7月2014のアーカイヴ

6月の新刊:『チュチュ 世紀末風俗奇譚』

2014年 7月 30日

見本tutu題箋チュチュ 世紀末風俗奇譚

プランセス・サッフォー

野呂康+安井亜希子訳

 

四六判並製函入/288頁/定価=3500円+税

978-4-8010-0007-0 C0097 好評頃発売中!

装幀=齋藤久美子

 

知られざる19世紀最大の奇書

世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公モーリ・ド・ノワロフが繰り広げる、キッチュで奇矯な行動の数々。奇想天外にして荒唐無稽な想像世界が現出する。エログロ、近親相姦、フリークス、腐猫の宴、糞尿譚、罵詈雑言がいたるところ鏤められた露悪趣味の極北。知られざる傑作、珍書中の珍書を本邦初紹介。

【著者】
プランセス・サッフォー(Princesse Sapho) 著者名も偽名と思われ、さまざまな説が存在する。詳細は不明。

【訳者】
野呂康(のろやすし) 1970年、東京都に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科仏文専攻博士課程単位取得退学。文学博士。現在、岡山大学言語教育センター准教授。主な著書に、『古典資料センター所蔵「マザリナード」の現在』(一橋大学社会科学古典資料センター、2010年)、主な訳書に、ガブリエル・ヴィットコップ『ネクロフィリア』(共訳、国書刊行会、2009年)、クリスチアン・ジュオー『マザリナード 言葉のフロンド』(共訳、水声社、2012年)などがある。

安井亜希子(やすいあきこ) 1974年、新潟県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科仏文専攻修士課程修了。フランス語産業翻訳者。主な訳書に、ガブリエル・ヴィットコップ『ネクロフィリア』(共訳、国書刊行会、2009年)、フランソワ=ベルナール・ユイグ『DNAと犯罪捜査――各国の現状とデータベースの発展』(白水社、2011年)がある。

 

6月の新刊:『アナーキストの大泥棒』

2014年 7月 30日

大泥棒=カバー入稿アナーキストの大泥棒――アレクサンドル・ジャコブの生涯

アラン・セルジャン

髙橋治男訳

四六判上製/392頁/定価=3200円+税

978-4-8010-0045-2 C0023 好評発売中!

装幀=宗利淳一

 

すべてを生産している人々には何もなく、何も生産しない奴らがすべてを所有している!

稀代の大泥棒にしてフランス最後のアナーキストの初のモノグラフ

 

見習い水夫として遠洋航路の舟に乗り込んだ少年時代……アナーキストとして私有財産と闘う非合法主義運動に参加した16歳……警官殺害の裁判で才気煥発の答弁を警官殺害の裁判で行い新聞を賑わせた一味の首領時代……南米ギアナの流刑地で過ごした23年間と何度となく試みる脱走劇……

波瀾万丈の冒険と流刑地での地獄を潜り抜けた稀代のアナーキスト、アレクサンドル・ジャコブの唯一の評伝。

 

【目次】
第1章 人物紹介/第2章 海からの呼び声/第3章 黒旗/第4章 非合法主義の見習い期間/第5章 夜の仕事師たち/第6章 逮捕/第7章 驚天動地の被告/第8章 流刑地/第9章 サリュー諸島/第10章 墓場での四年間/第11章 最も危険な男/第12章 ある友情/第13章 デーモン最後のいたずら/訳者あとがき

【著者】
アラン・セルジャン(Alain Sergent) 本名はアンドレ・マエ。1908年、パリに生まれ、1982年にパリの精神病院で没する。小学校卒業後すぐに働き始め、人民戦線期に共産党に入党したが、やがてガストン・ベルジュリの《社会戦線》に参加。ドイツの占領開始とともにドリオのPPFに入党。さらにジョルジュ・スーレスの片腕となって極右の《社会革命行動党》の活動を支えた。解放後に投獄されたが、占領下でレジスタンス派を助けたこともあってか、半年で釈放され、セルジャンのペンネームで作家活動を開始し、自伝的小説二点、『パンと遊び』、『私はその不良青年のあとを追った』の他、『アナーキーの歴史』や『アナーキストたち』を書き、アナーキズム運動の歴史家として優れた業績を残している。

【訳者】
髙橋治男(たかはしはるお) 1936年、千葉県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。中央大学法学部教授を経て、現在は同名誉教授。専攻、フランス文学、思想。共著に『希望と幻滅の軌跡』(中央大学人文科学研究所、1987年)、主な訳書にT・B・ジェルーン『歓迎されない人々――フランスのアラブ人』(晶文社、1994年)、ミシェル・ラゴン『フランス・プロレタリア文学史――民衆表現の文学』(水声社、2011年)などがある。

 

6月の新刊:『レメディオス・バロ』

2014年 7月 30日

レメディオス・バロ
レメディオス・バロ――絵画のエクリチュール・フェミニン

カトリーヌ・ガルシア

湯原かの子訳

A5判上製/272頁/定価=4000円+税

978-4-8010-0044-5 C0070 好評発売中

装幀=宗利淳一


私たちが生命と呼ぶものは非現実であり、死と呼ぶものも非現実であり、ただ織布・画布(トワル)だけが現実なのだ。――オクタビオ・パス

人間として、芸術家として、女性であるということの根源的問いを発しつづけた画家レメディオス・バロ。シュルレアリスムの実験的手法、秘教思想に学びつつ、死と再生、人間と世界の宇宙的循環を、画布の上で自由に織りなす独創的な幻想世界を、女性性による創造の秘密から探究する。
「バロはいくつかの作品で、編物をする女性を入れ子構造にし、自分自身の創作行為を描いている。作品制作は、たえず織り直される織物に似て、進展、啓示、閃きがあるが、後戻り、反復、停滞もある。人間と世界のイマージュが決定的に定義されることはなく、つねに刷新されうるのである。」(本文より)

【目次】
第一章 レメディオス・バロとその研究方法
1 マージナルな絵画
2 伝記的要因――バロはシュルレアリストか?
  アカデミックな美術教育 一九〇八―一九二四
  シュルレアリスムへの傾倒 一九二四―一九三一
  前衛芸術家との接触――実験的初期作品 一九三一―一九四〇
  メキシコ亡命とその影響 一九四〇―一九四七
  円熟する創作活動――独創的な作品 一九四七―一九六三
3 ハイブリッドな絵画
4 人物、フォルム、女性の地位――自己探求か?
5 神話的人物像――新しい空間の探求か?

第二章 アポリア
1 抑圧的な運命、耐え忍ぶべき社会的役割 『予感』『塔の方へ』『ご婦人方の幸福』『オーロラ』
2 取るに足らない知識 『突然変異した地質学者の発見』『反抗的な植物』
3 他者の存在の脅威 『曲がりくねった道』『恋人たち』
4 自己観察の虚しさ 『出会い』『模倣』
5 アポリアの人物像

第三章 新たな地平へ
1 神話的時間と地理的空間の探検 『枯葉』『オリノコ河の水源の探検』『不毛の道』
2 キリスト教神話の探求 『邂逅』『奇術師または軽業師』
3 人間の運命の再検討 『天体の狩人』
4 女性の役割の探求 『地球のマントに刺繍しながら』『ミノタウロス』『笛を吹く人』『星光線による創造』『赤い編物をする女』
5 新たな地平を開く人物像

第四章 均衡
1 運命を支配する 『星粥』『宇宙の中心』
2 見いだされたアイデンティティ 『出逢い』『座った女』
3 糸を紡ぐ女のイマージュ 『ヴェロナの編物をする女』『織物をする女』
4 存在の充実、創造的次元 『鳥の創造』
5 均衡のとれた人物像

