11月2009のアーカイヴ

12月の新刊『世紀末の白い爆弾』

2009年 11月 30日

whitebomb中畑寛之

世紀末の白い爆弾

ステファヌ・マラルメの書物と演劇, そして行動

A5判上製672頁 定価=8000円+税
ISBN 978-4-89176-748-8  C0098  12月2日頃発売!




書くという行為=文学的爆弾


至高の〈書物〉を孤独に試みる言葉の錬金術師マラルメ。
19世紀末のフランス社会を騒然とさせた
アナーキストたちの爆弾テロの閃光のなかで
詩人マラルメが選んだ文学的〈行動〉の意味/戦略とは?
気鋭の研究者が新たな視点で読み解く画期的考察。

 

シュルレアリスムの25時/第1回配本

2009年 11月 19日

水声社 創立30周年記念出版

シュルレアリスムの25時

11月末日、第1回配本2冊同時刊行!





lucacover鈴木雅雄

ゲラシム・ルカ ノン=オイディプスの戦略

四六判上製256頁/定価2500円+税
978-4-89176-761-7  C0398
装幀=宗利淳一+田中奈緒子


もっとも偉大な詩人の一人 ——ジル・ドゥルーズ





つっかえ、切り裂き、撹乱する、驚異の「吃音」言語!

◎本邦初訳の理論的テクストや詩作品を収録!





braunercover齊藤哲也

ヴィクトル・ブローネル 燐光するイメージ

四六判上製総384頁(別丁図版128頁)/定価3500円+税
978-4-89176-762-4  C0371
装幀=宗利淳一+田中奈緒子


かれの絵は武装している ——アンドレ・ブルトン





深い闇の中で、鈍い光を放つ《魔術的画家》の全貌。

◎日本初のモノグラフ——掲載図版160点以上!

 

水声社 創立30周年出版第1弾《シュルレアリスムの25時》

2009年 11月 19日

水声社 創立30周年記念出版

シュルレアリスムの25時    全10巻

11月末日第1回配本、2冊同時刊行!


「私たちはシュルレアリスムについて、語るべきどれほどのテーマが眠っているか、
いま、はじめて本当に見渡すことができる。」(鈴木雅雄/早稲田大学教授)



sur006《本シリーズの特色》

◎いま、シュルレアリスムを考えるにあたって重要な、
そしてとりわけ日本ではほとんど知られていない
詩人・小説家・画家・写真家10人を選び、全10巻に収録する。

◎ 第一線で活躍する気鋭のシュルレアリスム研究者による書き下ろし。

◎ 各巻に、充実した年譜と書誌を付す。

◎付録として、各作家の本邦初訳のテクストを収録し、
画家・写真家の場合には、図版を豊富に収める。

◎ はじめてシュルレアリスムに触れる方々から、従来のシュルレアリスム像を覆したい研究者まで、
シュルレアリスムとアヴァンギャルド芸術に関心を寄せる、すべての人たちのための新たな入門書。

四六判上製9ポ1段組/各巻平均250頁/予価2500円(+消費税)
隔月に1冊刊行、2011年3月に全巻完結の予定





《全巻ラインナップ》



第1回配本『ゲラシム・ルカ』、『ヴィクトル・ブローネル』刊行迫る!


◎ジョゼフ・シマ 無音の光(谷口亜沙子)

Joseph Sima(1891-1971)  ヤロムニェシュ(ボヘミア)に生まれる。
画家。具象と抽象のあわいを浮遊する八十年の生涯。プラハ時代に始まり、
ブルトン批判を旗幟鮮明にした《大いなる賭け》の画家として、
さらに戦後の沈黙期を経て、一切が溶けあう光の表現へと到達するその歩みは、
「ただひとつの世界」をこの現世に映し出すことだったのか?
境界を生きた瞑想の画家の全貌が浮上する。



◎クロード・カーアン 鏡のなかのあなた(永井敦子)

Claude Cahun(1894-1954)  ナント(フランス)に生まれる。
写真家、作家、思想家。女でもなく男でもない、〈複数形の単数〉クロード・カーアン。
仮面や鏡を使って偽装したセルフポートレートによってジェンダー・
アイデンティティを問い、クイア的視点からもアプローチされている
特異なシュルレアリスト。一九八〇年代後半に再発見され、
一躍世界的な評価をえたその実像に迫る。



