12月の新刊:四月はいちばん残酷な月——T.S.エリオット『荒地』発表100周年記念論集

2022年 12月 13日 コメントは受け付けていません。

四月_書影四月はいちばん残酷な月
T.S.エリオット『荒地』発表100周年記念論集
佐藤亨+平野順雄+松本真治(編)

判型:A5判上製
頁数:452頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0687-4 C0098
装幀:滝澤和子
12月中旬頃発売!

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現代詩の金字塔『荒地』から一世紀。
エリオットについて、知れば知るほどいいことだ。
ーエズラ・パウンドー



目次

荒地/T.S.エリオット/佐藤亨訳
エリオット,悲喜こもごも/中井晨

Ⅰ 1922年の『荒地』,2022年の『荒地』

パンデミックの陰/田口哲也
軽やかなる変奏――『荒地』におけるパスティーシュの作法/山本勢津子
旅人よ,道なき道を歩め――「英雄の旅」としての『荒地』と「ヒューマニズム」/瀬古潤一
1922年秋,ケインズは『荒地』を朗読した/佐藤亨

Ⅱ 『荒地』を読む

「死者の埋葬」冒頭18行再読/山口均
『荒地』の音を聞く/太田純
『荒地』における“Shantih shantih shantih”/林依里子+ターマ・メブケ
砂漠に咲く花を求めて――植物からのアプローチ/鈴木綾子
スウィーニーはパルジファルか?/松本真治

Ⅲ 『荒地』とモダニズム

〈黄泉降り〉の物語から〈祈りのうた〉へ――エリオット、パウンド、ジョイスの響き合い/池田栄一
前衛の誘惑――『荒地』の後衛性について/米澤光也
「神話的手法」がもたらしたもの――『ユリシーズ』を読むエリオット/小原俊文

Ⅳ 『荒地』と日本,日本と『荒地』

冷戦下に広がる荒地――プリント・カルチャーと詩人の役割/出口菜摘
日本の戦後詩壇の出発とパウンド/エリオット――鮎川信夫「アメリカ」の射程/田口麻奈

Ⅴ エリオットを問う

スピードという現代美学と17世紀形而上詩/圓月勝博
「あなた」と「わたし」について語ること――霊媒の詩人としてのエリオット/井上和樹
エリオットの中のアンドロギュノス的なもの/佐伯惠子

Ⅵ エリオットを追う

パウンド,オルソン,エリオットの「天国」/平野順雄
『荒地』のテキストを万人に開く/齋藤純一
英国ヨーク、1999年から2000年、思い出すままに/進藤秀彦

Ⅶ 『荒地』,ふたたび

『荒地』を荒地にするもの――ヨーロッパ退化論と優生思想/野谷啓二
T.S.エリオット 1922年ビフォー&アフター/松本真治
作品一覧(詩と詩劇)/平野順雄

現代詩の古典としての『荒地』/佐藤亨

編者・著者について
佐藤亨さとうとおる)
1958年生まれ。現在,青山学院大学経営学部教授。著書に『異邦のふるさと「アイルランド」――国境を越えて』(新評論、2005年)、『北アイルランドを目撃する』(水声社、2021年)、『アウラ草紙』(七月堂、2022年)などがある。
平野順雄(ひらのよりお)
1952年生まれ。現在,椙山女学園大学人間関係学部教授。訳書にチャールズ・オルソン『マクシマス詩篇』(南雲堂、2012年)、『ドクター・スースの素顔――世界で愛される絵本作家』(共訳、彩流社、2007年)、論文に「オルソンの文学的『父』、ハーマン・メルヴィル」(『英米文学における父の諸変奏』英宝社、2016年)などがある。
松本真治(まつもとしんじ)
1966年生まれ。現在,佛教大学文学部教授。論文に「現実と夢――ミュリエル・スパークとT.S.エリオット」(『比喩――英米文学の視点から』英宝社、2019年)、「ボウエンのT.S.エリオットとの邂逅――私人、作家、書評家として」(『エリザベス・ボウエン――二十世紀の深部をとらえる文学』彩流社、2020年)などがある。