第五章 独創性
1 独自な空間の構築
1―1 空間の探求
    所与された空間
    選択された空間
    夢想された空間
1―2 独自な空間
    マチエールの効果
    パースペクティヴ
    変容した空間
2 構築、脱構築――地面
  滑らかな地面、固い地面
  変幻自在な地面
  変容した地面
3 光と影
  「なにも見ていない」
  光溢れる宇宙の夜
  影
4 女性人物の表象――身体の夢想
  特徴のない身体
  束縛された身体
  身体の夢想
  気化した身体――表現不可能か?
  他者を宿す身体
5 存在の生地――変容する衣服
  お仕着せの衣服
  衣服、批評の対象
  変容する衣服
  入れ子構造の衣服

結論 バロにおけるエクリチュール・フェミニン

図版一覧

レオメディオス・バロ略歴

参考文献

訳者解説


【著者】
カトリーヌ・ガルシア(Catherine Garcia) パリ第八大学でスペイン文学、スペイン絵画を学び、とくに女性表現者による創作について研究する。スペイン語・スペイン文学のアグレジェ(教授資格保有者)として、現在パリで教鞭をとる。本書は著者初の単著にして、フランス語によるバロに関する最初の本格的なモノグラフィである。
 
【訳者】
湯原かの子(ゆはらかのこ) 上智大学仏文科卒。九州大学大学院、上智大学大学院を経てパリ第四大学文学博士号取得。フランス文学・比較文学専攻。上智大学他非常勤講師。評伝作家。主な著書に、カミーユ・クローデル――極限の愛を生きて』(朝日新聞社、1988)、『ゴーギャン――芸術・楽園・イヴ』(講談社、1995)、『絵のなかの生』(ミネルヴァ書房、2003)、『藤田嗣治――パリからの恋文』(新潮社、2006)、主な訳書に、テレーズ・ムールヴァ『その女(ひと)の名はロジィ――ポール・クローデルの情熱と受苦』(原書房、二〇一一)、クレール・ド・デュラス夫人『ウーリカーーある黒人娘の恋』(水声社、二〇一三)などがある。
 
【関連書】
齊藤哲也『ヴォルフガング・パーレン 幻視する横断者』〈シュルレアリスムの25時〉 3500円+税
齊藤哲也『ヴィクトル・ブローネル 燦光するイメージ』〈シュルレアリスムの25時〉 3500円+税
谷口亜沙子『ジョゼフ・シマ 無音の光』〈シュルレアリスムの25時〉 3200円+税

【湯原かの子の本】
ウーリカ――ある黒人娘の恋 クレール・ド・デュラス夫人 1500円+税

 

6月の新刊:『ホロコーストを逃れて』

2014年 7月 30日

ホロジャケ入稿ホロコーストを逃れて――ウクライナのレジスタンス

ジェニー・ウィテリック

池田年穂訳

46判上製/224頁/定価2500円+税

978−4−8010−0043−8 C0022 6月25日頃発売予定

装幀=齋藤久美子

 

ウクライナのソルカには第二次大戦前、6000人のユダヤ人がいたが、生き延びたのはたった30人。ナチのポーランド侵攻、ユダヤ人迫害に抵抗しユダヤ人家族、脱走した若いドイツ兵をも匿った母と娘。ナチをあざむく母の知恵と武力に頼らぬ闘いの日常とそれぞれの家族の絆の物語。
【目次】
第1部 ヘレナ/第2部 ブロネック/第3部 ミコワイ/第4部 ヴィルハイム/第5部 再びヘレナ/エピローグ/訳者あとがき
【著者】
ジェニー・ウィテリック(Jenny Witterick) 1961年、台湾に生まれる。ウェスタン・オンタリオ大学卒業後、リチャード・アイヴィー・スクール・オブ・ビジネスを修了。本書がデビュー作にして各国語に翻訳されベストセラーとなっている。

【訳者】
池田年穂(いけだとしほ) 1950年、横浜市に生まれる。慶應義塾大学文学部史学科卒業、同大学院修士課程終了。現在、慶應義塾大学教授。専攻、移民論、アメリカ社会史。訳書に『ユダヤ人を救え』『日系人を救った政治家ラルフ・カー』などがあり、『生寡婦』の翻訳でカナダ首相出版賞受賞。

【池田年穂の本】
日系人を救った政治家ラルフ・カー ――信念のコロラド州知事 アダム・シュレイガー 4500円+税
ユダヤ人を救え!――デンマークからスウェーデンへ エミー・E・ワーナー 2800円+税
奴隷制を生きた男たち ジェームズ・ウォルヴィン 3500円+税
石が叫ぶだろう――アメリカに渡った日本人牧師の自伝 シゲオ・シマダ 3500円+税

 

5月の新刊:《水声文庫》『戦後文学の旗手 中村真一郎』

2014年 7月 30日

貞美書影
戦後文学の旗手 中村真一郎――『死の影の下に』五部作をめぐって

鈴木貞美

四六判上製/200頁/定価=2500円+税

ISBN978-4-8010-0040-7 C0095 好評発売中

装幀=宗利淳一

実験的構成の小説により戦後の日本文学を力強く領導した中村真一郎の作品群には戦前・戦中期の歴史が深く刻まれていた。
初期五部作(《死の影の下に》)のテクストと作家をめぐる文芸・文化の状況とを自在に往還しながら、中村真一郎文学の淵源に迫る。

【目次】
序 戦後文学の旗手、中村真一郎

『死の影の下に』

『シオンの娘等』

『愛神と死神と』

『魂の夜の中を』

『長い旅の終り』

注/登場人物一覧/年表/あとがき

【著者】
鈴木貞美(すずきさだみ) 1947年、山口県生まれ。東京大学卒業。博士(学術)。国際日本文化研究センター名誉教授(日本文芸・文化)。専攻、日本近現代における文芸・思想・文化。主な著書に、『日本の「文学」概念』(作品社、1998年)、『日本の文化ナショナリズム』(平凡社、2005年)、『わび・さび・幽玄』(共編著、水声社、2006年)、『生命観の探究』(作品社、2007年)、『「日本文学」の成立』(作品社、2009年)、『自由の壁』(集英社、2014年)などがある。

【鈴木貞美の本】
『わび・さび・幽玄』 鈴木貞美・岩井茂樹編 6000円+税

【中村真一郎の本】
小説構想への試み 2800円+税
続・小説構想への試み 4000円+税
中村真一郎 青春日記 池内輝雄・傳馬義澄編 5000円+税
城北綺譚 解説=菅野昭正 1800円+税
日本古典にみる性と愛 解説=沓掛良彦 2500円+税
全ての人は過ぎて行く 解説=飯島耕一 3000円+税

【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑨号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧のみ1500円+税)

 

5月の新刊 :《批評の小径》『マラルメ セイレーンの政治学』

2014年 7月 30日

セイレーン=カバー入稿マラルメ セイレーンの政治学

ジャック・ランシエール

坂巻康司/森本淳生訳

装幀=宗利淳一
四六判上製/232頁/定価=2500円+税

978-4-8010-002407 C0098 好評発売中

来るべきフィクションの祝祭

オリジナルが消滅した時代に模倣再現的な表象のコードとヒエラルキーを放棄し、イデーの純粋な描線=エクリチュールによる〈共同体〉を作り出すことを夢見たマラルメ。詩を未来の宗教に変え、出現と消滅とを分節化するフィクションの力とは何か。稀代の哲学者による透徹したマラルメ読解の白眉。

