3月の新刊:感受性とジェンダー——〈共感〉の文化と近現代ヨーロッパ

2023年 3月 10日 コメントは受け付けていません。

書影_感受性とジェンダー感受性とジェンダー
〈共感〉の文化と近現代ヨーロッパ
小川公代・吉野由利(編)

判型:四六判上製
頁数:308頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0713-0 C00098
装幀:宗利淳一
3月下旬発売!

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共生のための想像力
尊厳を踏みにじられた他者をケアして連帯する一方、感情の激発や煽動が危惧されもする昨今、「共感」は時代を理解するキーワードとなった。しかし、この感性は現代に始まったのではなく、18世紀の「感受性」文化にその萌芽を宿していた――ロマン主義文学、道徳哲学、ジェンダーをめぐる言説を通して、「共感」の可能性から、その矛盾と限界までを探る!



目次

序論 21世紀から感受性文化と感情史を辿る 小川公代

第Ⅰ部 感情史と現代

第1章 他者への共感――惑星的見地から感受性文学を考える 小川公代
第2章 怒りは道徳的に正しいか?――ヌスバウムと感情の現代哲学 河野哲也
第3章 歴史学と文学のはざま?――感受性文学を手がかりに感情史を考える 森田直子

第Ⅱ部 感受性の思想と文化

第4章 市民社会と宗教――ヒュームの『自然宗教をめぐる対話』 大河内昌
第5章 ヒュームの共感論・再訪――共感とは受動的で主観的な感情伝染か 犬塚元
第6章 ポウプ、コラルドー、そしてルソー――『新エロイーズ』における感受性の諸相 井上櫻子
第7章 愛情の偽装――『娘たちへの父親の遺産』とウルストンクラフト 川津雅江
第8章 感受性の居場所――オースティンの初期作品から『分別と多感』へ 土井良子

第Ⅲ部 感受性の誤認と帝国

第9章 恐怖の感染、恐怖の消費――超常現象と公共圏形成 原田範行
第10章 感受性の洗練と誤認――エッジワースとオースティンの描く「共感」の帝国 吉野由利
第11章 「共感」の矛盾と限界――『ジェイン・エア』における感情の問題 大石和欣

あとがき 吉野由利

編者/執筆者について
小川公代(おがわきみよ)
上智大学教授。ロマン主義文学、医学史。著書に、『ジョージ・オーウェル「一九八四年」を読む――ディストピアからポスト・トゥルースまで』(共著、水声社、2021年)、『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社、2021年)、『ケアする惑星』(講談社、2023年)などがある。
吉野由利(よしのゆり)
学習院大学教授。18・19世紀英文学。著書に、『ジェンダーと「自由」――理論、リベラリズム、クィア』(共著、彩流社、2013年)、『一九世紀〈英国〉小説の展開』(共著、松柏社、2014年)などがある。

河野哲也(こうのてつや)
立教大学教授。哲学・倫理学。著書に、『いつかはみんな野生にもどる』(水声社、2016年)、『間合い――生態学的現象学の探求』(東京大学出版会、2022年)などがある。
森田直子(もりたなおこ)
立正大学准教授。ドイツ近代史。訳書に、ヤン・プランパー『感情史の始まり』(監訳、みすず書房、2020年)、B・H・ローゼンワイン、R・クリスティアーニ『感情史とは何か』(共訳、岩波書店、2021年)などがある。
大河内昌(おおこうちしょう)
東北大学大学院教授。イギリス文学・思想史。著書に、『美学イデオロギー――商業社会における想像力』(名古屋大学出版会、2019年)、訳書に、ジョージ・スタイナー『むずかしさについて』(共訳、みすず書房、2014年)などがある。
犬塚元(いぬづかはじめ)
法政大学教授。政治学史・政治思想史。著書に、『デイヴィッド・ヒュームの政治学』(東京大学出版会、2004年)、訳書に、デイヴィッド・ヒューム『自然宗教をめぐる対話』(岩波書店、2020年)などがある。
井上櫻子(いのうえさくらこ)
慶應義塾大学教授。一八世紀フランス文学。著書に、『ルソーを学ぶ人のために』(共著、世界思想社、2010年)、訳書に、A・コルバンほか監修『感情の歴史Ⅱ――啓蒙の世紀から19世紀末まで』(共訳、藤原書店、2020年)などがある。
川津雅江(かわつまさえ)
名古屋経済大学名誉教授。近代イギリス文学。著書に、『サッポーたちの十八世紀――近代イギリスにおける女性・ジェンダー・セクシュアリティ』(音羽書房鶴見書店、2012年)、『トランスアトランティック・エコロジー――ロマン主義を語り直す』(共編著、彩流社、2019年)などがある。
土井良子(どいりょうこ)
白百合女子大学教授。18・19世紀イギリス文学。著書に、『英米文学の地平――W・ワーズワスから日系アメリカ人作家まで』(共著、金星堂、2012年)、訳書に、ベッツィ・レーナー『ベストセラーはこうして生まれる』(松柏社、2005年)などがある。
原田範行(はらだのりゆき)
慶應義塾大学教授。近現代イギリス文学。著書に、『風刺文学の白眉――「ガリバー旅行記」とその時代』(NHK出版、2016年)、『脱領域・脱構築・脱半球――21世紀人文学のために』(共編著、小鳥遊書房、2021年)などがある。
大石和欣(おおいしかずよし)
東京大学大学院教授。イギリス文学。著書に、『家のイングランド――変貌する社会と建築物の詩学』(名古屋大学出版会、2019年)、『コウルリッジのロマン主義――その詩学・哲学・宗教・科学』(編著、東京大学出版会、2020年)などがある。

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