10月の新刊:フローベール 文学と〈現代性〉の行方

2021年 10月 14日 コメントは受け付けていません。

書影_フローベールフローベール 文学と〈現代性〉の行方
松澤和宏+小倉孝誠(編)

判型:A5判上製
頁数:399頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0602-7 C0098
装幀:宗利淳一
10月下旬頃発売!

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生誕200年記念!

現代文学の端緒を開いたフローベール。同時代への徹底した不信から文学への信を鍛え上げた作家の彫心鏤骨の作品世界は、膨大な書簡や草稿とともに、常に現代作家を虜にし、文学批評・研究の試金石となってきた。同時代を鋭く見抜き、未来の読者を待望するフローベールへ、既成の作家像を超えて迫る19のアプローチ!



目次


フローベール、十九世紀、そして「未来の読者」
松澤和宏

第1部 フローベール文学の多層性

詩人の傲慢から芸術家の平静へ
――初期作品と『聖アントワーヌの誘惑』の七つの大罪をめぐって
中島太郎

シャルルの変貌をめぐって
――『ボヴァリー夫人』における愛と赦しとアイロニー
松澤和宏

『ボヴァリー夫人』におけるルソーの影響
――威光と愚かさのはざまで
中野茂

『ボヴァリー夫人』における継続的反復と十九世紀初頭の思想
三原智子

分有されたヴィジョン
――『サラムボー』の描写について
朝比奈弘治

『感情教育』と第二帝政
小倉孝誠

フィギュールとしての二月革命
橋本知子

民主主義のなかの小説家
菅谷憲興

フローベールの反目的論
山崎敦

『ブヴァールとペキュシェ』における教育施設の夢
和田光昌

【補論】
『純な心』のフェリシテとオバン夫人
松澤和宏

第2部 フローベールと十九世紀作家

仮借なき戦争の物語
――ポリュビオス、ミシュレ、フローベールをめぐって
真野倫平

フローベールからバルザックへ
――ジャーナリズムの問題を中心に
鎌田隆行

フローベールとユゴー
――シンフォニーを求めて
木内尭

フローベールとゴンクール兄弟
――第二帝政期の文壇生成をめぐって
沖田吉穗

フローベールを語る
――一八八〇年代のモーパッサン
足立和彦

【補論】
『感情教育』とバルザック『現代史の裏面』
松澤和宏

第3部 フローベールと現代文学

バルトとブランショにおけるフローベール的エクリチュール
――一九六〇年代以降の理論的言説のなかで
郷原佳以

物語の彼方と手前
――クノーとペレックにおけるフローベールの遺産
塩塚秀一郎

クンデラのフローベール
西永良成

【補論】
歴史家と社会学者はフローベールをどう読んだか
小倉孝誠


【研究ノート】
作品批評史
『聖アントワーヌの誘惑』批評史 中島太郎
『ボヴァリー夫人』批評史 木内尭
『サラムボー』批評史 三原智子
『感情教育』批評史 木内尭
『三つの物語』批評史 大橋絵理
『ブヴァールとぺキュシェ』批評史 山崎敦
フローベールと映画 橋本知子

主要参考文献


編者あとがき
小倉孝誠

編者/執筆者について
松澤和宏(まつざわかずひろ)
1953年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。名古屋大学名誉教授。専攻、近代フランス文学、言語思想史、生成批評。主な著書に、『生成論の探求』(名古屋大学出版会、2003年)、『「ボヴァリー夫人」を読む』(岩波書店、2004年)、『21世紀のソシュール』(編著、水声社、2018年)、主な訳書に、フェルディナン・ド・ソシュール『自筆原稿「言語の科学」』(岩波書店、2015年)などがある。
小倉孝誠(おぐらこうせい)
1956年生まれ。パリ第4大学博士課程修了。現在、慶應義塾大学教授。専攻、近代フランス文学・文化史。主な著書に、『「感情教育」歴史・パリ・恋愛』(みすず書房、2005年)、『歴史をどう語るか』(法政大学出版局、2021年)、主な訳書に、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫、2000年)などがある。