〈マラルメは、セイレーンを、詩それ自体の紋章へと変える。〔……〕セイレーンはもはや、人を欺くフィクション上の存在ではない。セイレーンはフィクションによる行為、フィクションによる宙づりそのものである。〔……〕セイレーンという隠喩が示すもの、詩篇が実現させているものとはまさに、いまだ受容の準備ができていない時代と「想像上の場」において熟慮された、詩の出来事と詩の危険なのである。〉(本書より)

【目次】
序言/詩句という泡/神秘の詩学/霊的心情の頌歌/書物の義務/訳者あとがき

【著者】
ジャック・ランシエール(Jacque Rancière) 1940年、アルジェ生まれ。哲学者。パリ第8大学名誉教授。アルチュセールに師事するもその後訣別。政治哲学、文学批評、美学など幅広い分野で活躍。主な著書に、『プロレタリアの夜』(1981年)、『文学の政治学』(2007年)、邦訳に『感性的なもののパルタージュ――美学と政治』(法政大学出版局、2009年)、『言葉の肉――エクリチュールの政治』(せりか書房、2013年)など多数ある。

【訳者】
坂巻康司(さかまきこうじ) 1967年、埼玉県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(パリ第8大学)。現在、東北大学大学院国際文化研究科准教授。専攻、フランス文学・比較文学。著書に、『フランス文学小事典』(共著、朝日出版社、2007年)、訳書に、C・ビエ/C・トリオー『演劇学の教科書』(共訳、国書刊行会、2009年)などがある。
森本淳生(もりもとあつお) 1970年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(ブレーズ・パスカル・クレルモン第2大学)。現在、一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専攻、フランス文学。著書に、『小林秀雄の論理――美と戦争』(人文書院、2002年)、Paul Valély. La genèse du sujet et l’imaginaire. De la psychologie à la poïétique(Lettre Modernes Minard, 2009)、訳書に『ヴァレリー集成III 詩学の探究』(共編訳、筑摩書房、2011年)などがある。

好評発売中! (価格税別)
【批評の小径】
ロラン・バルト 最後の風景 ジャン=ピエール・リシャール 2000円
フローベールにおけるフォルムの創造 ジャン=ピエール・リシャール 3000円
日本のうしろ姿 クリスチャン・ドゥメ 2000円

【マラルメ関連書】
マラルメの〈書物〉 清水徹 2000円
マラルメと音楽 黒木朋興 7000円
世紀末の白い爆弾 中畑寛之 8000円
〈彼女〉という場所 永倉千夏子 12000円

 

5月の新刊:『マチネ・ポエティク詩集』

2014年 7月 30日

配色見本マチネジャケマチネ・ポエティク詩集

福永武彦、加藤周一、原條あき子、中西哲吉、窪田啓作、白井健三郎、枝野和夫、中村真一郎

A5判上製/244頁/定価4000円+税

978−4−8010−0041−4 C0092

装幀=齋藤久美子

太平洋戦争のさなか、1942年に結成された〈マチネ・ポエティク〉グループの同人たちによってなされた日本語による定型押韻詩の試み。1948年に刊行された初版本を定本に、安藤元雄、大岡信による詳細な解説をも付して、日本語による〈詩の革命〉を再考する。
【目次】序 詩の革命/詩篇 福永武彦 加藤周一 原條あき子 中西哲吉 白井健三郎 枝野和夫 中村真一郎/『マチネ・ポエティク詩集』について 安藤元雄/押韻定型詩をめぐって 大岡信

【中村真一郎の本】
小説構想への試み 2800円+税
続・小説構想への試み 4000円+税
中村真一郎 青春日記 池内輝雄・傳馬義澄編 5000円+税
城北綺譚 解説=菅野昭正 1800円+税
日本古典にみる性と愛 解説=沓掛良彦 2500円+税
全ての人は過ぎて行く 解説=飯島耕一 3000円+税

【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑨号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧のみ1500円+税)

 

5月の新刊:『ジュール・ヴェルヌ伝』

2014年 7月 30日

ヴェルヌ伝ジュール・ヴェルヌ伝

フォルカー・デース

石橋正孝訳

 

A5判上製/702頁/定価=10000円+税

978-4-8010-0030-8 C0098 好評発売中

装幀=宗利淳一
 

ヴェルヌのすべてがわかる決定版評伝
 
19世紀のブルジョワとして、カトリック、王党派、保守主義の価値観を奉じる、穏当な、あまりに穏当な「市民ヴェルヌ」。自らを語らず、読書と個人の経験を織り交ぜながら、魅力溢れる文学の素材とする「作家ヴェルヌ」。一次資料、未刊行資料を博捜しながら〈驚異の旅〉の新しい読み直しを提唱するヴェルヌ研究の世界的権威による、本邦初のジュール・ヴェルヌ評伝。
「自他に対して苛烈なアイロニーを向けていたこの作家は、個性を主張することを嫌い、ほとんど自己否定の域に達している。それが作品に幸いしたのかどうかは議論の分かれるところであるにせよ、一種の真空のように周囲の介入を呼び寄せ続けていることこそ、ヴェルヌの作家としての個性に他ならない。」(訳者あとがきより)
 

【目次】

第一章 ナント(一八二八―一八三九)
第二章 未来の作家の学校時代(一八三四―一八四八)
第三章 あらゆるジャンルを股にかける情熱――初期作品
第四章 パリにおける法学部生(一八四八―一八五一)
第五章 リリック座の秘書(一八五二―一八五五)
第六章 現代の門口で―十九世紀のパリ
第七章 愛という名の陥穽(一八五五―一八五七)
第八章 金融取引所と美術(一八五七―一八六〇)
第九章 旅の流儀―デビュー前夜(一八五九―一八六二)
第十章 エッツェル、スタール……そしてヴェルヌ
第十一章 作家としての天命に目覚める(一八六三―一八六七)
第十二章 アメリカ合衆国、ル・クロトワ、プロイセン軍の侵攻(一八六七―一八七一)
第十三章 〈驚異の旅〉
第十四章 再始動(一八七一―一八七四)
第十五章 多事多難(一八七五―一八七八)
第十六章 ジュール・ヴェルヌと科学――魅惑と戦慄
第十七章 蒸気を全開にして(一八七八―一八八二)
第十八章 錨を下ろす(一八八二―一八八六)
第十九章 成功という荒波、栄光という迷宮
第二十章 「暗黒の期間」(一八八六―一八八七)
第二十一章 アミアン市議会にて(一八八八―一八九一)
第二十二章 ジュール・ヴェルヌ氏宅にて―その「文学的実験室」の概要
第二十三章 幻滅(一八九二―一八九五)
第二十四章 事件の渦に呑まれて(一八九六―一九〇〇)
第二十五章 長引くお別れ(一九〇〇―一九〇五)
第二十六章 死後の生―奇跡か、いかさまか  

付録一 ガストン・ヴェルヌ関連資料
付録二 ジュール・ヴェルヌの収入および遺書

図版出典一覧
出典と書誌
人名索引

訳者あとがき
 
【著者】
フォルカー・デース(Volker Dehs) 1964年、ブレーメン生まれ。ゲッティンゲン在住。ゲッティンゲン大学、ナント大学で文学・美術史・哲学を学ぶ。ジュール・ヴェルヌ協会会報編集長、ジュール・ヴェルヌ国際センター会員。著書に『ジュール・ヴェルヌ伝』、『ヴェルヌ研究書誌ガイド』ほか。編著に『ヴェルヌ・エッツェル往復書簡集』(全5巻)ほか。ヴェルヌの主要作品のドイツ語訳・解説を手がけるほか、絵本画家としても活躍している。
 
