6月2009のアーカイヴ

『メイエルホリド』『ステュディオ』書評

2009年 6月 29日

エドワード・ブローン/浦雅春・伊藤愉訳

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『メイエルホリド 演劇の革命』

A5判上製456頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-700-6  C0074 絶賛発売中!

→武田清氏(図書新聞、09年7月4日号)
「きわめて具体的な研究手法により消滅した演劇の真髄を復元する……
メイエルホリド演劇の全貌が明らかとなる一書」





フィリップ・ソレルス/齋藤豊訳

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『ステュディオ』

四六判上製296頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-709-9  C0097 絶賛発売中!

→鈴村和成氏(日本経済新聞、09年6月28日)
「何も事件の起こらない作家の日常を題材に、
ダイナミックでスリリングな『私語り』を創造する。
ソレルスならではの言葉の魔術である」

 

編集部通信:キェシロフスキ・プリズム!

2009年 6月 24日

6月20日(土)、渋谷ユーロスペースで初日を迎えた「キェシロフスキ・プリズム」の様子を見に行ってきました。映画の初日に立ち会うのは久々のことだったのですが、今回は小社でも二冊、キェシロフスキ関連本を出している以上、彼の映画の特集上映を少しでも盛り上げたいし、担当者としては客入りが心配で、気が気ではありませんでした。

『ふたりのベロニカ』で始まった初回から満員状態がつづき、初公開の『地下道』『初恋』も立ち見が出るほどでした。順調な滑り出しで、若い客層が多く、翌日上映された『トリコロール』三部作も大入りだったとのこと。これから7月17日まで全29作品の連続上映が続きますが、詳しくは下記の「キェシロフスキ・プリズム」公式サイトをご覧下さい。

eurospace1 キェシロフスキは亡くなって13年たちますが、生前、『トリコロール』三部作のキャンペーンで来日した頃から彼の映画にかかわってきた私も仕事の合間をぬって出来るだけ映画館に通うつもりです。

館内では特製パンフレット(500円)のほか、小社刊の『ふたりのキェシロフスキ』『キェシロフスキ映画の全貌』も販売しています(写真参照)。 また、東京での公開に続き、大阪、名古屋をはじめ各地方でも順次、特集上映されます。乞うご期待!(編集部 K S )


[キェシロフスキ・プリズム]
(公式サイト http://www.kieslowski-prism.com
キェシロフスキの軌跡をたどるドキュメンタリー映画『スティル・アライヴ』と
日本初公開作品ほか、ヨーロッパ映画界の名匠のきらめく作品群を一挙特集上映!
●6月20日(土)〜7月17日(金) 東京・渋谷ユーロスペース http://www.eurospace.co.jp/
●7月11日(土)〜8月7日(金) 大阪シネ・ヌーヴォー http://www.cinenouveau.com/
●7月18日(土)〜8月14日(金) 名古屋シネマスコーレ http://www.cinemaskhole.co.jp /cinema
●以後、福岡、金沢、仙台、札幌などを予定。


【最新刊】キェシロフスキ映画に愛をこめて
『ふたりのキェシロフスキ』
アネット・インスドーフ著/和久本みさ子+渡辺克義訳
A5判上製304頁/定価=3000円+税

【姉妹書】彼の目には、世界の終わりが映っていた。
『キェシロフスキ映画の全貌』
マレク・ハルトフ著/吉田はるみ+渡辺克義訳
A5判上製320頁/定価=3000円+税

※以上2冊についての詳細はこちら→

 

6月の新刊『偽アメリカ文学の誕生』

2009年 6月 22日

niseamerica_cover1都甲幸治

『偽アメリカ文学の誕生』

四六判上製352頁
定価=2800円+税
ISBN978-4-89176-726-6 C0098

6月25日頃全国書店で発売!



21世紀もっとも話題のアメリカ文学者、都甲幸治の第1評論集

フィッツジェラルド、サリンジャー、ブコウスキー、デリーロはもちろん、
本邦初紹介の作品から、海外でのインタビューを通して語られる
村上春樹の本音と実像にいたるまで、
最新型の 〈 アメリカ文学 〉 をこの1冊にパッケージ。
〈偽〉アメリカ文学の 「リアル」はここにある !

