3月新刊:18世紀ロシア文学の諸相

2016年 3月 29日 コメントは受け付けていません。

18世紀ロシア文学の諸相

18世紀ロシア文学の諸相
ロシアと西欧 伝統と革新
金沢美知子(編)
執筆者=三浦清美/鳥山祐介/大塚えりな/安達大輔/豊川浩一/田中良英/矢沢英一/大野斉子/金沢友緒/長縄光男/乗松亨平/三好俊介/中神美砂/ナターリヤ・ドミトリエヴナ・コチェトコーヴァ

判型:A5判上製
頁数:408頁
定価:5500円+税
ISBN:978−4−8010−0155−8 C0098 好評発売中
装幀者:西山孝司

内容紹介:
ロシア文学は18世紀にはじまる──
西欧化政策を推進したピョートル一世と啓蒙主義を標榜したエカチェリーナ二世の2つの治世に挟まれた,壮大な謎・未知の領域である〈18世紀ロシア〉を「プーシキンから始まる」ロシア文学という偏頗な文学史観に疑問を呈しつつ,さまざまな角度から考察する。

《本書は,ここ十数年の18世紀ロシア文学をめぐる仕事に現れた新たな動向を日本のロシア研究の中に位置づけることを目的とし,さらにその先へと研究が発展することを願って,出版される。さまざまな角度から18世紀理解のための視点と情報を提供し,18世紀ロシア文学の諸相を描き出すという構想のもとに編纂されている。》(「序文」より)

目次:
序文

第一部 近代ロシア文学の形成過程

ロモノーソフの神、デルジャーヴィンの神(三浦清美)
ロモノーソフと修辞学的崇高──18世紀ロシアにおける「精神の高揚」の様式化(鳥山裕介)
フョードル・エミンとロシア最初の書簡体小説──現実の様式化へ向けて(金沢美知子)
カラムジンの『ロシア人旅行者の手紙』における虚実(大塚えりな)
カラムジンの初期評論における翻訳とその外部(安達大輔)
ロシア・センチメンタリズムに見る「死への憧憬」と「離郷願望」(金沢美知子)

第二部 文学をとりまく環境
18世紀ロシアにおける国家と民間習俗の相克──シンビルスクの「魔法使い(呪術師)」ヤーロフの裁判を中心に(豊川浩一)
18世紀初頭におけるロシア君主の日常的儀礼とその変化(田中良英)
イワン・ドルゴルーコフの回想記から見えてくるもの(矢沢英一)
フォードル・エミンと18世紀ロシア(金沢美知子)
女帝の身体(大野斉子)
ロシアで翻訳された最初のゲーテ文学──О.П.コゾダヴレフと悲劇『クラヴィーゴ』(金沢友緒)

第三部 18世紀ロシアへの視点
『ペテルブルグからモスクワへの旅』をめぐって──ラジシチェフ・プーシキン・ゲルツェン(長縄光男)
ベリンスキーとロシアの18世紀──「ロシア史」はいかに語られるか(乗松亨平)
ヴラジスラフ・ホダセヴィチと18世紀ロシア──評伝『デルジャーヴィン』をめぐって(三好俊介)
E・R・ダーシコヴァに関するロシアにおける研究と動向について(中神美砂)

結語

プーシキンスキー・ドームの18世紀ロシア文学研究部門──その歴史と現在(ナターリヤ・ドミトリエヴナ・コチェトコーヴァ)

編者あとがき

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