【訳者】
石橋正孝(いしばしまさたか) 1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程取得退学。パリ大8大学大学院博士課程終了。博士(文学)。現在、立教大学観光学部助教。日本ジュール・ヴェルヌ研究会会長、フランス・ジュール・ヴェルヌ協会会報編集委員。主な著書に、『大西巨人 闘争する秘密』(左右社、2010)、『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』(左右社、2013)、主な訳書に、ジャン=ポール・ドキスほか『ジュール・ヴェルヌの世紀』(東洋書林、2009、共訳)、アンヌ・ボケル、エティエンヌ・ケルン『罵倒文学史』(東洋書林、2011)、アニエス・アンベール『レジスタンス女性の手記』(東洋書林、2012)などがある。
 
【関連書】
水声通信27号《ジュール・ヴェルヌ》 2000円+税

 

4月の新刊:『言語と狂気』

2014年 7月 30日

言語と狂気言語と狂気――シュレーバーと世紀転換期ドイツ

熊谷哲哉

A5判上製/312頁/定価=4500円+税

装幀=齊藤久美子

978-4-8010-0037-7 C0010 好評発売中
 
精神の韻律を読むための
言語による抵抗

フロイト、ラカンの精神医学、キットラーのメディア論、心霊科学、進化思想など、多領域へと接続するシュレーバー『回想録』の「根源言語」の現代的意義を問う。自己/他者、意味/無意味、雑音/音楽を聴取する、シュレーバーによる神経言語の試みを解き明かす。

「シュレーバーにおける知覚ないし精神活動とは、とりもなおさず彼の世界にあふれる言葉である。見られ、聞き取られ、考えられたものごとは、すべて神経に書き込み可能な情報として言葉へと変換可能なものが、神経に感じ取られるのである。…ゆえに神経とは、『回想録』に遍在する言葉と、痛みや病気とともに、自分ひとりの感覚として腐敗や死を受け入れなければならない身体という成立した概念が交差し、せめぎあう場所なのである。この場所こそ、シュレーバーが死者の魂となることも、腐敗した死体となることもなく、時空を超えた現象を知覚し、生と死、この世とあの世の境目を生きる人間として見出した結び目だったのである。」(本文より)

【目次】
はじめに

序章 ダニエル・パウル・シュレーバーと『ある神経病者の回想録』
一、シュレーバーとその一族
二、『ある神経病者の回想録』という本について
三、シュレーバーの『回想録』はどのように読まれてきたか
四、本書の構成

第一章 言語をめぐるたたかい――録音再生装置と雑音の世界
一、雑音
二、抵抗
三、ピアノの破壊、あるいは雑音と音楽が交差するところ
四、音楽と雑音、そして言葉だらけの世界

第二章 光線としての言葉――世界の可視化への欲求
一、『回想録』の出版と「科学的」心霊主義の時代
二、光線とシュレーバーの知的背景
三、光線と図像化される世界
四、可視化される魂の活動
五、外部と内部、あるいは可視化された世界をつなぐ光
六、不可知の領域の発見

第三章 神経と宇宙――カール・デュ・プレルとシュレーバー
一、シュレーバーにおける神経
二、神経と宇宙
三、カール・デュ・プレルの宇宙論とシュレーバー
四、結び目としての神経

第四章 教育者と医者――「魂の殺害」と迫害体験
一、魂の殺害とは
二、迫害者とは父親か――モーリツ・シュレーバー批判と実像
三、もう一人の迫害者、フレックシヒ
四、『回想録』におけるフレックシヒと魂の殺害

第五章 「脱男性化」とは何か
一、「脱男性化」するシュレーバー
二、脱男性化はどう考えられてきたか
三、人体計測者たちの不安と性の動揺
四、生殖と脱男性化
五、腐敗としての脱男性化

第六章 「神経言語」と言語危機の時代
一、言語としての「神経言語」
二、「神経芸術」と言語の危機
三、フロイトにおける空想の問題
四、シュレーバーにおける「書くこと」

第七章 目的・進化・自由意志――神と自然をどう捉えるか
一、シュレーバーにおける宗教的な問題
二、シュレーバーと進化論的世界認識
三、自然発生と自由意志
四、自己意識と隙間に現れる神

終章 シュレーバーと神、そして新たな人類
一、各章のまとめ
二、神とシュレーバーの関係はどう変化したか
三、世界の収束と新たな人類
四、言語と狂気――シュレーバーの言語をめぐる思考と世紀転換期ドイツ



参考文献

索引

あとがき


【著者】
熊谷哲哉(くまがいてつや) 1976年、栃木県生まれ。明治大学文学部文学科卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。専攻、近現代ドイツ文学、ドイツ文化論。現在、京都大学、近畿大学等非常勤講師。著書に『携帯&スマホでドイツ語』(共著、郁文堂、2014年)、『芸術教養シリーズ14 西洋の芸術史 文学上演篇Ⅱ ロマン主義の胎動から世紀末まで』(共著、幻冬舎、2014年)などがある。

 

4月の新刊:『山高帽と黒いオーバーの背』

2014年 7月 30日

山高帽と黒いオーバーの背

山高帽カバー
近藤耕人

四六判上製/232頁/定価=2500円+税

ISBN978-4-8010-0025-4 C0093 好評発売中

装幀=伊勢功治
 
モンマルトルのユトリロ、セーヌ河岸の意識の流れ、ペール・ラシェーズのバルザック、モンジュの『裸の島』、パレ・ロワイヤルのマグリット、地下鉄の女。
みずからのことを決して語ろうとはしない〈わたし〉が、パリをさまよう中で見た光景、出会った人、通り過ぎていった空間と時間……。
現実とフィクションのはざまを往還する珠玉の短編小説集。

【目次】
ダブリンの黒い水溜り
骸骨寺の墓石
山高帽と黒いオーバーの背
世界で会った人びと
あとがき

【著者】
近藤耕人(こんどうこうじん) 1933年、東京に生まれる。東京大学英文科卒。戯曲に『風』(1962年、第一回文芸賞戯曲部門佳作入選)、主な著書に、『映像と言語』(紀伊國屋書店、1965年)、『見ることと語ること』(青土社、1988年)、『アイルランド幻想紀行』(彩流社、1999年)、『ドン・キホーテの写真』(未来社、2002年)、『石の中から聞こえる声』(水声社、2007年)、『ミメーシスを越えて』(水声社、2008年)、『目の人』(彩流社、2012年)、主な訳書に、スーザン・ソンタグ『写真論』(晶文社、1979年)、ジェイムズ・ジョイス『さまよえる人たち』(彩流社、1991年)などがある。

【近藤耕人の本】[価格税別]
石の中から聞こえる声 2500円
ミメーシスを越えて――ヨーロッパ文学における身体と言語 4000円

 

4月の新刊:中村真一郎手帖⑨

2014年 7月 30日

中村手帖9書影中村真一郎手帖⑨

中村真一郎の会 編

A5判並製/120頁/定価=1000円+税

ISBN978-4-8010-0039-1 C0091

装幀=齋藤久美子

〈中村真一郎の会〉機関誌の第9号。
池澤夏樹「『夏』を読む」の他、翻訳論、作品論、エッセイなどを多数収録する、中村真一郎研究の最前線。

【目次】
中村真一郎さんの思い出 加賀乙彦
『夏』を読む 池澤夏樹
昭和37年の全体小説論 井上隆史
翻訳家・中村真一郎 三枝大修
中村真一郎と電パチ 貴船哲治
中村真一郎と信仰 Sr. ムジカ 中村香織
中村真一郎と村次郎と芥川比呂志 深澤茂樹
中村真一郎とジャン・ジロドゥ
真一郎の綴り方と図画 松本茂

