お知らせ:ジャック・ランシエール『文学の政治』オンライン合評会

2023年 11月 27日

書影_文学の政治

ジャック・ランシエール『文学の政治』オンライン合評会

日時:2023年12月23日(土)19-21時
発表者:森本淳生(京都大学、本書翻訳者)、熊谷謙介(神奈川大学)、鈴木 亘(東京大学)
コメント:市田良彦(神戸大学)
司会:佐藤嘉幸(筑波大学)
企画:フーコー研究フォーラム

「文学の政治」とは、作家が行う政治活動や、その作品の政治的側面をいうのではない。《文学は文学として政治を行う》のである――エクリチュールの民主主義が成立する近代以降、《文学》によってラディカルな次元で可能となる既存の「分割=分配 」への異議申し立てを提示する、メタ・ポリティークの詩学。
《政治的活動によって感性的なものの分割=分配 はかたちを変える。公共の舞台に新たな対象と主体が導入され、見えなかったものが見えるようになり、騒々しい動物が話す存在として耳を傾けられるようになる。「文学の政治」が含意するのは、文学は文学として、こうした空間と時間、見えるものと見えないもの、言葉と雑音の切り分けに介入する、ということである。》(本書より) 

登録は下記よりお願いします
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZ0tceysrT0sGNzu8wBgNUvc1yiZ_4tPWS2R

 

12月の新刊:マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を読む《水声文庫》

2023年 11月 22日

ブログ_アトウッド書影マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を読む
フェミニスト・ディストピアを越えて
《水声文庫》
加藤めぐみ・中村麻美(編)
マーガレット・アトウッド、奥畑豊、三村尚央、小川公代、生駒夏美、渡部桃子、小谷真理、高村峰生、安保夏絵、シュテファン・ヴューラー、石倉綾乃(著)
西あゆみ(訳)

判型:四六判上製
頁数:326頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0685-0 C0098
装幀:宗利淳一
12月下旬発売!

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奴らに虐げられるな
1985年に発表された近未来小説『侍女の物語』と、2019年の続編『誓願』。
男性優位の独裁国家を描く暗澹たるディストピア文学が、なぜ今日、フェミニスト・プロテスト文化の象徴として耳目を集めるのか。
女性の身体と連帯、歴史と記憶、声と語り、エコロジー、セクシュアリティ/ジェンダー、ケア……
現実世界の諸相を束ねて生み出された物語世界に、現在そして未来を生き抜くための希望を探る。

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11月の新刊:ドゥルーズ=ガタリと私たち——言語表現と生成変化の哲学

2023年 11月 13日

Deleuze-Guattariドゥルーズ=ガタリと私たち
言語表現と生成変化の哲学
平田公威(著)

判型:A5判上製
頁数:320頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0769-7 C0010
装幀:宗利淳一
11月下旬発売!

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実用的見地から読み解くドゥルーズ=ガタリ
ギヨーム、イェルムスレウ、バフチンをはじめ、ソシュール以降の言語学者たちが与えた衝撃を精緻に分析することにより、日常的な経験を支える言語や表象の水準から《生成変化》に至る理路を照らしだす。

私たちがドゥルーズ゠ガタリのただなかに身を置くとき、私たちは、「ひと」の名において、「種々の機械」の名において、「みんな」の名において、私たちとあなたたちの名において語り思考することになる。そして、この変遷は、私たちあなたたちと出会うまでの過程でもある。「ドゥルーズ゠ガタリと私たち」から「私たちとあなたたち」へ。今度はあなたたちの言葉のただなかに身を置かなければならない。耳をうずめるようにして。



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11月の新刊:DUB論

2023年 11月 10日

DUB論_書影DUB論
マイケル・E・ヴィール(著)
森本幸代(訳)

判型:四六判並製
頁数:416頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0766-6 C0073
装幀:宗利淳一
11月下旬発売!

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喪失と創造の音楽
ジャマイカのレコーディング・エンジニアによって生みだされ、 世界のポピュラー音楽を変えた「ダブ」の輪郭を、 豊富な歴史的資料と鋭い楽曲分析から描きだし、 ポストモダンの美学に接続する世界初の研究書!

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11月の新刊:戦後フランスの前衛たち——言葉とイメージの実験史

2023年 11月 7日

書影_戦後フランスの前衛たち戦後フランスの前衛たち
言葉とイメージの実験史
進藤久乃(編)

判型:A5判上製
頁数:368頁
定価:6,000円+税
ISBN:978-4-8010-0755-0 C0098
装幀:Gaspard Lenski
11月下旬頃発売!

