3月2012のアーカイヴ

4月の新刊『ブルーノ・シュルツ』

2012年 3月 30日

bluno_cover加藤有子

ブルーノ・シュルツ——目から手へ

A5判上製376頁/定価=4800円+税
ISBN 978-4-89176-899-7 C0098 4月6日頃発売予定


ナチスに射殺されたポーランドの小説家/画家の全貌。

短篇集『肉桂色の店』、『砂時計の下のサナトリウム』、ガラス版画集
『偶像賛美の書』などをとおして、イメージ・言語のジャンルをこえた
表象へと向かう独自の世界観をトータルに捉える世界初のモノグラフィ。

*シュルツに関する最新の情報を盛り込んだ年表を収録。
*日本初公開の図版も多数掲載。


《「手」の制作による再現にとって、言語的要素と視覚的要素の区別は
二次的なものであり、現実/虚構の明確な区別も消滅する。目から手へ。
シュルツが手によって示す芸術制作は何かの模倣、再現ではなく、目と
手の分業によらない対象の提示である。》

 

受賞情報

2012年 3月 16日

去る3月15日付けで、第3回表象文化論学会賞が発表され、小社より
2011年6月に刊行された、鯖江秀樹さんの『イタリア・ファシズムの芸術政治』
奨励賞を受賞されました。鯖江さん、おめでとうございます!(詳細はこちら→

今年度は小社刊行物のうち、2011年1月に刊行された江村公さんの
『ロシア・アヴァンギャルドの世紀』も学会賞にノミネートされていましたが、
さすがに2冊同時受賞はなりませんでした……。
「鯖江さんの論考は、日本での先行研究が少ない貴重なお仕事ですし、
江村さんのロシア・アヴァンギャルド論も、近年では出色の成果です。
これら20世紀の芸術-政治運動のアポリアを再考するためにも、
ぜひ、2冊あわせて読んでいただけたら」と、
両方の編集を担当した、小社のSNは語っております。

また、第1回表象文化論学会賞 の際には、
乗松亨平さんの『リアリズムの条件』が、おなじく奨励賞を受賞しています。
今後もこのような栄えある場で評価していただけるような、
すぐれた書籍を刊行して参りたいと期しております。小社刊行物にご注目ください!



italiafascism_cover鯖江秀樹

イタリア・ファシズムの芸術政治

A5判上製276ページ/定価4000円+税
ISBN 978-4-89176-836-2   C0070 好評発売中



《ファシズモの芸術》とは何か?

政治権力による桎梏のもと、グラムシ、ゴベッティらの
卓抜な批評によって浮上するモダン・アートの可能性/不可能性を、
絵画・建築の豊富な実例を通して検証する。

【目次】

はじめに:「芸術政治」の展望と方法:アントニオ・グラムシに倣って
第1章:批評家と画家の行方:ピエロ・ゴベッティの絵画論
第2章:ファシズム芸術をめぐる葛藤:ジュゼッペ・ボッタイの文化政策論
第3章:美術史学の政治化:リオネッロ・ヴェントゥーリの美術論
第4章:批評と生への眼差し:エドアルド・ペルシコの建築批評論
第5章:ファシズム文化のための攻防:ジュゼッペ・ボッタイの芸術戦略論
おわりに:様式の不在から多面性へ


参考文献
図版一覧
あとがき

 

3月の新刊:『テクストの解釈学』

2012年 3月 16日

interpretation_cover松澤和宏編

テクストの解釈学

名古屋大学グローバルCOEプログラム

A5判上製444頁/定価=6000円+税
ISBN 978-4-89176-896-6 C0090 3月28頃発売予定



絶え間ない、解釈=自己理解の先鋭な試み


5年間にわたって展開されてきた名古屋大学文学研究科グローバルCOEプログラム
「テクスト布置の解釈学的研究と教育」の総括論文集!!

