編集部通信/『文芸時評』

2010年 4月 5日

すでにご存じのかたも多いと思いますが、
毎月1回、毎日新聞紙上に掲載されていた
川村湊さんの文芸時評が、この3月をもって17年間で終了しました。
川村さん、本当にお疲れさまでした。

文芸時評を長期にわたって継続して書くという作業は、
それはもう労ばかり多くして報われることの少ない仕事です。
ある作品のネガティヴな側面について一度でもふれようものなら
そのさきずっと作者から憎まれもするでしょうし、かといっておべんちゃらばかりでは
ことばが読者に届きません。文芸評論家としての能力がもっとも問われる、
その地道な仕事を、川村さんが17年間にわたって持続させてきた
という事実は、もっともっと評価されてしかるべきでしょうし、
文学史の記録にも記憶にも残る、といっても過言ではないと思います。

その川村さんの仕事の15年分を一挙に収録したのが、
2008年7月に弊社から刊行された『文芸時評 1993-2007』
A5判上製9ポ2段組636ページの大冊です。
刊行時には富岡幸一郎さんから「これこそが現代文学史」と評価され、
現在も東京新聞で時評を担当している沼野充義さんからも
ご高評をいただきました()。

いわゆるポスト冷戦の開始とときを同じくして始まり、
阪神淡路大震災、オウム真理教事件を経て、
いまだ混沌としている21世紀に突入して現在にいたる《文学》と
それをめぐるさまざまな状況を《定点観測》した貴重な証言です。
ぜひこの機会に手にとってみてください。
ちなみに今月からは気鋭の評論家、田中和生さんが引き継ぐそうです。
その川村さんと田中さんの新旧対談はこちら()。
これからの新しい紙面も楽しみにしたいと思います。(編集部 Naovalis)


4891766824川村 湊

『文芸時評 1993-2007』

A5判上製636頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-682-5 C0095


松浦寿輝氏推薦!

日本の小説界の空気と風土が激変したこの15年、
川村湊は一つところにじっと腰を据え、
気温の変化を肌で感じ、日差しと翳りの推移に目を凝らし、
何もかもを視野に収め、肩に力を入れない自然体で、
平静に、平明に、寛大に、辛辣に、「いま何が起きているか」を証言し続けてきた。
「持続とは力なり」という言葉を、これほど鮮やかに示している仕事もないと思う。

 

4月の新刊『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』

2010年 4月 2日

nadaud_cover2ステファヌ・ナドー著/信友建志訳

アンチ・オイディプスの使用マニュアル

四六判上製352頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-760-0  C0010 4月10日頃発売!


逃走か、あるいは競闘か?
21世紀の最もラディカルな
『アンチ・オイディプス』臨床実践!


ポップ心理学、資本主義、そして死。
混沌が支配する日常を《くたばらずに》生き抜くために、
ガタリ=ドゥルーズはいかに実践しうるのか?
カフカ、プルースト、三島由紀夫、
『スター・ウォーズ』、バッグス・バニーを駆使する、
鮮烈なエクリチュール機械の誕生!



ステファヌ・ナドー:
1969年生まれ。哲学者にして児童精神科医。
フェリックス・ガタリ『カフカの夢分析』(水声社)、
『アンチ・オイディプス草稿』(みすず書房)などの編者でもある。

信友建志:
1973年生まれ。京都大学非常勤講師。思想史・精神分析専攻。
著書に『フロイト=ラカン』(共著、講談社選書メチエ)など、
訳書にアルチュセール『精神分析講義』(共訳、作品社)、
ネグリ『野生のアノマリー』(共訳、作品社)など多数がある。

 

4月の新刊『絵本の子どもたち』

2010年 4月 2日

ehon_cover寺村摩耶子

絵本の子どもたち——14人の絵本作家の世界

A5判上製320頁+カラー口絵8頁/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-779-2  C0095  4月10日頃発売!


