12月の新刊:圧力とダイヤモンド《フィクションのエル・ドラード》

2017年 12月 22日 コメントは受け付けていません。

圧力とダイヤ 書影圧力とダイヤモンド
《フィクションのエル・ドラード》
ビルヒリオ・ピニェーラ(著)
山辺弦(訳)

判型:四六判上製
頁数:184頁
定価:2200円+税
ISBN:978-4-8010-0265-4 C0397
装幀:宗利淳一
12月20日頃発売!

ビルヒリオは永遠の少数派、たゆまぬ反骨の士、
不断の反逆者を体現していた。――レイナルド・アレナス


ここは《地獄》か、《楽園》か!?
対人関係が閉塞した世界で暮らす宝石商の主人公は、ひょんなことからダイヤモンドを破格の安さで競り落としてしまうことで、惑星規模の陰謀に巻き込まれてしまう。《圧力者》の存在、ルージュ・メレ、そして人工冬眠計画とは……!?
SF的な想像力で現代世界を皮肉とユーモアで描き出す、キューバの現代作家、ピニェーラの代表作。

著者について
ビルヒリオ・ピニェーラ(Virgilio Piñera)
1912年、キューバのマタンサス州に生まれる。現代キューバを代表する作家。
『エレクトラ・ガリゴー』(1943年)や『誤報』(1949年)をはじめとする戯曲作品によって、実存主義的演劇・不条理演劇の国際的な先駆者となった。
『重圧の島』(1943年)などの詩作品、『冷たい物語集』(1956年)などの短編小説の分野においても先駆的な功績を残した。
1946年からのアルゼンチンへの長期滞在を繰り返した時期には、過激な雑誌『シクロン』を立ち上げるなどして、祖国のみならず、アルゼンチン文壇やペロン独裁への批判を展開する。
キューバ革命政権下では、その言辞ならびに同性愛者であることが反革命的とみなされ、次第に周縁的な立場に追いやられていく。
特に70年代以降は、厳しい監視と検閲により、出版や国外への出国を禁じられ、沈黙を余儀なくされた。革命政権下でピニェーラに対する再評価が進んだのは、一九七九年の没後かなりの時間が経った後のことだった。
本作は、『レネーの肉』(1952年)、『ちっぽけな演習』(1963年)に続いて、ピニェーラが残した最後の長編小説である。

訳者について
山辺弦(やまべげん)
1980年、長崎県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、東京経済大学専任講師。専攻、キューバを中心とする現代ラテンアメリカ文学。博士論文として、『定位されざる逆説的遁走(パラドクサル・フーガ)――ビルヒリオ・ピニェーラとレイナルド・アレナスの長編小説における「弱い」身体の政治性』(2014年)、主な著書には、『抵抗と亡命のスペイン語作家たち』(共著、洛北出版、2013年)、主な訳書には、レイナルド・アレナス『襲撃』(水声社、2016年)、などがある。

フィクションのエル・ドラード】(既刊=★)
襲撃 レイナルド・アレナス/山辺弦訳  2200円+税(★)
気まぐれニンフ ギジェルモ・カブレラ・インファンテ/山辺弦訳
時との戦い アレホ・カルペンティエール/鼓直訳
対岸 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2000円+税(★)
八面体 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2200円+税(★)
境界なき土地 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳  2000円+税(★)
ロリア侯爵夫人の失踪 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳 2000円+税(★)
夜のみだらな鳥 ホセ・ドノソ/鼓直訳
ガラスの国境 カルロス・フエンテス/寺尾隆吉訳 2800+税(★)
案内係 フェリスベルト・エルナンデス/浜田和範訳
場所 マリオ・レブレーロ/寺尾隆吉訳 2200円+税(★)
別れ フアン・カルロス・オネッティ/寺尾隆吉訳 2000円+税(★)
帝国の動向 フェルナンド・デル・パソ/寺尾隆吉訳
人工呼吸 リカルド・ピグリア/大西亮訳 2800円+税(★)
圧力とダイヤモンド ビルヒリオ・ピニェーラ/山辺弦訳(★)
ただ影だけ セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳 2800円+税(★)
孤児 フアン・ホセ・サエール/寺尾隆吉訳  2200円+税(★)
傷痕 フアン・ホセ・サエール/大西亮訳 2800円+税(★)
マイタの物語 マリオ・バルガス・ジョサ/寺尾隆吉訳(次回1月刊行予定!)
コスタグアナ秘史 フアン・ガブリエル・バスケス/久野量一訳 2800円+税(★)
証人 フアン・ビジョーロ/山辺弦訳
* タイトル、訳者は予告なく変更になる場合があります。ご了承下さい。
* お問い合わせの多い『夜のみだらな鳥』は2018年2月刊行予定です。刊行が遅れまして大変申し訳ございません。

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