3月の新刊:ジュール・ヴェルヌとフィクションの冒険者たち

2021年 3月 15日 コメントは受け付けていません。

書影_ヴェルヌジュール・ヴェルヌとフィクションの冒険者たち
新島進(編)

判型:四六判上製
頁数:306頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0554-9 C0098
装幀:宗利淳一
3月25日頃発売!

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駆動せよ,文学!
科学的知見を採り入れることで驚くべき冒険譚を生み出したジュール・ヴェルヌ。しかし,その作品には奇抜な筋書きの裏側で稼働する文学テクプログラムが隠されていた。ホフマン,ポー,デュマ,プルースト,ルーセル,ドイル,ラスヴィッツ,レム,音二郎……ヴェルヌが耽溺し,ヴェルヌを偏愛した文豪たちと共にフィクションの極地探査へと,いま乗り出す!


目次
まえがき 私市保彦

物質主義の矯正装置としての幻想――ヴェルヌとホフマン フォルカー・デース

或る復讐譚の変奏――『モンテ゠クリスト伯爵』から『シャーンドル・マーチャーシュ』へ 三枝大修

「生成のブロック」としての「演奏目録」――ヴェルヌとプルースト 荒原邦博

師弟の邂逅――ヴェルヌとルーセル 新島進

〈ドイツのヴェルヌ〉と呼ばれたくなかった男――ヴェルヌとラスヴィッツ 識名章喜

ロビンソン的独我論の爆破――ヴェルヌとコナン・ドイル 石橋正孝

空洞地球再訪――ポー,ヴェルヌ,ブラッドベリ 巽孝之

ジュール・ヴェルヌはなぜ「SFの父」と呼ばれるのか?――ヴェルヌとレム 島村山寝

密使の系譜――日本近代演劇史に絡むジュール・ヴェルヌ『ミハイル・ストロゴフ』をめぐって 藤元直樹

【付録】〈驚異の旅〉作品一覧

あとがき 新島進

編者/執筆者/訳者について
新島進(にいじますすむ)
1969年,埼玉県生まれ。レンヌ第2大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在,慶應義塾大学教授。専攻,近現代フランス文学,SF文学。主な著書に,『ジュール・ヴェルヌが描いた横浜』(編著,慶應義塾大学教養研究センター,2010年),主な訳書に,ジュール・ヴェルヌ『カルパチアの城/ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』(インスクリプト,2018年),レーモン・ルーセル『額の星/無数の太陽』(共訳,平凡社ライブラリー,2018年)などがある。

私市保彦(きさいちやすひこ)
1933年,東京都生まれ。東京大学大学院修士課程修了。武蔵大学名誉教授。専攻,フランス文学。主な著書に,『ネモ船長と青ひげ』(晶文社,1976年),『幻想物語の文法』(ちくま学芸文庫,1997年),『フランスの子どもの本』(白水社,2001年),『名物編集者エッツェルと巨匠たち』(新曜社,2007年)などがある。
フォルカー・デース(Volker Dehs)
1964年,ブレーメン生まれ。ゲッティゲン大学,ナント大学で文学・美術史・哲学を学ぶ。ジュール・ヴェルヌ協会会報編集長,ジュール・ヴェルヌ国際センター会員。主な著書に,『ジュール・ヴェルヌ伝』(石橋正孝訳,水声社,2014年),『ヴェルヌ研究書誌ガイド』,『ヴェルヌ・エッツェル往復書簡集』(編著,全5巻)などがある。
三枝大修(さいぐさひろのぶ)
1979年,千葉県生まれ。ナント大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在,成城大学准教授。専攻,近代フランス文学。主な著書に,『フランス文学を旅する60章』(共著,明石書店,2018年),主な訳書に,ミシェル・レリス『オペラティック』(共訳,水声社,2014年),ジュール・ヴェルヌ『蒸気で動く家』(共訳,インスクリプト,2017年)などがある。
荒原邦博(あらはらくにひろ)
1970年,東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。現在,東京外国語大学大学院准教授。専攻,近現代フランス文学,美術批評研究。主な著書に,『プルースト,美術批評と横断線』(左右社,2013年),主な訳書に,ジュール・ヴェルヌ『ハテラス船長の航海と冒険』(インスクリプト,2021年)などがある。
識名章喜(しきなあきよし)
1956年,東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在,慶應義塾大学文学部教授。専攻,ドイツ近現代文学,ドイツ語圏のSF。主な訳書に,リュディカー・ザフランスキー『E・T・A・ホフマン』(法政大学出版局,1994年),ヨースト・ヘルマント『理想郷としての第三帝国』(柏書房,2002年),フケー『水の精』(光文社,2016年)などがある。
石橋正孝(いしばしまさたか)
一九七四年,横浜市生まれ。パリ第8大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在,立教大学准教授。専攻,19世紀フランス文学。主な著書に,『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』(左右社),主な訳書に,ジュール・ヴェルヌ『地球から月へ 月をまわって 上も下もなく』(インスクリプト,2017年),ミシェル・ビュトール『レペルトワールⅠ』(監訳,幻戯書房,2021年)などがある。
巽孝之(たつみたかゆき)
1955年,東京都生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D)。現在,慶應義塾大学教授。専攻,アメリカ文学思想史・批評理論。主な著書に,『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房,1988年),『ニュー・アメリカニズム 増補決定版』(青土社,2019年),訳書にダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』(水声社,2001年),ポー『黒猫・アッシャー家の崩壊』(新潮社,2009年)などがある。
島村山寝(しまむらさんしん)
1968年,横浜市生まれ。SF批評家。日本ジュール・ヴェルヌ研究会会長。主な論考に,「過剰なる分身――SFの臨界点をめぐって」(『水声通信』,27号)などがある。
藤元直樹(ふじもとなおき)
1965年,京都府生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学。主な論考に,「英国作家ジュール・ヴェルヌ――明治期翻訳のねじれ」(『水声通信』,27号)などがある。

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