3月の新刊:『ベケットを見る八つの方法』

2013年 3月 23日 コメントは受け付けていません。

beckett_a5_cover_olベケットを見る八つの方法——批評のボーダレス

岡室美奈子・川島健編

A5判上製385頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-898-0  C0098  3月29日頃発売!



小説、哲学、演劇、美術、メディアなど、多様で深遠な、
知のるつぼともいえるベケット作品を精査した、
ノーベル賞受賞者クッツェーをはじめとする、
国内外の研究者たちによるベケット研究の最前線。


不可視の領域への刺すようなまなざしを持つ人、ベケット(J・M・クッツェー)



目次

序文 川島健

Ⅰ 第一の方法——クッツェーの目で見る
サミュエル・ベケットを見る八つの方法  J・M・クッツェー (田尻芳樹訳)
「サミュエル・ベケットを見る八つの方法」を読む——訳者解説にかえて  田尻芳樹

Ⅱ 第二の方法——境界を探る
これこれの日に__これこれの世界で——ベケットのラディカルな限定性  スティーヴン・コナー(対馬美千子訳)
境界線上で——サミュエル・ベケット『あのとき』を読む  エヴリン・グロスマン(大野麻奈子、藤原曜訳)
それっていったいどんな種類の名前?——ベケットの名前の戦略  川島健

Ⅲ 第三の方法——主体を欺く
「ところでこれは何の声?」  ブリュノ・クレマン(西村和泉訳)
内省と統括のキアスム —— 『名づけえぬもの』と『反古草紙』における光・言葉・主体  西村和泉
ベケットの後期戯曲におけるイメージとディスポジション  アントニー・ウルマン(川島健訳)

Ⅳ 第四の方法——イメージを読む

創生、子供の遊び、沈黙の凝視——サミュエル・ベケットとパウル・クレー  アンジェラ・ムアジャーニ(垣口由香訳)
ダダからディディへ——ベケットとその世紀の芸術  イノック・ブレイター(木内久美子訳)
絵画と詩とモナドロジー——手紙と日記から見たベケットの詩学形成  森尚也

Ⅴ 第五の方法——道化る
ベケット、ベル、道化  メアリー・ブライデン(川島健訳)
勝負の楽しみ——『勝負の終わり』におけることば遊びと範列  クリス・アッカリー(長島確訳)

Ⅵ 第六の方法——想起/予期する
「記憶は心の胃である」——ベケットにおけるアウグスティヌスの記憶の概念  対馬美千子
戦争の記憶と証言——『すべて倒れんとする者』における言語の不可能性と不確実性をめぐって  堀真理子
上演の未来  S・E・ゴンタースキー(堀真理子訳)

Ⅶ 第七の方法——人間をやめる
「どうみても人間にゃぁ見えねぇ」——ベケットと動物  シェイン・ウェラー(森尚也訳)
『人べらし役』における「小さな人々」──ベケットと十八世紀的自然  井上善幸

Ⅷ 第八方法——幽霊にとり憑く
ベケット・マクルーハン・テレビ——メディア・メッセージ・「混乱」  リンダ・ベン=ツヴィ(久米宗隆訳)
『見ちがい言いちがい』と「間」について  近藤耕人
自動降霊機械としてのテレビ——ベケット『__雲のように__』おける霊媒/媒体をめぐって  岡室美奈子

参考文献
あとがき 岡室美奈子

Comments are closed.