新刊:亡霊たちの中世

2020年 5月 29日 コメントは受け付けていません。

亡霊たちの中世亡霊たちの中世
引用・語り・憑在
高木信(著)

判型:四六判上製
頁数:380頁
定価:3800円+税
ISBN:978-4-8010-0478-8 C0095
装幀:宗利淳一
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〈亡霊〉はそこにいる――
自己と他者の境界を攪乱する「語り」(ナラティヴ)に潜む亡霊、時間と空間を混線させる「間テクスト性」(インターテクスチュアリティ)に潜む亡霊――
主体・意味・記号の一義性が、亡霊に取り憑かれたときに消滅する。
『源氏物語』『平家物語』をはじめとする日本古典の数々を緻密に読み解き、テクストにまったく新しい時空と意味を導き入れる〈亡霊論的転回〉の試み。

目次
序章 《亡霊》に取り憑かれるエクリチュール、あるいは死者との親密圏を生成する
    ――『曾我物語』、宮部みゆき『孤宿の人』、井上ひさし『父と暮せば』

第Ⅰ部 ナラティヴの亡霊

第一章 亡霊の時間/未来からの記憶、あるいは〈今・ここ〉が散種される
    ――『義経記』、謡曲《二人静》、『伊勢物語』
第二章 語る亡霊のスキャンダル、あるいは〈亡霊機械〉が〈語り〉を流動化する
    ――謡曲《鵺》、『平家物語』「鵼」、和泉式部
第三章 〈不在の原因〉としての平家一門、あるいは現実界に〈亡霊〉を登録する
    ――謡曲《八島》、那須与一、『平家物語』成立伝承
第四章 〈死者/動物〉への生成変化、あるいは〈狩猟機械〉が起動する
    ――謡曲《善知鳥》、カムイ・ユカラ、和歌のレトリック
第五章 〈カタリ〉の亡霊論(hantologie)的転回、あるいは「話法」による〈亡霊〉への生成変化
    ――語り物文藝、『平家物語』「小教訓」、自由間接話法

第Ⅱ部 インターテクスチュアリティの亡霊

第六章 見えない〈桜〉への生成変化、あるいはテクストが〈亡霊化〉する
    ――『平家物語』「忠度都落」「忠度最期」、謡曲《忠度》
第七章 能を観る〈紫式部〉、あるいは「海人の塩焼く」言説が混線する
    ――『平家物語』「福原落」、『源氏物語』『太平記』、謡曲《須磨源氏》《敦盛》
第八章 『平家物語』を読む〈紫式部〉、あるいは〈不在の原因〉としての平将門
    ――「福原」、「須磨・明石」、「都」
第九章 混線する〈重衡物語〉のことば、あるいはインターテクスチュアリティが〈亡霊〉を産出する
    ――謡曲《重衡》《千手重衡》、『和漢朗詠集』古注釈、『伊勢物語』
第十章 小宰相と小野小町との絆、あるいは男たちの〈欲望〉を逆なでする
    ――『平家物語』「小宰相身投」、室町時代物語、謡曲《卒塔婆小町》
第十一章 〈貴種流離譚〉に潜むディアスポラ性、あるいは女性たちの彷徨が可能性を拓く
    ――謡曲《隅田川》、御伽草子、『伊勢物語』
第十二章 『源氏物語』を引用する『平家物語』/『平家物語』を引用する『源氏物語』、あるいは新しい〈読み〉の可能性が拓かれる
    ――「維盛と光源氏」、「高倉帝と桐壺帝」

参照文献一覧
作品索引
人名・事項索引
あとがき

著者について
高木信(たかぎまこと)
1963年、滋賀県生まれ。名古屋大学大学院博士後期課程満期退学。1996年に名古屋大学より博士(文学)を取得。専門は、軍記物語、日本語古典テクスト分析、ジェンダー分析、国語教育。学校法人東海学園東海中学・高等学校教諭を経て、2008年より相模女子大学教員。2020年現在、相模女子大学教授。
主な著書に、『平家物語・想像する語り』(森話社、2001年)、『平家物語――装置としての古典』(春風社、2008年)、『「死の美学化」に抗する――『平家物語』の語り方』(青弓社、2009年)など、共編著に、安藤徹・高木信編『テクストへの性愛術』(森話社、2000年)、安藤徹・木村朗子・高木信編『日本文学からの批評理論――亡霊・想起・記憶』(笠間書院、2014年)などがある。他に『曾我物語』、教科書の小説教材、J-POP、原発映画などに関する論文がある。

関連書
ナラトロジー入門/橋本陽介/2800円+税
物語における時間と話法の比較詩学/橋本陽介/7000円+税
モンタージュ小説論/小柏裕俊/3200円+税
源氏物語のディスクール/福田孝/2500円+税

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