6月2013のアーカイヴ

6月の新刊:『神秘の書』

2013年 6月 26日

神秘の書神秘の書

オノレ・ド・バルザック
私市保彦・加藤尚宏・芳川泰久・大須賀沙織訳
A5判上製クロス装クロス函入/432頁/定価=8000円+税
ISBN978-4-89176-971-0  C0097  好評発売中!



バルザックが目指した究極の美!

中世のパリで天上界を夢見る二人の異邦人を描いた「追放された者たち」、その卓越した想像力と知力のために寄宿舎学校や現実に耐えられず狂気に陥る青年「ルイ・ランベール」、両性具有の不思議な存在「セラフィタ」。バルザックに大きな影響を与えた神秘思想家スウェーデンボルグの思想を小説化した三篇に、本邦初訳の序文がついた、完全版。

バルザックが「私は書いたもののなかでもっとも美しい作品」と語った、『人間喜劇』の極北に位置しながら、『人間喜劇』全体に光を放射するバルザック文学の真骨頂!

 

 

6月の新刊:『音楽をひらく』

2013年 6月 26日

‰¹ŠyƒWƒƒƒP“üeŒ©–{音楽をひらく——アート・ケア・文化のトリロジー

中村美亜

四六判上製/256頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-982-6 C0073 好評発売中!

 

なぜ、わたしたちは《音楽》から《生きるよろこび》を得るのか? 現代の多文化社会で、音楽はいかにして他者理解を可能にするのか——音楽を「生きのびるための叡智」として再発見し、《実践としての音楽》を問う気鋭の論考。

《本書が取り上げる「音楽」という対象は、人間生活のほんの一部の営みに過ぎないかもしれない。だが、人間の内と外を結ぶ音を通じたコミュニケーション、また、そうした行為から生み出される価値システムの創造への洞察は、未来志向のコミュニケーションや共存について考える重要な示唆を与えてくれるはずである。》


目次

 序章


第1部 ケアとして考える

 第1章 コト的アプローチ — 「音楽の力」をめぐって

 第2章 ミュージッキング再考 — 〈語り〉とケア


第2部 文化として位置づける

 第3章 〈プレリュード〉 —  音楽と〈語りなおし〉

 第4章 知覚・認識・記憶 — 音楽文化と身体

 第5章 〈Living Together ラウンジ〉 —  音楽的儀式とメモリーワーク

 断章 〈フェスティバル FUKUSHIMA!〉


第3部 アートとして再定義する

 第6章 音楽とフェティシズム — 価値とコミュニケーションへの新たな視座

 第7章 芸術実践のポリティクス — 芸術・ケア・文化への新たな視座


注/参考文献/あとがき/付録

 

6月の新刊:『未完の国』

2013年 6月 26日

mikannokuni未完の国――近代を超克できない日本

アラン=マルク・リウー/久保田亮 訳

A5判上製/382頁/定価6000円+税
ISBN978-4-89176-978-9 C0031 好評発売中!




ニッポンのゆくえ

江戸期、明治維新、転向と敗戦、高度経済成長、そして東日本大震災——。「開かれた国」であるがゆえに未だ生成途上にあるこの国の歴史と未来を、フランス人哲学者が浮き彫りにする出色の論考。

《本書の目的は日本の現状を理解すること、そしてまた、1990年以来、日本が入り込んだあの危機と移行のプロセスを理解し、その中で起こった変化と改革を見定めることにある。〔……〕2011年3月11日を境に、日本はもはやかつての日本ではなくなっている。そして、世界もまた日本とともに変わってしまった。なぜ、どのようにして変わったのか、それを本書の中で見ていくこととしよう。

 

