9月の新刊:フランスのイスラーム/日本のイスラーム《日仏会館ライブラリー》

2023年 9月 11日 コメントは受け付けていません。

フランスのイスラーム/日本のイスラームフランスのイスラーム/日本のイスラーム
《日仏会館ライブラリー》2
伊達聖伸(編)

判型:A5判上製
頁数:298頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0759-8 C0036
装幀:宗利淳一
9月下旬発売!

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対立と共存の最前線
〈ライシテ=政教分離〉を国是とするフランス、そして〈無宗教の国〉日本において、宗教的・文化的マイノリティであるムスリムは、社会にどのような位置を占め、いかなる問題に直面しているのか。
日仏におけるイスラームをめぐる文化衝突の歴史的経緯と、共生の実現を目指すさまざまな取り組みを辿る、最新の研究成果。



目次

序 フランスと日本のイスラーム――「比較しがたいものの比較」の試み 伊達聖伸

Ⅰ フランスの文脈と日本の文脈

同化不可能なイスラーム――植民地アルジェリアから今日のフランスへ 増田一夫

フランスにおけるライシテとイスラーム――近世から現代まで ヴァレンティーヌ・ズュベール

「遠くて遠い国」と「近くて遠い国」の間――日本のオリエンタリズム、ポストコロニアリズムと排外主義 樋口直人

「日本のイスラーム」と日本人ムスリムの現在 店田廣文


Ⅱ 「過激なイスラーム」と「リベラルなイスラーム」あるいは改宗の両義性

1995年以降のイスラーム・テロリズムに見られる新たな側面 オリヴィエ・ロワ

日本に「過激主義」はないのか? 藤原聖子

イスラームにおいて可能なスピリチュアルな自律性とはいかなるものか アブデヌール・ビダール

リベラルなイスラーム――日本人改宗者女性を事例として 安達智史


Ⅲ 教育と食

フランスにおけるイスラームおよびイスラーム世界に関する研究・教育政策――過去30年間を振り返って カトリーヌ・マイユール゠ジャウアン

フランスにおけるイスラーム教育とイスラーム学教育――現状と新しいプロジェクト ジャン゠ジャック・ティボン+フランチェスコ・キアボッティ

オルタナティブ教育の場としてのイスラーム学校 見原礼子

フランスにおけるハラール市場――ヨーロッパと日本における動向から フロランス・ベルジョ゠ブラクレ

日本におけるハラール・ビジネスの現状と課題 小村明子


編者・執筆者・訳者について
伊達聖伸(だてきよのぶ)  
1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授(宗教学・フランス語圏地域研究)。著書に、『ライシテから読む現代フランス――政治と宗教のいま』(岩波書店、2018年)、編著に、『ヨーロッパの世俗と宗教――近世から現代まで』(勁草書房、2020年)、訳書に、フランソワ・オスト『ヴェールを被ったアンティゴネー』(小鳥遊書房、2019年)など。

