12月の新刊:監査文化の人類学――アカウンタビリティ、倫理、学術界《人類学の転回》

2022年 12月 12日 コメントは受け付けていません。

監査文化の人類学_書影監査文化の人類学
アカウンタビリティ、倫理、学術界
《人類学の転回》


マリリン・ストラザーン(編)
丹羽充+谷憲一+上村淳志+坂田敦志(訳)
判型:四六判上製
頁数:440頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0694-2 C0010
装幀:宗利淳一
12月下旬発売!

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人類学者たちが直面するブルシット・ジョブ?!

《説明責任を果たせ!》、《それは何の役に立つのか?》――私たちの日常に忍び込んできた「監査文化」。
市場原理と結びついた生産性の追求とペーパーワークの増大によって、社会はどのように変容したのか? 新自由主義に基づく大学再編成の波を背景に、雑務に忙殺される人類学者たちがみずからの職場を描きだす!


目次

序文 

序論 さまざまな新しいアカウンタビリティ  マリリン・ストラザーン 

第Ⅰ部

第1章 国際通貨基金のミッション業務をめぐる社会組織 リチャード・ハーパー

第Ⅱ部

第2章 威圧的なアカウンタビリティ クリス・ショア+スーザン・ライト 
第3章 生み出される類いまれなる才能 エレノア・リモルディ 
第4章 アカウンタビリティ、人類学、欧州委員会 マリオン・マクドナルド

第Ⅲ部

第5章 トリックスターのジレンマ ペーテル・ペルス 
第6章 監査に付されるアカウンタビリティと命法としての責任 アナンタ・ギリ
第7章 自己アカウンタビリティ、倫理、意味の問題 ヴァッソス・アルギュルゥ 

第Ⅳ部

第8章 一望監視施設としての大学 ヴェレッド・アミット
第9章 学究的環境 トマス・フィリッツ
第10章 学徒、学問分野、省察 ディミトラ・ゲフ=マディアヌゥ

あとがき:アカウンタビリティ、そして民族誌へ マリリン・ストラザーン

事項索引 
人名索引 

訳者あとがき 


編者・執筆者について
マリリン・ストラザーン(Marilyn Strathern)
英国ケンブリッジ大学の名誉教授(社会人類学)。マンチェスター大学教授、ケンブリッジ大学ウィリアム・ワイズ社会人類学教授および同大学ガートン校のミストレスを歴任。専門は、パプアニューギニア研究および英国生殖医療研究。主な著書に、Women in Between(1972)、 The Gender of the Gift(1988)、Partial connections(first published,1991 /邦訳『部分的つながり』(2015年、水声社))、 After Nature(1992)、 Property, Substance and Effect(1999)、 Relations(2020)などがある。
リチャード・ハーパー(Richard Harper)
英国ランカスター大学の社会未来研究所の所長(社会学)。かつて英国サリー大学のデジタル世界研究センターの所長を務めていた。組織生活におけるデジタル技術に関心を持ち、社会学を基盤としつつも学際的な研究を行っている。主な著書に、Inside the IMF(1998)、 Organizational Change and Retail Finance(co-authored,2000)、 The Myth of the Paperless Office (co-authored 2002/共著、 邦訳『ペーパーレスオフィスの神話』(2007年、創成社))、 Texture(2011)、Trust, Computing and Society(2014)などがある。
クリス・ショア(Cris Shore)
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ人類学科教授(社会人類学)。1990年から2002年まで同大学に、その後2018年まではニュージーランドのオークランド大学に、続いてスウェーデンのストックホルム組織調査・研究所(Stockholm Centre for Organizational Research)において公共経営の客員教授を務めた。主な著書に、The Shapeshifting Crown; Locating the State in Postcolonial New Zealand, Australia, Canada and the UK(co-edited,2018)、 Death of the Public University: Uncertain Futures for Higher Education in the Knowledge Economy(co-edited,2017)などがある。
スーザン・ライト(Susan Wright)
デンマークにあるオーフス大学のデンマーク教育学部教授(教育人類学)。本書執筆当時は、英国のバーミンガム大学で上級講師を務めていた。主な著書にWorld Class Universities: A Contested Concept(co-authored,2020)、 論文にInternationalisation and De-internationalisation in Danish University Governance Reforms(2022)がある。
エレノア・リモルディ(Eleanor Rimoldi) 
ニュージーランドのオークランドにあるマッセ―大学の人文科学部人間環境計画学科名誉研究員(社会人類学)。かつては、同大学社会人類学プログラムの上級講師だった。専門は、都市ニュージーランドの市民生活、社会人類学の歴史、比較教育学。また詩人でもある。2000年には大学教員に対するロータリー補助金を受けて、ブーゲンビル島で教育を行うと同時に、同島における内戦後の教育再建に関する調査・研究に従事した。主な著書にHahalis and the Labour of Love(1992)、詩集にAmerican Retrospective(2018)がある。
マリオン・マクドナルド(Maryon McDonald)
ブルネル大学の社会人類学部長を経て、現在は英国ケンブリッジのロビンソン・カレッジで人類学部のフェロー兼研究ディレクターを務めている。専門は、欧州連合、医療人類学、科学人類学、「認知」の再考、言語と言語学、社会理論と幅広い。主な著書に、‘We are not French!’(1989), History and Ethnicity(1989)、 Gender, Drink and Drugs(1994)、 Social Bodies(co-edited,2009)などがある。
ペーテル・ペルス(Peter Pels)
2003年よりライデン大学教授(アフリカ人類学)。専門は、植民地との接触状況における宗教と政治、人類学の歴史、呪術の人類学、社会科学の倫理。学術誌『カレント・アンソロポロジー』の編集顧問、学術誌『ソーシャル・アンソロポロジー』の編集長を歴任。主な著書に、Constructing Knowledge(co-edited,1991)、Colonial Subjects(co-edited,1999)、論文に、Classification Revisited: On time, Methodology and Position in Decolonizing Anthropology(2021)などがある。
アナンタ・クマール・ギリ(Ananta Kumar Giri)
インドのチェンナイにあるマドラス開発研究所で教鞭をとる。専門は、社会の再構築と文化的再生のためのオルタナティブ運動およびオルタナティブ思想。主な著書に、Global Transformations(1998)、 Values, Ethics and Business(1998)、 Sociology and Beyond(2012)、 Knoledge and Social Liberation(2013)などがある。
ヴァッソス・アルギュルゥ(Vassos Argyrou)
米国、キプロスおよび英国で教鞭をとり、現在は英国のキングストン・アポン・ハルにあるハル大学名誉教授(社会人類学)。主な著書に、The Gift of European Thought and the Cost of Living(2013)、The Logic of Environmentalism: Anthropology, Ecology and Postcoloniality(2005)、Anthropology and the Will to Meaning(2002)などがある。
ヴェレッド・アミット(Vered Amit)
カナダのモントリオールにあるコンコルディア大学ファインアート学部社会・文化学際研究センター教授。かつては同大学社会学・人類学科の准教授だった。現在はカナダの国内外でモビリティ研究を行う。主な著書に、Pacing mobilities(co-edited,2020)、 Mobility and Cosmopolitanism(co-edited,2017)、Thinking through sociality(2015)などがある。
トマス・フィリッツ(Thomas Fillitz)
オーストリアにあるウィーン大学社会・文化人類学学科教授。かつては同大学助教だった。専門は映像人類学で、特にビエンナーレ・アートフェスティバル、グローバル/ローカル芸術および芸術市場、ポストコロニアル理論について研究、教育、出版してきた。主な著書に、An Anthropology of Contemporary Art(co-edited,2018)、Debating Authenticity(co-edited,2013)などがある。ほかドイツ語で著書多数。
ディミトラ・ゲフ=マディアヌゥ(Dimitra Gefou-Madianou)
ギリシャのアテネにあるパンテイオン社会・政治科学大学名誉教授(社会人類学科)。かつては同大学教授だった。専門は人類学理論および民族誌、文化の問題、エスニシティ・ジェンダーおよびアイデンティティ形成、移民と多文化主義、人類学とギリシャの学究的環境、医療人類学、薬物およびアルコール使用における社会文化的・歴史的・ジェンダー問題、精神分析・精神医学・人類学の理論など。主な著書に、Alcohol, Gender and Culture(co-edited,1992)がある。ほかギリシャ語で著書・編著多数。

