4月の新刊:プルーストと芸術

2022年 3月 15日 コメントは受け付けていません。

書影_プルーストプルーストと芸術
吉川一義(編)

判型:A5判上製
頁数:377頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0630-0 C0098
装幀:滝澤和子
4月中旬頃発売!

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生誕150年! 没後100年!
プルーストが人生のすべてを捧げた文学には、美術、音楽、歌劇、建築をはじめ、古典から流行まで、作家が見聞きし味わった芸術のエッセンスが注ぎ込まれている。鑑賞と創作に身を浸し、芸術と人生の関係を追究し、プルーストが作中にちりばめた芸術批評は、われわれに何を物語っているのか。日仏を代表する研究者と現代作家が、『失われた時を求めて』の真髄に迫る。


目次

巻頭言/三浦篤

Ⅰ プルーストと芸術批評
 「こんなふうに書くべきだった」/アントワーヌ・コンパニョン
  プルーストと料理芸術/中野知律

Ⅱ プルーストと音楽
  プルーストと昔日の音楽/和田章男
  「現代音楽はかくも速く移りゆく!」──プルーストと同時代の作曲家たち/セシル・ルブラン
  『失われた時を求めて』においてフランス・オペラが意味するところ/和田惠里

Ⅲ プルーストと性の芸術

  『失われた時を求めて』における「悪の芸術家/吉川一義
  「#MeToo」運動時代のプルースト/マチュウー・ヴェルネ

Ⅳ プルーストと現代作家
  プルーストとドビュッシーの親和性/青柳いづみこ
  小説と時間──プルーストの奇蹟/松浦寿輝
  母語で書くということ/水村美苗

Ⅴ プルーストと美術
  印象主義の神話と画家エルスチール/湯沢英彦
  プルーストにおけるアングル──マネからマン・レイへ/荒原邦博

Ⅵ プルーストと教会/都市景観
  プルーストの遺産への眼差し──『失われた時を求めて』における教会をめぐって/泉美知子
  「二つの教えの神秘的な合致」──エステルと《コンコルディア》/ソフィー・デュヴァル
  『失われた時を求めて』におけるパリの風景──暗示とイメージ連鎖の場としての都市公園/津森圭一

Ⅶ プルーストと大衆文化
  ある眼差しの歴史=物語のために──プルーストと二十世紀の視覚文化/小黒昌文
  プルーストと「万国博覧会の見世物」/クリストフ・プラドー
  プルーストと探偵小説の時代──ポー、ドイル、スティーヴンソン/坂本浩也

Ⅷ プルーストと豪華版
  『花咲く乙女たち』百周年──一九二〇年の豪華版/ナタリー・モーリヤック・ダイヤー

人名索引
編者あとがき/吉川一義

編者/執筆者について
吉川一義(よしかわかずよし)
1948年生まれ。京都大学名誉教授(フランス文学)。主な著書に、Proust et l’art pictural(Honoré Champion,2010)、Relire,repenser Proust(Éditions du Collège de France,2021)、『「失われた時を求めて」への招待』(岩波書店、2021年)、主な訳書に、プルースト『失われた時を求めて』(岩波文庫、全14巻)などがある。

