9月の新刊:カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を読む

2018年 9月 3日 コメントは受け付けていません。

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を読むカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を読む
ケアからホロコーストまで
《水声文庫》
田尻芳樹・三村尚央(編)

判型:四六判上製
頁数:312頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0355-2 C0098
装幀:宗利淳一
9月下旬発売!


創造力と技巧、その核心へ
クローンをめぐる倫理の問題から、「信用できない語り」などの小説技法、介護問題や「女同士の絆」といった現代的なテーマ、さらには映画やテレビドラマなど翻案作品にまで射程を広げ、作者の最高傑作『わたしを離さないで』だけを徹底的に読み込む最新/最深の成果。
国内の研究者の論考はもちろん、本邦未訳であった海外の代表的なイシグロ論を大々的に紹介。未刊行の草稿ノート類への調査も踏まえ、カズオ・イシグロの稀有なる創造力の核心へ一挙に斬り込む!


目次
まえがき 田尻芳樹


生に形態を与える マーク・ジャーング/井上博之訳
気づかいをもって書く アン・ホワイトヘッド/三村尚央訳
薄情ではいけない ブルース・ロビンズ/日吉信貴訳
公共の秘密 ロバート・イーグルストン/金内亮訳
時間を操作する マーク・カリー/井上博之訳


看る/看られることの不安 荘中孝之
『わたしを離さないで』における女同士の絆 日吉信貴
「羨む者たち」の共同体 秦邦生
『わたしを離さないで』に描かれる記憶の記念物の手触りをめぐる考察 三村尚央
『わたしを離さないで』におけるリベラル・ヒューマニズム批判 田尻芳樹
クローンはなぜ逃げないのか 森川慎也
『わたしを離さないで』の暗黙の了解 武富利亜
『わたしを離さないで』を語り継ぐ 菅野素子

付論 イシグロはどのように書いているか 三村尚央

〈あとがき〉にかえて 三村尚央


編者について
田尻芳樹(たじりよしき)
1964年生まれ。東京大学教授(イギリス文学)。著書に、Samuel Beckett and the Prosthetic Body: The Organs and Senses in Modernism(Palgrave Macmillan, 2007)、『ベケットとその仲間たち――クッツェーから埴谷雄高まで』(論創社、2009年)、Samuel Beckett and Trauma(共編著、Manchester University Press, 2018)などがある。
三村尚央(みむらたかひろ)
1974年生まれ。千葉工業大学准教授(イギリス文学、記憶研究)。著書に、『英米文学を読み継ぐ――歴史・階級・ジェンダー・エスニシティの視点から』(共著、開文社出版、2012年)、『カズオ・イシグロの視線――記憶・想像・郷愁』(荘中孝之・森川慎也との共編著、作品社、2018年)、訳書に、アン・ホワイトヘッド『記憶をめぐる人文学』(彩流社、2017年)などがある。

関連書
カズオ・イシグロ――境界のない世界/平井杏子/2500円+税
カズオ・イシグロの世界/小池昌代・阿部公彦・平井杏子・中川僚子・遠藤不比人・新井潤美・藤田由季美・木下卓・岩田託子・武井博美/2000円+税

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