2月2016のアーカイヴ

2月新刊:近代日本とフランス象徴主義

2016年 2月 19日

ピクチャ 1近代日本とフランス象徴主義
坂巻康司(編)

執筆者=渋谷裕紀/堀まどか/大出敦/柏倉康夫/田口亜紀/西岡亜紀/岩津航/釣馨/野村喜和夫/森本淳生/立花史/寺本成彦

判型:A5判上製
頁数:408頁
定価:6500円+税
ISBN:978−4−8010−0151-0 C0021 好評発売中!

装幀者:西山孝司

 

内容紹介:

フランス象徴主義はなぜ、かくまで日本にとって重要だったのか?

上田敏が『海潮音』を発表してから100年経った今もなお、日本の文壇/論壇/詩壇に影響を与え続けているフランス象徴主義は、いかにして本邦に移入されてきたのか? 明治大正における初期の受容(蒲原有明/野口米次郎/P・クローデル)からマチネ・ポエティクの時代(中村真一郎/福永武彦/加藤周一)、そして近代日本文学における創造的な受容(萩原朔太郎/梶井基次郎/中原中也)から象徴主義の克服(小林秀雄/田辺元/寺山修司)を経て現代までを総覧し、その意義を究明する。

19世紀末に生じたフランス象徴主義という芸術思潮は、日本においてもけっして過去の遺物ではなく、むしろ現代に生き続けている大きな文学の潮流の一つであるという事がはっきりと見えてくる。今日、フランス象徴主義について考えることは、いま現在、生きている文化を考えることなのだ。現代に生きるフランス象徴主義、その意味を探るのがこの論集の眼目なのである。》(本文より)

 

目次:

第一部 明治大正期における受容

 

蒲原有明におけるフランス象徴詩の受容――『有明集』「豹の血」を視点として(渋谷裕紀 )

野口米次郎の象徴主義――日本文化に見いだされた象徴主義(堀まどか )

魂と形相――クローデルの日本体験(大出敦 )

堀口九萬一と大學のフランス詩訳(柏倉康夫 )

 

第二部 マチネ・ポエティクの時代

 

定型詩からフィクションへ――中村真一郎におけるネルヴァル(田口亜紀 )

福永武彦におけるボードレール――研究と創作のあいだ(西岡亜紀 )

加藤周一とヴァレリー――知性の仕事としての象徴主義(岩津航 )

 

第三部 創造的受容――ボードレールとランボーの場合

 

萩原朔太郎とボードレール――感覚と声の詩学(坂巻康司 )

梶井基次郎におけるボードレール(釣馨 )

ランボー受容史――中原中也から私の詩作まで(野村喜和夫 )

 

第四部 象徴主義の超克?

 

〈球体〉脱出のもうひとつの道――小林秀雄における象徴主義の超克(森本淳生 )

マラルメ研究史のなかの田辺元――『ヴァレリイの芸術哲学』から『マラルメ覚書』へ(立花史 )

寺山修司におけるロートレアモン――書物からスクリーンへ、スクリーンから街へ(寺本成彦)

 

  参考文献  

    【資料】フランス象徴主義移入の百年  

   編者あとがき

 

2月新刊:ニボアンヌ

2016年 2月 19日

ニボアンヌ
ニボアンヌ
上島周子(著)

判型:四六判上製
頁数:274頁
定価:2500円+税
ISBN:978−4−8010−0145−9 C0093 好評発売中!

内容紹介:冒険を愛する女子のための、南仏(プロバンス)生活のススメ

『ロシュフォールの恋人たち』『シェルブールの雨傘』『地下鉄のザジ』……
フランス映画に恋するあまり、映画美術界の第一人者ベルナール・エヴァンにファンレターを送ったアキコ。文通の末、いよいよ憧れの地プロバンスを訪れることに……。
フランス語レベル:1=ニボアンヌの主人公が繰り広げる、爆笑ユーモア日記小説!


著者について:
上島周子(うえしまちかこ)  蠍座。好きな作家はレーモン・クノー。好きな言葉は「冒険」で、最も好きな夢想は「魂の大冒険」である。『ニボアンヌ』が初の小説。

 

1月新刊:三十女≪バルザック 愛の葛藤・夢魔小説選集5≫

2016年 2月 19日

バルザック30女
三十女
オノレ・ド・バルザック(著)
芳川泰久+佐野栄一(訳)

判型:四六判上製
頁数:340頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0145−9 C0397 好評発売中!