訳者について
丹羽充(にわみつる)
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。共愛学園前橋国際大学国際社会学部専任講師(文化人類学・宗教学・南アジア研究)。著書に『不信の支える信仰共同体――ネパールのプロテスタンティズムについての民族誌的研究』(2020年、水声社)などが、論文にThe Problem of Unity and Representation among Protestants in Nepal(Studies in Nepali History and Society 24 (2),2019)などがある。
谷憲一(たにけんいち)
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。上智大学アジア文化研究所共同研究所員(文化人類学・イラン地域研究)。著書に『嗜好品から見える社会』(共編著、2022年、春風社)が、論文にRealizing the existence of blind spots in the ‘West’: A systems-theoretical perspective(co-authored, Anthropological Theory 20 (4),2020)などがある。
上村淳志(うえむらあつし)
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(社会学)。高崎経済大学経済学部非常勤講師(文化人類学・ラテンアメリカ地域研究)。訳書にクリス・ハン+キース・ハート『経済人類学――人間の経済に向けて』(共訳、2017年、水声社)などがある。
坂田敦志(さかたあつし)
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科特別研究員(文化人類学・中東欧地域研究)。論文に「ポスト社会主義のトリックスター――チェコ共和国におけるポスト社会主義からポスト社会主義以後への移行の契機」『文化人類学』(87巻1号、2022年)などがある。

関連書
部分的つながり/マリリン・ストラザーン/3000円+税

美女と野獣/マイケル・タウシグ/3200円+税
模倣と他者性――感覚における特有の歴史/マイケル・タウシグ/4000円+税
ヴァルター・ベンヤミンの墓標――感覚における特有の歴史/マイケル・タウシグ/3800円+税
自然と文化を越えて フィリップ・デスコラ/4500円+税
反政治機械――レソトにおける「開発」・脱政治化・官僚支配/ジェームズ・ファーガソン/5000円+税
経済人類学――人間の経済に向けて/クリス・ハン+キース・ハート/2500円+税
流感世界――パンデミックは神話か?/フレデリック・ケック/3000円+税
法が作られているとき――近代行政裁判の人類学的考察/ブルーノ・ラトゥール/4500円+税
変形する身体/アルフォンソ・リンギス/2800円+税
暴力と輝き/アルフォンソ・リンギス/3200円+税
わたしの声――一人称単数について/アルフォンソ・リンギス/3200円+税
フレイマー・フレイムド/トリン・T・ミンハ/4000円+税
多としての身体――医療実践における存在論/アネマリー・モル/3500円+税
ケアのロジック――選択は患者のためになるか/アネマリー・モル/3200円+税
作家、学者、哲学者は世界を旅する/ミシェル・セール/2500円+税インディオの気まぐれな魂/エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ/2500円+税

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