9月の新刊:感応の呪文――〈人間以上の世界〉における知覚と言語

2017年 9月 19日 コメントは受け付けていません。

感応の呪文感応の呪文
〈人間以上の世界〉における知覚と言語
デイヴィッド・エイブラム(著)
結城正美(訳)

判型:四六判上製
頁数:416頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0282-1 C0098
装幀:齋藤久美子
9月4日発売!

人間を中心に置いた世界図ではなく、人間も織り込んだ正しい世界図の回復のためにこの本は役に立つ。

池澤夏樹


言語のない非人間の世界、自然に知性を見る時、世界は大いなる多義性に満たされている。エコロジスト、思想家である著者が身体的に野生とかかわることで「生きている大地との関わり合いから流れる情熱、困惑、喜び」について語りつつ「高水準の理論的・学術的精度を維持」した議論を展開する試み。

目次
第1章 魔術のエコロジー――私的序論
第2章 エコロジーに至る哲学――学術的序論
     Ⅰ  エトムント・フッサールと現象学
     Ⅱ モーリス・メルロ=ポンティと知覚の融即的特質
第3章 言語の肉
第4章 アニミズムとアルファベット
第5章 言語の風景のなかで
第6章 時間、空間、そして地蝕
     Ⅰ 抽象化
     Ⅱ 生ける現在
第7章 空気の忘却と想起
結び――裏を表に

原注
参考文献
索引(主要人名・著書名、部族名)
訳者あとがき

著者について
デイヴィッド・エイブラム(David Abram)  
1957年、ニューヨーク州に生まれる。思想家、カルチュラルエコロジスト、人類学者。野生倫理同盟(the Alliance for Wild Ethics)主宰。高校時代に手品に魅せられ、大学入学後、ニューイングランドのクラブやヨーロッパの街頭で手品師として身を立てた経験を持つ。ロンドン滞在中にR・D・レインに導かれ手品の心理療法への適用について研究を開始。インドネシアやネパールにも手品師として滞在し、現地の呪術師と交流を深めた。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校で、本書のテーマでもある知覚と言語の相互関係を研究し、博士号を取得。本書でラナン文学賞を受賞。著書には他に、Becoming Animal: An Earthly Cosmology (Pantheon, 2010) があり、Orion やEnvironmental Ethics など多数の雑誌に寄稿。

訳者について
結城正美(ゆうきまさみ)  
1969年、石川県に生まれる。現在、金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系教授。ASLE‐Japan/文学・環境学会代表。専攻は、エコクリティシズム、比較文学。主な著書に、『水の音の記憶――エコクリティシズムの試み』(2010年)、『他火のほうへ――食と文学のインターフェイス』(2012年、ともに水声社)、共編著に『文学から環境を考える――エコクリティシズム・ガイドブック』(2014年、勉誠出版)、Ishimure Michiko’s Writing in Ecocritical Perspective: Between Sea and Sky (Lexington Books, 2016)、『里山という物語――環境人文学の対話』(2017年、勉誠出版)などがある。

関連書
水の音の記憶――エコクリティシズムの試み/結城正美/3000円
他火のほうへ――食と文学にインターフェイス/結城正美/2800円
失われるのは、ぼくらのほうだ/野田研一/4000円
いつかはみんな野生のもどる――環境の現象学/河野哲也/3000円 

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