11月2010のアーカイヴ

12月の新刊『ロチの結婚』『ピエール・ロチ伝』

2010年 11月 30日

▼再評価の気運高まる「エキゾティズムの作家」の
代表作と決定版伝記を同時刊行!

lotikekkon_coverロチの結婚

ピエール・ロチ/黒川修司訳
四六判上製272頁/定価3000円+税
ISBN 978-4-89176-809-6 C0097 12月2日頃発売!


もう一度あの人に会いたい




1872年, フランス海軍士官としてタヒチを訪れ,
島の女王の寵遇を得たピエール・ロチは,
現地の美しい娘ララフと出会い,
楽園的で牧歌的な恋を織りなしていくが……
発表当時大当たりした, 異国趣味あふれる悲恋物語。




lotiden_coverピエール・ロチ伝

アラン・ケラ=ヴィレジェ/遠藤文彦 訳
A5判上製656頁+別丁図版32頁/定価8000円+税
ISBN 978-4-89176-810-2 C0098 12月2日頃発売!


ロチ研究の泰斗による決定版評伝。




19世紀後半から20世紀初頭にかけて
世界中を巡航しながら見聞を広げ、
日本滞在経験をもとにした『お菊さん』など
数多くの小説を残した、「異国趣味の作家」の
波瀾にみちた生涯がいま蘇る。


好評既刊

kentai_cover倦怠の華

ピエール・ロチ/遠藤文彦訳
四六判上製280頁 定価2800円+税

 

編集部通信/イベント御礼+書評『日本探偵小説論』

2010年 11月 18日

11月12日にジュンク堂新宿店でおこなわれた
栗原幸夫さんと野崎六助さんのトークセッション
《1920年代の反逆思想!》は、おかげさまで
盛況裡に終えることができました。

平日の夕方という忙しい時間帯にもかかわらず
足をお運びいただいたみなさま、
あるいは参加できなかったものの
心の奥底で声援を送ってくださったみなさま、
そしてジュンク堂ご担当のみなさまに、
厚く御礼申しあげます。ありがとうございました。

11_12しかし、
御年83歳になる
栗原幸夫さんの、
熱く、いつまでも
お若いお話しには、
聴いている方が心を奮わされるような時間でした……。

さて、その余韻もさめやらない翌々日の14日(日)、
東京新聞の朝刊読書面に、野崎さんの新刊、
『日本探偵小説論』が掲載されました。評者は文芸評論家の川村湊さん。
本書が《探偵小説》を狭義のジャンル(業界)の枠を超えた、
広く日本の《近代》と格闘したさまざまな文学作品のなかに、
位置づけ直したことを目一杯評価していただき、

「それにしても、日本の近代文学の本質を
〈昭和十年前後〉という時間のなかに凝縮してみせた
批評の力技は、ただ感嘆する以外にはないのである」


と、そのレヴューを締めくくっておられます。
本書への最上の言葉を、ありがとうございました。
全文はこちらから→(

野崎六助さんの『日本探偵小説論』、栗原幸夫さんの『わが先行者たち』は
いずれも全国書店で好評発売中です。ぜひご一読を!(編集部:Naovalis)

—–

senkosha001栗原幸夫

わが先行者たち——文学的肖像

四六判上製/466頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-803-4 C0095  好評発売中!


危機の瞬間にひらめく回想——。
自在な《精神の運動》による戦後文学/思想史の軌跡。



編集者として、批評家として、あるいは
べ平連やAA作家会議のアクティヴィストとして。
埴谷雄高、中野重治、堀田善衞ら《戦後》という時代を協働した、
こよなき《先行者たち》への批評/オマージュを集成する。
【附・著者による自筆略年譜】


——

nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095  好評発売中!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?




