9月の新刊:『マラルメと音楽』

2013年 9月 20日

マラルメと音楽マラルメと音楽
――絶対音楽から象徴主義へ

黒木朋興
A5判上製/504頁/定価=7000円+税
978-4-89176-981-9 C0098 9月25日頃発売予定
装幀=齋藤久美子



〈音楽〉の追求、あるいは文学への裏切り。

象徴主義を代表する詩人マラルメ、その韜晦な詩句は〈音楽〉といかなる関係をとり結んでいたのか? ヴァーグナーによる〈絶対音楽〉との影響から、ハンスリックら当時の音楽学者の理論を丹念に洗いなおすことにより、詩人と〈音楽〉の関係を刷新する意欲的な論考。


関連書
〔価格税別〕

マラルメの〈書物〉 清水徹 2000円
祝祭としての文学  佐々木滋子 5000円
世紀末の白い爆弾 中畑寛之 8000円
〈彼女〉という場所 永倉千夏子 12000円

 

 

9月の新刊:『長崎』

2013年 9月 20日

長崎カバー長 崎

エリック・ファーユ/松田浩則訳

装幀=宗利淳一デザイン
四六判上製/142頁/定価=1800円+税
978-4-89176-988-8 C0097 9月25日ごろ発売!


侵入した女は何者なのか――

 平凡な独身男性シムラは、ある日、自宅の押し入れに見知らぬ女が潜んでいることを知る。彼女はシムラに気づかれることなく、一年にわたってそこに住み続けていたというのだ。やがて少しずつ、彼女の過去が明らかになってゆく……。

舞台は現代の長崎。有明海の風景や、市街を走る路面電車、炊飯器からコンビニ弁当まで、さまざまなギミックが駆使され、リアルだが、どこか奇妙な小説世界が展開される。実際に起きた出来事を題材として、現代社会に生きる人々の孤独な宿命を描きだす、気鋭の著者の意欲作!

 

 

7月の新刊:『薔薇の柩』

2013年 7月 18日

薔薇書影薔薇の柩

山崎剛太郎詩集
A5判変形上製/56頁/定価=2500円+税
978-4-89176-983-3 C0092 好評発売中!

 

 

マチネ・ポエティク最後の詩人・山崎剛太郎。
95歳、研ぎ澄まされた瞳が見据える
過去と現在、生と死、そして愛、あるいは永遠……。


寂寥の現実と甘美な幻想とを巧みに交錯させながら、静かに過ぎゆく日常の時間を豊かに、そして壮絶にうたいあげた新作11篇にくわえ、敗戦直後に執筆された幻の未発表詩篇5篇を収録。

 

* 

【既刊】

山崎剛太郎詩集 夏の遺言 3000円+税

 

 

6月の新刊:カンブリア革命

2013年 6月 26日

kanburiaカンブリア革命

永澤 護

四六判上製/274頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-974-1 C0010 好評発売中!



いまこの現実とは、世界の終焉なのか、あるいははじまりなのか?

Facebookではすでに知る人ぞ知る人物の全貌があきらかに。《カンブリア革命》とはなにか? ページをひらけば、そこにまばゆいばかりの思考が待っている!
——酒井隆史(大阪府立大学)


 

目次

序章 資本と国家を繋ぐ〈装置〉=〈私たち〉

第1章 汎優生主義

Interlude1 生体政治工学

第2章 広場へと向かって

Interlude2:《私たち=人間》の消滅とその彼方――ミシェル・フーコー『言葉と物』をめぐって

第3章 自己の身体・クオリア・終わりなき経験

第4章 未来の記憶から今ここへ

附録
来るべき(起こってしまった)カタストロフを描いた詩作品
私の歩んだ道(永澤春栄)

 

