12月2015のアーカイヴ

12月の新刊:スペインとスペイン人

2015年 12月 25日

スペイン人 書影
スペインとスペイン人——〈スペイン神話〉の解体
フアン・ゴイティソロ(著)
本田誠二(訳)

判型:四六判上製
頁数:248頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0149-7 0022 好評発売中!
装幀者:宗利淳一


内容紹介:

失われた〈スペイン史〉を取り戻す――

15世紀からはじまるスペイン黄金時代において、一枚岩の〈スペイン性〉なるドグマがつくられる……旧キリスト教徒という特定の血統にのみ与えられたこの神話は一方で、8世紀におよんで共存したイスラム教、ユダヤ教を迫害し、歴史的真実を抑圧することとなる……書くことの自由を求めてあえて「永遠の少数者」たらんとした亡命作家による、スペイン史の〈他者〉を根底から見つめなおす比類なき文明論。


目次:

序文(アナ・ヌーニョ)

はじめに
ホモ・ヒスパニクス——神話と現実
ユダヤ的〈伝染〉
キリスト教騎士
スペインの原罪
ドン・キホーテ、ドン・フアン、そしてセレスティーナ
啓蒙の世紀?
ゴヤの世界
スペインにおける聖書
工業化への第一歩
ウナムーノとカスティーリャの風景
ヘミングウェイ氏は闘牛を見にいく
一九三六〜一九三九年のカインとアベル
ジェラルド・ブレナンはわれらの戦後を分析する
スペインはもはや〈一味違う〉国ではなくなった
《未来に向けて》

訳者解説



著者・訳者紹介:
フアン・ゴイティソロ(Juan Goytisolo) 1931年、バルセローナに生まれる。作家。フランコ時代の検閲によって自身の作品がスペイン国内で出版禁止にされていたことにより、1957年、パリに亡命する。1969〜75年までアメリカ各地の大学で教鞭をとった。長年の輝かしい業績から、1985年にはエウリパリア賞、2015年にはセルバンテス賞を受賞。主な作品には、『身元証明』、『ドン・フリアン伯爵の復権』、『土地なきフアン』『マクバラ』、『戦いの後の風景』などがある。戦場ルポルタージュ、文芸評論、文明論的エッセーなど多彩な才能を発揮し、ブランコ・ホワイトの紹介者としても名高い。自伝的作品として、『密漁区』、『タイファの王国にて』などがある。

本田誠二(ほんだせいじ) 1951年、東京に生まれる。現在、神田外語大学教授。専門は、スペイン文学、スペイン黄金世紀の文学・思想。歴史学者で文芸評論家のアメリコ・カストロの日本における最初の本格的紹介を行う。主な著書には、『セルバンテスの芸術』(水声社)、主な訳書には、セルバンテス『ラ・ガラテア/パルナソ山』(行路社)、アメリコ・カストロ『スペイン人とは誰か——その起源と実像』(水声社)などがある。


関連書
アメリコ・カストロ『スペイン人とは誰か——その起源と実像』本田誠二訳 8000円+税
アメリコ・カストロ『セルバンテスへ向けて』本田誠二訳 10000円+税
本田誠二『セルバンテスの芸術』 5000円+税

 

12月新刊:散文

2015年 12月 25日

書影(散文)
タイトル 散文
サブタイトル 
桑原喜一(著)

判型:A5判並製
頁数:208頁
定価:2500円+税
ISBN:978−4−8010−0130−5 C0092 好評発売中!
装幀者:齊藤久美子



内容紹介:
見せかけの時代に向けられた,鋭敏な眼差し
「愛猫」「キラキラネーム」「少年時代の追憶」から「3.11」「原発」「三本の矢」に至るまで,迫りくる危機のなかの「日常」を透徹した,ときにユーモラスな眼差しによって描き上げる36の詩篇。


紙切れの文字を渡す
投函することはなかった

文字は文字のままで
言葉が届かない

ただの紙切れで
言葉は届かない

余分な月の
十一月 水は冷たい

欄干から
紙切れを飛ばす

貧しい言葉があり
稚拙な時が流れた

葉擦れの わずかな
切り口が傷むように

宙吊りの数刻が
つたなく復活する
(「閏月」より)


目次:
畑のパッチワーク/備忘録、三月/メール/四十九日法要句/「無主物」/野に、花
/虫干し/シロ クロ/キャッチボール年代記/時分の自分/夢に、釣る/箱庭療法/その歌、その声を想い起そう/「ニーチェの馬」を観た/迷惑な話/発声練習/とうだいもとくらし/はだれ雪の記憶/烏鷺有漏/堅いから、やわらかい殻、/カタリ/ハンドリング/サアちゃんの半眼/殺、/本日休業/鴉に念ずる/助詞の運用/種子/欠片・磁場/皇帝ダリアが霜枯れる/閏月/首振り人形の鬱屈/名の来歴/啄木鳥は笑う/蚊の、つぶやき/些事、標本箱、〈わたし〉という