連載
中村真一郎に甦るネルヴァル――女優の問題(3) 小林宣之
豪徳寺二丁目猫屋敷(8) 木島佐一

短信/趣意書/会則

【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑨号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧のみ1500円+税)

【中村真一郎の本】
小説構想への試み 2800円+税
続・小説構想への試み 4000円+税
中村真一郎 青春日記 池内輝雄・傳馬義澄編 5000円+税
城北綺譚 解説=菅野昭正 1800円+税
日本古典にみる性と愛 解説=沓掛良彦 2500円+税
全ての人は過ぎて行く 解説=飯島耕一 3000円+税

 

4月の新刊:『諷刺画家グランヴィル』

2014年 7月 30日

諷刺画家グランヴィル諷刺画家グランヴィル――テクストとイメージの19世紀

野村正人
A5判上製/424頁/定価=6000円+税
装幀=宗利淳一
978-4-8010-0029-2 C0098 好評発売中

 

挿絵画家として戦うこと

19世紀の視覚文化を体現した諷刺画家グランヴィル。観相学、骨相学の影響下、獣頭人間を使った政治や社会風俗を諷刺する肖像画や風俗画から、ロマン主義的挿絵本、『寓話』『ガリヴァー旅行記』等の挿絵の制作にいたるまで、徹底して挿絵画家で有り続けたのはなぜなのか? グランヴィルの作品世界を読み解き、出版・文化史的観点から考察する。

「グランヴィルが文章と挿絵を同時につくる企画に関心を持っていたのは[……]文章にたいする挿絵の従属性を乗り越えようとする信念を持っていたからである。挿絵は文章の添え物にとどまったり、先行する文章の意味を説明する役割に甘んじたりするのではなく、ひとつの独立した創作物であるべきであり、また、ともすれば軽視されがちな挿絵画家は芸術家として評価されなくてはいけない、と考えたのである。」(本文より)

【目次】
序章 グランヴィルの生涯

第一章 フランスの出版文化とその背景
1 二つの出版革命
   グーテンベルクの革命
   十九世紀の出版革命 
2 出版文化と技術革新
   紙と印刷機
   版画の技術革新
   テクストとイメージの共存
   交通と通信の発展
   腕木通信と電信
3 出版文化と社会
  フランス大革命と印刷物
  出版業界の世代交代
  出版革命の停滞
  出版界の飛躍的発展
  読者層の変化
  教育の普及
4 出版界の変化
  書物の価格と読書室
  新聞小説の誕生
  書籍の値下げ
  新聞と書籍の競合
  編集・出版者の使命
  ロマン主義挿絵本

第二章 顔――内面を映す鏡
1 グランヴィル『今日の変身物語』
2 観相学と骨相学
  古代・中世の観相学
  デッラ・ポルタの観相学
  ル・ブランの観相学
  ラファターの観相学
  骨相学の流行
3 顔と諷刺
  顔と表情への関心
  肖像画と風俗画
  ボワイイの「表情さまざま」
  グランヴィルの「表情さまざま」
  観相学の流行
  観相学の応用
  顔の単純化
  顔と狂気
  狂気と諷刺
  ドーミエと狂気
  グランヴィルと狂気
4 観相学と生態研究
  観相学の拡張
  バルザックと生態研究
  「外見から判断される内面」
  「歩き方の理論」
  『群衆の人』
  グランヴィルと生態研究
  モードの諷刺
5  人間と動物のアナロジー
  動物の寓意
  人間の頭と動物の身体
  「博物学の陳列室」
  動物の頭と人間の身体―光学と観相学
  幻灯
  変身の中間状態
  動物類似の試み
  グランヴィルとラファター
  形態類似の想像力

第三章 政治諷刺の経験
1 判じ絵としての諷刺画
  七月王政期の諷刺新聞
  「検閲の復活」
  「ガルガンチュア」
  詩と絵画
  判じ絵としての図像
  政治諷刺画の変化
  挿絵の難解さ
2 『カリカチュール』の連作
  グランヴィルの連作
  「自由の女神征伐のための大十字軍」
  言葉とイメージ
  肖像画の問題―グランヴィルとドーミエ

第四章 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵
  グランヴィルとラ・フォンテーヌ
1 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵本
  十七世紀のラ・フォンテーヌ『寓話』
  十八世紀のラ・フォンテーヌ『寓話』
  十九世紀のラ・フォンテーヌ『寓話』
2 グランヴィルによる『寓話』の挿絵
  グランヴィルの挿絵の特徴
  寓話詩の挿絵と動物
  博物学と動物園
  図像としての動物
3  動物の世界と人間の世界
  獣頭人間と寓話
  グランヴィルの試行錯誤
  テクストに忠実な挿絵
  動物と小道具
4 挿絵が示すもの
  場面か解釈か
  動物と人間の並行関係
5 『寓話』と同時代の諷刺
  挿絵の時代設定
  『寓話』と政治諷刺
  『寓話』と社会諷刺
6  グランヴィルその後
  ギュスターヴ・ドレの挿絵

第五章 グランヴィルと『動物たちの私的公的生活情景』
1 『動物たちの私的公的生活情景』の企画
  『動物たちの私的公的生活情景』の概要
  『動物たちの私的公的生活情景』の趣意書
2 『動物たちの私的公的生活情景』の制作過程
  エッツェルの仕事
  エッツェルと作家たち
  エッツェルにおける理想の本
  編集・出版者の力と限界
3 『動物たちの私的公的生活情景』におけるテクストとイメージ
  作品の扉絵とエピローグ
  獣頭人間による諷刺
  『アフリカライオン、パリへの旅』の物語
  『アフリカライオン、パリへの旅』の挿絵
  パリのカフェ 
  動物たちのカーニヴァル
  『白ツグミ物語』の挿絵

第六章 『もうひとつの世界』の挿絵
  『もうひとつの世界』という作品
1 文学と挿絵の確執
  挿絵画家の独立宣言
  事件の経緯
  文筆家と挿絵画家の確執
2 テクストとイメージの共存
  出版文化と芸術家の協調
3 文学から見た挿絵
  バルザックと挿絵
  挿絵にたいする反感――ラジュヌヴェ
  挿絵への不信――フローベール
4 イギリスとフランスの挿絵
  イギリスの事情
  ディケンズと挿絵
  イギリスとフランスの違い
5 リアリズム以降の挿絵
  挿絵本の転機
  「画家の本」
  挿絵画家から芸術家へ
6 空想旅行記としての『もうひとつの世界』
  空想旅行の系譜
  ユートピア文学の構成要素――(1)旅の目的
  ユートピア文学の構成要素――(2)ユートピアの場所
  『もうひとつの世界』の諸国遍歴
  巨人と矮人
  ユートピア文学の構成要素――(3)旅の手段
  『もうひとつの世界』の旅行術
7 異種混合のヴァリエーション
  博物学的な変身――「植物園の午後」
  カーニヴァル的変身
  動物間の異種混合
  さかさまの世界
  「四月の魚」
  「変身もの」の拡張――「貯金箱の行進」
  諷刺とペシミズム
8 形態の連続的変化
  ジョフロワ・サン=ティレールの自然観
  形態の絶えざる変容
  夢のイメージ
9 グランヴィルの宇宙論
  宇宙論とブルジョワの神話
  宇宙のアレゴリー
  ものの悪意
  十九世紀的なアレゴリー
  観念と表現の齟齬
  「モザイク」的な出版文化
  テクストとイメージの戦い 