中井晨(なかいあきら)
1941年生まれ。現在,同志社大学名誉教授。著書に『荒野へ ――鮎川信夫と「新領土」』(春風社、2007年)などがある。
田口哲也(たぐちてつや)
1954年生まれ。現在,同志社大学文化情報学部教授。著書に『T.S.エリオットの作品と本質――モダニズム的知性の結晶』(音羽書房鶴見書店、2013年)、『ケネス・レクスロス中心の現代対抗文化』(国文社、2015年)、『ロンドン日記――突然ときれた記憶』(思潮社、2018年)などがある。
山本勢津子(やまもとせつこ)
1956年生まれ。現在,岩手大学非常勤講師。論文に「『四つの四重奏曲』――封印された愛、あるいは曖昧にされた告白」(T.S.Eliot Review、No.22、2011年)、「フレスカの場面が語るもの,沈黙するもの――『荒地』草稿第Ⅲ部「火の説教」再読」(同、No.31、2020年)などがある。
瀬古潤一(せこじゅんいち)
1974年生まれ。現在,関東学院大学非常勤講師。論文に「『荒地』と『我らが共通の友』再考」(T.S.Eliot Review、No.27、2016年)、「T.S.エリオットと『罪と罰』――遍歴者は母なる大地に回帰する」(同、No.32、2021年)、「詩人探偵の系譜を受け継ぐT・S・エリオット」(『関東学院教養論集』第32号、2022年)などがある。
山口均(やまぐちひとし)
1950年生まれ。現在,愛知学院大学教養部客員教授。論文に「TSE@IAS――物理学者に囲まれたエリオット」(『英米文学における父の諸変奏』英宝社、2016年)、「日本浪曼派の中の伊藤桂――文学」(『風日』風日社、第61巻、第2号、2017年)、「『落花枝にかへると見れば胡蝶哉』考」(Ezra Pound Review、第24号、2022年)などがある。
太田純(おおたすみ)
現在,奈良女子大学ほか非常勤講師。翻訳にJ.ヒリス・ミラー『アリアドネの糸――物語の線』(共訳、英宝社、2003年),論文に「ひと握りの土のなかのおそれ――ヒアシンスの少女の断片をめぐって」(『文学と女性』英宝社、2000年)、「『ポッサムおじさん猫語り』猫とヴァースの楽しい秘密」(『モダンにしてアンチモダン』研究社、2010年)などがある。
林依里子(はやしえりこ)
1958年生まれ。現在,グローバルヘルスケア財団附属研究所教授。著書に『こんな時英語で何という?』(日経BP社、2018年)、論文に“Para-national communication in 20th century poets – the cases of W.H.Auden,”Journal NEWSLETTERS of Academy of Education Sciences of Georgia.2010などがある。
Tamar Mebuke(ターマ・メブケ)
1957年生まれ。現在,ジョージア工科大学外国語学部教授。論文に“Archetype Development in Narrative (Diachronic Study),”Consciousness, Theatre, Literature and the Arts, 2016. “Multicultural Problems in Language Teaching,” Humanitarian Aspects in Geocultural Space, 2016などがある。
鈴木綾子(すずきりょうこ)
現在,同志社大学嘱託講師。翻訳に『大人が楽しむイングリッシュ・ポエチュリー』(共訳、リーベル出版、2007年)、論文に「植物から読み解くT.S.Eliot――yew treeをめぐって」(『英語学英文学論集』第37号、2011年)、「ミュージカルCATSからエリオットへ――Note on the Textを中心に」(T.S.Eliot Review、No.26、2015年)などがある。
池田栄一(いけだえいいち)
1951年生まれ。東京学芸大学名誉教授。翻訳にピーター・アクロイド『切り裂き魔ゴーレム』(白水社、2001年)、論文に「イェイツと〈失意のオード〉――ロマン派的ジャンルの一変奏」(『ロマン派の空間』松柏社、2000年)、「プルーフロックの図像学――あるいは憂鬱なピエロの恋歌」(『ポッサムに贈る13のトリビュート』英潮社、2004年)などがある。
米澤光也(よねざわこうや)