6月の新刊:『神の身振り』

2013年 5月 27日

書影2神の身振り――スピノザ『エチカ』における場について

アルフォンソ・カリオラート+ジャン=リュック・ナンシー
藤井千佳世+的場寿光 訳
装幀=中山銀士
A5判上製/208頁/定価=3,000円+税
978-4-89176-970-3 C0010 6月5日頃発売予定

 

そのつど来るべき意味の到来に対して、開かれてあるために。 

スピノザ『エチカ』の一節を綿密に分析することにより、二元論の枠に収まらないその思想を、開かれた存在の可能性として新たな読みを大胆に提示する。倫理と政治に関わるスピノザ哲学の根源に触れる理論的かつ実践的マニフェスト。

 《それによって/そこから/それに従ってわれわれは活動し、実在する神の身振りは、われわれを指し示しながらも、われわれの活動や実在が表現しうるいかなる意味においても完遂されることはないし、またわれわれの活動や実在において意味としてくみ尽くされることもない、常に残余あるいは過剰があるのだ。》〔A・カリオラート〕……本文より

《われわれは「存在者ではない」。身振りはおそらく、このこと以外の何ものも名付けない。つまり、存在させられ、実在へと向けられ、投げ出され、それを創造するということである――》〔J=L・ナンシー〕……本文より

 

【関連書】(価格税別)

エティエンヌ・バリバール『スピノザと政治』(水嶋一憲訳)  4,000円

アントニオ・ネグリ『スピノザとわたしたち』(信友健志訳)  2,500円

 

5月の新刊 :『孤児』

2013年 5月 14日

孤児《フィクションのエル・ドラード》
孤 児
フアン・ホセ・サエール/寺尾隆吉訳
四六判上製/192頁/定価=2200円+税
978-4-89176-951-2 C0397 5月25日頃発売予定
装幀=宗利淳一デザイン

 

《フィクションのエル・ドラード》とは……世界文学に依然として強烈なインパクトを放ち続けるラテンアメリカ文学。いまだ紹介されていない才能ある作家たちや評価の定まった巨匠たちの、とりわけ想像力に富む小説(フィクション)を中心に厳選し、文学シーンの最前線をお届けするシリーズです。

▶ 第2回配本はフアン・ホセ・サエールの代表作『孤児』

 アルゼンチン文学の巨星が放つ幻想譚
舞台は16世紀の大航海時代、見果てぬインディアスを夢見て船に乗り込んだ「私」が上陸したのは食人インディアンたちが住む土地だった。「私」は独り捕らえられ、太古から息づく生活を営む彼らと共に過ごしながら、存在を揺るがす体験をすることになる……。

無から生まれ、親もなく、名前もない、この世の孤児となった語り手を通して、現実と夢幻の狭間で揺れる存在の儚さを、ボルヘス以後のアルゼンチン文学を代表する作家が描き出す破格の物語。

サエールの作品は、国境の彼方、あの誰のものでもない土地、まさに文学という場所に存在している。(リカルド・ピグリア)

◎現実世界の強烈な存在感。サエールは現代世界の超重要作家になるだろう。(アラン・ロブ=グリエ)

次回配本はアレホ・カルペンティエル『バロック協奏曲』(7月刊行予定)です。



既刊《 フィクションのエル・ドラード》

セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳 ただ影だけ 2,800円

(価格税別)

 

5月の新刊:『レット・イット・ビー:ザ・ビートルズ』

2013年 5月 8日

LetItBe《ロックの名盤!》

レット・イット・ビー:ザ・ビートルズ

スティーヴ・マッテオ/石崎一樹訳
四六判並製188頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-942-0 C0373 5月8日頃発売!
装幀=宗利淳一


《いまこそロックを読みかえろ!》

その誕生から60年。音楽の歴史を塗り替えてきた洋楽ロックの魅力を1アルバム1冊で語り尽くし、あの興奮をよみがえらせる話題のシリーズ。ついにビートルズ登場!