◆柴田元幸氏推薦!
「塵に訊け!」 とかつてジョン・ファンテは言った。
「都甲幸治に訊け!」 と私は言いたい。
〈 偽アメリカ文学の誕生 〉 を告げる本書は、
すぐれた 〈 偽アメリカ文学者〉 の登場を告げてもいる。
アメリカ文学のいまを知る上で最良の書。


都甲幸治(とこう・こうじ)
1969年生まれ。早稲田大学文学部准教授、翻訳家。
専攻はアメリカ文学・文化論。
おもな訳書に、ファンテ『塵に訊け!』、ブコウスキー『勝手に生きろ!』、
フィッツジェラルド『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』など話題作多数。
『BRUTUS』誌による2009年のキーパースンのひとり。

 

6月の新刊『パラダイスの乞食たち』

2009年 6月 16日

アーヴィング・ステットナー/本田康典+三保子ステットナー訳

『パラダイスの乞食たち』  Beggars in Paradise

四六判上製296頁 定価=2500円+税
ISBN 978-4-89176-734-1 C0097  6月下旬発売


paradice_cover2ああ、パリ、ぼくの恋人、わが人生の街角よ……
1940年代後半、ブルックリン育ちのぼくは、ヘンリー・ミラーの影響をうけ、大西洋をわたってパリで放浪生活をすることに……。水彩画家、編集者、詩人、作家として活躍した著者の、みずみずしい自伝的小説!

▼著者について
アーヴィング・ステットナー(Irving Stettner)は、1922年、ニューヨークのブルックリンに生まれ、2004年、ペンシルヴァニア州ダラスで没した。1940年代後半にヘンリー・ミラーと出会い、『北回帰線』の舞台であるパリに興味をかきたてられ、海を渡る。1948年頃から約12年間、たまに米国に戻ることもあったが主としてパリで放浪生活を続けた。若きステットナーは、パリでは雑多な仕事に就きながら、スケッチアーティストとして食いつなぎ、エジプト出身の作家アルベール・コスリーらと親しくなった。『パラダイスの乞食たち』は、
この12年間の生活と意見を題材にした自伝的小説である。

1974年より、リトルマガジン『ストローカー』の編集・出版を始め、寄稿者であったヘンリー・ミラーとの親交を深める。1997年に妻子同伴で来日してからは、くり返し個展を開くなど、晩年は主に日本で旺盛な創作活動をした。

▼ステットナーへ宛てたヘンリー・ミラーからの手紙(抜粋)

きみは本物の画家だ。ピカソやブラックよりもずっと興味深い。わたしの言葉を信じてほしい。そして描き続けるんだ!
(1978年3月6日付け)

きみは現代アメリカの唯一の詩人だ!
(1979年6月3日付け)

きみは詩人であると同時に生来のストーリーテラーだ。きみの書く文章はわたしを驚愕させる。
(1979年9月20日付け)

▼担当編集者からのコメント
アメリカ人のステットナーは若き日のパリ放浪時代に、すでに作家として名をなしていたアルベール・コスリーを師と仰ぎ、親しく交流した。変わり者のコスリーは一文無しにもかかわらず、いつもぱりっとしたスーツを着て、サン・ジェルマン・デ・プレ界隈のカフェに仲間達とたむろしていた。そんな彼の「物乞いの思想」にステットナーは強い影響をうけ、真の芸術家の道を邁進する。本書にはコスリー以外にも当時の作家や芸術家たちが実名で登場し、興味が尽きない。

また、今は亡きステットナーの生前の映像を『Journey to Lock The Lock』というDVDで観ることができる。このドキュメンタリーは、警官殺しの冤罪で38年間ニュージャージー州の刑務所で服役した詩人・画家トミー・トランティーノの現在を、日本人舞台演出家の平松れい子が追ったユニークな作品。彼女はまず、トランティーノの親友でもあったステットナーをペンシルヴァニア州のダラスに訪ね、密着取材を試みる。晩年のステットナーの芸術と人生を垣間見ることのできる貴重な映像だ。



▼〈関連書〉好評発売中!

