2月の新刊:ローリーの『シンシア』——悲しみを吸う蜜蜂

2022年 2月 15日 コメントは受け付けていません。

シンシア鮭ローリーの『シンシア』
悲しみを吸う蜜蜂
櫻井正一郎(著)

判型:A5判上製
頁数:340頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0620-1 C0098
装幀:齋藤久美子
2月下旬頃発売!

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女王への別れと愛。
16世紀イギリスの高名な武人にして詩人のウォルター・ローリーがエリザベスⅠ世(=シンシア)の寵愛をうけ、突然それを失った苦悩を、ロンドン塔収監の失意のなかで、女王への賛美、諷刺、悲哀を織りまぜ昇華させた中篇詩『シンシア』。その詳細な評釈。


目次

まえがき

序説
はじめに/幻の歌/題名/作品の完成度/題材/讃美と批難――女王の問題/二つの結論/悲しみの語られ方――「準ソネット・シークェンス(連作)」による/断片の集まりか?/秘密結婚/一つ前の不遇(一五八九)/執筆の時期/語彙について/エピグラムとパストラル/控えめの表現――ローリー詩の特徴(1)/たくさんの心象の働き――ローリー詩の特徴(2)/地上重視――ローリー詩の特徴(3)/大戦詩に似ている――ローリー詩の特徴(4)/ローリー詩の僥倖――ローリー詩の特徴(5)/『シンシア』研究史

第一部 『シンシア』――悲しみを吸う蜜蜂

第一章 訳と評釈
第二章 結末部の詩
1 蜜蜂が羊に、蜜が若草に
2 庭園に似ている
3 諸家の見方
第三章 予告と展開――構想をたどる
第四章 動機
1 セシルの助けを求めて
2 単独者への道

第二部 『続シンシア』その他――人骨につく苔・苦しみ

第一章 『シンシア』まで
1 ソネット「悲しみだけが残った」――やがて育つ萌芽
2 バラッド「変化の女神があなたを奪った」――『シンシア』を懐胎する
第二章 『続シンシア』その他
1 「序詞」――創られた狂気の有様
2 ソネット「身体は壁の中に閉じ込められているから」――『シンシア』の広告版
3 『続シンシア』――人骨につく苔・苦しみ
4 「エピローグ」――悲しみだけがそれを書ける
第三章 『アン王妃への請願』(一六〇三)
1 訳と評釈
2 総括――苦しみも尽きる

結語
ローリー詩の性質/『シンシア』を作っているたくさんのジャンル/苦しみが 永劫の 定め――詩と散文と実生活/二つの結論と「王の二つの身体」/ローリーの天国/グリーンブラットとエミリス・ジョウンズ

ローリー年譜
主な参考書
図版出典一覧
索引

あとがき

著者について
櫻井正一郎(さくらいしょういちろう)
1936年、大阪府に生まれる。病気で5年遅れて茨木高校を卒業。京都大学英文科卒業、同大学大学院博士課程中退。大阪府立大学、大阪女子大学、京都大学(総合人間学部)に勤務し、停年退官のあと、甲子園大学、龍谷大学にも勤務した。京都大学名誉教授。ケンブリッジ大学(客員研究員)から帰って一念発起し、現代英詩を読んで英語で討論する会を20年間続けた。京都学派は文学研究にもあったと提唱している。著書に『京都学派酔故伝』(京都大学学術出版会、2017年)、『女王陛下は海賊だった 私掠で戦ったイギリス』(ミネルヴァ書房、2012年)、『最後のウォルター・ローリー イギリスそのとき』(みすず書房、2008年)、『サー・ウォルター・ローリー 植民と黄金』(人文書院、2006年)、『イギリスに捧げた歌 フィリップ・ラーキンを読む』(臨川書店、1995年)、『結句有情 英国ルネサンス期ソネット論』(山口書店、1979年)、編著に The View from Kyoto:Essays on Twentieth-Century Poetry(臨川書店、1989年)、など。




本書『ローリーの「シンシア」——悲しみを吸う蜜蜂』に誤植がございましたので,下記のPDFをご覧ください。
▶︎正誤表

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