著者について:
桑原喜一(くわばらきいち)
水声社の詩集:
ピエリアの薔薇/沓掛良彦/5000円+税
夜のガスパール/アロイジウス・ベルトラン/及川茂訳/4000円+税
ビリティスの歌/ピエール・ルイス/沓掛良彦訳/6000円+税
マチネ・ポエティク詩集/福永武彦・加藤周一・原條あき子・中西哲吉・窪田啓作・白井健三郎・枝野和夫・中村真一郎/4000円+税
夏の遺言/山崎剛太郎/3000円+税
薔薇の柩(付・異国拾遺)/山崎剛太郎/2500円+税
果実の重み/佐岐えりぬ詩集/ベルナル・シトロエン仏訳/3500円+税
果実の重み(特装版)/佐岐えりぬ/ベルナル・シトロエン仏訳/20000円+税
わたしの庭はわたしに似ている/川田靖子/2500円+税
私は母を産まなかった──ALLENとMAKOTOと肛門へ/ヤリタミサコ/2000円+税
青葦/春日井建/4000円+税
桧扇〔ひおうぎ〕/鹿島由紀子/3000円+税
扇面流図〔せんめんながしず〕/鹿島由紀子/3000円+税
夢中夢〔むちゅうむ〕/馬場駿吉/3000円+税

 

12月新刊:小島信夫長篇集成② 墓碑銘/女流/大学生諸君!

2015年 12月 22日

小島長篇2

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=石原千秋
月報=福間健二・中村三春・猪俣和也

判型:A5判上製
頁数:816頁
定価:定価10000円+税
ISBN978-4-8010-0112-1 C0393 好評発売中!
装幀=西山孝司


「日本軍」も「軍人勅諭」も彼を「日本人」にはできなかった。しかし、彼は「アメリカ人」になったわけでもない。そう、『墓碑銘』は「人種」という概念自体を異化したのだ。その意味で、このうえなくラディカルな小説だった。(石原千秋「解説」より)

 

著者生誕100年&没後10年記念出版!

小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第5回配本。

日本軍としてアメリカ兵と闘う日米混血兵の揺れるアイデンティティを追い、人種と階級、生と性を問う『墓碑銘』、青年期の作者の実体験と現実の人物をモデルとして、最愛の兄の死、年上の女への憧れをみずみずしく描く青春小説『女流』、そしてテレビドラマ化もされた本格娯楽小説『大学生諸君!』……著者の成長と挑戦を標す作品群。

 

★内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。

 

【次回配本】

②抱擁家族/美濃 解説=小池昌代 予価7000円+税

 

【小島信夫の本】

《小島信夫短篇集成》全8巻 セット定価60000円+税

《小島信夫批評集成》全8巻 セット定価60000円+税



小説の楽しみ 1500円+税

書簡文学論 1800円+税

演劇の一場面 2000円+税



未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税

小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税

小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税

水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

12月の新刊:変形する身体《叢書 人類学の転回》

2015年 12月 22日

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変形する身体
アルフォンソ・リンギス(著)
小林徹(訳)

判型:四六判上製
頁数:287頁
定価:2800円+税
ISBN:978−4−8010−0137−4 0010 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
《叢書 人類学の転回》第2回配本
旅する哲学者リンギスの待望の新刊!

概念としての《人間》を超えて、新しい《人類学》、新しい《人間学》に向かって――

動物と人間、男性と女性、大人と子供、有機体と無機体、現代と古代、個体と液体、生と死といった既存の分類法を巧みに越境し、現代における《身体》のあり様や倫理的行為のあり方までをも根底的に問う、人類学的エッセイ。

目次:

導入
不連続性
人類――未熟、共生、先祖返り

華やかさの進化
カドリーユ
どう感じるか、どう見えるか

分断
社会的身体
芸術の生理学
透明性

つながり
食欲
フェティシズム

ポトラッチ
肉体の取引
善い行い

原註

訳者あとがき

著者・訳者紹介:
アルフォンソ・リンギス(Alphonso Lingis)  1933年、リトアニア系移民の子としてアメリカ合衆国に生まれる。哲学者。ペンシルヴァニア州立大学名誉教授。専攻は、現象学、実存主義、現代哲学、倫理学。世界各地に長期滞在しながら、哲学的かつ文化人類学的な著作を発表し続けている。主な著書に、『汝の敵を愛せ』(中村裕子訳、洛北出版、2004)、『異邦の身体』(松本潤一郎ほか訳、河出書房新社、2005)、『何も共有していない者たちの共同体』(野谷啓二訳、洛北出版、2006)、『信頼』(岩本正恵訳、青土社、2006)などがある。

小林徹(こばやしとおる)  1975年、東京都に生まれる。パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌ校大学院哲学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学文学部非常勤講師。専攻は、フランス現代哲学。著書に、『経験と出来事――メルロ=ポンティとドゥルーズにおける身体の哲学』(水声社、2014)がある。

関連書
マリリン・ストラザーン 大杉高司・浜田明範・田口陽子・丹羽充・里見龍樹訳『部分的つながり』3000円+税
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ 近藤宏・里見龍樹訳『インディオの気まぐれな魂』 2500円+税
ピエール・クラストル 渡辺公三訳『国家に抗する社会』 3500円+税