終章 最後のグランヴィル

補遺 蟬はどこに消えたのか――ラ・フォンテーヌの「蟬と蟻」
  「蟬と蟻」
  蟬と歌
  十八世紀までの蟬の形象化
  人間の顔をした蟬
  諷刺としての寓話
  芸人の神話的イメージ
  二本足で立つ蟬
  蟬とキリギリスの混同
  グランヴィルの「蟬と蟻」
  日本の蟬のゆくえ

 図版一覧



文献一覧

人名索引

あとがき


【著者】
野村正人(のむらまさと) 1952年、愛知県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(仏文学)満期退学。ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』についての研究でパリ第4大学博士号取得。東京農工大学工学部教授(同大学名誉教授)を経て、2005年より、学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授。主な著訳書に、アラン・コルバン『時間・欲望・恐怖――歴史学と感覚の人類学』(共訳、藤原書店、1993)、『言葉と〈言葉にならぬもの〉との間に』(共著、行路社、1995)、パトリック・バルビエ『カストラートの歴史』(筑摩書房、1995)、ベルナール・コマン『パノラマの世紀』(筑摩書房、1996)、エミール・ゾラ『金』(藤原書店、2003)、『ロラン・バルト著作集6 テクスト理論の愉しみ』(みすず書房、2006)などがある。

 

4月の新刊:『哲学とナショナリズム』

2014年 7月 30日

哲学ナショ書影
哲学とナショナリズム――ハイデガー結審

 

中田光雄

A5判上製/298頁/定価=4000円+税

ISBN978-4-8010-0011-7 C0010 好評発売中

 

ハイデガーにとってナショナリズムとは、ナチズムとは何だったのか? そして彼の哲学は《現実》といかに切り結んだのか?

ナショナリズムの理念と存在概念の再検討を通して、いまなお議論を誘発しつづける〈ハイデガーとナチズム〉の問題設定を刷新する。

 

【目次】
要旨

まえがき
〈ハイデガーとナチズム〉論争史の現状
〈ハイデガーとナチズム〉批判と審判のルール
〈ハイデガーとナチズム〉成立の場と止揚の場

序 未公刊講義ゼミの新公刊――E・ファユによる告発とS・ジジェクの再審
1 国家と総統国家
2 民族と人種
3 〈人間とは何か〉〈われわれとは誰か〉〈われわれは真に存在しているか〉
4 ハイデガー、もうひとつの「未完のプロジェクト」

Ⅰ 「存在」……とは? 端的に言って……
1 〈〜である〉(Was-sein)と〈〜がある〉(Daß-sein)――極限概念としての「存在」
2 脱−形而上学的な、動き(Bewegung)、運動(Bewegung)、道の生起(Be-weg-ung)としての「存在」

Ⅱ 「われわれ」の時間性と動態性(Bewegtheit)
1 我、実存・現存在、現−存在、世界−内−存在
2 民族、国家、国民
3 歴史

Ⅲ ハイデガー、ドイツ・ナショナリズム、ドイツ哲学
1 ナショナリズムとドイツ・ナショナリズム
2 ドイツ哲学と政治――西欧・英米の観点から

Ⅳ ハイデガーとナチズム
1 ハイデガーにとってナチズムは「運動」(Bewegung)である
2 ハイデガーにとっての「ナチズム運動」(Be-weg-ung)

結 ナチズム運動からヨーロッパ運動へ
1 〈Bewegung〉概念――圧縮と開展
2 〈Be-weg-ung〉事態――現在と未来

注/参考文献/あとがき
【著者】
中田光雄(なかたみつお) 1939年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。同大学院人文科学研究科博士課程中退。パリ大学大学院哲学科博士課程修了。仏国文学博士(Doc. es Lettres)。筑波大学名誉教授。仏国学術勲章。主な著書に、『ベルクソン哲学』(東京大学出版会、1977年)、『抗争と遊戯』(勁草書房、1987年)、『文化・文明』(創文社、1990年)、『政治と哲学』(上下、岩波書店、2002年)、『ベルクソン読本』(共著、法政大学出版局、2005年)、『正義・法−権利・脱−構築』(創文社、2008年)、『現代を哲学する』(理想社、2008年)などがある。

【中田光雄の本】
現代思想と〈幾何学の起源〉――超越論的主観から超越論的客観へ 4000円+税
差異と協成――B・スティグレールと新ヨーロッパ構想 5000円+税

 

4月の新刊:『現代思想と〈幾何学の起源〉』

2014年 7月 30日

現代思想と〈幾何学の起源〉――超越論的主観から超越論的客観へ

現代思想書影
中田光雄

A5判上製/272頁/定価=4000円+税

ISBN978-4-8010-0012-4 C0010 好評発売中

 

数多の哲学者たちが魅了された人類の思考の初源=《幾何学の起源》という問題を、フッサール、メルロ=ポンティ、デリダ、ミシェル・セールらの思考をたどることにより再検証し、今日の、そして今後の「知」と「学」の営為を問う。

 
【目次】
まえがき

序 なぜ、〈幾何学の起源〉を問うのか?
1 なぜ、「幾何学」なのか?
2 なぜ、「起源」なのか?

第Ⅰ章 〈起源〉のイデアロジー(理—開−性)――E・フッサール
1 起源と起−源=開−源
2 〈理念的なもの〉の歴史性? 歴史性と歴—開−性
3 かくて、幾何学は起−源する――開−起と開基
4 〈理念化〉作業の意味と基準――生活世界の再−活性化

第Ⅱ章 〈起源〉のエルデオロジー(地−開−性)――M・メルロ=ポンティ
1 現象学の〈極限〉? 「深い生」のなかに「透かし見える」……
2 幾何(形象)学の極限? 開−起・開−展のメタフォロジー
3 〈理念性〉と時間性――〈原−理念的なもの〉からの開−成としての
4 原−言語――無底と間−成
5 〈戦う真理〉――開−起の絶えざる新−開基としての
6 大地と方舟――〈開〉のメタ存在論
追補 「線という構成的空虚が物の実在性を支える」……

第Ⅲ章 〈起源〉のゲシヒテオロジー(歴−開−性)――J・デリダ
1 パロールの思想家・原デリダ?
2 『危機』と『起源』
3 起源への応答と責任
4 歴史と歴−開−性――可能性の条件と潜勢態
5 原−幾何学者としての哲学者――超越論的・歴開的−協働主観による、〈起源〉の〈テロス(目的)〉への変換
6 理念と理念化、能作性と非−恣意性――超越論的地平の開闢
7 思惟の系譜――〈理念〉から〈差延〉へ

第Ⅳ章 〈起源〉のコスモロジー(天−開−性)――M・セール
1 現代哲学とセール思想
2 〈origine〉と〈foundation〉――なぜ、起源を問うのか?
3 幾何学の本質
4 起源――〈第三項排除の原則〉
5 起源――〈第三項包摂の原則〉
6 歴史的起源――エジプト、バビロン、タレス、フッサール
7 神話的起源――メティスとアテナ
8 「世界に帰る、宇宙の使徒として」――宇宙論的意味づけ