三浦篤(みうらあつし)
1957年生まれ。東京大学大学院教授(西洋近代美術史)。主な著書に、『近代芸術家の表象』(東京大学出版会、2006年)、『エドゥアール・マネ』(KADOKAWA、2018年)、主な編著に『西洋美術の歴史』(全8巻、共編、中央公論新社)などがある。
アントワーヌ・コンパニョン(Antoine Compagnon)
1950年生まれ。コレージュ・ド・フランス名誉教授(フランス文学)。主な著書に、『近代芸術の五つのパラドックス』(1999年)、『第二の手、または引用の作業』(2010年)、『文学史の誕生』(2020年、いずれも水声社)などがある。
中野知律(なかのちづ)
1959年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授(フランス文学)。主な著書に、『プルーストと創造の時間』(名古屋大学出版会、2013年)、『プルーストとの饗宴』(水声社、2020年)、主な訳書に、クリステヴァ『プルースト――感じられる時』(筑摩書房、1998年)などがある。
和田章男(わだあきお)
1954年生まれ。大阪大学名誉教授(フランス文学)。主な著書に、La création romanesque de Proust:la genèse de «Combray»(Honoré Champion,2012)、『フランス表象文化史――美のモニュメント』(2010年)、『プルースト 受容と創造』(2020年、ともに大阪大学出版会)などがある。
セシル・ルブラン(Cécile Leblanc)
1960年生まれ。ソルボンヌ・ヌーヴェル大学准教授(フランス文学)。主な著書に、Wagnérisme et création en France,1883-1886(Honoré Champion,2005)、Proust écrivain de la musique. L’allégresse du compositeur(Brepols,2017)などがある。
和田惠里(わだえり)
1962年生まれ。青山学院大学教授(フランス文学)。主な論文に、「闇のなかで交差する光のエクリチュール プルーストとシュルレアリスム」(「ユリイカ」2014年、青土社)、「ユダヤ性というプリズムが映し出す世界 プルーストとユダヤ問題」(「思想」2013年11月、岩波書店)などがある。
マチュウー・ヴェルネ(Matthieu Vernet)
1981年生まれ。ソルボンヌ大学准教授(フランス文学)。主な編著に、Swann le centenaire(Antoine Compagnon,Kazuyoshi Yoshikawa(dir.),Hermann,2013)などがある。
青柳いづみこ(あおやぎいづみこ)
1950年生まれ。ピアニスト、文筆家。安川加壽子、ピエール・バルビゼの両氏に師事。主な著書に、『翼のはえた指 評伝安川加壽子』(吉田秀和賞)、『青柳瑞穂の生涯』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『六本指のゴルトベルク』(講談社エッセイ賞)などがある。
松浦寿輝(まつうらひさき)
1954年生まれ。小説家、詩人、東京大学名誉教授(表象文化論)。詩集に『吃水都市』(萩原朔太郎賞)、小説に『花腐し』(芥川賞)、評論に『明治の表象空間』(毎日芸術賞特別賞)などがある。
水村美苗(みずむらみなえ)
1951年生まれ。小説家、批評家。小説に『續 明暗』(芸術選奨新人賞)、『私小説 from left to right』(野間文芸新人賞)、『本格小説』(読売文学賞)、『母の遺産――新聞小説』(大佛次郎賞)、評論に『日本語が亡びるとき――英語の世紀の中で』(小林秀雄賞)などがある。
湯沢英彦(ゆざわひでひこ)
1956年生まれ。明治学院大学教授(フランス文学)。主な著書に、『プルースト的冒険』(2001年)、『クリスチャン・ボルタンスキー』(吉田秀和賞、増補新版、2019年)、『魂のたそがれ』(2013年、いずれも水声社)などがある。
荒原邦博(あらはらくにひろ)
1970年生まれ。東京外国語大学大学院准教授(近現代フランス文学、美術批評研究)。主な著書に、『プルースト、美術批評と横断線』(左右社、2013年)、主な訳書に、ジュール・ヴェルヌ『ハテラス船長の航海と冒険』(インスクリプト、2021年)などがある。
泉美知子(いずみみちこ)
1969年生まれ。中央大学准教授(美術史)。主な著書に、『文化遺産としての中世――近代フランスの知・制度・感性に見る過去の保存』(三元社、2013年)、『破壊のあとの都市空間――ポスト・カタストロフィーの記憶』(共著、青弓社、2017年)などがある。
ソフィー・デュヴァル(Sophie Duval)
1964年生まれ。ボルドー・モンテーニュ大学准教授(フランス文学)。主な著書に、L’ironie proustienne. La vision stéréoscopique(Honoré Champion,2004)、Proust et les «Moyen Âge»(avec M. Lacassage,Hermann,2015)などがある。
津森圭一(つもりけいいち)
1976年生まれ。新潟大学准教授(フランス文学)。主な著書に、Proust et le paysage:des écrits de jeunesse à la “Recherche du temps perdu”(Honoré Champion,2014)、編著に、『象徴主義と風景』(共編、水声社、2018年)などがある。
小黒昌文(おぐろまさふみ)
1974年生まれ。駒澤大学教授(20世紀フランス文学)。主な著書に、『プルースト――芸術と土地』(名古屋大学出版会、2009年)、主な訳書に、フィリップ・フォレスト『シュレーディンガーの猫を追って』、『洪水』(いずれも共訳、河出書房新社)などがある。
クリストフ・プラドー(Christophe Pradeau)
1971年生まれ。ソルボンヌ大学准教授(フランス文学)。主な著書に Proust à Illiers-Combray.L’Éclosion du monde(Belin,2013)、Les Vingt-quatre Portes du Jour et de la Nuit(Verdier,2017)などがある。
坂本浩也(さかもとひろや)
1973年生まれ。立教大学文学部教授(20世紀フランス文学)。主な著書に、『プルーストの黙示録――「失われた時を求めて」と第一次世界大戦』(慶應義塾大学出版会、2015)、主な訳書に、ピエール・ブルデュー『男性支配』(共訳、藤原書店、2017)などがある。
ナタリー・モーリヤック・ダイヤー(Nathalie Mauriac Dyer)
フランス国立科学研究所(CNRS)主任研究員(プルースト研究)。主な著書に、Proust inachevé. Le dossier «Albertine disparue»(Honoré Champion,2005)、編著に、Proust,Albertine disparue,édition de la dernière version revue par l’auteur(Grasset,1987)、Proust,Les Soixante-quinze feuillets et autres manuscrits inédits,édition critique(Gallimard,2021)などがある。

関連書
フランス現代作家と絵画/吉川一義・岑村傑編/4000円+税
プルースト的冒険/湯沢英彦/3800円+税
プルースト的絵画空間/真屋和子/6500円+税
プルーストとの饗宴/中野知律/5800円+税
印象・私・世界/武藤剛史/3000円+税

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