◎マクシム・アレクサンドル  夢の可能性、回心の不可能性(鈴木雅雄)

Maxime Alexandre(1899-1976)  ヴォルフィスハイム(アルザス)に生まれる。
詩人、批評家。ドイツ占領下のアルザスという出生から、
すでに宿命づけられたかのように、シュルレアリスムと神という対立する
二つの世界に引き裂かれながら、分裂するアイデンティティの乗り越えを
はかろうとした詩人の生涯を追うとともに、思想史の未来を射程に入れて、
シュルレアリスムはどのように可能なのかを考察する。



◎ルネ・クルヴェル  アンチ・オイディプス・シンプレックスの転生(鈴木大悟)

René Crevel(1900-1935)  パリ(フランス)に生まれる。
小説家。典型的なプチ・ブル、サロンの常連、同性愛者、結核患者、コミュニスト……と、
矛盾に満ちた生を駆け抜けた異端のシュルレアリストにして絶対的自由を渇望する
生粋のロマンティスト。一切の偽善と教条主義を拒んで、かつての仲間とも
敵対するに至ったその生涯と作品を、さまざまな角度から「弁証法」的に照射する。



◎ヴィクトル・ブローネル  燐光するイメージ(齊藤哲也) 第1回配本

Victor Brauner(1903-1966)  ピヤトラ・ニャムツ(ルーマニア)に生まれる。
画家。「ひとはいかにしてシュルレアリストになるのか?」
——マルクス主義の隆盛から第二次世界大戦にいたる激動の時代に、
一貫してシュルレアリスムと向き合い続けた〈魔術的画家〉。
日本でも澁澤龍彦らの賞讃を浴びながら、いまもなお深い闇のなかで
鈍い光を放ち続けるその足跡を丹念に追う果敢な試み。



◎ロジェ・ジルベール=ルコント  虚無へ誘う風(谷 昌親)

Roger Gilbert-Lecomte(1907-1943)  レンヌ(フランス)に生まれる。
詩人。生を壊し、そして死を導きいれること。「不完全な生」を
より完全なものにするため、「生誕以前の世界」=「虚無」へ向けて詩作を
続けること。アヘン中毒、東洋思想への傾倒、そしてルネ・ドーマルらと
《大いなる賭け》グループを組織し、ブルトンらと対抗するという
異端のシュルレアリスム詩人のスキャンダラスな生涯を多角的に追う。



◎ヴォルフガング・パーレン  幻視する横断者(齊藤哲也)

Wolfgang Paalen(1907-1959)  ウィーン(オーストリア)に生まれる。
画家、思想家。「当代まれに見る百科全書的知性」とブルトンによって讃えられる。
パリでシュルレアリスムに身を投じたのち、第二次世界大戦の亡命地メキシコで、
彼がまなざしを向けたのは、アメリカ・インディアンだった——。
多岐にわたるその活動を横断しながら、具象/抽象でのみとらえられる
既存の美術史を逆照射する。



◎ゲラシム・ルカ  ノン=オイディプスの戦略(鈴木雅雄) 第1回配本

Gherasim Luca(1913-1994)  ブカレスト(ルーマニア)に生まれる。
詩人。ドゥルーズに「もっとも重要な詩人のひとり」と評され、
その「ノン=オイディプス」という概念が「アンチ=オイディプス」の
原型になったとも言われる、この「吃音」の詩人が、いかにして
シュルレアリスムを作りかえたのかを読みときながら、
ヨーロッパ・アヴァンギャルドの歴史そのものを書き替える。



◎ジョルジュ・エナン  追放者の取り分(中田健太郎)

Georges Henein (1914-1973)    カイロ(エジプト)に生まれる。
詩人、批評家、ジャーナリスト。国際性と地域性、普遍性と国家、追放者と土地。
これらの間の葛藤を身をもって体験し、戦後の詩と言論の可能性を独自に示しつつ、
エジプトにおけるアヴァンギャルドとシュルレアリスムの展開に
決定的な役割を果たした彼の作品と生涯を追う。



◎ジャン=ピエール・デュプレー  黒い太陽(星埜守之)