e382b4e3838fe383abe8a1a8efbc91アルベール・コスリー/田中良知訳
『老教授ゴハルの犯罪』
四六判上製272頁 定価2200円+税
ISBN978-4-89176-687-0 C0097

カイロの貧民街を舞台に
若き娼婦殺しをめぐって繰り拡げられる
誇り高き除け者たちのおかしな人生の物語。
ヘンリー・ミラーやアルベール・カミュに見出された
エジプト出身のフランス語作家の本邦初紹介。

 

『演劇の一場面』書評

2009年 6月 16日

engeki_1小島信夫
『演劇の一場面』
四六判上製200頁/定価=2000円+税 水声文庫
ISBN978-4-89176-710-5 C0095

→青木健氏(図書新聞、09年06月20号)
「私たちは、ただ小島のこの気ままな歩行に同伴すればよいのである。」

→芳川泰久氏(中日新聞/東京新聞、09年3月15日)
「著者は演劇の場面を小説のようにも読み、同時に、小説について考えている。」

 

6月の新刊『バルザック』

2009年 6月 5日

bal東辰之介
『バルザック——「脳」と「知能」の小説家』
A5判上製307頁/定価=4000円+税
ISBN978-4-89176-733-4 C0098

脳で読む『人間喜劇』
≪近代リアリズム文学≫の怪物バルザックは、なぜ「脳」に執着し、
「脳」を描いたのか? 脳生理学から、バルザック秘術の人間学に肉薄する。
気鋭の研究者による、斬新なバルザック論の試み。

「バルザックは描写したのではない。ヒトを解剖したのだ」

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6月の新刊『歴史の可能性に向けて』

2009年 6月 3日

e6adb4e58fb2e382abe38390e383bce8a1a8efbc91高橋 薫
『歴史の可能性に向けて——フランス宗教戦争期における歴史記述の問題』
A5判上製600頁/定価=8,000円+税
ISBN 978-4-89176-730-3 C0022 6月10日頃発売!

フランス16世紀に魅せられて
ルネサンス/宗教改革から「考証の時代」へ——フランス16世紀の後期,
「歴史考証」の洗礼を受けた5人の歴史家の膨大な記述を仔細に読み解く。
動乱の時代に魅せられた著者による, 宗教戦争期フランス史研究の集大成。

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6月の新刊『サルコジとは誰か?』

2009年 6月 2日

sarkozyアラン・バディウ著/榊原達哉訳
『サルコジとは誰か?——移民国家フランスの臨界』
四六判上製224頁/定価=2200円+税 6月9日頃発売!
ISBN978-4-89176-703-7 C0030

サルコジという「事件」
パリ郊外の移民を「社会のクズ」と呼んだ男、ニコラ・サルコジ。
なぜ彼はフランス大統領に選ばれたのか?
現代フランスを代表する哲学者が、新自由主義と排外主義を標榜する現職大統領を徹底的に批判し、
新たなコミュニズムを提起する。本国でベストセラーとなった話題の書、ついに刊行!

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『彼我等位』書評

2009年 6月 1日

本年3月に刊行した大石雅彦著『彼我等位——ロシア・アヴァンギャルド/日本・モダニズム』の書評が、
『週刊読書人』(09年6月5日号)に掲載されました。評者は博覧強記で知られる海野弘氏です。
「〈彼我等位〉の方法は、読者に、ロシアと日本の同時代性の思いがけないヒントを与えてくれる。
さらに、等位とは、ロシアと日本の1920・30年代の結びつきだけでなく、モダニズムの時代を私たちの今との、
20世紀と21世紀との照応、そして引きつぎについての可能性を開いてくれる」




higatoi大石雅彦
『彼我等位——ロシア・アヴァンギャルド/日本・モダニズム』
四六判上製324頁/定価=3500円+税
ISBN978-4-89176-722-8 C0090

20世紀を切り裂いた精神の水脈
マレーヴィチ、ヴェルトフ、ソクーロフ、平戸廉吉、神原泰、
稲垣足穂、江戸川乱歩、牧野信一……。ジャンルやメディアを超えて
時代の先鋭なる領域を獲得した、20世紀の表現者たち。〈前衛〉を駆け抜けた彼らの
前史/後史を精緻に読み解き、日本—ロシアを往還する表象文化論集。

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