なぜ、これが「最後のアルバム」なのか?
1970年リリース。「ゲット・バック」「アイヴ・ガッタ・フィーリング」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」などを収録。貴重な証言や取材によって、毀誉褒貶のスタジオセッションを紙上再現する、ファン必読のドキュメント! ロックの解体はここからはじまった……。

《次回配本》
結成50周年で盛り上がるローリング・ストーンズの最高傑作と評価も高い『メイン・ストリートのならず者』を、グランジロックの雄・バッファロー・トムのフロントマン、ビル・ヤノヴィッツが縦横無尽に語り尽くす! 6月末発売予定、乞うご期待!

《好評既刊》⇒(
レッド・ツェッペリンⅣ:レッド・ツェッペリン
エリック・デイヴィス 1800円+税

アバ・ゴールド:アバ
エリザベス・ヴィンセンテリ 1500円+税

 

4月の新刊:『ミラーさんとピンチョンさん』

2013年 4月 22日

mp02ミラーさんとピンチョンさん

レオポルト・マウラー/波戸岡景太訳

A5判並製/184頁/定価=1500円+税
978-4-89176-964-2 C0098 4月25日頃発売予定
装幀=宗利淳一+田中奈緒子



「ピンチョン、おれたちは道に迷ったのか?」

世界の崖っぷちをあざやかに描く、
オフビートなグラフィック・ノベル、ついに初来日!


軽妙な描線に導かれる 乾いた笑い そして憂鬱……。


野暮ったい測量器具を片手に荒野をゆく2人の中年男、その名もミラーとピンチョン。くしくも現代アメリカを代表する作家と同じ姓をもつ、彼らのゆく手に待ち受けるのは、女、ワニ、奇蹟、金星、そしてオオカミ少年……?ウィーン発、新世紀型エンターテインメント!


e38394e382afe38381e383a3-8ヘンリー・ミラーとトマス・ピンチョンをおもわせる主人公たちが、『メイスン&ディクスン』さながらに荒野を測量しながら旅をする、というロード・コミック、ついに日本初上陸!

簡潔ながらも的確な描線が余韻のある笑いをうまく引き出して、ちょっとつげ義春を思わせる描写の数々。そして伏線に満ちた展開が、最後まで読むものをひっぱり続けます。ミラーやピンチョンを読んでなくても楽しめることうけあい、読み終わったらミラーやピンチョンが読んでみたくなることもうけあい、です!(原書2009年刊)

長めの解説を寄せている訳者の波戸岡景太さんのブログでも、作者やキャラクターたちの紹介などが随時アップされています。あわせてご覧ください!(→

また、女優で熱心な読者家としても知られる 小橋めぐみさん にも、さっそくとりあげていただきました(→)。小橋さん、ありがとうございます!


【好評既刊】
ピンチョンの動物園 波戸岡景太 2800円+税
動物とは「誰」か? 波戸岡景太 2200円+税
コンテンツ批評に未来はあるか 波戸岡景太 2500円+税
ヘンリー・ミラー・コレクション 各2500〜5000円+税

 

4月の新刊:『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』

2013年 3月 31日

e383b4e382a1e383ace383aae383bce69bb8e5bdb1ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖

伊藤亜紗

四六判上製/280頁/定価=3000円+税
978-4-89176-926-0 C0098 4月3日頃発売予定
装幀=前田晃伸



読者を開放せよ!
読者に身体を与えよ!
身体の未知なる機能を開拓せよ!


