6月2020のアーカイヴ

6月の新刊:犬売ります《フィクションの楽しみ》

2020年 6月 25日

犬売ります犬売ります
《フィクションの楽しみ》
フアン・パブロ・ビジャロボス(著)
平田渡(訳)

判型:四六判上製
頁数:313頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0438-2 C0097
装幀:宗利淳一
6月30日発売!

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〈探さざる者、発見に至らず〉
画家を夢見たが叶わずタコス屋に身をやつしたテオは、引退後アドルノの『美の理論』を座右の書として日常の諸問題に対処している。彼とマンションのロビーで読書会を主催するフランチェスカ、革命家シンパの八百屋の女将ジュリエットの三角関係を軸に、モルモン教徒の青年、毛沢東主義者、動物虐待取締局の役人、ゴキブリの大群がメキシコ・シティーでくりひろげる虚々実々のメタフィクション。
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6月の新刊:フライシャー兄弟の映像的志向――混淆するアニメーションとその空間

2020年 6月 23日

フライシャー兄弟=カバー.inddフライシャー兄弟の映像的志向
混淆するアニメーションとその空間
宮本裕子(著)

判型:A5判上製
頁数:296頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0497-9 C0074
装幀:宗利淳一
6月25日発売!

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アニメーションのオルタナティヴな可能性を探る
実写映像のトレースによって描かれたアニメーション、
実写の人物とアニメーション・キャラクターの直接的なやりとり、
ミニチュアの舞台装置の中で動く漫画絵──
〈実写〉と〈アニメーション〉のはざまに描き出された
フライシャー兄弟の美学とはいかなるものだったのか?
「ベティ・ブープ」や「ポパイ」による成功の傍ら、
混淆する映像空間に拓かれたフライシャー・アニメーションの創造力を、
1920~30年代アメリカの社会・文化状況、映像制作技術、
さらには現代日本のアニメーションへも射程を広げながら展望する。
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6月の新刊:不信の支える信仰共同体——ネパールのプロテスタンティズムについての民族誌的研究

2020年 6月 18日

信仰共同体_書影不信の支える信仰共同体
ネパールのプロテスタンティズムについての民族誌的研究
丹羽充(著)

判型:A5判上製
頁数:267頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0495-5 C0039
装幀:宗利淳一
6月下旬頃発売!

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「信仰」の追体験へ
公的弾圧やヒンドゥー・ナショナリズムに抗しながらも、近年勢力を拡大しつつあるネパールのプロテスタンティズムは、神の栄光のためにどのような活動を実践し、いかなる様相を呈しているのだろうか――。多様な「カースト/民族」が混淆するカトマンドゥ盆地をフィールドに、西洋における宗教概念との差異を豊富な事例とともに剔抉しつつ、その核心に、不信、嗤笑、競争、対立によってこそ維持される「共同体」があることを目撃させる、傑出した民族誌。
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6月の新刊:セレスティーナ――カリストとメリベーアの悲喜劇

2020年 6月 17日

セレスティーナセレスティーナ
カリストとメリベーアの悲喜劇
フェルナンド・デ・ロハス(著)
岡村一(訳)

判型:A5判上製
頁数:319頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0499-3 C0097
装幀:西山孝司
6月下旬頃発売!

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ピカレスクロマンの流れを遡れば〈セレスティーナ〉に行き着く
色事や売春の取り持ち、怪しげな薬の調合、産婆から悪魔使いまで、裏社会のあらゆる仕事を請け負う老婆セレスティーナ。報酬欲しさに、恋に取り憑かれた貴族の若者の願いを叶えるべく奔走するが、事態は悲劇的結末へと向かい…
下層社会の現実を背景に人間の欲望、衝動、情念を描き切った、スペイン中世文学の最高傑作。詳細な注と解説を付した新訳決定版。
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6月の新刊:吐き気《フィクションのエル・ドラード》

2020年 6月 11日

吐き気 書影吐き気
《フィクションのエル・ドラード》
オラシオ・カステジャーノス・モヤ(著)
浜田和範(訳)

判型:四六判上製
頁数:200頁
定価:2200円+税
ISBN:978-4-8010-0503-7 C0397
装幀:宗利淳一
6月下旬頃発売!

