5月2011のアーカイヴ

5月の新刊:全巻完結!『そんなに沢山のトランクを 小島信夫批評集成 第7巻』

2011年 5月 19日

言葉が余りの風に触られ,部分が全体になり,全体が部分になる。
両者のはざまで生まれた鵺のような言葉を「書き放し」たとき,
真の意味での「現」と「前」とのたすき掛けが起こって,小説が批評になり,
批評が小説になる。小島信夫が小島信夫になるのは,そこからなのである。
——堀江敏幸




小説や舞台をその現場であじわう『そんなに沢山のトランクを』。
天才俳人を甦らせる『原石鼎』。そして現代美術の深淵を探る『X氏との対話』。
晩年なお躍動する,批評精神の軌跡。【全8巻,ついに完結!】

kojimanobuo_7_cover『そんなに沢山のトランクを 小島信夫批評集成 第7巻』

A5判上製744頁,別丁16頁/定価9000円+税
ISBN978-4-89176-817-1  C0395 5月25日頃発売!

解説=堀江敏幸
月報=海上雅臣、山崎勉、近藤耕人、平井杏子、太田鈴子


* 本集成は、今回配本分をもって完結となります。
長い間のご愛読, 誠にありがとうございました。
なお、全巻ご購読特典は、現在鋭意編集中です。
出来次第のお届けとなります。もう少々お待ちください。

 

5月の新刊:『金井美恵子の想像的世界』

2011年 5月 18日

kanai_mieko芳川泰久

金井美恵子の想像的世界

四六判上製280ページ/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-835-5 C0095 5月25日頃発売


惑溺する、<水>のエクリチュール

言葉に対する鋭敏な感覚により、常にこれまでの文学史や社会制度を
戦略的に転覆してきた作家、金井美恵子。小説内に頻出する
「水」、「皮膚」、「不在」といったモチーフから、
作家の世界観を鮮やかに浮かび上がらせる、本邦初の金井美恵子論!



目次

はじめに

序論〈不在=現前〉論


一 水・蜜・桃 テクストの聖痕
二 水の誘惑 柔らかな強度
三 水=文字、猫の舌の描く


四 それは“あ”からはじまる
五 書くことの苛立ち——『岸辺のない海』を読む
六 羅列と反復 統辞論的な失調について


七 悪意に充ちた接近の危うさ
八 一義性を揺らす分裂的な強度
九 穏やかで不穏な隣接の試み


十 〈〈声を包む〉声を包む〉声を……——『恋愛太平記』を読む
十一 あふれでる繋辞領域——『柔らかい土をふんで、』を読む
十二 記憶的・映像的・編集的——『噂の娘』を読む

あとがき