詩を使って身体を解剖し、機能を開拓する——20世紀最大の詩人ポール・ヴァレリーが夢見た「純粋性」とは何だったのか。『カイエ』等の膨大な断片から、作品論、時間論、身体論を再構成する作業を通じて、その謎に迫る。気鋭の研究者による画期的なヴァレリー論。

《しかし、われわれはあまりにも、ヴァレリーを「書くこと」に閉じ込めすぎたのではないか。(……)作品が社会に流通して読者のもとにとどくという事実にヴァレリーはきわめて自覚的であったし、この事実について思考をめぐらした結果、みずからの創造性を、この創造以降のプロセスに賭けていたようにさえ見える。別の言い方をすれば、ヴァレリーの創造行為は、書くという狭義の創造が終わったあとの過程をも含むと考えるべきではないのか。もちろんそれは作者の手のおよばない領域だ。しかし、手がおよばないからこそ可能であるような創造もあるのではないか。ヴァレリーの「もうひとつのプロジェクト」とは、そのような創造後の創造に関わるものだ。》(本文より)


【目次】


序 創造後の創造


Ⅰ 作品
第一章 装置としての作品
第二章 装置を作る

Ⅱ 時間

第一章 形式としての「現在」
第二章 抵抗としての「持続」——注意をめぐって
第三章 行為の法則化——リズムをめぐって

Ⅲ 身体

第一章 《主観的》な感覚
第二章 生理学





おわりに——ひとつの夢を本気で見ること

 

4月の新刊 :『ただ影だけ』

2013年 3月 27日

e3819fe381a0e5bdb1e381a0e38191efbc9de382abe38390e383bcフィクションのエル・ドラード

ただ影だけ

セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳
装幀=宗利淳一デザイン
四六判上製/328頁/定価=2800円+税
978-4-89176-950-5 C0397 4月5日頃発売予定



小社より新たなラテンアメリカ文学シリーズ、
〈フィクションのエル・ドラード〉刊行開始!


アイロニーと距離感、内面性とユーモア。
セルヒオ・ラミレスは銅のような三面記事から
言葉と想像力で黄金を生み出す錬金術師だ。——カルロス・フエンテス


1979年、ソモサ独裁政権の崩壊を目前に控えたニカラグア、ソモサの私設秘書官として権力の影で活動していたアリリオ・マルティニカは海からの逃亡を企てるも革命軍に捕らえられ、独裁政権の悪行に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられる……

証言、尋問、調書、供述、手紙。事実のなかに想像を巧みに織り交ぜ、鮮烈な描写と圧倒的な語りの技法のもとに、歴史的事件の裏側をフィクションの力で再構築する現代ラテンアメリカ文学の新たな傑作。

◎ 次回配本は2013年5月、現代アルゼンチン文学の最重要作家、
フアン・ホセ・サエールの『継子』(仮)を予定しております。どうぞご期待ください。

 

4月の新刊:『褐色の世界史』

2013年 3月 23日

e8a490e889b2e381aee4b896e7958ce58fb2_cover褐色の世界史――第三世界とはなにか

ヴィジャイ・プラシャド/粟飯原文子 訳

四六判並製/2段組447頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-927-7 C0022 3月末日〜4月1日頃発売





「第三世界というプロジェクト、それはこれまでヨーロッパが

答えられなかった問題を解決することなのだ」――フランツ・ファノン


焦眉の世界情勢をとらえるうえで、必読の1冊!

アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、そしてアラブなどで、なぜ、いまも「問題」が勃発するのか。焦眉の世界情勢を歴史的にとらえるためのスタンダードワーク。激動の20世紀を〈第三世界〉の視座から描き出し、その未発のままの歴史/運動/現在をトータルに概括する話題の書。気鋭の訳者による渾身の解説(50枚)を付す。



【本書に寄せられた讃辞】

I・ウォーラーステイン
「今日実行可能な政治プログラムを策定するうえで不可欠な知識」

E・ガレアーノ
「正史や主流メディアの陰に潜む輝かしい世界を発見する手がかり」

P・ギルロイ

「ヴィジャイ・プラシャドは貴重な歴史資源を掘り起こした」

 

4月の新刊:『三島由紀夫 〈表面〉の思想』

2013年 3月 23日

e4b889e5b3b6e794b1e7b480e5a4ab_cover三島由紀夫  〈表面〉の思想

川上陽子

A5判上製/275頁/定価=4000円+税
ISBN978-4-89176-949-9 C0095 3月末日〜4月1日頃発売!