第Ⅴ章 超越論的地平、理象性の範域、現象圏
1 そのメタ存在論
2 その本質機能論
3 その実践論

結 幾何学、起源論、現代科学
1 『五輪の書』と「四開の書」?
2 〈iPS〉(人工多能性幹細胞)問題と起源論
3 〈カラビ=ヤウ−六次元幾何〉と起源論



 
【著者】
中田光雄(なかたみつお) 1939年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。同大学院人文科学研究科博士課程中退。パリ大学大学院哲学科博士課程修了。仏国文学博士(Doc. es Lettres)。筑波大学名誉教授。仏国学術勲章。主な著書に、『ベルクソン哲学』(東京大学出版会、1977年)、『抗争と遊戯』(勁草書房、1987年)、『文化・文明』(創文社、1990年)、『政治と哲学』(上下、岩波書店、2002年)、『ベルクソン読本』(共著、法政大学出版局、2005年)、『正義・法−権利・脱−構築』(創文社、2008年)、『現代を哲学する』(理想社、2008年)などがある。

【中田光雄の本】
哲学とナショナリズム――ハイデガー結審 4000円+税
差異と協成――B・スティグレールと新ヨーロッパ構想 5000円+税

 

4月の新刊:『差異と協成』

2014年 7月 30日

差異書影

差異と協成――B・スティグレールと新ヨーロッパ構想 

中田光雄

A5判上製/368頁/定価=5000円+税

ISBN978-4-8010-0013-1 C0010 好評発売中

 

現代のデジタル情報文明を、哲学はいかに受け止め、人心や社会の向上をどのように導くのか。

ベルナール・スティグレールの説く「ハイパー産業社会」の概念をもとに、ヨーロッパ共同体の運命を探る。

 
【目次】
要旨

まえがき

序 現代世界――批判から再建へ

Ⅰ テクノ−プラクシオロジーとしての生成−存在論
序 確認と展望
1 「存在」の三つの相――成存態について
2 「実存」、欲望、「企存」、プロ−グラマー

Ⅱ 知と精神のテクノロジー
3 情報の脱−エントロピー的−「道」具化
4 ハイポムネマータ――その構造と展開と開発

Ⅲ 近代哲学から現代・科学−技術へ
5 カント批判哲学 vs 「新−批判」の企て
6 ハイデガー存在概念と現代・科学−技術

Ⅳ 個と社会のテクノロジー
7 社会情操、その個別化と独異化と
8 政治――ファルマコロジー、二重の二重化作働
9 象徴実践――成存態と社会情操をつなぐもの
10 経済――社会的〈交わり〉とその派生形態

結 象徴実践としてのテクノ−プラクシオロジー



【著者】
中田光雄(なかたみつお) 1939年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。同大学院人文科学研究科博士課程中退。パリ大学大学院哲学科博士課程修了。仏国文学博士(Doc. es Lettres)。筑波大学名誉教授。仏国学術勲章。主な著書に、『ベルクソン哲学』(東京大学出版会、1977年)、『抗争と遊戯』(勁草書房、1987年)、『文化・文明』(創文社、1990年)、『政治と哲学』(上下、岩波書店、2002年)、『ベルクソン読本』(共著、法政大学出版局、2005年)、『正義・法−権利・脱−構築』(創文社、2008年)、『現代を哲学する』(理想社、2008年)などがある。

【中田光雄の本】
哲学とナショナリズム――ハイデガー結審 4000円+税
現代思想と〈幾何学の起源〉――超越論的主観から超越論的客観へ 4000円+税

 

4月の新刊:『シャルル・クロ』

2014年 7月 30日

シャルルクロ書影シャルル・クロ 詩人にして科学者――詩・蓄音機・色彩写真

福田裕大

A5判上製/328頁+別丁8頁/定価=4500円+税
ISBN978-4-8010-0034-6 C0098 好評発売中

装幀=齋藤久美子

19世紀後半のフランスで活躍したユーモア詩人として知られ、またトーマス・エジソンに先立って蓄音機を考案したとされるシャルル・クロは、色彩写真と呼ばれる技術開発のパイオニアでもあった。
詩、蓄音機、色彩写真……これらの領域でクロが繰り広げた探究を仔細に追い、先行研究に散見される誤謬を打破しながら、彼のうちがわで詩と科学が交叉する地点を描き出す。
現代のメディア環境の源に埋もれた知られざる想像力へと迫る、渾身の作家論。

【目次】
序章 シャルル・クロ「詩人にして科学者」
一 シャルル・クロとは誰か
二 忘却の理由
三 本書の目的
四 シャルル・クロ小伝

第一章 色彩写真
一 俗な写真/高尚な写真
二 色彩写真とはなにか
三 色彩写真論の実態
四 色彩写真の理念

第二章 蓄音機
一 ひとつの「物語」
二 蓄音機の発明に至るまで
三 1877年の蓄音機論
四 1878年の蓄音機論

第三章 詩
一 詩人クロへと向かうために
二 詩人としてのシャルル・クロ
三 クロの詩の一般的特徴
四 『白檀の小箱』の企図について

最終章 科学と文学の交わるところ
一 クロの知覚論構想
二 知覚論構想の位置づけ
三 内的世界への照準
四 ゲシュタルト概念との近接性
五 現象主義的性格
六 結語

注/参考文献/図版一覧/あとがき

【著者】
福田裕大(ふくだゆうだい) 1979年、大阪府に生まれる。京都大学大学院博士後期課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。現在、近畿大学講師。専攻、フランス近代文学、メディア史。著書に、『知のリテラシー 文化』(共著、ナカニシヤ出版、2007年)、『メディア・コミュニケーション論』(共著、ナカニシヤ出版、2010年)、訳書に、レーモン・クノー『文体練習』(共訳、水声社、2012年)などがある。

【福田裕大の本】
文体練習 レーモン・クノー 福田裕大他訳 2200円+税

 

4月の新刊:『「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず』

2014年 7月 30日


コンスタンティヌス_cover「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず


ロレンツォ・ヴァッラ

高橋薫訳

A5判上製/200頁/定価3000円+税

978−4−8010−0008−7 C0098 好評発売中

 

「中世最大の偽書」と評される「コンスタンティヌスの寄進状」。

イタリア・ルネサンス期の思想家が、かつてローマ皇帝コンスタンティヌスが教皇シルウェステルに教皇領を寄進した証拠とされた文書を、徹底的な〈文献学的考証〉、〈歴史的考証〉(両者に帝国を譲渡する権利もされる権利もないこと、コンスタンティヌスに洗礼を施したのはシルウェステルより以前の教皇であること、当時のラテン語の用法との相違等)により駁論し、その真正性を否定した論争の書。

【目次】
訳者まえがき/間違って帰せられ、偽ものである「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず/コンスタンティヌスの寄進状/十四世紀後半からのいくつかの出来事/訳註/訳者あとがき

【著者】
ロレンツォ・ヴァッラ(Lorenzo Valla) 1407年、ローマにうまれ、1457年ローマに没する。15世紀イタリアを代表する人文学者。パヴィア大学で修辞学の教鞭をとった。『ラテン語の優美について』はルネサンスを代表する文献学的な論考と評価されている。『弁証学的論議』『自由意志についての対話』『修道士の信仰告白』等を著し、宗教・聖職者の問題にも鋭い論陣をはった。

【訳者】
高橋薫(たかはしかおる) 1950年、東京に生まれる。筑波大学大学院文芸・言語研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学教授。専攻、フランス十六世紀研究。主な著書に『言葉の現場へ――フランス十六世紀における知の中層』(中央大学出版部、2007年)、『歴史の可能性に向けて――フランス宗教戦争期のおける歴史記述の問題』(2009年)、『フランスの誕生――十六世紀における心性のあり方』(ともに水声社、2010年)等がある。

【高橋薫の本】
フランスの誕生――十六世紀における心性のあり方 8000円+税
歴史の可能性に向けて――フランス宗教戦争期における歴史記述の問題 8000円+税

 

4月の新刊 :《フィクションの楽しみ》『連邦区マドリード』

2014年 7月 30日

連邦区マドリード=カバー連邦区マドリード

著者=J・J・アルマス・マルセロ

訳者=大西亮

四六判上製/344頁/定価=3500円+税

978-4-8010-0038-4 C0097 好評発売中

装幀=宗利淳一

現実か? 妄想か?