《思想, 歴史, 文学のどの領域でも, 文化的事象が生きた
有機的連関を保っている以上は, テクストの解釈を通した文化の理解は
細分化した専門の枠を超えざるを得ない〔……〕。
人文学の研究者に今日求められていることは, 各専門領域における
文化的テクストの解釈の営みを, アマチュアの批評精神を失うことなく,
解釈学的な理解の営みとして, 自覚的に深めていくということに,
ひとまずは帰着するのではないだろうか。》 (「前書き」より)

【目次】

前書き/松澤和宏

序——テクストの解釈学/松澤和宏

Ⅰ 哲学・思想
文字の誕生、テクストの功罪、解釈と探求の道——プラトン『パイドロス』における書き物批判をとおして/金山弥平
インド哲学におけるメタテクストの意味生成とコンテクスト/平野克典
『百科全書』における視点の概念と批評の問題/クレール・フォヴェルグ
ミシェル・フーコーにおける有限の解釈学的循環/重見晋也

Ⅱ 文学・言語学
エクリチュールの解釈学——森鷗外「舞姫」の改稿をめぐって/戸松泉
ファウスト的欲望の行方——三島由紀夫『豊饒の海』を読む/井上隆史
中国における西洋古典の受容——徐光啓とユークリッド『原論』の漢訳と解釈/小川正廣
パロディとテクスト布置解釈学——イギリス・ロマン主義時代の一例/大石和欣
パラテクストの生成と解釈——バルザック『人間喜劇』の「敷居」を読む/鎌田隆行
本居宣長のテニヲハ学/釘貫亨
山田孝雄『日本文法論』のテクスト布置/宮地朝子

Ⅲ 歴史学
解釈学と時間——歴史テクストの時間性/佐藤彰一
俗人を受取手とするメロヴィング朝の国王証書について/加納修
日本古代の寺院造営における帳簿の操作/古尾谷知浩
竹島/独島と石島の比定問題・再論/池内敏

後書き/松澤和宏

 

3月の新刊:『〈彼女〉という場所』

2012年 3月 14日

e5bdbce5a5b3e381a8e38184e38186e5a0b4e68980_cover永倉千夏子

〈彼女〉という場所——もうひとつのマラルメ伝

A5判上製792頁/定価=12,000円+税
ISBN 978-4-89176-840-9 C0098 3月24日頃発売



〈マラルメ後期〉の鍵をにぎる女(ミューズ)
メリー・ローランとは?
彼女との関係と作品とが二重に織りなす
偉大な詩人の文学的人生を縦横無尽に読み解く、
今後のマラルメ研究に欠かせない記念碑的大著。


●著者紹介
永倉千夏子(ながくらちかこ)
1961年、函館に生まれる。明治大学文学部仏文科卒。同大学大学院
博士後期課程満期退学。文学博士。現在、明治大学等非常勤講師。
専門は、マラルメを中心とする近代フランス文学および同時代のサロン文化史。
とりわけ音楽においてはベルカント・ソプラノとして演奏活動を行う
実践型研究者として知られている。訳書に以下のものがある。
ジャン=リュック・ステンメッツ『マラルメ伝——絶対と日々』(共訳、筑摩書房、2004年)
ジャン=ピエール・デュピュイ『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り』(明石書店、2012年)

 

3月の新刊:『人生の日曜日』

2012年 3月 13日

rqefbc8fsundeay_coverレーモン・クノー・コレクション9

人生の日曜日

芳川泰久訳
4/6判上製288頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-869-0  C0397  3月27日頃発売!



道草だけが人生だ!

人はいいが、ぱっとしない二等兵ヴァランタン・ブリュは、
オールドミスで20も年上の小間物屋ジュリアに見初められ、結婚する。
誰とでもすぐにうち解け親密になれるブリュだったが、ひょんなことで
妻がこっそりやっていた奇妙な副業の代役をつとめる羽目になる……。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、第六回配本!

 

3月の新刊:『六〇年代演劇再考』

2012年 3月 13日

angra_a5_cover_e69c80e7b582ol21岡室美奈子・梅山いつき編

六〇年代演劇

A5判上製288頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-888-1  C0074  3月21日頃発売!



60年代劇とはなんだったのか。

アングラ演劇を支えたあの巨人たちと批評家たち、
そして後続の演劇人と関係者が一同に会し、
当時の躍動感を伝えつつ60年代の実態に迫る、決定的保存版!