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前衛運動のゆくえ
大戦後の芸術運動(コブラ、レトリスム、シチュアシオニスト)を俯瞰する第一部、前衛周辺の作家たち(ポーラン、ポンジュ、パタフィジック、ベケット)を論じる第二部、詩に革新をもたらした音声詩、視覚詩の展開を見据える第三部を通して、戦後フランスの前衛運動の見取図を描き出す。

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11月の新刊:さらばボゴタ《フィクションの楽しみ》

2023年 11月 7日

さらばボゴタ_書影さらばボゴタ
《フィクションの楽しみ》
シモーヌ&アンドレ・シュヴァルツ゠バルト(著)
中里まき子(訳)

判型:四六判上製
頁数:237頁
定価:2700円+税
ISBN:978-4-8010-0786-4 C0097
装幀:宗利淳一
11月下旬発売!

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黒人という、女性という呪い
火山の噴火でカリブ海の故郷を追われ、世界を彷徨し、最期にパリの施設にたどり着いたマリオットが紡ぐ、ある一族の歴史=人生の物語。
奴隷たちの先頭に立って戦い、出産後すぐに処刑された実在の黒人女性から始まる家族の物語、ユダヤ系フランス人アンドレとグアドループ出身のシモーヌによる代表作!

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イベントのお知らせ:千葉文夫✕根本美作子 ピエール・ミションの凄さ――他者を描く/自分を書く ピエール・ミション『小さき人びと――折々の肖像』(水声社)刊行記念

2023年 11月 6日

小さき人びと――折々の肖像』(小社9月刊)の刊行を記念して、本書訳者の千葉文夫先生とプルースト研究者である根本美作子先生の対談が行われます。ふるってご参加ください。

書影_小さき人びと


千葉文夫✕根本美作子
ピエール・ミションの凄さ――他者を描く/自分を書く
ピエール・ミション『小さき人びと――折々の肖像』(水声社)刊行記念


日時:2023年11月30日(木)19時30分~(19時開場)
会場:本屋B&B・リアルタイム配信(見逃し視聴あり)
参加費:【来店参加(数量限定・1ドリンク付き)】2,750円(税込)/【配信参加】1,650円(税込)
主催:本屋B&B

詳しくは、本屋B&Bのウェブサイトまで。

 

11月の新刊:古代教会スラヴ語入門【選文集】

2023年 11月 2日

古代教会スラヴ語選文集_書影古代教会スラヴ語入門【選文集】
原求作(著)

判型:A5判並製
頁数:163頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0746-8 C3087
装幀:滝澤和子
11月下旬発売!

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全スラヴ諸語の書き言葉の基礎となった言語の文法を解き明かす『古代教会スラヴ語入門』の別冊=選文集。
詳細な注釈付きのテキスト12篇と語彙集を収め、実際の表現に触れながら古代教会スラヴ語読解の実践力を身につける。

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11月の新刊:モードで読み解くフランス文学《水声文庫》

2023年 11月 2日

書影_モードで読み解くフランス文学モードで読み解くフランス文学
《水声文庫》
村田京子(著)

判型:四六判上製
頁数:352頁+別丁カラー16頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0757-4 C0098
装幀:宗利淳一
11月下旬発売!

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服飾にみるジェンダー規範
作家たちは服装の記号を駆使していかに作品を描いたのか? フランス革命と服飾(バルザック)、変装する女性(サンド)、オート・クチュールの世界(ゴンクール)、女の欲望を掻き立てるデパート(ゾラ)など、小説に登場するモードを通して19世紀のフランス社会を読み解く。

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11月の新刊:フォルチュニのマント——『失われた時を求めて』をめぐる衣服の記憶《批評の小径》

2023年 11月 2日

書影_フォルチュニのマントフォルチュニのマント
『失われた時を求めて』をめぐる衣服の記憶
《批評の小径》
ジェラール・マセ(著)
福田桃子(訳)

判型:四六判上製
頁数:162頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0754-3 C0098
装幀:宗利淳一
11月下旬発売!