2つの旅……スティーブ・マックイーンを探しにティフアナへ、ポール・ボウルズに会いにタンジールへ。2つの未解決事件……エバ・ヒロンとハビエル・ウンブロサの死。2人の女……エバ・ヒロンとトゥリア・サントメ。2つの偽装……ポロックを模倣する画家と同時に小説の語り手。都市はただ1つ……マドリード。

妄想と現実が混ざりあった都市〈マドリード〉を背景に、嫉妬/偽装/計略/簒奪が織りなされる美しくも謎めいた物語。
 
【著者】
J・J・アルマス・マルセロ(J. J. Armas Marcelo) 1946年、カナリア諸島ラス・パルマス生まれ。作家、批評家。マドリードのコンプルテンセ大学で文献学、古典文学を専攻。1974年、『絨毯の上のカメレオン』でガルドス賞受賞。『昏睡状態』(1976年)、『神々自身』(1989年、プラサ&ハネス賞受賞)、『ほとんどすべての女性』(2004年)といった小説作品を刊行する一方、ラテンアメリカ文学に精通する批評家としても著名で、『バルガス・リョサ――〝書く〟という病』(2002年)は特に評価が高い。現在も『ABC』紙のコラムを担当しているほか、RTVEを中心にテレビやラジオの文芸番組に出演するなど、精力的な活動を続けている。

【訳者】
大西亮(おおにしまこと) 1969年、神奈川県生まれ。神戸市外国語大学大学院博士課程修了(文学博士)。現在、法政大学国際文化学部准教授。専攻、ラテンアメリカ文学。主な訳書に、アドルフォ・ビオイ=カサーレス『メモリアス――ある幻想小説家の、リアルな肖像』(2010年)、アナ・マリア・マトゥテ『北西の祭典』(2012年、以上現代企画室)などがある。

 

3月の新刊:『白川昌生ダダ、ダダ、ダ』

2014年 7月 30日

白川ダダ書影白川昌生 ダダ、ダダ、ダ

アーツ前橋編

A4判並製/200頁/定価2500円+税

978−4−8010−0035−3 C0070 好評発売中

表紙デザイン 佐藤正幸/ページデザイン 宗利淳一

 

前橋で活動する白川昌生の初期作品から最新作までを網羅するアーツ前橋での大回顧展を機に編まれた充実した図録。1970年代の滞欧中の「コンセプト・ノート」「基準―日本」「円環―彫刻」をはじめ、群馬に根ざした「サチ子の夢」「フィールド・キャラバン計画」から、最新作「駅家の木馬」「プラットフォーム計画」「Tomoko」までをカラー図版と解説、そして4人の気鋭の研究者による論考によって徹底的に読み解く。若き批評家の誕生を告げる幻の処女作「日本現代美術序説――その端緒的覚え書」(1979年)を併録。

【目次】
赤城山のふもとに生きる 白川昌生/作品図版/作品解説/地域に生きる想像の力 住友文彦/マイナー芸術のために 毛利嘉孝/マース券と握手する手 森野栄一/幻想――アジアを離れヨーロッパへ アストリッド・ハンダ=ガニャール/白川昌生を語る 富井大裕+藤井光+中崎透/日本現代美術序説――その端緒的覚書 白川芳夫/年譜/著作解題

【白川昌生(しらかわよしお)について】
1948年、北九州市戸畑にうまれる。国立デュッセルドルフ美術大学卒業(マイスター)。美術作家。群馬県立女子大学、前橋工科大学等講師。主な著書には『日本のダダ1920-1970』『美術、市場、地域通貨をめぐって』『美術館・動物園・精神科施設』『西洋美術史を解体する』などがある。

【テクスト執筆者】
住友文彦(アーツ前橋館長)、毛利嘉孝(東京芸術大学准教授)、森野榮一(経済評論家)、Astrid Handa-Gagnard(FRANCブルゴーニュ・ディレクター)

【白川昌生の本】
西洋美術史を解体する 1800円+税
美術館・動物園・精神科施設 2800円+税
美術・記憶・生 2500円+税
美術、市場、地域通貨をめぐって 2800円+税
贈与としての美術  2500円+税
美術・マイノリティ・実践 2500円+税
日本のダダ 1920-1970(編著) 3800円+税
フィールド・キャラバン計画へ(共著) 2500円+税
村山知義とクルト・シュヴィッタース(共著) 2500円+税

 

3月の新刊:『疎外と反逆』

2014年 7月 30日

疎外と叛逆_cover2疎外と叛逆 ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話

G・ガルシア・マルケス/M・バルガス・ジョサ

寺尾隆吉訳

四六判上製/176頁/定価=1800円+税

978-4-8010-0023-0 C0098 好評発売中

ラテンアメリカ小説のふたりの稀代の語り部が、自作の秘密を明かす。(鼓直)

厳密な理論派で文学への熱い情熱を隠さないM・バルガス・ジョサと、辛辣な知性から諧謔的ユーモアを繰り出すG・ガルシア・マルケス、現代ラテンアメリカ作家の頂点2人による若かりし頃の貴重な対談。
バルガス・ジョサによるガルシア・マルケス論の白眉「アラカタカからマコンドへ」、文学への誠実な態度が垣間見える「バルガス・ジョサへのインタビュー」を収録。

【目次】
ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話/アラカタカからマコンドへ/M・バルガス・ジョサへのインタビュー/訳者あとがき

【著者】
ガブリエル・ガルシア・マルケス(Gabriel García Márquez) 1927年、コロンビアのアラカタカ生まれ。小説家。代表作『百年の孤独』(1967年)が空前のベストセラーとなり、「ラテンアメリカ文学のブーム」を盛り上げる。その後メキシコやスペインに住みながら創作を続け、『族長の秋』(1975年)、『コレラの時代の愛』(1985年)といった長編のほか、『十二の遍歴の物語』(1992年)のような短編集や、自叙伝『生きて、語り伝える』(2003年)などを残している。1982年にノーベル文学賞を受賞。
マリオ・バルガス・ジョサ(Mario Vargas Llosa) 1936年、ペルーのアレキパ生まれ。長編小説『都会と犬ども』(1963年)によりビブリオテカ・ブレベ賞を受賞して「ラテンアメリカ文学のブーム」の花形となった後、『緑の家』(1966年)、『ラ・カテドラルでの対話』(1969年)、『世界終末戦争』(1981年)、『チボの狂宴』(2000年)といった長編や、文学評論集『嘘から出たまこと』(1990年)、回想録『水を得た魚』(1993年)など、現在まで多数の作品を残している。1994年にセルバンテス賞、2010年にノーベル文学賞を受賞。

【訳者】
寺尾隆吉(てらおりゅうきち) 1971年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『魔術的リアリズム――20世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012年)、主な訳書には、フリオ・コルタサル『対岸』(水声社、2014年)など多数ある。

【関連書】
好評発売中! (価格税別)
【フィクションのエル・ドラード】
ただ影だけ セルヒオ・ラミレス 2800円
孤児 フアン・ホセ・サエール 2200円
境界なき土地 ホセ・ドノソ 2000円
別れ フアン・カルロス・オネッティ 2000円
対岸 フリオ・コルタサル 2000円

【ガルシア・マルケスの作品】
ある遭難者の物語 1500円