唐十郎から
佐藤信
蜷川幸雄
別役実
横尾忠則
エレン・スチュワート
岡田利規
平田オリザ
宮沢章夫まで



目次

六〇年代演劇再考によせて 竹本幹夫
前口上 岡室美奈子

Ⅰ 創造者たちの証言
唐十郎が語る紅テント 唐十郎(聴き手:堀切直人)
演出家の役割  蜷川幸雄(聴き手:扇田昭彦)
「言葉への戦術」をめぐって 別役実(聴き手:岡室美奈子)
運動としての演劇 佐藤信(聴き手:デイヴィッド・グッドマン)
そして幕は閉じた 横尾忠則

Ⅱ 記憶と継承
コーヒーハウス・クロニクルズ エレン・スチュワート、オージー・ロドリゲス、藤藪香織、二ノ宮祥子(司会:岡室美奈子)
黎明期の寺山修司 安藤紘平、九條今日子、萩原朔美
現在から見た六〇年代演劇 岡田利規、平田オリザ、宮沢章夫(司会:松井憲太郎)

Ⅲ 批評者たちの証言
六〇年代演劇の軌跡と影響 扇田昭彦
アングラ演劇とはなんだったのか? 大笹吉雄
六〇年代演劇の歴史的位置と現在 菅孝行
アングラの「亡霊」 佐伯隆幸

Ⅳ 六〇年代演劇を再考する
アングラの行方 デイヴィッド・グッドマン
驚異の書物 梅山いつき
あとがき 梅山いつき

 

3月の新刊:『サミュエル・ベケット!』

2012年 3月 13日

beckett_a5_cover_e69c80e7b582ol岡室美奈子・川島健・長島確編

サミュエル・ベケット!——これからの批評

A5判上製376頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176—897-3  C0098  3月15日頃発売!


ゴドーは待たれていなかった !?


新進気鋭の執筆陣が、メディア論、イメージ論、
演劇論など、さまざまなアプローチによって、
「不条理劇作家」ではない、新たなベケット像に肉薄する試み。



目次

巻頭言 竹本幹夫
はじめに 岡室美奈子

Ⅰ 「ゴドー」のいま
結びのパラドクス——『ゴドーを待ちながら』における執筆の軌跡をめぐって 西村和泉
歓待の失敗——『ゴドーを待ちながら』と他者の迎え入れ 垣口由香

Ⅱ 耳をすます——メディア
ひび割れた声、開かれた瞳——『クラップの最後のテープ』における裂開と合一のイメージ 藤原曜
ロンドンのアイルランド人——ベケット『なつかしの曲』/パンジェ『クランクハンドル』をめぐって 川島健
見える身体のゆくえ——『わたしじゃない』における「聴き手」の不在を考える 宮脇永吏

Ⅲ 想像/創造せよ——散文
『死せる想像力よ想像せよ』——球形、アンドロギュヌス的イメージの表象をめぐる考察 景英淑
「同伴するために」——『伴侶』におけるイメージの創造と境界の感覚 菊池慶子

IV 反復のはてに——後期演劇1
起源なき痕跡としての身体——『あしおと』における指標性 久米宗隆
終わりなき流離——『なに どこ』における構造の不確定性について 片岡昇

Ⅴ 幽霊たち——後期演劇2
演劇の〈今(maintenant)〉を転倒させること——サミュエル・ベケット『モノローグ一片』における〈捉まえる手(la main tenante)〉 木内久美子
霊媒ベケット——蓄音機としての『オハイオ即興劇』と『ユリシーズ』 岡室美奈子

資料紹介
あとがき

 

3月の新刊:『祝祭としての文学』

2012年 3月 7日

e7a59de7a5ade381a8e38197e381a6_cover佐々木滋子

祝祭としての文学——マラルメと第三共和制

A5判上製375頁/定価=5000円+税
ISBN 978-4-89176-890-4 C0098 3月8日ごろ発売


来るべき演劇 来るべき祝祭

難解といわれる後期マラルメのテクストを綿密に読み解きながら、
詩作を通してマラルメが目指した絶対的な〈書物〉が、
資本主義・間接民主主義とともに出現した大衆社会=新共和国のなかで
どのような可能性を見ていたのかを明らかにする。

〈文学は〉は存在する、ただそれだけが。

《おそらく、トンネルを通過しているのだ——時代という、長い最後の、
トンネルを[……]〈大衆〉が姿を表さないからだ、欠けているからだ——すべてが。
[……]過去が終わったのに、未来が遅れている[……]》