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『失われた時を求めて』を裏返しに読む。
マルセル・プルーストと同じ1871年に生まれた天才芸術家マリアノ・フォルチュニ。作家は彼の創造する《衣装》をいかに効果的に織り込むか、その効果を周到に計算していた……
「官能を刺激し、詩的イメージを喚起し、そして苦痛をもたらす役割を、かわるがわる果たす」(プルースト)フォルチュニの絢爛たる衣装がもつ記憶の喚起力を紡ぎ出す。

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11月の新刊:ブランショとともに

2023年 10月 31日

ブランショとともに_書影ブランショとともに

郷原佳以+安原伸一朗+石井洋二郎+髙山花子+伊藤亮太+門間広明+森元庸介+千葉文夫+石川学(著)

判型:四六判アンカット無製本
頁数:80頁
定価:1000円+税
ISBN:978-4-8010-0768-0 C0098
11月上旬発売!

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戦後最大のフランスの文芸批評家モーリス・ブランショへの日本人研究者・批評家たちからの15篇のオマージュ!
《読むのが困難なものこそ読むに価する唯一のものだ。》(M.B.)

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10月の新刊:21世紀のスペイン演劇②

2023年 10月 16日

21世紀のスペイン演劇2_書影21世紀のスペイン演劇②
ライラ・リポイ+フアン・カルロス・ルビオ+フアン・マヨルガ+パチョ・テリェリア+ヘスス・カンポス・ガルシーア+ニエベス・ロドリーゲス+カロリーナ・ロマン(著)
田尻陽一(編)
田尻陽一+岡本淳子(訳)

判型:A5判上製
頁数:278頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0760-4 C0374
装幀:滝澤和子
10月下旬発売!

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スペイン内戦、異端審問、移民問題、資本主義、セクシャル・アイデンティティ…
2019年から2022年の間にスペインで上演された作品を収録。
あるいはスペイン史の悲劇を、あるいは葛藤を抱える現代人の姿を克明に舞台空間に映し出す、気鋭の劇作家による7編の演劇。

人生ってタバコみたいだって思わないか? 火をつける前は、これからだって期待がある。火をつけて命を与える。火がついた先はこれから素晴らしい夜が待ち受けていると言ってるみたいだ。一口目は甘いリンゴの味、ハッカの香り。そうだな、なめらかな白磁の釉薬って感じかな。でも俺たち、妖術師の魔術にコロッとひっかかってる。あっという間にタバコは燃え尽き、唇を火傷するまで火はすぐそこだ。口の中はいがらっぽい。吸殻を床に捨てる。平然と踏みつぶし、あとは忘れる。残るのは煙だけ。で、一巻の……終わり。
『膵臓』より


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『評伝 ポール・ヴァレリー』(恒川邦夫監訳)、日本翻訳出版文化賞を受賞

2023年 10月 11日

小社より2023年6月に刊行された『評伝 ポール・ヴァレリー』(恒川邦夫監訳)が、第59回日本翻訳出版文化賞を受賞しました。監訳の恒川邦夫先生をはじめ訳者の先生方々、おめでとうございます!
また、選考委員の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。

 

10月の新刊:アラン・バディウ、自らの哲学を語る

2023年 10月 11日

アラン・バディウ_書影アラン・バディウ、自らの哲学を語る
アラン・バディウ(著)
近藤和敬(訳)

判型:四六判上製
頁数:156頁
定価:2000円+税
ISBN:978-4-8010-0764-2 C0010
装幀:宗利淳一
10月下旬発売!

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バディウ哲学の総決算
存在と普遍性、諸世界と特異性、出来事と主体と諸真理、無限者と絶対者……。哲学との出会いから、哲学の条件とその役割について、そして主著三部作『存在と出来事』『諸世界の諸論理』『諸真理の〈内在〉』の核心まで、直裁簡明に本人が語る!

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10月の新刊:彫刻の呼び声【新装版】

2023年 10月 4日

彫刻の呼び声_書影彫刻の呼び声【新装版】
峯村敏明(著)

判型:A5判上製
頁数:312頁
定価:4500円+税
ISBN:978-4-8010-0742-0 C0070
装幀:滝澤和子
10月下旬発売!


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オブジェ、構成、インスタレーションといった〈類彫刻〉全盛の時代のまっただ中で、真の彫刻はいかにそれらを超え出て輝くことができるか。同時代の彫刻に厳しい眼差しを注ぎながらもその希望の解を求めつづけた稀代の批評、ここに集成。

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10月の新刊:逸脱と侵犯――サラ・ケインのドラマトゥルギー

2023年 10月 4日

逸脱と侵犯_書影逸脱と侵犯
サラ・ケインのドラマトゥルギー
關智子(著)

判型:A5判上製
頁数:352頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-0761-1 C0074
装幀:宗利淳一
10月下旬発売!

