12月の新刊:歴史のなかのスペイン——キリスト教徒,モーロ人,ユダヤ人

2020年 12月 15日 コメントは受け付けていません。

歴史のなかのスペイン歴史のなかのスペイン
キリスト教徒,モーロ人,ユダヤ人
アメリコ・カストロ(著)
本田誠二(訳)

判型:A5判上製
頁数:656頁
定価:8000円+税
ISBN:978-4-8010-0521-1 C0022
装幀:齋藤久美子
12月下旬頃発売!

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実証主義を超えて、スペイン史の内奥へ
客観的事実の積み重ねと合理的世界観に背を向け、遠大な計画の夢想、信仰、名誉の追求に情熱を燃やすスペイン的心性は、いかにして醸成されたのか?
スペインを代表する文芸批評家=歴史学者が、騎士道物語、中世イスラム抒情詩、ユダヤ文学の比較分析をはじめとする文学・言語学的方法によって〈スペイン人〉の歴史的な生の総体を洞察するとともに、独自の〈生の在り方〉が生まれる背景となった、スペインにおけるキリスト/イスラム/ユダヤの対立的共存を前提として、スペイン史をその起源より問い直し、大論争を巻き起こした記念碑的書物。

《たとえ間違いを犯すことになったとしても、きわめて不完全なかたちでしかなしえないとしても、己の歴史を生きた人々の存在のなかに分け入っていくことが必要である。外部ではなく内部へと。年代記の叙述的・外部的なやり方を忘れて、歴史のなかへ。もし生が生起する様式が前もって〈見えて〉こないならば、生を語ろうとする試みは無駄である。なぜなら、その結果は茫漠とした挿話となるのが落ちだからである。生がどこから発し、どちらに向かうのか、まとまった構造のなかで見ようと努力せねばならない。もろもろの〈事実〉は歴史ではない。》(本文より)



目次
序文

第一章 スペイン、または不安定という名の歴史
第二章 イスラムとイベリア
第三章 イスラム的伝統とスペイン的生
第四章 イスラム対キリスト教
第五章 騎士団、聖戦、寛容
第六章 文学と生活様式
第七章 思想および宗教的感性
第八章 十三世紀末以降の新たな状況
第九章 イタの主席司祭の『良き愛の書』
第十章 ユダヤ人
第十一章 前章までの内容から導き出された結論

補遺


原註
訳註
人名索引

訳者解説


著者について
アメリコ・カストロ(Américo Castro)
1885年に生まれ、1972年に没する。現代スペインを代表する歴史家・文芸批評家。おもな著書に、本書のほか、『セルバンテスの思想』(1925。本田誠二訳、法政大学出版局、2004)、『スペインの歴史的現実』(1954)、『セルバンテスへ向けて』(1957。本田誠二訳、水声社、2008)、『セルバンテスとスペイン生粋主義』(1967。本田誠二訳、法政大学出版局、2006)などがある。

訳者について
本田誠二(ほんだせいじ)
1951年、東京に生まれる。東京外国語大学大学院外国語学研究科(ロマンス語系言語)修了。現在、神田外語大学外国語学部教授。専攻、スペイン黄金世紀文学。おもな著書に、『セルバンテスの芸術』(2005)、『セルバンテスの批評』(編著、2018)などが、おもな訳書に、カルロス・フエンテス『テラ・ノストラ』(2016)、『セルバンテス全集』(共訳、2016-2018、以上いずれも水声社)などがある。

関連書
スペイン人とは誰か――その起源と実像 アメリコ・カストロ/本田誠二訳/8000円
スペインとスペイン人――〈スペイン神話〉の解体 フアン・ゴイティソロ/本田誠二訳/3000円
セルバンテスへ向けて アメリコ・カストロ/本田誠二訳/10000円
セルバンテス全集
セレスティーナ フェルナンド・デ・ロハス 岡村一訳/4000円
ラサリーリョ・デ・トルメスの人生 岡村一訳/2500円

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