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『吐き気』は、おそらく読んだ彼の本の中で最良の一作、最も薄暗い一作だ。バスター・キートンの映画や時限爆弾にも似た彼の辛辣なユーモアは、愚者のホルモンバランスをおびやかす。
――ロベルト・ボラーニョ

サンサルバドルのトーマス・ベルンハルト
祖国エルサルバドルへの圧倒的な罵詈雑言と呪詛ゆえに作者の亡命さえ招いた問題作『吐き気――サンサルバドルのトーマス・ベルンハルト』に加え、ひとつの事件をめぐって無数の異説や幻覚をもてあそぶ虚無的な生を描き出す「フランシスコ・オルメド殺害をめぐる変奏」、歴史の淀みにはまり込んだ罪なき市民が暴力の渦に巻き込まれる「過ぎし嵐の苦痛ゆえに」計3篇の「暴力小説」を収めた、現代ラテンアメリカ文学の鬼才カステジャーノス・モヤの広大な物語世界を凝縮した作品集。
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【既刊紹介】クラフトワーク——〈マン・マシーン〉とミュージック

2020年 6月 10日

追悼 フローリアン・シュナイダー
テクノ・ポップの元祖というだけでなく,ニューウェイヴ,ヒップ・ホップ,ハウスミュージックなど,その後の新しい音楽の動向にも多大な影響を与えたドイツのロボット・ポップ・ユニット,クラフトワーク。その創始者の一人,フローリアン・シュナイダーの訃報が5月6日に届いた。活動開始から半世紀を経てなおも色褪せることのないその音楽の軌跡を,いまふたたび詳細な評伝でたどる。



クラフトワーク書影クラフトワーク
〈マン・マシーン〉とミュージック
パスカル・ビュッシー(著)
明石政紀(訳)
判型:四六判上製
頁数:280頁+別丁図版8頁
定価:2800円+税
ISBN:978-4-89176-297-7 C0073
装幀:能登伸治
1994年2月刊行

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6月の新刊:ミュージアムの憂鬱——揺れる展示とコレクション

2020年 6月 10日

ミュージアムの憂鬱書影ミュージアムの憂鬱
揺れる展示とコレクション
川口幸也(編)

判型:A5判上製
頁数:413頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0502-0 C0070
装幀:宗利淳一
6月下旬頃発売!

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ミュージアムは〈かたる〉
近代が生んだ展示と収集の装置=〈ミュージアム〉。歴史をかたる権力を託されたこの〈装置〉は、混迷する世界の中で、いかなる役割を果たしていくのか。
さまざまな時代と場所における多角的検証を通じて、これからのミュージアムの(不)可能性を問う、最新の研究成果。
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6月の新刊:モーリス・ブランショ――政治的パッション 《批評の小径》

2020年 6月 9日

ブランショ書影モーリス・ブランショ
政治的パッション
《批評の小径》

ジャン=リュック・ナンシー(著)
安原伸一朗(訳)

判型:46判上製
頁数:174頁
定価:2000円+税
ISBN:978-4-8010-0486-3 C0098
装幀:宗利淳一
6月下旬頃発売予定!

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ブランショの「転向」をめぐる、政治的問い
30年代から戦中にかけての自らの活動をあけすけに語るブランショの書簡、さらに同時期のブランショについてのディオニス・マスコロの書簡、そしてナンシーの解説からなる、同時代人たちの証言。

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6月の新刊:アンシャン・レジームの放蕩とメランコリー――繊細さの原則

2020年 6月 4日

書影_アンシャン・レジームの放蕩とメランコリーアンシャン・レジームの放蕩とメランコリー
繊細さの原則
ミシェル・ドゥロン(著)
鈴木球子(訳)

判型:四六判上製
頁数:325頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0501-3 C0098
装幀:宗利淳一
6月8日頃発売!