〈子どもを生きる〉
絵本という、子どもの本を舞台に、個性あふれる美しい作品を
つくりつづけている絵本作家たち。圧倒的な輝きをはなつ
クリエイターたちの魅力を、200点以上の絵本をとおして語る、
注目の絵本作家論にして楽しいエッセイ集。カラー口絵8頁ほか図版多数収録。

絵本の森への招待。14の入口——
片山健/長新太/スズキコージ/井上洋介/荒井良二/
飯野和好/たむらしげる/宇野亜喜良/酒井駒子/沢田としき/
谷川晃一/島田ゆか/南椌椌/木葉井悦子




著者紹介——寺村摩耶子(てらむらまやこ)

1965年、大阪に生まれる。明治学院大学文学部フランス文学科卒業。
映画会社に勤務しながら週刊誌などで絵本の書評を書きはじめる。
98年以降フリーに。文・企画協力に、『大いなる子どもたち 世界の絵本作家展』
『絵本作家ワンダーランド』(読売新聞大阪本社)などのほか、
『稲垣足穂の世界 タルホスコープ』(平凡社コロナ・ブックス、2007年)。
著書に、稲垣足穂論『タルホ空中飛行器』(白亜書房、2003年)、
訳書に、『恋愛 L’amour 』(アンドレ・ブルトン&ポール・エリュアール著、
宇野亜喜良画、エクリ、2006年)がある。

 

編集部通信/偽アメリカ文学の実践 その1

2010年 4月 1日

今月16日に発売予定の村上春樹さんの話題作、
『1Q84』第3巻にあわせて、紀伊國屋書店新宿南店 では
大規模なフェアを展開することになっているのですが、
村上文学の読者にぜひ読んでもらいたい海外文学関連書の選書を、
『偽アメリカ文学の誕生』の著者・都甲幸治さん が担当することになりました。
さらに、書店様のご好意で、村上春樹フェアとならんで(!)
都甲さんがみなさんに読んでいただきたい本をチョイスした、
いわば《偽アメリカ文学の実践》とでもタイトルできそうな、
都甲さんの棚もつくっていただけることに!
そこでさっそくまだ肌寒さの残る3月26日午前9時、
開店前の静まり返った書店で、その選書作業がはじまりました。

nec_0796この日は、都甲さんも気合い充分。
こちらにも緊張感が伝わってきます。
村上春樹に/が影響を与えたさまざまな海外の作家、
そして都甲さんがレコメンドする内外の作品を中心に、
書店6階の洋書コーナーから1階のコミックまで、
「あの本は必須だけど発注できる?」「これは必読!」等々と、
書店側仕入ご担当の桐生さんが持って構えるカゴに、
つぎつぎに選んだ本を入れていく姿は、まさに《ライヴ》そのもの。
書棚の端からくまなく本を追う鋭角な視線に、すっかり圧倒されました。

nec_0801優に10を越えるカゴにぎっしり詰まった本たちを、
今度は実際の棚の構成を念頭に置きながら、
作家やジャンル別に仕分けする作業がはじまりました。
ふだんから本を見慣れているとはいえ、
都甲さんが選んだアメリカ文学を中心とする
とてもユニークな本が一同に並べられると、かなり壮観です。
さすが、雑誌『新潮』の連載で、
先進のアメリカ文学を欠かさず紹介している著者ならでは、のものでした。

この日は12時でタイムアップとはいえ、たっぷり3時間!
あとはこれらの本を、ポップでさまざまに飾る作業が残っていますが、
それは他日を期すことに。
この成果は、4月16日〜5月10日まで、
紀伊國屋書店新宿南店を舞台に繰り広げられるフェアで、
ぜひ実際にご覧になってください。お楽しみに!(編集部 Naovalis)


niseamerica_cover1都甲幸治

『偽アメリカ文学の誕生』

四六判上製352頁/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-726-6 C0098  全国書店で絶讃発売中!

フィッツジェラルド、サリンジャー、ブコウスキー、デリーロはもちろん、
本邦初紹介の作品から、海外でのインタビューを通して語られる
日本では知られざる村上春樹の本音と実像にいたるまで、
最新型の 〈 アメリカ文学 〉 をこの1冊にパッケージ。
〈偽〉アメリカ文学の 「リアル」はここにある !

