編集部通信/偽アメリカ文学の実践 その1

2010年 4月 1日 コメントは受け付けていません。

今月16日に発売予定の村上春樹さんの話題作、
『1Q84』第3巻にあわせて、紀伊國屋書店新宿南店 では
大規模なフェアを展開することになっているのですが、
村上文学の読者にぜひ読んでもらいたい海外文学関連書の選書を、
『偽アメリカ文学の誕生』の著者・都甲幸治さん が担当することになりました。
さらに、書店様のご好意で、村上春樹フェアとならんで(!)
都甲さんがみなさんに読んでいただきたい本をチョイスした、
いわば《偽アメリカ文学の実践》とでもタイトルできそうな、
都甲さんの棚もつくっていただけることに!
そこでさっそくまだ肌寒さの残る3月26日午前9時、
開店前の静まり返った書店で、その選書作業がはじまりました。

nec_0796この日は、都甲さんも気合い充分。
こちらにも緊張感が伝わってきます。
村上春樹に/が影響を与えたさまざまな海外の作家、
そして都甲さんがレコメンドする内外の作品を中心に、
書店6階の洋書コーナーから1階のコミックまで、
「あの本は必須だけど発注できる?」「これは必読!」等々と、
書店側仕入ご担当の桐生さんが持って構えるカゴに、
つぎつぎに選んだ本を入れていく姿は、まさに《ライヴ》そのもの。
書棚の端からくまなく本を追う鋭角な視線に、すっかり圧倒されました。

nec_0801優に10を越えるカゴにぎっしり詰まった本たちを、
今度は実際の棚の構成を念頭に置きながら、
作家やジャンル別に仕分けする作業がはじまりました。
ふだんから本を見慣れているとはいえ、
都甲さんが選んだアメリカ文学を中心とする
とてもユニークな本が一同に並べられると、かなり壮観です。
さすが、雑誌『新潮』の連載で、
先進のアメリカ文学を欠かさず紹介している著者ならでは、のものでした。

この日は12時でタイムアップとはいえ、たっぷり3時間!
あとはこれらの本を、ポップでさまざまに飾る作業が残っていますが、
それは他日を期すことに。
この成果は、4月16日〜5月10日まで、
紀伊國屋書店新宿南店を舞台に繰り広げられるフェアで、
ぜひ実際にご覧になってください。お楽しみに!(編集部 Naovalis)


niseamerica_cover1都甲幸治

『偽アメリカ文学の誕生』

四六判上製352頁/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-726-6 C0098  全国書店で絶讃発売中!

フィッツジェラルド、サリンジャー、ブコウスキー、デリーロはもちろん、
本邦初紹介の作品から、海外でのインタビューを通して語られる
日本では知られざる村上春樹の本音と実像にいたるまで、
最新型の 〈 アメリカ文学 〉 をこの1冊にパッケージ。
〈偽〉アメリカ文学の 「リアル」はここにある !

柴田元幸氏推薦!
「塵に訊け!」 とかつてジョン・ファンテは言った。
「都甲幸治に訊け!」 と私は言いたい。
〈 偽アメリカ文学の誕生 〉 を告げる本書は、
すぐれた 〈 偽アメリカ文学者〉 の登場を告げてもいる。
アメリカ文学のいまを知る上で最良の書。



都甲幸治(とこう・こうじ)
1969年生まれ。早稲田大学文学部准教授、翻訳家。
専攻はアメリカ文学・文化論。
おもな訳書に、ファンテ『塵に訊け!』、ブコウスキー『勝手に生きろ!』、
フィッツジェラルド『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』など話題作多数。

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