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〈会ったことがない私自身、その顔は私の心の裏側に貼り付けられている〉
上演不可能なト書き、語り手のいない台詞、錯綜する時空間、社会的タブーの侵犯、タイポグラフィー的実験、そして死――
表象可能性の極限へと迫り、戯曲という芸術形式そのものを根源的な問いに付した夭折の劇作家、サラ・ケイン。激しく変転する作品に通底するテーマを明らかにする、本邦初のモノグラフ!

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10月の新刊:クリストとジャンヌ゠クロードの環境彫刻――「自由」と「愛」と「最良の時間」

2023年 10月 4日

クリスト_書影クリストとジャンヌ゠クロードの環境彫刻
「自由」と「愛」と「最良の時間」
富士栄厚(著)

判型:A5判上製
頁数:176頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0763-5 C0070
装幀:齋藤久美子
10月下旬発売!

▶直接のご注文はこちらへ◀︎

環境彫刻を代表する作家が生涯を通じて追求した「最良の時間」とは何だったのか?
デュシャンやヌーヴォー・レアリスムの作家たちをはじめとする同時代の美術家・批評家との交流や、スミッソン、タレルらの作品との比較から、記号学的手法を用いてその全貌を描き出す。

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10月の新刊:オーバーラップ――飛行あるいは夢見ること

2023年 10月 4日

オーバーラップ_書影オーバーラップ
飛行あるいは夢見ること
加藤有希子(著)

判型:四六判上製
頁数:144頁
定価:2000円+税
ISBN:978-4-8010-0762-8 C0093
装幀:滝澤和子
10月下旬発売!

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男は砂漠で葉書を書いた、そこからすべてがはじまる――
アメリカの大学院で美術史を学ぶ千尋と、並行世界を旅する〈飛行機乗り〉の語りが交差する表題作のほか、憎しみの連鎖を断ち切るためのウィットに富んだ短編「ブラックホールさんの今日この日」を収録。



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10月の新刊:底意地の悪い〈他者〉——迫害の現象学《言語の政治》叢書

2023年 9月 27日

底意地の悪い他者底意地の悪い〈他者〉
迫害の現象学
《言語の政治》
ジャック=アラン・ミレール(監修)
森綾子・伊藤啓輔(訳)

判型:A5判上製
頁数:252頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0750-5 C0011
装幀:中山銀士(協力:金子暁仁)
10月上旬発売!

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悪意は常にほのめかされている。
言外に含まれた悪意に触れたとき、それはどんな姿形をとってわれわれを脅かすのか? 家族、恋人、パートナー、隣人、上司、教師……世界各地のラカン派精神分析家が集い、悪意に満ちた世界に生きる主体の症例を報告し、言語と主体との関係に忍び込む悪意の発露を見極める。

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2023年6月の重版のお知らせ

2023年 9月 20日

在庫僅少だった書籍7点を重版し、また、カバー在庫僅少のため美本の入手が困難となっていた書籍8点のカバーを作成しました。

お近くの書店からご注文いただくか、またはこちらから小社に直接ご注文ください。

【重版】(価格は税別)
夜のみだらな鳥 《フィクションのエル・ドラード》
ホセ・ドノソ/鼓直訳/3500円
畸形児《ボーイ》の養育を託された名家の秘書ウンベルトは、宿痾の胃病で病み衰え、使用人たちが余生を過ごす修道院へと送られ悪夢のような自身の伝記を語り始める……。『百年の孤独』と双璧をなすラテンアメリカ文学の最高傑作。

マルーシの巨像 《ヘンリー・ミラー・コレクション 5》
ヘンリー・ミラー/金澤智訳/2500円
第二次世界大戦の直前、ギリシャを訪れた著者はそこに今や現代社会からは失われてしまった混沌と情熱、神性と永遠を見出す。現代文明への痛烈な批判と独特の詩情が全編に迸る無頼の紀行文学。

[詳注版]カラマーゾフの兄弟
ドストエフスキー/杉里直人訳/18000円
歴代の邦訳の「誤訳」を徹底的に洗い出した16番目の邦訳となる「本篇」と、張り巡らされた聖書テクストへの言及を読み解き、当時の裁判・教育制度、諺、衣服、風俗を解説する膨大な訳注を含む「注・解説・年譜篇」からなる豪華本。