Jean-Pierre Duprey(1930-1959)  ルーアン(フランス)に生まれる。
詩人、彫刻家。シュルレアリスムの言語操作を一挙に書き替えんとする
撹乱的で驚異的な作品を残し、二十九歳で自ら命を絶った「最後の呪われた詩人」。
1940〜50年代の、戦後シュルレアリスムの動向を概観しつつ、
わずかに残された作品と、その知られざる生涯を辿る。

 

編集部から(編集部 So)

2009年 11月 19日

最近、小社刊行物の書評がいろいろな媒体で書評/紹介されるケースが
増えてきました。担当編集者としては新刊が書店に平積みにされ、
実際に本が売れて読者の手元に届くことがいちばん嬉しいのですが、
ちゃんと書評で取り上げられたり、口コミ等で評判になったりすることにも
大きな喜びを感じます。
そういった意味で、『人工の冬』(パリ版)の刊行、『水声通信』31号での特集と、
このところアナイス・ニンに力を入れてきた私のもとに、
女性ファッション誌の《フィガロ・ジャポン》が彼女の小特集をやりたいと
取材協力を申し入れてきたことは、大変嬉しいニュースでした。
12月20日発売号に掲載される予定ですが、これを機に若い女性層にももっと
アナイス・ニンのことを知ってもらい、彼女の読者が増えることを願ってやみません。
さて、その《フィガロ・ジャポン》誌の11月20日号(11月5日発売)に、
短いながらも的を射た『人工の冬』の書評が出ましたので、紹介しておきます。

“性愛文学”の形を取り、人に潜む意識の行方を描いたアナイス・ニンの第一小説集が、
完全な形で、初めて日本でも読めることになった。


また、夕刊紙の日刊ゲンダイ(11月16日号)にも、
「女性作家による70年前の性愛小説集」として取り上げられました。


e4babae5b7a5e381aee586acアナイス・ニン/矢口裕子訳

『人工の冬』

【パリ版オリジナル】
四六判上製328頁/定価=2800円+税
ISBN978-4-89176-735-8  好評発売中!


異端の愛こそ美しい。

バイセクシュアルな三角関係を濃密に描く「ジューナ」
父と娘のインセストを赤裸々に描く「リリス」
告白する女たちと精神分析医の物語「声」

アメリカで発禁となっていた先駆的な性愛小説三篇が
原形のまま70年ぶりに復活。




『人工の冬』と同じく9月に刊行したピエール・ロチの『倦怠の華』も、
意外な媒体で取り上げられました。
早川書房の専門誌《SFマガジン》12月号(10月25日発売)の書評欄で、
SF研究家の牧眞司氏が、

「語られているエピソードは、異国の景観や奇習を綴った紀行あり、
深山に竜を望む幻想あり、ちょっと怪しげな思索あり、幼いころの瑞々しい追想あり、
『千夜一夜物語』ふうの創作ありと、じつに多彩で楽しい。……」


と絶讃され、これまた嬉しい驚きでした。
ピエール・ロチ関連の本も今後刊行していくつもりでいますので、乞うご期待!


e580a6e680a0e381aee88fafピエール・ロチ/遠藤文彦訳

『倦怠の華』

四六判上製288頁 定価=2800円+税
ISBN978-4-89176-741-9  好評発売中!



滑稽で奇抜な話の花束

19世紀から20世紀にかけて
フランス海軍士官として世界中を巡航した
異色作家ロチが変幻自在な対話形式で繰り広げる,
奇妙きてれつな回想/夢/紀行/小話の数々。
ユニークな長文解説を付した本邦初訳作品。

 

11月の新刊

2009年 11月 6日

ekkyo土屋勝彦 編

越境する文学

A5判上製312頁/定価4500円+税
978-4-89176-743-3 C0090  11月11頃発売!

現代文学は
《世界》と、
どう切り結ぶのか?


アフリカ、ロシア、南米、ヨーロッパ、そして日本。
国家の境域を突破することで《複数性》を獲得した、
移民/亡命者たちの文化表現とその実践をめぐる、
アクチュアルな共同研究の成果。

執筆者——土屋勝彦、管啓次郎、沼野充義、西成彦、
田中敬子、L・フェーダーマイアー、山本明代、谷口幸代

多和田葉子、デビット・ゾペティ、アーサー・ビナード、
毛丹青ら、多言語作家によるフォーラムの模様を完全収録!