〈私〉という牢獄——。

明晰かつ鍛錬された思考をもって戦後文学/思想を牽引した三島由紀夫にとって、〈私〉とは誰だったのか?
『仮面の告白』『金閣寺』から『豊饒の海』にいたる代表作の精緻な分析を通して、現実/虚構/言語/肉体に囚われた作家の〈表面〉をあぶりだす試み。

《本書でとりあげたような三島由紀夫の小説作品の最大の魅力、そしておもしろさは、〈私〉からの脱獄の試みが、作品世界内で展開するのみならず、〈作者〉という〈個〉によって構築された作品構成そのものにおいても——その土台に亀裂を入れることなどによって——繰り返しなされていた点にあった。》

 

4月の新刊:『魂のたそがれ』

2013年 3月 23日

e9ad82e381aee3819fe3819de3818ce3828c魂のたそがれ  世紀末フランス文学試論

湯沢英彦

四六判上製/306頁/定価=3200円+税
ISBN978-4-89176-966-6  C0098  4月1日頃発売!




ユイスマンス、ジャン・ロラン、メーテルランク、ラシルドなど、
19世紀末を生きた作家たちの作品を読み解きながら、
魂のありかを見失った「終わり」の時代の人々の、
迷いと焦りと闘いを浮かびあがらせる渾身の評論。




目次

第Ⅰ部 〈斬首〉の不安、〈身体〉の過剰
第一章 ピエロとマネキン——あるパントマイム脚本をめぐって
第二章 パイナップルと魂——ジャン・ロラン『ブーグルロン氏』
第三章 「然るべき場所にあるものなど何もない」——メーテルランク『温室』、ラシルド『ヴィーナス氏』その他
第四章 「ただ最悪のことが起きる」——ユイスマンス『流れのままに』他二篇
第五章 狂想のマチエール——ユイスマンス『仮泊』

第Ⅱ部 〈彼方〉の幻影、〈断片〉の揺らめき
第六章 不可思議なものへの愛——ジャン・ロラン『象牙と陶酔のお姫さまたち』
第七章 「この世ならぬ源」を求めて——ユイスマンス『出発』、『スヒーダムの聖女リドヴィナ』など
第八章 世界との愚直な絆——写真家アジェとサン=セヴラン教会
第九章 「巫女」の時代の終わり——ヒステリーと霊媒をめぐる諸言説について
第十章 未知なる魂のために——プルーストの問いかけ

 

3月の新刊:『小島信夫の書き込み本を読む』

2013年 3月 23日

e5b08fe5b3b6e4bfa1e5a4abe381aee69bb8e3818de8bebce381bfe69cace38292e8aaade38280_covera4小島信夫の書き込み本を読む

小島信夫文庫関係資料目録

昭和女子大学図書館編

A4判上製112頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-965-9  C0095  3月29日頃発売!




小島信夫の「読書遍歴」を知るための必携書!


昭和女子大学図書館の「小島信夫文庫」には、作家の草稿や創作ノート、メモ、日記など、1500点以上が収蔵されており、本書はその貴重な資料の全貌を目録にして収録する。さらに晩年まで手許に置かれた蔵書への「書き込み」を読解し、小島信夫の実像に肉薄するエッセイも併載。

執筆=江口雄輔、中西裕、平井杏子、近藤耕人、竜野連、
中村邦生、千石英世、柿谷浩一、猪俣和也

 

3月の新刊:『ベケットを見る八つの方法』

2013年 3月 23日

beckett_a5_cover_olベケットを見る八つの方法——批評のボーダレス

岡室美奈子・川島健編

A5判上製385頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-898-0  C0098  3月29日頃発売!