柴田元幸氏推薦!
「塵に訊け!」 とかつてジョン・ファンテは言った。
「都甲幸治に訊け!」 と私は言いたい。
〈 偽アメリカ文学の誕生 〉 を告げる本書は、
すぐれた 〈 偽アメリカ文学者〉 の登場を告げてもいる。
アメリカ文学のいまを知る上で最良の書。



都甲幸治(とこう・こうじ)
1969年生まれ。早稲田大学文学部准教授、翻訳家。
専攻はアメリカ文学・文化論。
おもな訳書に、ファンテ『塵に訊け!』、ブコウスキー『勝手に生きろ!』、
フィッツジェラルド『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』など話題作多数。

 

3月の新刊『ジョルジュ・バタイユ』『英国ミステリーの部屋』

2010年 4月 1日

bataiyu_cover岩野卓司

ジョルジュ・バタイユ——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性

A5判上製/336頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-778-5  C0098  絶賛発売中!

伝統への反逆者、バタイユ。
その思想はアリストテレスから続く、伝統的な哲学の系譜・形而上学に裏付けられ、
またそれを乗り越えるものだった……。
バタイユの経済理論、哲学・文学作品を精査し、形而上学そのものを問い直しながら、
その「外」へと開かれた「経験」の思想をあばく、極限の哲学。





mystery_cover昭和女子大学短期大学部文化創造学科

英国ミステリーの部屋——ドイル/クリスティ室内装飾事典

四六判並製/184頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-782-2  C0098 4月5日頃発売

ミステリー界の2大巨匠、コナン・ドイルとアガサ・クリスティー。
シャーロック・ホームズのパイプ、ポアロのタイプライター、
謎のメモが燃やされる暖炉……。
彼らの作品の中でインテリアはどのように描かれていたか。
170以上の項目を収録した、
イギリス文化がわかる! ミステリーが分かる! インテリア事典。

 

煙滅書評情報

2010年 4月 1日

ますますご好評いただいております『煙滅』が、またもやさまざまな媒体に紹介されました。
ありがとうございます!(編集部 Ka)

郷原佳以氏(2010年3月20日付図書新聞)
→文字の欠落こそが物語を成立させるこのテクストの逆説的な力強さが、
悲劇的な筋をユーモアで押さえ込むことに成功している。


野崎歓氏(『フリースタイル11』)
→〔『煙滅』は〕日本語の歴史においての一大事件とさえ言うべきかもしれない。脱帽。

久保昭博氏(『ふらんす』2010年4月号)
→ジェノサイドを喚起する戦争小説であり、言語に実存を賭す20世紀自伝文学であり、
〔……〕要するに「語り得ぬもの」を主題とする戦後小説の傑作である。


笠間直穂子氏(『週刊朝日』2010年4月9日増大号)
→形式ばった実験文学? とんでもない。〔……〕ユーモラスで不気味な雰囲気を醸し出す、
渾身の名訳。


豊崎由美氏(『婦人画報』2010年5月号)
→私に文体の愉悦を教えてくれた本。ひねりの効いたミステリーであり、
〔……〕小説好きにはこたえられません。

 

編集部通信/速報

2010年 3月 6日

創立30周年を迎える水声社では、これからも
より意欲的な出版物を陸続と刊行していきますが、
中でも、4月発売予定のナンシー・ヒューストン作
『暗闇の楽器』
(永井遼・いぶきけい訳、四六判上製328頁、予価2500円)は
掛け値なしの傑作で、読書のたのしみを十二分に与えてくれる
素晴らしい小説です。原著は 1996年に発表され、
「高校生が選ぶゴンクール賞」を受賞した話題作ですが、
このたび遂に小社から邦訳刊行するはこびとなりました。

まず第一に、読んでいて惚れぼれするほど文体が端正で心地よく、
作者の聡明さと類まれな才能を感じさせます。
編集担当の私はこの本に出会ったとき、物語の構成や意表をつく展開に、
アゴタ・クリストフ『悪童日記』以来の文学的興奮と衝撃をおぼえました。

kurayami_gakki01英語圏カナダ出身のフランス語作家ナンシー・ヒューストンは、
すでに新潮社クレスト・ブックスから『天使の記憶』と
『時のかさなり』の二つの小説が翻訳されているので、
ご存じの読者の方々も多いと思います。
一昨年の秋には来日し、かなりの注目をあびました。
1953年生まれで、これからの活躍も大いに楽しみな世界的作家のひとりです。
(画像は『暗闇の楽器』フランス語版ペーパーバック)