関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

 

編集部通信/『また君に恋をした』の反響その1

2010年 11月 15日

10月下旬に発売していらい、アンドレ・ゴルツ『また君に恋をした』は
実によく動いています。池袋リブロはじめ幾つかの書店・大学生協では
発売後たちまち売り切れ、追加注文がきました。
そのうえ、活字が大きく短い作品なのですぐ読めてしまうのか、
読者からの感想が続々と寄せられています。(編集部So)

一番早かったのは、書評家の江南亜美子さんの反応です。
うんうん唸りながら一気読みしたそうで、まずツイッターでつぶやき、
その勢いでブログにも書き込んでくれました。こちら→(
また、神戸の海文堂書店のブログ(11月2日の日記)にも
詳細な紹介が出ています。こちら→(

大方の感想は、「読んでいて胸が熱くなった」
「哲学的なところは少々難解だが、一気に読んでしまった」
「訳文がこなれていて読みやすい」といったものですが、
結構みなさん読み込んでいて、編集担当の私や
訳者の杉村裕史氏も驚くような反応や感動的な感想文が
多いので、ここで一気に紹介してみます。

「とても読みやすくて、妻をいたわり、
やさしく語りかける雰囲気がよく伝わってきました。
なれそめの部分は恋愛小説のようで、ロマンチックでよかったです。
筆者はジャーナリストで、知識人階級の人なのに、
やわらかい文章で、素直に心情を表現しているのがいいですね。
母国語を捨てて生きなければいけなかったことなど、
時代背景も興味深かったです。商業主義的な医療行為のこととか、
考えさせることも多かったです。
それに、最後の2頁がすごく感動的でした。
あとがきも、いろんな情報が盛り込まれていて読み応えがあり、
グリーンと茶色が基調の装丁も上品で、とても素敵な感じです。
性別、年代に関係なく楽しめる本ですね」(アラフォー女性)


「私には全く未知の作者でしたが、このような夫婦がいたことを知り、
近年味わったことのない大きな感動を覚えました。……
一読後、思い出を綴ったあと奥さんの後追い自殺をした
江藤淳氏のことや、やはり亡妻との思い出を本にした川本三郎氏のことを
想起しましたが(いずれも子供のいない、夫婦きりの結婚生活で、
絆がより強かったと思われます)、感情を抑制し、冷静に、
客観的に夫婦の日々の真実を描き切った本書の重みには
かなわないと思いました」(50代男性)


「若い人に読んでもらいたい。これから結婚しようとする
カップルにも。ちょうど12月に教え子の結婚式があるから、
プレゼントすることに決めた」(40代女性)


「『また君に恋をした』を手にとったところ遅読の私にしては
奇跡的に冒頭から一気に入り込んですぐ読み終えてしまいました。
こういう男女の愛が現実にあったという感動で涙ぐみ
奇跡のカップルを羨ましく思います。
さらに彼らがニューヨークで抱いたアメリカ文明への嫌悪感や
「再道具化社会」の概念、イリイチの「自主管理」
「脱病院化社会」の概念は今現在の私の日常の意識なので、
当時は最先端であっただろうこの方々に
難しい話題でありながら親近感を覚えました」(アラフォー女性)


「ゴルツの老齢になってからの強烈な想い。「要するに
本質的なことはただ一つ、君と一緒にいることだ」という
一語に集約される人生。特に晩年の人生。
もうすぐ大台になる小生としては我が身を振り返るに
心が痛む一冊です。日本のカップルは中年以降、パートナーを
疎ましく思う人も多いし、妻への想いを素直に出してたまるか、
という照れ屋も多いけど、こうもストレートに書かれると
いろいろ考えると思うなあ」(アラカン男性)


「ふたりがともに生きてきて、そのことがふたりにとって
かけがえのない、大事なことなのだということは切々と伝わってくるね。
そしてどれほど夫が妻を、ある種複雑な思いを持ちながらも、
愛していたか、わかる気がする」(50代男性)


「みなさんに手に取ってほしい一冊があります。
アンドレ・ゴルツ著『また君に恋をした』
著者の妻へのあふれる思いに胸を打たれたのでここに紹介します。
これは、著者が病の妻に宛てて最後に書いた感謝の手紙。
この本が出版されるのを待って、2007年、
二人は共に人生に幕を引きました。著者83歳、妻82歳。
著者はフランスを代表する哲学者で、自己や社会体制について苦悩した人生。
その隣にはいつも妻がいて支えてくれていた。
その妻が一歩、一歩、死に近付いていく。
「君はちょうど八十二歳になったばかり。それでも変わらず美しく、
優雅で、いとおしい。一緒に暮らし始めて五十八年になるけれど、
今ほど君を愛したことはない。最近また、君に恋をした。
僕の胸のここには再びぽっかりと穴が空いていて、
それを埋めてくれるのは僕に寄り添ってくれる君の身体だけだ
———僕たちは二人とも、どちらかが先に死んだら、
その先を生き延びたくはない。叶わないこととはいえ、
もう一度人生を送れるならば二人で一緒に送りたい」
共に生きた人生が終わりを迎えようとする時、苦悩も後悔も超えて
こんなにも熱い思いがあふれるものなのか…。
途中で若い頃の自己や社会への考察が出てきてそのあたりは
哲学者らしく難解なんだけど、そこを経て出た著者の
長年の哲学の結論が「要するに本質的なことはただ一つ、
君と一緒にいること」だということにもまた胸打たれます。
難しい部分で挫けず最後まで読むと感動が待っています。
ぜひ手に取って読んでもらえたらと思います」(20代女性)