没入と演劇性――ディドロの時代の絵画と観者
マイケル・フリード/伊藤亜紗訳/5000円
ミニマリズム作品を批判した概念として名高い「演劇性」は、18世紀のフランス絵画の成立条件に関わる問題として登場した。当時の美術批評家たちの言説を読み解きながら、いかにして観者という存在が問題視されるようになったか、その理論的枠組を提示する。

ユートピア的身体/ヘテロトピア 《言語の政治叢書》
ミシェル・フーコー/佐藤嘉幸訳/2500円
権力による服従化とともに存在し、抵抗へと反転しうる身体を考察する「ユートピア的身体」、権力への抵抗と、権力の解体の可能性を秘めた反‐場所を模索する空間論「ヘテロトピア」の二篇を収録。ジュディス・バトラー「フーコーと身体的書き込みのパラドックス」を付す。

北アイルランドを目撃する
佐藤亨/3000円
北アイルランドはどこへ向かうのか。1994年の停戦から、ベルファスト合意、そしてブレグジットの今日まで、北アイルランドの人々の平穏な暮らし、暮らしのなかの紛争をミューラル(壁絵)の変遷をとおして追い続け、活写してきた著者の集大成。

非‐場所――スーパーモダニティの人類学に向けて 《叢書人類学の転回》
マルク・オジェ/中川真知子訳/2500円
歴史とアイデンティティに根ざした場所と対置される、インターネット空間、スーパーマーケット、空港などを匿名性に満ちた「非‐場所」として考察し、21世紀の「いま・ここ」の新たな理論を立ち上げる。

【カバー重版】(価格は税別)
モレルの発明 《フィクションの楽しみ》
アドルフォ・ビオイ=カサーレス/清水徹+牛島信明訳/1500円
二つの太陽、二つの月が輝く絶海の孤島での亡命者と若い女の奇妙な恋物語のうちに、現実とイマージュ、現実と虚構とを巡る形而上的思考を封印し、『去年、マリエンバートで』、『ピアノ・チューナー・オブ・アースクエイク』の霊感源ともなった、ボルヘスの盟友による異色の中篇小説。

この世の王国 《叢書アンデスの風》
アレホ・カルペンティエル/木村栄一+平田渡訳/1500円
ヴードゥー教がいまだに根強く生き延び、圧制と反乱のうち続くカリブ海の島ハイチで、世にも数奇な運命を辿った一黒人奴隷の眼に映った新大陸の驚くべき現実。シュルレアリスト=魔術的レアリストとして知られる著者の初期の傑作中篇。

一〇〇兆の詩篇
レーモン・クノー/塩塚秀一郎+久保昭博訳/2500円
1日中、1年365日読み続けても、読了には2億年かかる! 一行ずつバラバラにして組み合わせることが可能な10篇の14行詩、つまり、10の14乗 = 100 兆通りの組み合わせが可能な、一冊あれば一生、いや何百万生のあいだ「楽しめる」ことうけあいの伝説的な作品。

ステファヌ・マラルメ
ギィ・ミショー/田中成和訳/2800円
書くことの問題を、とりわけ《言語》の問題として極限にまで問いつめた19世紀フランスの偉大な詩人、現代文学のプロブレマティックの隠れた中心ともいうべき、この難解をもって知られる詩人への定評ある最良の入門書。

美術館・動物園・精神科施設 《水声文庫》
白川昌生/2800円
美術館、動物園、精神科施設の内外において《見せ物》にする/されるという関係における《倫理》とは何か? エランベルジェと中井久夫の彼方へ向けて、今日の美術と美術館を考える。

スピノザとわたしたち
アントニオ・ネグリ/信友建志訳/2500円
スピノザという異形の運命に立ち戻り、その批判的/転覆的意味そしてその《共》の哲学を今ここに布置する。〈ポスト近代の政治的地平を展望しようとするネグリ思想の精髄〉。

フョードロフ伝
スヴェトラーナ・セミョーノヴァ/安岡治子+亀山郁夫訳/4000円
宗教的かつ科学的なその夢想的理念によって、あらゆるものを分離分化する近代の知に異を唱え、特異な〈統合〉の思想を説く、19世紀末ロシアの〈幻の思想家〉フョードロフの生涯と思想の全貌を明らかにする、本邦初の本格的評伝。

メルヘン論
ルドルフ・シュタイナー/高橋弘子訳/2000円
シュタイナー教育そのものを創始したドイツの思想家=神秘学者が、グリム童話や世界各地の童話を例に、《人間の魂の最奥の深み》から湧き出る最も根源的なものとしての童話=メルヘンを独自の霊学的観点から具体的に解明する。