5月の新刊:チェーホフとサハリン島――反骨ロシア文人の系譜

2018年 5月 30日 コメントは受け付けていません。

チェーホフとサハリン島チェーホフとサハリン島
反骨ロシア文人の系譜
糸川紘一(著)

判型:四六判上製
頁数:343頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0840-8 C0098
装幀:滝澤和子
5月25日発売!

なぜチェーホフは危険を冒し、極東の流刑地サハリンへの旅行を企てたのか。
文壇での確固たる地位を築き、既に円熟期を迎えていたチェーホフが、突如として帝都モスクワを後にし、危険な流刑囚の島サハリンを目指したのはなぜか。その「謎」を「シベリア」とロシア文学の関わりの中に追いながら、ドストエフスキーやソルジェニツィンをはじめとする〈流刑文学〉の系譜にチェーホフを位置づけ、しばしば〈無思想的〉とも解されてきたその作品が秘める思想性を闡明する。


目次
序に代えて

第一章 ロシアの沈滞期と文学模様
  ガルシン/レスコフ/コロレンコ

第二章 シベリア流刑とロシア文学
  チェーホフとドストエフスキー
  「生の家」の記録――異説『死の家の記録』
  ドストエフスキー・逆説の文学
  【付録論文】ドストエフスキーとイサーエワ リュボーフィ・ニーコノワ(糸川訳)

第三章 デカブリストの乱とシベリア流刑
  ネクラーソフ/トルストイ

第四章 チェーホフの転機
  サハリン行の前――一八八〇年代
  サハリン行の後――一八九〇年代
  チェーホフとトルストイ――作家の転機
  チェーホフのサハリン旅行と転機
  転機の後――チェーホフ文学の行方

第五章 『サハリン島』、『シベリアの旅』、短編小説
  天翔る文学的「タタール海峡大橋」
  シベリアのチェーホフ(上)――欧露と亜露
  シベリアのチェーホフ(下)――ロシアの陸奥

第六章 骨太の系譜――反骨ロシア文人の群像
  ラジーシチェフ/プーシキン/チェルヌイシェフスキー/
  ゲルツェン/ソルジェニツィン/アンナ・ポリトコフスカヤ

主要参考文献


あとがきに代えて


著者について
糸川紘一(いとかわこういち)  
1941年、茨城県に生まれる。東京外国語大学大学院修士課程(スラブ系言語専攻)修了。新潟産業大学名誉教授。主な著書に、『ドストエフスキー。自明の超克』(マックス・プレス、モスクワ、2000。ロシア語)、『トルストイ 大地の作家』(東洋書店、2012)が、主な訳書に、S・ベローフ『『罪と罰』注解』(群像社、1990)、B・スーシコフ『トルストイの実像』(群像社、2015)がある。

関連書
チェーホフ小説選 松下裕訳/7000円
『罪と罰』をどう読むか――ドストエフスキー読書会 川崎浹+小野民樹+中村邦生/2500円
ロシアの物語空間 近藤昌夫・角伸明・樫本真奈美・高田映介・新井美智代/3500円

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