増田一夫(ますだかずお)  
1954年生まれ。東京大学名誉教授(フランス思想・フランス地域研究)。著書に、岩野卓司編『共にあることの哲学と現実――家族・社会・文学・政治』(共著、書肆心水、2017年)、訳書に、ジャック・デリダ『マルクスの亡霊たち――負債状況゠国家、喪の作業、新しいインターナショナル』(藤原書店、2007年)など。
ヴァレンティーヌ・ズュベール(Valentine Zuber)  
1965年生まれ。パリ高等研究実習院教授(「宗教と国際関係」講座担当)。著書に、L’Origine religieuse des droits de l’Homme. Le christianisme face aux libertés modernes (Genève, Labor et Fides, 2017), 共著に、Une haine oubliée. L’antiprotestantisme avant le pacte laïque (1870-1905), avec Jean Baubérot (Paris, Albin Michel, 2000)など。
樋口直人(ひぐちなおと)  
1969年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授(社会学)。著書に、『日本型排外主義――在特会・外国人参政権・東アジア地政学』(名古屋大学出版会、2014年)、編著に、『日本は「右傾化」したのか』(共編、慶應義塾大学出版会、2020年)、『ニューカマーの世代交代――日本における移民二世の時代』(共編、明石書店、2023年)など。
店田廣文(たなだひろふみ)  
1949年生まれ。早稲田大学名誉教授(社会学・アジア社会論・エジプト地域研究)。著書に、『エジプトの都市社会』(早稲田大学出版部、1999年)、『日本のモスク――滞日ムスリムの社会的活動』(山川出版社、2015年)など。
オリヴィエ・ロワ(Olivier Roy)  
1949年生まれ。フィレンツェ欧州大学院大学教授(政治学)。著書に、『現代中央アジア――イスラム、ナショナリズム、石油資源』(斎藤かぐみ訳、白水社文庫クセジュ、2007年)、『ジハードと死』(辻由美訳、新評論、2019年)など。
藤原聖子(ふじわらさとこ)  
1963年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授(比較宗教学)。著書に、『ポスト多文化主義教育が描く宗教』(岩波書店、2017年)、『宗教と過激思想』(中公新書、2021年)、『日本人無宗教説――その歴史から見えるもの』(筑摩書房、2023年)など。
アブデヌール・ビダール(Abdennour Bidar)  
1971年生まれ。哲学者。国民教育省視学官。パリ高等研究実習院「社会・宗教・ライシテ研究グループ」研究員。著書に、Self islam (Paris, Seuil, 2006)、編著に、『世俗の彼方のスピリチュアリティ――フランスのムスリム哲学者との対話』(共編、東京大学出版会、2021年)など。
安達智史(あだちさとし)  
1979年生まれ。関西学院大学社会学部教授(社会学、政治哲学、女性ムスリム研究)。著書に、『リベラル・ナショナリズムと多文化主義――イギリスの社会統合とムスリム』(勁草書房、2013年)、『再帰的近代のアイデンティティ論――ポスト9・11時代におけるイギリスの移民第二世代ムスリム』(晃洋書房、2020年)、Muslim and British Post-9/11: Identities in Reflexive Modernity (Trans Pacific Press, 2023) など。
カトリーヌ・マイユール = ジャウアン(Catherine Mayeur-Jaouen)  
1964年生まれ。ソルボンヌ大学教授(アラブ・イスラーム世界近現代史)。著書に、Voyage en Haute-Égypte. Prêtres, coptes et catholiques (Paris, CNRS Éditions, 2019)、共編著に、Le Moyen-Orient par les textes (XIXe-XXIe siècle), avec Anne-Laure Dupont et Chantal Verdeil (Paris, Armand Colin, 2011)など。
ジャン = ジャック・ティボン(Jean-Jacques Thibon)  
フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)教授(イスラーム学)。著書に、Les générations des soufis. Ṭabaqāt al-ṣūfiyya de Abū ʿAbd al-Raḥmān, Muḥammad b. Ḥusayn al-Sulamī (325/937-412/1021) (Leiden-Boston, Brill, 2019)、共著に、Les Maîtres soufis et leurs disciples, avec Geneviève Gobillot (Damas-Beyrouth, Presses de l’Ifpo, 2012) など。
フランチェスコ・キアボッティ(Francesco Chiabotti)  
フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)准教授(イスラーム学)。編著に、Denis Gril, Le serviteur de Dieu : La figure de Muhammad en spiritualité musulmane (Paris, Cerf, 2022) など。
見原礼子(みはられいこ)  
同志社大学グローバル地域文化学部准教授(比較教育社会学・地域研究)。著書に、岩本和子・井内千紗編『ベルギーの「移民」社会と文化――新たな文化的多層性に向けて』(共著、松籟社、2021年)、日下部達哉編『イスラーム教育改革の国際比較』(共著、東信堂、2022年)など。
フロランス・ベルジョ = ブラクレ(Florence Bergeaud-Blackler)
1964年生まれ。フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員(人類学)。著書に、Le marché halal ou l’invention d’une tradition (Paris, Seuil, 2017)、編著に、Le sens du halal : Une norme dans un marché mondial (Paris, CNRS Éditions, 2015) など。
小村明子(こむらあきこ)  
スロバキア共和国国立コメニウス大学東アジア研究所(FIF UK KVAŠ)専任講師、立教大学兼任講師(地域研究)。著書に、『日本とイスラームが出会うとき』(現代書館、2015年)、『日本のイスラーム 歴史・宗教・文化を読み解く』(朝日新聞出版、2019年)など。

田中浩喜(たなかひろき)  
1992年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在籍(宗教学、フランス地域研究)。訳書に、『〈聖なる〉医療――フランスにおける病院のライシテ』(共訳、勁草書房、2021年)など。
佐藤香寿実(さとうかずみ)  
1989年生まれ。芝浦工業大学建築学部建築学科特任講師(人文地理学、フランス地域研究)。著書に、『承認のライシテとムスリムの場所づくり』(人文書院、2023年)など。

関連書
ボードレール 詩と芸術 《日仏会館ライブラリー》1/中地義和編/6000円+税

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