小説、哲学、演劇、美術、メディアなど、多様で深遠な、
知のるつぼともいえるベケット作品を精査した、
ノーベル賞受賞者クッツェーをはじめとする、
国内外の研究者たちによるベケット研究の最前線。


不可視の領域への刺すようなまなざしを持つ人、ベケット(J・M・クッツェー)



目次

序文 川島健

Ⅰ 第一の方法——クッツェーの目で見る
サミュエル・ベケットを見る八つの方法  J・M・クッツェー (田尻芳樹訳)
「サミュエル・ベケットを見る八つの方法」を読む——訳者解説にかえて  田尻芳樹

Ⅱ 第二の方法——境界を探る
これこれの日に__これこれの世界で——ベケットのラディカルな限定性  スティーヴン・コナー(対馬美千子訳)
境界線上で——サミュエル・ベケット『あのとき』を読む  エヴリン・グロスマン(大野麻奈子、藤原曜訳)
それっていったいどんな種類の名前?——ベケットの名前の戦略  川島健

Ⅲ 第三の方法——主体を欺く
「ところでこれは何の声?」  ブリュノ・クレマン(西村和泉訳)
内省と統括のキアスム —— 『名づけえぬもの』と『反古草紙』における光・言葉・主体  西村和泉
ベケットの後期戯曲におけるイメージとディスポジション  アントニー・ウルマン(川島健訳)

Ⅳ 第四の方法——イメージを読む

創生、子供の遊び、沈黙の凝視——サミュエル・ベケットとパウル・クレー  アンジェラ・ムアジャーニ(垣口由香訳)
ダダからディディへ——ベケットとその世紀の芸術  イノック・ブレイター(木内久美子訳)
絵画と詩とモナドロジー——手紙と日記から見たベケットの詩学形成  森尚也

Ⅴ 第五の方法——道化る
ベケット、ベル、道化  メアリー・ブライデン(川島健訳)
勝負の楽しみ——『勝負の終わり』におけることば遊びと範列  クリス・アッカリー(長島確訳)

Ⅵ 第六の方法——想起/予期する
「記憶は心の胃である」——ベケットにおけるアウグスティヌスの記憶の概念  対馬美千子
戦争の記憶と証言——『すべて倒れんとする者』における言語の不可能性と不確実性をめぐって  堀真理子
上演の未来  S・E・ゴンタースキー(堀真理子訳)

Ⅶ 第七の方法——人間をやめる
「どうみても人間にゃぁ見えねぇ」——ベケットと動物  シェイン・ウェラー(森尚也訳)
『人べらし役』における「小さな人々」──ベケットと十八世紀的自然  井上善幸

Ⅷ 第八方法——幽霊にとり憑く
ベケット・マクルーハン・テレビ——メディア・メッセージ・「混乱」  リンダ・ベン=ツヴィ(久米宗隆訳)
『見ちがい言いちがい』と「間」について  近藤耕人
自動降霊機械としてのテレビ——ベケット『__雲のように__』おける霊媒/媒体をめぐって  岡室美奈子

参考文献
あとがき 岡室美奈子

 

3月の新刊:『川上弘美を読む』

2013年 3月 23日

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松本和也

4/6版上製/272ページ/2,800円+税
ISBN 978-4-89176-939-0 C 0095 好評発売中




《この物語が、いつの時代のものなのか、
どこの言葉で語られたものなのか、誰も知りません。……》


「あのこと」のさなかにも書き続けられた『七夜物語』。「あのこと」の後に書かれた『神様2011』、『センセイの鞄』、『真鶴』など代表作を〈ゆらめき〉の諸相から読み解く。川上弘美の〈いま・ゆくえ〉を浮き彫りにする書き下ろし。



【松本和也の本】
太宰治『人間失格』を読み直す——定価2,500円+税
現代女性作家論——定価2,800円+税

 