内容紹介:恋に盲目になるあまり、懸念する父親を振り切って、無能で上辺だけのデグルモン大佐と結婚したうら若き娘ジュリー。次第に夫の本性に気づき、絶望しきっていた彼女だが、心の底では本当の愛を求めていた。二人の男と出会い、恋をするが、不幸な結末を迎える。さらには自らの過去の因果で、その愛娘に不幸がふりかかるのを防ごうとするが……。六部構成で、波乱万丈の女の人生が壮大に語られる表題作と「家庭の平和」の二篇。

訳者について:
芳川泰久(よしかわやすひさ)  1951年、埼玉県に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院後期博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『闘う小説家 バルザック』(せりか書房、1999)、『歓待』(水声社、2009)、『謎とき「失われた時を求めて」』(新潮社、2015)などがある。
佐野栄一(さのえいいち)  1951年、北海道に生まれる。青山学院大学卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。現在、流通経済大学教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『バルザック「人間喜劇」ハンドブック』(藤原書店、2000、共著)、『バルザックを読むⅡ 評論篇』(藤原書店、2002、共著)などがある。


関連書:
バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集1  偽りの愛人  私市保彦・加藤尚宏・澤田肇・博多かおる(訳) 3000円+税

 

2月の新刊:オーラルヒストリーとは何か

2016年 2月 2日

オーラル


アレッサンドロ・ポルテッリ/朴沙羅訳

判型:A5判上製
頁数:449頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4801001480 C0021 好評発売中!

装幀者:宗利淳一

 

内容紹介:

語られた記憶を、歴史として書く――。
第二次世界大戦後のイタリアと、戦間期のアメリカの知られざる一面を描きつつ、口述資料の考察に新たな視点と方法をもたらした、オーラルヒストリー研究の基本文献。

【目次】

日本語版への序文
はじめに

第1章 ルイージ・トラストゥッリの死

Ⅰ 方法論をめぐって

第2章 調査 対等な関係を求める実験として
第3章 オーラルヒストリーとは何か
第4章 「私の生きた時代」――オーラルヒストリーにおける時間の役割

Ⅱ 二つの産業文化

第1部 テルニ イタリア、ウンブリア州
第5章 世界の分割――文化が移り行くときの音と空間
第6章 ユークロニアの夢――労働者階級の記憶とありえたかもしれない世界
第7章 町いちばんのゴミ屋さん――労働者ヴァルテロ・ペポローニの人生とその時代
第8章 ある工業都市のスポーツ・労働・政治
第9章 民謡の類型学
第2部 ハーラン アメリカ、ケンタッキー州
第10章 模範的家父長制――企業城下町から組合事業所まで
第11章 中立なんてありえない――ハーラン郡炭鉱労働者のストライキにみる文化的階級闘争

Ⅲ 学際的方法

第12章 法が口述されるとき――「四月七日事件」
第13章 『アブサロム、アブサロム!』――オーラルヒストリーと文学

語り手
原註
訳註
初出一覧

ポルテッリの「オーラルヒストリー」研究と戦後イタリア(伊藤公雄)
訳者あとがき

【著者について】
アレッサンドロ・ポルテッリ(Alessandro Portelli)  一九四二年、ローマに生まれる。シエナ大学、ローマ大学ラ・サピエンツァ校で研究・教育活動に従事。専攻は、アメリカ文学。主な著書に、They Say in Harlan County (New York: Oxford University Press, 2010). The Order Has Been Carried Out (New York: Palgrave Macmillan, 2003). The Battle of Valle Giulia (Madison: University of Wisconsin Press, 1997). The Text and the Voice (New York: Columbia University Press, 1994). Biografia di una città (Torino: Edizioni Einaudi, 1985). Veleno di piombo sul muro (Bari: Edizioni Laterza, 1969)などがある。

【訳者について】
朴沙羅(ぱくさら)  一九八四年、京都府に生まれる。京都大学文学研究科博士後期課程単位取得認定退学。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員、京都大学人文科学研究所所属。専攻、社会学・移民研究。主な論文に、「「お前は誰だ!」――占領期における「不法入国」と「朝鮮人」の定義をめぐって」(『社会学評論』第六四巻二号、二〇一三年)などがある。