《小島信夫短篇集成》(全8巻)刊行開始!

2014年 10月 22日 コメントは受け付けていません。

人間の生への深い洞察と、独特の浮遊感を孕んだ文体によって古今に類例を見ない実験的な作品世界を創造し、日本の現代文学に新風を吹き込んだ小説家、小島信夫(1915〜2006)。
このたび、生誕100周年を前にし、著者が生涯にわたって書き継いだ全短篇を網羅する、《小島信夫短篇集成》(全8巻)の刊行がはじまります。
〈生きること〉の不可思議を鋭く穿つ初期の代表作から、〈書くこと〉とは何かを問いかけて止まない晩年の作品群、さらには長らく入手困難であった作品や単行本未収録作品もふくめた、170篇以上を一挙に集成しました。
〈文学〉の限界へと果敢に挑み続けた小島信夫の短篇世界が、ようやく全貌をあらわします。

【刊行にあたって】
小島信夫の短篇世界は走る世界だ。人物たちも作中を小走りに走っていることが多いが、文章も走っている。囚われないということを求めているのである。新しい感覚、新しい世界感覚を求めている。新鮮さを実現しようとしているのである。世界の風を全身で感じ取ろうとする。それには走ることだ。その結果、小島信夫の短篇は、美しく華麗な文章でつづられる珠玉の短篇となることを避ける。美しく華麗であることがミジメに見えるからである。世界は動いているのだ。人のこころは揺れながら走っている。そのなかで美しく華麗であることは、もう動かない、もう走らないとうなだれることを意味する。
わが国の戦後小説に、風刺と寓話の深淵を開示した作家、喜劇の予定調和を破って笑劇の実存世界を開示した作家、大正に生まれ、昭和を走り抜け、平成をジョグした小島信夫の短篇世界全域を全8巻にまとめた《小島信夫短篇集成》の出現である。

《小島信夫短篇集成》(全8巻)
編集委員=千石英世・中村邦生/編集協力=柿谷浩一

①小銃/馬(解説=千石英世、8000円+税)★第1回配本(10月27日発売)
②アメリカン・スクール/無限後退(解説=芳川泰久)★第2回配本(11月下旬発売)
③愛の完結/異郷の道化師(解説=堀江敏幸)★第3回配本(12月中旬発売)
④夫のいない部屋/弱い結婚(解説=平田俊子)
⑤眼/階段のあがりはな(解説=いとうせいこう)
⑥ハッピネス/女たち(解説=中村邦生)
⑦月光/平安(解説=保坂和志)
⑧暮坂/こよなく愛した(解説=千野帽子、8000円+税)★第1回配本(10月27日発売)

*A5判上製9ポ1段組み
*各巻300〜600頁程度
*予価5000〜8000円(+税)程度
*第1回配本は2冊同時発売。以後、毎月1冊刊行。2015年4月に全巻完結予定。
*内容見本を用意しております。ご請求ください。

Comments are closed.