3月の新刊:〈他者〉としてのカニバリズム

2019年 3月 26日 コメントは受け付けていません。

カニバリズム〈他者〉としてのカニバリズム
橋本一径(編)

判型:四六判上製
頁数:219頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0418-4 C0039
装幀:宗利淳一
3月22日頃発売!

忘却と回帰
近代西洋が発見し、また目を背けようとしてきたカニバリズムは、一方で並々ならぬ耳目を集めてきた。しかし、問題は人肉を口にするかどうかなのだろうか。文明批判、自我の変容、倫理と禁忌、そしてテクノロジーの観点からいま一度問い直す。

目次
まえがき 橋本一径
第1章 「食らう」芸術――〈食人〉の思想と近代ブラジル芸術 都留ドゥヴォー恵美里
第2章 南方熊楠のカニバリズム――モースの大森貝塚からロンドンへ 志村真幸
第3章 道徳とサスペンスのあいだで――ジュール・ヴェルヌ作品におけるカニバリズム フォルカー・デース
第4章 声とまなざし――大岡昇平『野火』における食人の意味 倉数茂
第5章 戦後文学のおわりと不穏な時代のはじまりについて 木村朗子
第6章 殺さずに食べること、あるいは新たなるカニバリズム――培養肉をめぐって 橋本一径

編者/執筆者/訳者について
橋本一径(はしもとかずみち)
1974年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、早稲田大学教授。専攻、表象文化論。主な著書に、『指紋論』(青土社、2010年)など、主な訳書に、ジャン゠ノエル・ミサ、パスカル・ヌーヴェル編『ドーピングの哲学』(新曜社、2017年)、アラン・シュピオ『法的人間 ホモ・ジュリティクス――法の人類学的機能』(共訳、勁草書房、2018年)などがある。

都留ドゥヴォー恵美里(Emilie Tsuru-Devaux)
1984年、京都府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専攻、近代ブラジル美術史。著書に、『日系ブラジル人芸術と〈食人〉の思想――創造と共生の軌跡を追う』(三元社、2017年)がある。
志村真幸(しむらまさき)
1977年、神奈川県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、慶應義塾大学非常勤講師。専攻、南方熊楠研究。主な著書に、『日本犬の誕生――純血と選別の日本近代史』(勉誠出版、2017年)、『熊楠と猫』(共著、共和国、2018年)などがある。
フォルカー・デース(Volker Dehs)
1964年、ブレーメン生まれ。ゲッティンゲン大学、ナント大学で文学・美術史を学ぶ。ジュール・ヴェルヌ協会会報編集長、ジュール・ヴェルヌ国際センター会員。主な著書に、『ジュール・ヴェルヌ伝』(石橋正孝訳、水声社、2014年)などがある。
倉数茂(くらかずしげる)
1969年、兵庫県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。小説家。東海大学准教授。専攻、日本近代文学。主な著書に、『私自身であろうとする衝動――関東大震災から大戦前夜における芸術運動とコミュニティ』(以文社、2011年)、『名もなき王国』(ポプラ社、2018年)などがある。
木村朗子(きむらさえこ)
1968年、神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、津田塾大学教授。専攻、日本文学。主な著書に、『震災後文学論――あたらしい日本文学のために』(青土社、2013年)、『その後の震災後文学論』(青土社、2018年)などがある。

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