4月の新刊:人形の文化史――ヨーロッパの諸相から

2016年 3月 29日 コメントは受け付けていません。

ピクチャ 1
人形の文化史――ヨーロッパの諸相から
香川檀(編)

判型:四六並製
頁数:344頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0158-9  C 0072 4月10日頃発売
装丁:西山孝司

人はなぜ、〈人形(ヒトガタ)〉をつくるのか?

古来より自らの似姿としてつくりだし、様々な関係を切り結んできた〈人形〉がもつ意義とは何か? 宗教・民俗・文学・芸術・思想など、豊かな文化的土壌をもつヨーロッパの諸相から人形文化の深淵に迫る論集。

[目次]
はじめに――人形の水脈系(香川檀)

第Ⅰ部 〈人形幻想〉の根源をさぐる

第1章  神のかたどり――聖性と呪いの人形文化史(踊共二)
第2章  民間伝承のなかの人形(嶋内博愛)
第3章  自動人形から江戸のからくり人形まで(小山ブリジット/西村淳子訳)
付章① 江戸のからくり人形を現代に甦らせる(半屋春光氏へのインタヴュー)

第Ⅱ部 モダニズム文学にみる人形

第4章  E.T.A・ホフマン『砂男』と自動人形――小説、バレエ、オペラ(光野正幸)
第5章  人造人間の魂――ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』考(木元豊)
第6章  中欧の〈宿命的な痕跡〉を刻む人形――グスタフ・マイリンク『ゴーレム』について(桂元嗣)
付章② フランスの黒人人形と植民地主義——パリ人形博物館を訪ねて(平野千果子)

第Ⅲ部 危機の時代の人形愛

第7章  マネキンとマリオネット――法という名の糸についての覚書き(小森謙一郎)
第8章  予兆のなかのベルメール人形――ドイツ世紀末からワイマール時代の人形芸術(香川檀)
付章③ ベルメールの関節人形——衝撃の出会いからの出発(四谷シモン氏へのインタヴュー)

索引

[編者・執筆者について]
香川檀(かがわまゆみ) 武蔵大学人文学部教授。専攻、表象文化論、ジェンダー論、20世紀美術史。著書に、『想起のかたち――記憶アートの歴史意識』(水声社、2012)、『ダダの性と身体――エルンスト・グロス・ヘーヒ』(ブリュッケ、1998)、論文に、「アレゴリー的身体――人形装置と〈聖なる憂い〉」(小林康夫/松浦寿輝編『表象のディスクール:3 身体』、東京大学出版会、2000、所収)などがある。

踊共二(おどりともじ) 武蔵大学人文学部教授。専攻、西洋史。著書に、『改宗と亡命の社会史』(創文社、2003)、『図説スイスの歴史』(河出書房新社、2011)、『アルプス文化史――越境・交流・生成』(共著、昭和堂、2015)などがある。
嶋内博愛(しまうちひろえ) 武蔵大学人文学部教授。専攻、文化人類学、ドイツ民族学、民間伝承研究。著書に、『「燃える人」伝承と西洋の死生観』(言叢社、2012)、訳書に、フィリップ・パーカー『世界の交易ルート大図鑑』(共訳、柊風舎、2015年)などがある。
小山ブリジット(Koyama Brigitte-Richard) 武蔵大学人文学部教授。専攻、比較文学、美術史。著書に、『遊び絵』(Jeux d’estampes. Images étranges et amusantes du Japon, Nouvelles éditions Scala, 2015)、『日本のアニメーション』(Animation Japonaise — Du rouleau peint aux pokemon, Flammarion, 2009)、『マンガ千年の歴史』(Mille ans de manga, Flammarion, 2007)などがある。
西村淳子(にしむらじゅんこ) 武蔵大学人文学部教授。専攻、言語学。著書に、『フランス語時制論――発話行為のテクスト言語学』(春風社、2015)、『多言語多分化学習のすすめ』(監修・共著、朝日出版社、2008)などがある
光野正幸(みつのまさゆき) 1武蔵大学人文学部教授。専攻、ドイツ文学・音楽文化論。編纂書に、『クラウン独和辞典』(共著、三省堂、1991)、訳書に、『ケラー作品集3』(共訳、松籟社、1988)、ウィリアム・マン『リヒャルト・シュトラウスのオペラ』(共訳、第三文明社、1997)などがある。
木元豊(きもとゆたか) 一武蔵大学人文学部教授。専攻、フランス文学。著書に、『バッカナリア 酒と文学の饗宴』(共著、成文社、2012)、論文に、« le Rêve de Sowana dans l’histoire de L’Ève future de Villiers de l’Isle-Adam »(Études de langue et littérature française, Société Japonaises de Langue et Littérature françaises, n゜87, 2006)などがある。
桂 元嗣(かつらもとつぐ) 武蔵大学人文学部准教授。専攻、ドイツ文学、中欧文化論。著書に、『人類が全体として見る夢――ローベルト・ムージル『特性のない男』』(コンテンツワーク社、2008)、『ドイツ文化55のキーワード』(共著、ミネルヴァ書房、2015)などがある。
平野千果子(ひらのちかこ) 武蔵大学人文学部教授。専攻、フランス植民地史。著書に、『フランス植民地主義の歴史——奴隷制廃止から植民地帝国の崩壊まで』(人文書院、2002)、『フランス植民地主義と歴史認識』(岩波書店、2014)などがある。
小森謙一郎(こもりけんいちろう) 武蔵大学人文学部准教授。専攻、ヨーロッパ思想史。著書に、『デリダの政治経済学――労働・家族・世界』(御茶の水書房、2004)、訳書に、ヨセフ・ハイーム・イェルシャルミ『フロイトのモーセ――終わりのあるユダヤ教と終わりのないユダヤ教』(岩波書店、2014)などがある。

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