40代の女性作家をめぐる複雑な人間関係や家族との葛藤を
内面から描く現代の物語と、中世の暗黒時代をしたたかに生き抜く
双子のみなしご兄妹の数奇な物語がパラレルに展開するという
想像力ゆたかな作品です。ぜひともご期待ください。(編集部So)

 

3月の新刊『第二の手』

2010年 3月 5日

secondhandアントワーヌ・コンパニョン 今井勉訳

第二の手、または引用の作業

四六判上製/576頁/定価8000円+税
ISBN978-4-89176-774-7 C0098  3月5日頃発売!



引用はいつ、どこで、なぜ始まったのか?



アリストテレスからボルヘスまでの「引用史」をたどり、
「現象学」「記号学」「系譜学」などさまざまな観点から、
単なることばの反復にとどまらない、
戦略的、政治的な実践としての《引用》を分析し、
「書くこと」の本質に迫る、画期的なエクリチュール論。

 

『煙滅』書評

2010年 3月 5日

またもや、『煙滅』を朝日新聞の書評欄でお取り上げいただきました。
どうもありがとうございます!(編集部:Ka)

→奥泉光氏
(2010年2月28日付朝日新聞)
「訳者あとがき」自体が優れた翻訳論・小説論となりえている。
本書を繙く人には最初にこれを読むことを勧める。
いわゆる「ねたばれ」になるが、
ばれた「ねた」を繰り返し楽しめることこそ、
優れたミステリーの資格である。


全文はこちらで読めます→(

 

3月の刊行予定

2010年 2月 25日

3月の新刊予定です。詳細は追ってお知らせします。
(配本が4月にずれ込むタイトルもあります)



黒木夏美『バナナの皮はなぜすべるのか?』
A5判並製256頁/予価2,000円+税/978-4-89176-777-8



寺村摩耶子『絵本の子どもたち  14人の絵本作家の世界』
A5判上製320頁+カラー口絵8頁/予価3500円+税/978-4-89176-779-2



ステファヌ・ナドー/信友建志訳『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』
四六判上製352頁、予価3800円+税/978-4-89176-760-0



岩野卓司『ジョルジュ・バタイユ——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』
A5判上製332頁、予価4,500円+税/978-4-89176-778-5



アンリ・トロワイヤ/市川裕見子訳『トゥルゲーネフ伝』
A5判上製264頁+口絵16頁、予価3,500円+税/978-4-89176-780-8



E・E・カミングズ/ヤリタミサコ・向山守訳『カミングズの詩を遊ぶ』
A5判並製124頁、予価2,000円+税/978-4-89176-781-5

 

『煙滅』書評

2010年 2月 24日

ますます絶好調で、弊社の在庫も残り少ない『煙滅』ですが、
相次いで各誌紙の書評等でお取り上げいただきました。

→陣野俊史氏
(『サンデー毎日』2010年2月21日号/2010年2月10日付日本経済新聞夕刊)
「いまの日本の小説に欠けているゲーム性に溢れた小説」

→新島進氏
(2010年2月21日付日本経済新聞「読書欄」)
「『なにかの欠如』を、もとの距離感を保ちつつ日本語に反映させており、
作者/訳者の奮闘に驚愕すること請け合いである」


各媒体のみなさま、ありがとうございます!

また、ブックファースト新宿店地下1Fにて、
「めくるめく言語遊戯 〜言語の冒険実験小説〜」フェアが行なわれています。
詳しくはこちら→

image005カルヴィーノにピンチョン、
クロード・シモンやソレルスなどなど……。
弊社のペレック作品(『煙滅』『人生使用法』など)も
大々的に置いていただいています。
あれこれ欲しくなってしまうような、
見た目もポップな楽しいフェアです。
2月28日までですので、海外文学好きの方々は、
いざ新宿へ! (編集部 Ka)


e78599e6bb85e382abe38390e383bc-e585a5e7a8bf3ョルュ・ぺレック/秀一郎訳

煙  滅

六判上製376頁/価3200円+
ISBN978-4-89176-750-1   C0097    売中
=宗淳一+田中奈緒子

 

2月の新刊『奴隷制を生きた男たち』

2010年 2月 22日

dorei_coverジェームズ・ウォルヴィン 池田年穂訳

奴隷制を生きた男たち

四六判上製/336頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-776-1 C0098  2月25日頃発売!


