナチスのキッチンを超えて

「食べること」の救出に向けて  あとがきにかえて

付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『実用的料理本』の版別レシピ構成

註/参考文献/人名索引

 

5月の新刊 :『孤児』

2013年 5月 14日

孤児《フィクションのエル・ドラード》
孤 児
フアン・ホセ・サエール/寺尾隆吉訳
四六判上製/192頁/定価=2200円+税
978-4-89176-951-2 C0397 5月25日頃発売予定
装幀=宗利淳一デザイン

 

《フィクションのエル・ドラード》とは……世界文学に依然として強烈なインパクトを放ち続けるラテンアメリカ文学。いまだ紹介されていない才能ある作家たちや評価の定まった巨匠たちの、とりわけ想像力に富む小説(フィクション)を中心に厳選し、文学シーンの最前線をお届けするシリーズです。

▶ 第2回配本はフアン・ホセ・サエールの代表作『孤児』

 アルゼンチン文学の巨星が放つ幻想譚
舞台は16世紀の大航海時代、見果てぬインディアスを夢見て船に乗り込んだ「私」が上陸したのは食人インディアンたちが住む土地だった。「私」は独り捕らえられ、太古から息づく生活を営む彼らと共に過ごしながら、存在を揺るがす体験をすることになる……。

無から生まれ、親もなく、名前もない、この世の孤児となった語り手を通して、現実と夢幻の狭間で揺れる存在の儚さを、ボルヘス以後のアルゼンチン文学を代表する作家が描き出す破格の物語。

サエールの作品は、国境の彼方、あの誰のものでもない土地、まさに文学という場所に存在している。(リカルド・ピグリア)

◎現実世界の強烈な存在感。サエールは現代世界の超重要作家になるだろう。(アラン・ロブ=グリエ)

次回配本はアレホ・カルペンティエル『バロック協奏曲』(7月刊行予定)です。



既刊《 フィクションのエル・ドラード》

セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳 ただ影だけ 2,800円

(価格税別)

 

5月の新刊:『レット・イット・ビー:ザ・ビートルズ』

2013年 5月 8日

LetItBe《ロックの名盤!》

レット・イット・ビー:ザ・ビートルズ

スティーヴ・マッテオ/石崎一樹訳
四六判並製188頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-942-0 C0373 5月8日頃発売!
装幀=宗利淳一


《いまこそロックを読みかえろ!》

その誕生から60年。音楽の歴史を塗り替えてきた洋楽ロックの魅力を1アルバム1冊で語り尽くし、あの興奮をよみがえらせる話題のシリーズ。ついにビートルズ登場!

なぜ、これが「最後のアルバム」なのか?
1970年リリース。「ゲット・バック」「アイヴ・ガッタ・フィーリング」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」などを収録。貴重な証言や取材によって、毀誉褒貶のスタジオセッションを紙上再現する、ファン必読のドキュメント! ロックの解体はここからはじまった……。

《次回配本》
結成50周年で盛り上がるローリング・ストーンズの最高傑作と評価も高い『メイン・ストリートのならず者』を、グランジロックの雄・バッファロー・トムのフロントマン、ビル・ヤノヴィッツが縦横無尽に語り尽くす! 6月末発売予定、乞うご期待!

《好評既刊》⇒(
レッド・ツェッペリンⅣ:レッド・ツェッペリン
エリック・デイヴィス 1800円+税

アバ・ゴールド:アバ
エリザベス・ヴィンセンテリ 1500円+税