1990年生まれ。現在,仙台白百合学園中学・高等学校専任教諭。論文に「ホメロスと洞窟壁画――“Death by Water”草稿を再読する」(T.S.Eliot Review、No.31、2020年)、「T.S.Eliotの詩的ラディカリズムとその精神」(『東北ロマン主義研究』2021年)などがある。
小原俊文(おばらとしふみ)
1952年生まれ。現在,尚絅学院大学総合人間科学部特任教授。論文に「T. S.エリオットの見たロマン派」(『美神を追いて』音羽書房鶴見書店、2001年)、「エリオットとノンセンス――ノンセンスの二つの定義をめぐって」(『モダンにしてアンチモダン』研究社、2010年)などがある。
出口菜摘(でぐちなつみ)
1976年生まれ。現在,京都府立大学文学部教授。翻訳にマーガレット・アトウッド『サークル・ゲーム』(彩流社、2020年)、『パワー・ポリティクス』(彩流社、2022年)、論文に「T. S. エリオット,または反知性を内包する知識人」(『反知性の帝国――アメリカ・文学・精神史』南雲堂、2008年)などがある。
田口麻奈(たぐちまな)
1981年生まれ。現在,明治大学文学部准教授。著書に『〈空白〉の根底――鮎川信夫と日本戦後詩』(思潮社、2019年)、『コレクション・都市モダニズム詩誌』第29巻「戦後詩への架橋Ⅰ」(編著、ゆまに書房、2014年)、論文に「〈荒地以後〉を問い直す――大岡信と鮎川信夫」(『ユリイカ』49号10巻、2017年)などがある。
圓月勝博(えんげつかつひろ)
1958年生まれ。現在,同志社大学文学部教授。論文に、“Dryden and the Restoration Modes of Sociability,”Cambridge Companion to John Dryden (Cambridge UP, 2004)、 “A Mask: Tradition and Innovation,” A Concise Companion to Milton (Blackwell, 2007)、“The Life and Death of Mr. Badman (1680),” The Oxford Handbook of John Bunyan (Oxford UP, 2018)などがある。
井上和樹(いのうえかずき)
1987年生まれ。現在,東京大学英語英米文学研究室助教。論文に “T.S.Eliot,Myth and Crime: Mystery in The Waste Land and Murder in the Cathedral”(T.S.Eliot Review、No.29、2018年),“Ghost Psychology” in T.S.Eliot and W.B.Yeats(ヨーク大学博士論文,2020年)などがある。
佐伯惠子(さえきけいこ)
現在,京都女子大学文学部教授。著書に『T.S.エリオット詩劇と共同体再生への道筋』(英宝社、2012年)、論文に「Fanny Marlowの物語――もうひとつの“Tom and Viv”」(『英文学論叢』No.62、2018年)、「Charles WilliamsとT.S.Eliotの殉教劇――Thomas Cranmer of Canterburyを中心に」(同、No.63、2019年)などがある。
齋藤純一(さいとうじゅんいち)
1956年生まれ。現在,神奈川大学経営学部教授。論文に “What Paris Means to T. S. Eliot during 1910-1911”(『神奈川大学国際経営論集』第47号、2014年)、“Teaching T. S. Eliot’s Poems to Japanese Students”(同、第63号、2022年)、「T.S.Eliotとパリ留学時代の知的遺産」(T.S.Eliot Review、No.28、2017年)などがある。
進藤秀彦(しんどうひでひこ)
1952年生まれ。元就実大学教授。論文に「The Waste Landの原稿成立過程(1)――第2のタイプライターの解明による執筆順の推定」(『就実英学論集』第14号、1996年)、「出版物としての『荒地』」(『英語世界へのアプローチ』大阪教育図書、2005年)などがある。
野谷啓二(のたにけいじ)
1956 年生まれ。神戸大学名誉教授。著書に『イギリスのカトリック文芸復興』(南窓社、2006年)、『オックスフォード運動と英文学』(開文社、2018年)、翻訳にマイケル・アレクサンダー『イギリス近代の中世主義』(白水社、2020年)などがある。

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