9月2019のアーカイヴ

『オイディプスの墓』刊行記念イベントのお知らせ

2019年 9月 20日

対談:横山義志×森本淳生
ギリシア悲劇から〈演技〉を考える
〜『オイディプスの墓』刊行記念イベント〜

オイディプスの墓 書影オイディプスの墓――悲劇的ならざる悲劇のために
ウィリアム・マルクス著/森本淳生訳

「ギリシア悲劇」――誰しも名前は知っているけれど、実際に作品を読んだり舞台を見たりした方はそう多くないのではないでしょうか。西洋文化の基底をなすこのギリシア悲劇については、そのほとんどの作品が喪失していることがわかっており、現存しているものは古代ギリシアで制作された悲劇の5%にも満たないと考えられています。しかし、これまでの思想家たちはこのごくわずかな作品群から無謀にも悲劇の全体を考えていき、彼らが示した道は現在まで続いているといってよいでしょう。
このたび水声社から刊行されたウィリアム・マルクスの『オイディプスの墓――悲劇的ならざる悲劇のために』(森本淳生訳)は、ギリシア悲劇が被った大きな喪失に真正面から向き合い、これまでなされたギリシア悲劇にたいする誤解を丁寧に紐解いていきます。そうして新たに描き出されるギリシア悲劇は、こんにち理解されているものとはおよそ異なる驚くべき結論に達していきます。
古代ギリシア悲劇はどのように演じられ、どのように観られていたのか、その一端にふれる今回の刊行イベントでは、〈演技〉の歴史に詳しい東京芸術祭/SPAC-静岡県舞台芸術センターの横山義志さんをゲストにお迎えして、本書の訳者でフランス文学研究者の森本淳生さんと『オイディプスの墓』を繙きながら対談していただきます。25世紀前から残る人類の遺産を考えるこの機会に、ぜひ足をお運びください。

参加を希望される方は、神楽坂モノガタリのウェブサイト(https://peatix.com/event/1329502/)をご覧ください。

場所:神楽坂モノガタリ 東京都新宿区神楽坂6-43 K’s Place 2F
日時:2019年10月8日(火)
開場:19:00~: 21:00 (18:30開場)
参加費:1,500円+1 drink付/(学生)1,000円+1 drink付(要学生証)
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9月の新刊:ラブレーとセルバンテス

2019年 9月 20日

ラブレーとセルバンデス書影ラブレーとセルバンテス
中山眞彦(著)

判型:A5判上製
頁数:357頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0453-5 C0095
装幀:宗利淳一
10月3日発売!

《ロマン》は歴史を批判する!
近代の劈頭に現れ、「この世界に秩序と意味」を与えると同時に解体した《ガルガンチュア》/《パンタグリュエル》と《ドン・キホーテ》。そのふたりの偉大な作家と作品の深い今日性を極限にまで問いつめる強力な思考。《ロマン》(小説)についての理論の到達点。
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9月の新刊:コルティジャーナ――宮廷生活《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション》

2019年 9月 13日

コルティジャーナコルティジャーナ
宮廷生活
《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション④》
ピエトロ・アレティーノ(著)
栗原俊秀(訳)

判型:A5判上製
頁数:224頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0404-7 C0397
装幀:西山孝司
9月下旬発売!


欲望渦巻く都市ローマを嗤う傑作喜劇
宮仕えを夢見て田舎から上京してきた若者と、人妻に密かに思いを寄せる宮廷人に、ローマに蠢くペテン師たちが手の込んだ悪ふざけを企んで……諷刺の鋭さで名だたる王侯が恐れた雑文家(ポリグラフォ)アレティーノが、洗練された宮廷生活の幻想を猥雑なパロディによって貶め、人々の虚栄と虚無を笑いに包んで描き出す、五幕の喜劇。

早い話、宮廷人になるというのは、妬み屋、野心家、けち、恩知らず、おべっか使い、毒舌家、卑怯者、異端者、偽善者、盗人、大喰らい、無礼者、嘘つきになるのと同じことです。宮廷で見かけるもっともささやかな悪徳が裏切りであるとしたら、もっともささやかな罪もまた裏切りだと言えるでしょう。〔……〕やつらがくすねていくなかで、いちばん些細な盗品といえば、あなたが従者として宮廷に捧げた十年、二十年という歳月です。(本文より)