奴隷制とは《誰のもの》だったのか?



「アメージング・グレース」を作詞した奴隷商。
ジャマイカで農園主として君臨し続けた奴隷所有者。
そして、自伝を著し奴隷制廃止に尽くした元奴隷——。

奴隷制をめぐる3人の人生を、書簡、日記、自伝などを渉猟しつつ、
巨大な歴史のうねりのなかに生きいきと描き出す、
18世紀以降の近現代史を考えるうえで必読のドキュメンタリー。

 

2月の新刊『発見する力』

2010年 2月 19日

hakken黒岩恭介

発見する力 現代美術の時空間

A5判上製/288頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-757-0 C0071  2月23日頃発売!






現代美術の《これまで》と《これから》


加納光於、河原温、斎藤義重ら、
戦後美術史に異彩を放つアーティストたち。
彼らの新たな一面をその現場から照射し、
視角芸術の水脈と諸相を問い直す、鮮烈な美術批評。

 

編集部通信(満員御礼のご報告)

2010年 2月 17日

2_13_junk去る2月13日土曜日、
雨の降りしきるなか、池袋ジュンク堂でおこなわれた、
野崎歓さん(東京大)と鈴木雅雄さん(早稲田大)による
トークセッション、「誰も知らないシュルレアリスム」
おかげさまでぎっしりのお客さまに囲まれて、
とても白熱した、充実のセッションとなりました。

「シュルレアリスムとは愛であり希望なのだ」という、
おふたりの意外な結論に会場もヒートアップ。
既成のシュルレアリスムを読みかえる、
新しい時代の到来を予感させるものとなりました。

今回のセッションにご協力いただいた、
ジュンク堂池袋店のみなさま、
また、宣伝にご協力いただいた白水社宣伝部さま(「耳より情報」欄)、
図書新聞編集長Sさまをはじめ、ブログやツィッターなどでも
ご紹介・着目してくださったみなさまに、厚く御礼を申しあげる次第です。

弊社30周年記念出版《シュルレアリスムの25時》は、
今後もますますユニークなシュルレアリストたちが登場します。
どうぞご期待ください!(編集部:naovalis)

 

いよいよ迫る!《シュルレアリスムの25時》トークイベント

2010年 2月 9日

第2回配本『クロード・カーアン』も好評な、
弊社創立30周年企画《シュルレアリスムの25時》。
その刊行記念トークイベントが、いよいよ今週末、
2月13日(土)に迫って参りました。

数々の翻訳で知られるフランス文学者の野崎歓さん(東京大学)、
そして本企画の肝いり役である鈴木雅雄さん(早稲田大学)が、
シュルレアリスムの魅力について語り尽くします。

シュルレアリスムにくわしくない方も苦手な方も、
これでシュルレアリスムが楽しめるようになることうけあいです。
ぜひ都内近郊にお住まいの方は足をお運びください!
編集部一同、みなさまとお目にかかれるのを楽しみにしております。

—-
ジュンク堂池袋店 トークセッション

《誰も知らないシュルレアリスム》

◆講師
野崎 歓さん(フランス文学者)×鈴木雅雄さん(『ゲラシム・ルカ』著者)

20世紀の思想や芸術に大きな痕跡を残し、いまもなお
現代文化を挑発し続けている、シュルレアリスムとその運動。
ブルトンやダリ、マグリットの作品は、日本でもよく知られています。
しかし、彼らの表現だけがシュルレアリスムではありません!
これまで注目されることのなかったユニークな画家や詩人、
写真家たちを紹介しながら、「いま」「わたしたちにとって」の
シュルレアリスムとは何かをめぐって、第一線で活躍する
おふたりの論者に縦横無尽に語っていただきます。

◆日時・会場
2010年2月13日(土) 18:30開場/19:00開演
ジュンク堂池袋店4Fカフェ 定員40名
入場料 1000円(1ドリンク付)
くわしくはこちらをクリック→(