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《生きることの美しさは、暗い予感と不可分であるし、絶望はパラドクサルな喜びの激発と分離できるものではない。》
政体の変革、軍事・経済システムの確立、法の刷新によって近代社会を決定づけた激動の18世紀――しかし革命を果たした啓蒙の理性は、常にその身を欲望に晒し続けた。ヴォルテールの寛容、ディドロの放縦、ルソーの孤独、サドの挑発……古典を通して、重苦しい時代の転換期を軽やかに生き延びるための術を手に入れよ!
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【書評】山梨俊夫『絵画逍遥』、東京新聞、産経新聞に書評掲載

2020年 6月 4日

2020年3月27日(金)付の産経新聞(夕刊)および2020年3月29日(日)付の東京新聞(朝刊、「書く人」欄)に、山梨俊夫『絵画逍遥』の書評、紹介記事が掲載されました。

《「時折、ゆっくりと絵と向き合って絵が語りかけてくれることに耳を傾け、そこで開かれる空間に身を浸したいと思うことがある。〔……〕絵とともにいる自分だけの空間に侵入する者は誰もいない」こう感じたことのある人は、著者の思いをたどりながら読めばいい。10代の悩める自分や、年を経て病を乗り越えた自分ときっと出会うことができるだろう。感じたことのない人はさまざまな絵と向かい合ったときの見方を学ぶことが出来るに違いない。とにかく、文章がいい。〔……〕書き出しから、引き込まれてゆくはずである。》(無署名。『産経新聞』(夕刊)2020年3月27日(金)付)

《「外はまだ明るく、雨も光を含んでいる。夕暮れが近くなった」「文学が言葉をもって世界をまさぐるのと同じように、絵画は線によって世界を見出そうとする最初の言葉になる」読み継がれてゆく文学作品のような文章がとうとうと流れていた。〔……〕「画家は、見ることに特別な視覚を開き、特権を得ている」本書の中で繰り返し語られるのは美術家の美術家たる視点だ。〔……〕特にセザンヌとモネ、アルベルト・ジャコメッティに多くを割いた。モネがなぜルーアンの大聖堂や睡蓮など、同じモチーフを飽くことなく描き続けたのか。極端に細長いジャコメッティの人物像の顔が、なぜ真っ黒な線の集積となったのか。それらが明らかにされてゆく。読み進むにつれ、美しく格調のある文章は、彼らへの果てなき尊敬の表れであることが伝わってくる。》(矢島智子氏(文化部)評。『東京新聞』(朝刊)2020年3月29日付)

 

【書評】木村妙子『三木竹二――兄鴎外と明治の歌舞伎と』、毎日新聞に書評掲載

2020年 6月 1日

2020年5月23日(土)付の毎日新聞(朝刊)に、渡辺保氏(演劇評論家)による木村妙子『三木竹二――兄鴎外と明治の歌舞伎と』の書評(「劇評家の伝記を超えた文化史」)が掲載されました。

《森鴎外の弟で、近代劇評の基礎を築いた三木竹二の評伝である。〔……〕それまでの劇評は「評判記」と言われる形式で、いわば印象批評であり、「批評」ではなく「評判」であった。三木竹二の仕事の重要性は、その「評判」を「批評」にした点にある。〔……〕この本にはそうした竹二の仕事の価値が鮮明に描かれているだけでなく、独自な点が三つある。〔……〕編集者としての竹二の役割の意味。その性格。そして森家の歴史という点で、この評伝は一個人の伝記を超えた読み物になった。一人の劇評家、演劇という一分野――そういう狭い専門的な世界を超えて一般的な読み物になったのである。さながら大河小説を読む如く、そこには明治の一家庭が現れ、家族の笑い声が、あるいは悲嘆の泣き声が聞こえる。しかもその向うには坪内逍遥、尾崎紅葉、幸田露伴はじめ多くの文学者が登場し、一方名優九代目團十郎や五代目菊五郎がいて、新派の名優伊井蓉峰や喜多村緑郎、さらに新劇を起こした小山内薫がいる。この本は「明治文化史」であり、もう一つの「明治演劇史」である。》(渡辺保氏評)