目次

序 事例としての日本

第1章 前‐近代化のプロセス——徳川時代の知と権力

一、徳川時代の社会システムの特色

二、知識体制

三、知識の社会的地位

四、知の秩序とその進化

五、三つの事例

第2章 近代化の条件

一、王政復古

二、開国の象徴的秩序

三、知識人——非自己実現的階層

第3章 近代化の思想

一、明治知識人の社会的地位

二、福沢諭吉による知の概念

三、開化の衝撃

四、近代

五、「本位」

六、文明化——原典と再読

第4章 近代性

一、近代性の概念

二、日本における近代性

三、森鷗外による混沌

四、漱石の近代性

第5章 近代化の終焉と近代性の超克

一、転向の概念

二、超国家主義的国家および国の概念

三、一九四二年東京——超克のジレンマ

四、一九四九年京都——ニヒリズムとアメリカニズム

五、戦後知識人——「悔恨の共同体」

第6章 近代の回帰——「知識社会」へ

一、ポストモダン運動とその時代

二、日本におけるポストモダンの時代とその変化

三、大いなる移行——「知識社会」としての日本

四、新たな近代化の始まり

五、二〇〇五年から見た二〇五〇年——研究政策にとっての社会的転換点

六、危機と災害を越えた再建

七、民主的進歩と新たな社会モデル

八、連続的制度イノベーション


結論 解体から再建へ——日本はどこへ行くのか?

註 /訳者あとがき

 

6月の新刊:カンブリア革命

2013年 6月 26日

kanburiaカンブリア革命

永澤 護

四六判上製/274頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-974-1 C0010 好評発売中!



いまこの現実とは、世界の終焉なのか、あるいははじまりなのか?

Facebookではすでに知る人ぞ知る人物の全貌があきらかに。《カンブリア革命》とはなにか? ページをひらけば、そこにまばゆいばかりの思考が待っている!
——酒井隆史(大阪府立大学)


 

目次

序章 資本と国家を繋ぐ〈装置〉=〈私たち〉

第1章 汎優生主義

Interlude1 生体政治工学

第2章 広場へと向かって

Interlude2:《私たち=人間》の消滅とその彼方――ミシェル・フーコー『言葉と物』をめぐって

第3章 自己の身体・クオリア・終わりなき経験

第4章 未来の記憶から今ここへ

附録
来るべき(起こってしまった)カタストロフを描いた詩作品
私の歩んだ道(永澤春栄)

 

受賞報告(『ブルーノ・シュルツ』『ドストエフスキーと小説の問い』)

2013年 6月 21日

小社より昨年刊行された加藤有子さんの『ブルーノ・シュルツ 目から手へ』が第4回表象文化論学会賞を、また番場俊さんの『ドストエフスキーと小説の問い』が同じく奨励賞を受賞いたしました。おめでとうございます!

詳細は表象文化論学会のホームページをご覧下さい(

 



 

bluno_cover加藤有子

ブルーノ・シュルツ——目から手へ

A5判上製376頁/定価=4800円+税
ISBN 978-4-89176-899-7 C0098 好評発売中

 

 

ナチスに射殺されたポーランドの小説家/画家の全貌。

短篇集『肉桂色の店』、『砂時計の下のサナトリウム』、ガラス版画集
『偶像賛美の書』などをとおして、イメージ・言語のジャンルをこえた
表象へと向かう独自の世界観をトータルに捉える世界初のモノグラフィ。

*シュルツに関する最新の情報を盛り込んだ年表を収録。
*日本初公開の図版も多数掲載。


《「手」の制作による再現にとって、言語的要素と視覚的要素の区別は
二次的なものであり、現実/虚構の明確な区別も消滅する。目から手へ。
シュルツが手によって示す芸術制作は何かの模倣、再現ではなく、目と
手の分業によらない対象の提示である。》


 

* 

 

e38389e38395e38388e382a8e38395e382b9e382ade383bc_coverドストエフスキーと小説の問い

番場俊

A5版上製/368頁/5000円+税
978-4-89176-925-3 C 0098 好評発売中

 

 

小説、この反時代的なもの。

これまでの研究者たちがほとんど口にしてこなかった問い——
「小説とは何か」を、昨今のブームも視野に入れ、
ドストエフスキー論の新たな機軸を打ち出す注目の書。

文学史上最高の小説が『カラマーゾフの兄弟』だとしたら、
作者であるドストエフスキーは「小説」という形式を
いかにして探求してきたのか……。
フロイトの精神分析、バフチンの多声性の理論を踏まえ、
「手紙」「告白」「メディア」「時間」をテーマに
ドストエフスキー理解の新たな次元を切り開く。