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9月の新刊:ドゥルーズ 魂の技術と時空・生起–動

2019年 9月 11日

ドゥルーズドゥルーズ 魂の技術と時空・生起–動
〈意味〉を現働化する
中田光雄(著)

判型:A5判上製
頁数:320頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0446-7 C0010
装幀:宗利淳一
9月中旬発売!

「存在」はいかにして「行為」となるか?
カントは近代的な理性能作の基底に「魂の奥底に作働する隠れた技術」を垣間見た。ドゥルーズはマイモンによるカント批判から出発してカント的ア・プリオリを能力論・微分論・差異論をもって発生論的に捉え直し、「時間–空間」を成立させる「時空-生起動」(dynamisme spatio-temporel)の『差異と反覆』から「ロゴスの下のドラマ」としての「第四人称」動態の分析・開削を通じて『意味の論理学』という「第四次元」の現働化に向かう。
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9月の新刊:ソニック・ユース

2019年 9月 11日

ソニックユースソニック・ユース
デイヴィッド・ブラウン(著)
岡田正樹(訳)

判型: A5判並製
頁数:377頁
定価:3800円+税
ISBN:978-4-8010-0413-9 C0073
装幀:宗利淳一
発売中!

ソニック・ユースという伝説
二十世紀の音楽シーンを駆け抜け、アート/ノイズ/ロックの垣根をぶっ壊した、オルタナティヴ・ロックの先駆者ソニック・ユース。ニルヴァーナを発掘したことでも知られる伝説のバンドの、たくさんのオリジナルインタビューと詳細な調査をもとに書かれた決定版評伝。
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9月の新刊:ハンナ・ヘーヒ——透視のイメージ遊戯

2019年 9月 5日

ヘーヒ書影ハンナ・ヘーヒ
透視のイメージ遊戯
香川檀(著)

判型:A5判上製
頁数:309頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0442-9 C0070
装幀:間村俊一
9月中旬頃発売!

イメージの表層を裂く、漂うアイロニーと遊戯性
ベルリン・ダダ唯一の女性メンバー、ハンナ・ヘーヒ(1889-1978)。「反芸術」を掲げた前衛運動に参加しながらも、フォトモンタージュをはじめ終生つねに実験的な作品をつくりだしていく背景には、驚くべきヴィジョンに貫かれた創作意識があった。波乱万丈のその生涯とともに、再評価が著しい女性美術家のうちにあるイメージ思考を解きほぐす、初のモノグラフ。図版多数収録。

視覚経験の可能性を追究した作家人生――
《本書は、ダダ以後に粘りづよく紡がれた彼女のイメージ思考を解き明かすべく、生涯を最晩年にいたるまで追いかけ、時々の主要作品をとりあげて吟味していく。それによって、この往年の女性ダダイストが、その後に展開した芸術上の探求と、一貫して持ち続けた造形的感性とを見届けようとするものである。》(「まえがき」より)
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9月の新刊:移民の記憶――マグレブの遺産 叢書《エル・アトラス》

2019年 9月 4日

移民の記憶 書影移民の記憶
マグレブの遺産
叢書《エル・アトラス》
ヤミナ・ベンギギ(著)
石川清子(訳)

判型:四六判上製
頁数:227頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0244-9 C0397
装幀:宗利淳一
9月中旬頃発売!

この本は、フランスにおけるマグレブ移民のただなかを旅した私の記録である。

マグレブ諸国からフランスに単身でわたり、悲惨な住環境で働く〈父たち〉。自国の伝統と異国への統合の軋轢に苦しむ〈母たち〉。ふたつの文化のあいだで自らのアイデンティティを問い直す〈子どもたち〉。
 マグレブ移民たちが直面した困難な現実を三部構成のインタビューによって重層的に可視化した傑作ノンフィクション。
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