中島太郎(なかじまたろう)
パリ東大学博士課程修了。現在、中京大学准教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『近代フランス小説の誕生』(共著、水声社、2017年)、主な訳書に、フローベール『純な心』(大学書林、2018年)などがある。
中野茂(なかのしげる)
1966年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、早稲田大学高等学院教諭、早稲田大学非常勤講師。専攻、フランス文学。主な著書に、『ヴォルテールを学ぶ人のために』(共著、世界思想社、2012年)、『近代フランス小説の誕生』(共著、水声社、2017年)、主な訳書に、ルネ・ドゥペストル『ハイチ女へのハレルヤ』(共訳、水声社、2018年)などがある。
三原智子(みはらともこ)
1969年生まれ。ルーアン大学博士課程修了。現在、群馬大学准教授。専攻、19世紀フランス文学。主な著書に、『映像表現の地平』(共著、中央大学出版部、2010年)などがある。
朝比奈弘治(あさひなこうじ)
1951年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。明治学院大学名誉教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『フローベール「サラムボー」を読む』(水声社、1997年)、主な訳書に、ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』(岩波文庫、1997年)などがある。
橋本知子(はしもとともこ)
パリ第8大学博士課程修了。現在、千葉大学大学院准教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『マルグリット・デュラス 〈声〉の幻前』(共著、水声社、2020年)などがある。
菅谷憲興(すがやのりおき)
1966年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、立教大学教授。専攻、19世紀フランス文学。主な著書に、『人文資料学の現在Ⅱ』(編著、春風社、2008年)、主な訳書に、フローベール『ブヴァールとペキュシェ』(作品社、2019年)などがある。
山崎敦(やまざきあつし)
1975年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、中京大学教授。専攻、19世紀フランス文学。主な著書に、『ドゥルーズ 千の文学』(共著、せりか書房、2011年)、主な訳書に、ジャン゠ピエール・リシャール『フローベールにおけるフォルムの創造』(共訳、水声社、2013年)などがある。
和田光昌(わだみつまさ)
1962年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、西南学院大学教授。専攻、19世紀フランス文学。主な著書に、『文学作品が生まれるとき』(共著、京都大学学術出版会、2010年)、主な訳書に、アラン・コルバン『身体の歴史Ⅱ』(共訳、藤原書店、2010年)などがある。
真野倫平(まのりんぺい)
1965年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、南山大学教授。専攻、19世紀フランス歴史学。主な著書に、『死の歴史学』(藤原書店、2008年)、主な訳書に、『グラン゠ギニョル傑作選』(編訳、水声社、2010年)、イヴァン・ジャブロンカ『歴史家と少女殺人事件』(名古屋大学出版会、 2020年)などがある。
鎌田隆行(かまだたかゆき)
1967年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、信州大学教授。専攻、19世紀フランス文学、生成批評。主な著書に、Balzac. Multiples genèses (Presses Universitaires de Vincennes、 2021年)、訳書に、アントワーヌ・コンパニョン『アンチモダン』(共訳、名古屋大学出版会、 2012年)などがある。
木内尭(きのうちたかし)
1983年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、名古屋外国語大学講師。専攻、19世紀フランス文学。主な論文に、「フローベールとミシュレ 二つの革命をめぐって」(『フランス語フランス文学研究』第113号、2018年)などがある。
沖田吉穗(おきたよしほ)
1950年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『フランス近代小説の力線』(水声社、2018年)、主な訳書に、ピエール・ガスカール『探検博物学者フンボルト』(白水社、1989年)などがある。
足立和彦(あだちかずひこ)
1976年生まれ。パリ第4大学博士課程修了。現在、名城大学法学部准教授。専攻、19世紀フランス文学。主な著書に、『モーパッサンの修行時代』(水声社、2017年)、主な訳書に、アラン・パジェス『フランス自然主義文学』(白水社、2013年)などがある。
郷原佳以(ごうはらかい)
1975年生まれ。パリ第7大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院准教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『文学のミニマル・イメージ』(左右社、 2011年)、主な訳書に、ブリュノ・クレマン『垂直の声』(水声社、2016年)などがある。
塩塚秀一郎(しおつかしゅういちろう)
1970年生まれ。パリ第3大学博士課程修了。現在、東京大学大学院教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『ジョルジュ・ペレック』(中央公論新社、2017年)、主な訳書に、ジョルジュ・ペレック『煙滅』(水声社、2010年)などがある。
西永良成(にしながよしなり)
1944年生まれ。東京外国語大学名誉教授。専攻、フランス文学・思想。主な著書に、『小説の思考――ミラン・クンデラの賭け』(平凡社、2016年)、主な訳書に、ミラン・クンデラ『冗談』(岩波文庫、2014年)などがある。
大橋絵理(おおはしえり)
1960年生まれ。レンヌ大学博士課程修了。現在、長崎大学言語教育研究センター教授。専攻、フランス文学。主な著書に、Crossings and Contaminations(共著、Aeroplano、 2009年)、Discourses on Nations and Identities(共著、De Gruyter、 2021年)などがある。

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