3月の新刊:『髑髏の世界』

2013年 3月 23日

e9ab91e9ab8fe381aee4b896e7958c髑髏の世界

一休宗純和尚の跡をたどる

中川徳之助

A5版上製/252ページ/5,000円+税
ISBN 978-4-89176-933-8 C 0095 好評発売中




一休とは何者か。

〈風狂〉の僧、〈人間〉一休宗純の〈生〉の軌跡を
詩偈のなかによみとき、その実像にせまる。


《慚愧と自負に支えられる一休の「狂」は、世間の通念、常識に拘束されずに自己の生きかたを守ろうとするとともに、世間の常識、通念によりかかってみずからを権威付け、反省の見られない生き方を「俗」としてこれに反発し、挑戦する。ここに「狂」のエネルギーが噴出する。》(本文より)

 

2月の新刊:『モスクワ芸術座の人々——去りゆくソヴィエト時代』

2013年 2月 20日

e383a2e382b9e382afe383afe88ab8e8a193e5baa7_coverモスクワ芸術座の人々——去りゆくソヴィエト時代

アナトーリー・スメリャンスキー /木村妙子 訳

四六版上製/344ページ/3500円+税
ISBN 978-4-89176-934-5 C 0074 2月25日頃発売予定



〈ソヴィエト文明〉を飾る演劇人たちの内幕!
現代演劇をリードしたソヴィエトの演出家たち
——エフレーモフ、エフロス……


60〜70年代に輝きを放ち、社会を揺るがす震源地となったソヴィエト演劇。百年の歴史をもつモスクワ芸術座と関わりつつ、権力と闘いながら自由な表現を求めて時代に対抗した演劇人たちの姿をとおして、忘れられた〈ソヴィエト文明〉を検証する。

《演劇のメカニズムはすばらしく頑丈にできている。潜水艦のように、船室ひとつが水浸しになったって、別の船室ではまだまだ息ができる。イデオロギーがあらゆる部屋の仕切りを破壊しようとしたってそうはいかない。笑いのある地下室が、いつも万一のために備えてある。》(本文より)

 

1月の新刊:『草原讃歌』

2013年 1月 31日

e38396e383ade382b0e794a8e88d89e58e9fe8ae83e6ad8cefbc9de382abe38390e383bc草原讃歌

ナンシー・ヒューストン/永井遼訳

四六判/上製276頁/定価2,800円+税
ISBN 978-4-89176-938-3 C0097 好評発売中


ヨーロッパからの移民、土地を追われるカナダ・インディアン。
自然を支配する西欧文明、そして自然との共存をめざす土着の文化。
堅実な妻、奔放な愛人。創造、それこそが愛——。


相反する価値観にひきさかれながら、20世紀を生き抜いた祖父の遺稿。その断片をつなぎつつ、孫娘が家族四代の歴史を背景に人間の救済/再生を物語る。故郷カナダへの讃歌ともいえるヒューストンの代表作。



【ナンシー・ヒューストンの本】


暗闇の楽器
————永井遼訳/定価2,800円+税

赤外線————いぶきけい訳/定価2,800円+税

 

1月の新刊:『リモンの子供たち』

2013年 1月 9日

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リモンの子供たち

塩塚秀一郎訳
四六判/上製395頁/定価3200円+税
ISBN978-4-89176-863-8 C0397 1月10日頃発売!


太陽は糞便でできている!

実在の〈狂人〉たちをテーマに『不正確科学百科事典』を執筆する、シャンベルナックとブルジョアの一家、リモン家。二つの世界が交錯しながら、突飛な〈狂人〉たちの言行が、破局へ向かう時代の空気を照らし出す。人間の愚かさを根源的に問う、クノーの知られざる傑作。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、ついに完結!

* 本コレクションは、今回配本分をもって完結となります。長い間のご愛読、誠にありがとうございました。
なお、全巻ご購読特典は、塩塚秀一郎氏(『リモンの子供たち』)、久保昭博氏(『地下鉄のザジ』『はまむぎ』)の共訳で、現在鋭意編集中です。出来次第のお届けとなります。もう少々お待ちください。