【目次】

序章

Ⅰ 手紙

第1章  手紙の暴力

第2章  文学と手紙、感応の遊戯

第3章  盗まれた手紙

Ⅱ 告白

第4章  「告白小説」のプラン

第5章  告白の現実的条件

Ⅲ メディア

第6章  『罪と罰』と同時代ジャーナリズム 


第7章  メディア・リテラシーの練習問題

第8章  文学の生まれるところ

Ⅳ 『カラマーゾフの兄弟』

第9章  ゼロ年代のドストエフスキー

第10章 小説の問いから『カラマーゾフの兄弟』へ

第11章 ジャンルの闘争

第12章 『カラマーゾフの兄弟』から小説の問いへ


終章 小説の時間 

註/あとがき

 

 

V. プラシャド 『褐色の世界史』刊行記念トークイベント 

2013年 6月 3日

4月に刊行されたヴィジャイ・プラシャド著『褐色の世界史——第三世界とはなにか』は、激動の20世紀を《第三世界というプロジェクト》の視座から描き出し、その未発のままの歴史/運動/現在をトータルに概括する話題の書として欧米での評価が高く、長く邦訳が待たれていました。著者のヴィジャイ・プラシャドは、サイード亡き後、世界情勢についてもっとも精力的に語る論客として、注目を浴びていますが、本書も刊行以来、各誌紙で好評をいただいております。

◉ 柄谷行人氏(哲学者、『朝日新聞』6月1日付)
「本書から、私は第三世界に関する基礎的な史実を学んだ。〔……〕「第三世界」を滅ぼしたのは、この新帝国主義である。しかし、本書を読んで、私はこう思った。そう遠くない将来に、「第三世界」に代わるものが生まれるだろう、そして、それは新たな国連と結びつくだろう。」

◉ 池上善彦氏(元『現代思想』編集長、『図書新聞』4月27日号)
「著者の指摘するように〔……〕未だ世界全体の第三世界プロジェクトは再開されていない。しかしそこにこそ現在の我々の指針がある。考え抜いたと思った果てに、さらに世界は広がっている。世界は我々が考えるよりずっと広いものなのだ。本書を読んでそれを実感する。」


◉ 野中大樹氏(『週刊金曜日』4月19日号)
「第三世界はすでに消えたのか、今もあるのか。訳者である粟飯原文子氏は、あとがきでこう記す。『第三世界が『プロジェクト』であるのなら、決して消え去ってしまうことはない』と。」




また、来たる 6月16日(日)午前10時30分より、本書の刊行を記念して、ジュンク堂書店池袋本店においてトークイベントをおこないます。
今回のトークイベントは、本書の価値をいちはやく見出した池上善彦さん(元『現代思想』編集長)と、訳者の粟飯原文子さん(アフリカ文学・文化史)が、「21世紀に第三世界を考える——新しい世界史と日本のためのパースペクティヴ」と題して行ないます。ふるってお運びください!

*なお、本イベントは、おなじく粟飯原さんの訳によるアルンダティ・ロイ著『ゲリラと森を行く』を刊行する以文社さんとの共催になります。

「21世紀に第三世界を考える——新しい世界史と日本のためのパースペクティヴ」

講師:池上善彦(元『現代思想』編集長)×粟飯原文子(アフリカ文学・文化史)

日時:2013年6月16日(日) 午前10時30分〜

場所:ジュンク堂書店 池袋本店 TEL 03-5956-6111

入場料:1000円(ワンドリンク付)

 

——

e8a490e889b2e381aee4b896e7958ce58fb2_cover褐色の世界史――第三世界とはなにか

ヴィジャイ・プラシャド/粟飯原文子 訳

四六判並製/2段組447頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-927-7 C0022 好評発売中!

 

「第三世界というプロジェクト、それはこれまでヨーロッパが答えられなかった問題を解決することなのだ」――フランツ・ファノン


焦眉の世界情勢をとらえるうえで、必読の1冊!

アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、そしてアラブなどで、なぜ、いまも「問題」が勃発するのか。焦眉の世界情勢を歴史的にとらえるためのスタンダードワーク。激動の20世紀を〈第三世界〉の視座から描き出し、その未発のままの歴史/運動/現在をトータルに概括する話題の書。気鋭の訳者による渾身の解説(50枚)を付す。



【本書に寄せられた讃辞】

I・ウォーラーステイン
「今日実行可能な政治プログラムを策定するうえで不可欠な知識」

E・ガレアーノ
「正史や主流メディアの陰に潜む輝かしい世界を発見する手がかり」

P・ギルロイ

「ヴィジャイ・プラシャドは貴重な歴史資源を掘り起こした」