matakimi_cover9アンドレ・ゴルツ/杉村裕史 訳

また君に恋をした

Lettre à D.  Histoire d’un amour
四六判変形上製144頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-805-8 C0097 好評発売中!

「君はもうすぐ82歳になる……それでも
変わらず美しく, 優雅で, いとおしい」




83歳の哲学者は, 長年連れ添った不治の病の
妻に宛てて, 最後のラブレターを書き上げた。ふたりは
互いを補い合いながら人生を歩み, 共に幕を閉じた……。

 

編集部通信/いよいよ明日!

2010年 11月 11日

ジュンク堂新宿店8階カフェで開催される
栗原幸夫さんと野崎六助さんのトークセッションが、
いよいよ明日に迫りました。
行こうかどうしようかと迷っているかたは、
ここはひとつご決断のうえ、お立ち寄りを!!
「えっ、あのひとも?」というようなかたが、
観客のなかにまざっているかもしれません!?



この秋に相次いで小社より刊行された
栗原幸夫さんの『わが先行者たち 文学的肖像』
そして、野崎六助さんの『日本探偵小説論』
この2著は、いずれも450ページ前後という手応えのある本となって、
おふたりの仕事のメルクマールとも言うべき作品ですが、
その刊行を記念して、おふたりのトークセッションを開催いたします。

テーマは……  1920年代の反逆思想!

アナキストやマルキストたち、そして芸術や思想や文化が
混沌としながら爆発し、ときには暴発さえしたこの時代。
現代社会に欠けている《反逆の思想》、
あるいは、もっともリアルな《生の拡充》の表現をめぐって、
ぞんぶんに語り尽くします。

概要は以下の通りです。白熱した展開が期待されますので、
ふるって足をお運びください。(編集部 Naovalis)

◎講 師:栗原幸夫さん(批評家/編集者)× 野崎六助さん(作家/評論家)
◎日 時
:2010年11月12日(金) 18時30分開演(18時開場)
◎場 所:ジュンク堂書店新宿店(三越新宿店内)8Fカフェ(定員50名)
◎入場料:1,000円(ドリンク付)
◎ご予約・お問い合わせ:ジュンク堂書店新宿店 tel. 03–5363-1300
◎ジュンク堂書店HPの詳細はこちら→(

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senkosha001栗原幸夫

わが先行者たち——文学的肖像

四六判上製/466頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-803-4 C0095  好評発売中!


危機の瞬間にひらめく回想——。
自在な《精神の運動》による戦後文学/思想史の軌跡。



編集者として、批評家として、あるいは
べ平連やAA作家会議のアクティヴィストとして。
埴谷雄高、中野重治、堀田善衞ら《戦後》という時代を協働した、
こよなき《先行者たち》への批評/オマージュを集成する。
【附・著者による自筆略年譜】


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nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095  好評発売中!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?




関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

 

今月の書評『クリスチャン・ボルタンスキ—の可能な人生』

2010年 11月 11日

このまえの日曜日(11月7日)付の読売新聞に、
『クリスチャン・ボルタンスキ—の可能な人生』の
書評が掲載されました。評者はアメリカ文学者で、
早稲田大学の 都甲幸治 さんです。
「自分に正直でい続けるというのはこれほど偉大なことなのか」
と、都甲さんらしいフレーズで、本書で語られる、
ボルタンスキ—という高度な記名性を有したアーティストを
評していただきました。全文はこちら→()。
都甲さん、ありがとうございます!

