2月の新刊:『北回帰線』物語――パリのヘンリー・ミラーとその仲間たち

2018年 2月 26日 コメントは受け付けていません。

北回帰線『北回帰線』物語
パリのヘンリー・ミラーとその仲間たち
本田康典(著)

判型:四六判上製  
頁数:486頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0316-3 C0098
装幀:齋藤久美子
2月25日発売!


1930年代、パリ。ヘンリー・ミラーの苦闘の日々を追う。
『北回帰線』誕生にまつわるエピソードをブラッサイ、ルイス・ブニュエル、エズラ・パウンド、バーニー・ロセットらとの交友を軸に、アメリカでの発禁本がいかに世界的なベストセラーとなっていったかを縦横に綴る〈書物〉の伝記。


目次
Ⅰ 1930年 『北回帰線』へ
パリ到着/オシップ・ザッキン訪問/告白の衝動/アルフレッド・ペルレスとの再会/パリ探訪/『北回帰線』の登場人物たちとの出会い/真珠商人ナナヴァティのアパートに転がり込む/ジューンのパリ訪問/1930年冬の危機/サミュエル・パトナムの『ニュー・レヴュー』/ルイス・ブニュエルの映画

Ⅱ 1931年 『北回帰線』へ
ジョン・ニコルズとフランシス・ウッドのこと/ジューンの仕送りと奇策/ミラード・フィルモア・オズマンと「あのホモ野郎」/サミュエル・パトナム/フランシス・ステロフのゴータム書店/小冊子『作者不詳』/マイケル・フランケルとウォルター・ローウェンフェルズ/作者不詳の『北回帰線』(初稿)/『シカゴ・トリビューン』紙の校正係になりウォンブリー・ボールド、ルイ・アトラスを知る/ジョルジュ・デュアメルとルイス・ブニュエル/「サラヴァンの再来」としてのミラー/タニア、バーサ・シュランクまたの名クリスティーヌ/ミラーのラヴレター/アルフレッド・ペルレスとグレース・ホジソン・フランダラウ/カールと金持ち女イレーヌ/パリの風景、片足の娼婦/公衆トイレ/ブラッサイとの最初の出会いはいつか/宿なしミラー

Ⅲ 1932年 『北回帰線』へ  
ディジョンのカルノー高等中学校/オズボーンの逃亡/オットー・ランクの『芸術と芸術家』を読む

Ⅳ 1933年 『北回帰線』へ
『北回帰線』の「飽和、吸収」とは何を意味するのか/セリーヌの『夜の果てへの旅』と『北回帰線』

Ⅴ 1934年 『北回帰線』へ
『北回帰線』の「序文」の書き手はだれか/記念すべき日/『北回帰線』を発送するミラーと肩入れするエズラ・パウンド

Ⅵ 1935年以降 反響と拡散
フランシス・ステロフ/ロシア系詩人マリア・ザトゥレンスカ/『北回帰線』の密輸入を推進するフランシス・ステロフ/『北回帰線』(メドゥーサ版)の地下出版/ジェイコブ・ブラッセル/サミュエル・ロス/ガーション・レグマン/『北回帰線』のタニアを追う/短編「マリニャンのマーラ」/シモーヌ・ド・ボーヴォワールと『北回帰線』/ジョヴァンニ・パピーニ作『失敗者』/『北回帰線』を読んで芸術家になろうとパリを目指したステットナー兄弟/『北回帰線』草稿の行方にまつわる伝説/『北回帰線』の題名を読み解いたジョン・クーパー・ポウイス/もう一組の聖ヨハネとキリスト/バーニー・ロセット『北回帰線』の版権取得に挑む/『北回帰線』を出版するグローブ・プレス/吹き荒れる『北回帰線』旋風

Ⅶ 1940年以降 日本上陸
日本における『北回帰線』の紹介と翻訳、細入藤太郎、篠田一士、大久保康雄、生田耕作/啓明社版『北回帰線』と「銀座の書店」、久保貞次郎のこと

参考文献・資料
あとがき

著者について
本田康典(ほんだやすのり)
1938年、熊本市に生まれる。早稲田大学大学院修士課程修了。宮城学院女子大学名誉教授。専攻、二十世紀英米小説。主な著書に、『D・H・ロレンスとヘンリー・ミラー』(北星堂、1994年)、『ヘンリー・ミラーを読む』(共編著、水声社、2008年)、主な訳書に、ヘンリー・ミラー『北回帰線』(2004年)、トゥインカ・スィーボード『回想するヘンリー・ミラー』(共訳、2005年、ともに水声社)などある。

関連書
北回帰線 ヘンリー・ミラー/本田康典訳/3000円
ヘンリー・ミラーを読む 本田康典+松田憲次郎編/3500円
ヘンリー・ミラーの8人目の妻 ホキ徳田/3200円
ヘンリー・ミラーの文学 小林美智代/3500円

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