7月に来日したボルタンスキ—さんは大変な知日家でもあり、
弊社でもトークセッションをしていただきましたが、
この出色の自伝(自己を語ったインタビュー集)にも、
日本版オリジナルの補遺として「日本のこと」が
語られています。未読の方は、ぜひ手にとってみてください。


possiblelifeクリスチャン・ボルタンスキ—+カトリーヌ・グルニエ
佐藤京子 訳

ボルタンスキ—の可能な人生

A5判上製/320頁/定価4500円
ISBN978-89176-789-1   C0070 好評発売中!

 

11月の新刊『モンテスキューの孤独』『ユダヤ人を救え!』

2010年 11月 9日

montesqシャードルト・ジャヴァン/白井成雄訳

モンテスキューの孤独

四六版上製 288頁/定価2800円+税 装幀=宗利淳一
ISBN978-4-89176-807-2  好評発売中!


「どうしたらフランス人になれるの?」
複数文化をさすらう女性の孤独を描く、
出色のフィクション。


テヘランからイスタンブールへ、そして少女の頃からの
あこがれだったパリに逃れてきたロクサーヌ。
彼女は孤独のうちに、18世紀の思想家モンテスキューにあてて
手紙を書く。いまわしい過去の世界を忘れられるのだろうか、
新しい国・新しい言葉のなかで……。





judish_coverエミー・E・ワーナー/池田年穂 訳


ユダヤ人を救え! デンマークからスウェーデンへ

四六判上製272頁 定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-806-5 C0098  好評発売中!


迫害と殲滅が迫る戦火のなか、
デンマーク国民の選択とは?
ユダヤ人救出の貴重なドキュメント!



第二次世界大戦の戦火のなか、
ナチ占領下で国内のほとんどすべてのユダヤ人を
スウェーデンに逃亡させたデンマーク国民の
人道的決断と勇気ある行動。
生きのびたユダヤ人たちへのインタヴュー、
彼らの手紙や体験記等々を縦横に駆使して、
生き生きと描くその救助劇の全貌。

 

今月のサンヤツ

2010年 11月 2日

e8aaade5a3b2e382b5e383b3e383a4e38384001去る 10月30日付(土)の毎日新聞朝刊第1面、
および 10月31日(日)の読売新聞朝刊第1面に、
3段8分の1広告、いわゆるサンヤツを出稿しました。

今回は、先月末から刊行を開始した『小島信夫批評集成』と、
最新刊の『また君に恋をした』の2点です。
(左の画像は読売掲載分。クリックで拡大します)

いずれも水声社の自信作。ぜひ書店/ネット書店で、
実物をご覧のうえ、お求めください!

e8aaade5a3b2efbc8fe8aaade69bb8e381a8e587bae78988001さらにさらに、
読売新聞には、10月30日(土)付夕刊、
そして本日 11月2日(火)付夕刊 と、
このかん2回つづけて
『また君に恋をした』が紹介されました。
こちらもあわせてごらんください。
左の画像は30日付の「読書と出版」欄より。

 

11月の新刊/グラン=ギニョル傑作選

2010年 11月 1日

grandguignol_cover-2真野倫平編・訳

グラン=ギニョル傑作選——ベル・エポックの恐怖演劇

A5判上製/272頁+カラー口絵8頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-808-9  C0074  11月5日頃発

硫酸をかけられ、
脳髄を切り刻まれ、
生皮をはがれる人間たち!



ベル・エポックのパリで生まれた恐怖演劇、グラン=ギニョル。
マッド・サイエンティスト、ギロチン、人体改造、拷問などの
猟奇的なモチーフで人々を恐怖の渦に陥れた、代表作七篇を収録!
◎ 充実したグラン=ギニョル主要作品紹介つき。


——
目次
——
序文(アニェス・ピエロン)
『闇の中の接吻』(モーリス・ルヴェル)
『幻覚の実験室』(アンドレ・ド・ロルド/アンリ・ボーシェ)
『悪魔に会った男』(ガストン・ルルー)
『未亡人』(ウジェーヌ・エロ/レオン・アブリク)
『安宿の一夜』(シャルル・メレ)
『責苦の園』(ピエール・シェーヌ)
『怪物を作る男』(マクス・モレー/シャルル・エラン/ポル・デストク)

グラン=ギニョル主要作品紹介
解説
書誌