◆講師プロフィール
野崎 歓
1959年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授、フランス文学者。
主な著書に『赤ちゃん教育』(青土社、講談社エッセイ賞)、
『われわれはみな外国人である』(五柳書院)など、
訳書にトゥーサン『浴室』、ソレルス『秘密』などがある。

鈴木雅雄
1962年生まれ。早稲田大学文学学術院教授、シュルレアリスム研究者。
主な著書に『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社)など、
訳書にダリ『ミレー《晩鐘》の悲劇的神話』などがある。




cover永井敦子 著

クロード・カーアン 鏡のなかのあなた

四六判上製/280頁/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-763-1 C0372  好評発売中!
装幀=宗利淳一+田中奈緒子








鈴木雅雄

ゲラシム・ルカ ノン=オイディプスの戦略

四六判上製256頁/定価2500円+税
978-4-89176-761-7  C0398
装幀=宗利淳一+田中奈緒子



齊藤哲也

ヴィクトル・ブローネル 燐光するイメージ

四六判上製総384頁(別丁図版128頁)/定価3500円+税
978-4-89176-762-4  C0371
装幀=宗利淳一+田中奈緒子

 

《ヘンリー・ミラー・コレクション》全10巻、まもなく完結!

2010年 2月 8日

millerお待たせしました!
ついに、文豪ヘンリー・ミラーの自伝的大作、
「薔薇色の十字架刑」3部作のうち、
第1部『セクサス』と第2部『プレクサス』が
新訳/完訳(無削除)で今月中旬、同時に登場します。

とくに『セクサス』は、猥褻かつ露骨なセックス描写が問題となり、
40年以上前の新潮社版全集では割愛されたり、
表現をぼかしたりされていましたが、今回はじめて完訳がなり、
等身大のヘンリー・ミラーを日本語で味わうことが可能になりました。

2冊合わせて約1250頁(8ポ2段組)で1万円 !? しかし、高いと思うなかれ。
普通の小説の5、6冊分はたっぷり楽しめます。
第3部の『ネクサス』も鋭意準備中で、早ければ今春には刊行。

これによって、年代的には『南回帰線』→「薔薇色の十字架刑」3部作→
『北回帰線』と続く、ミラーの壮大な自伝的小説の全容が明らかになります。(編集部 So)


第6巻  2月16日頃発売!
〈薔薇色の十字架刑 Ⅰ 〉

セクサス

井上健 訳
四六判上製608頁/定価5000円+税
ISBN 978-4-89176 771-6  CO397


ポルノグラフィーかアヴァンギャルドか


マンハッタンの電信会社に勤める主人公ヘンリーは、
マーラという名のセクシーなダンサーと恋に落ちる。
「芸術家の女神」との運命的な出会い、そして
大胆な性描写で繰り広げられる死と再生の磔刑のドラマ。
新訳で贈る自伝的長編三部作、完訳決定版ついに刊行!


第7巻 2月16日頃発売!
〈薔薇色の十字架刑 Ⅱ 〉


プレクサス

武舎るみ 訳
四六判上製656頁/定価5000円+税
ISBN 978-4-89176 772-3  CO397


「運命の女」との錯綜する関係


晴れて正式に結婚したふたりの蜜月は、
度重なる激突と生活苦とによって、破局へ向かっていく。
「運命の女」との情熱と苦悩に満ちた結婚生活を振り返り、
無数のエピソードや人物を織り交ぜて、
猥雑、饒舌、エネルギッシュに語りまくる第2作。


第8巻(最終回配本)近刊予定
〈薔薇色の十字架刑 Ⅲ 〉


ネクサス

田澤晴海 訳

 

編集部通信:『煙滅』関連(Ka)

2010年 2月 8日

去る 1月16日にジュンク堂池袋本店で開催されたイベント(「ウリポってなに?」)は
おかげさまで大盛況で、キャンセル待ちが出るほどでした。
ご来場いただきました皆様、どうもありがとうございました。
このトークショーの模様は、次号『水声通信』に掲載予定ですので、
ご参加いただけなかった皆様も、参加して楽しんでいただいた皆様も
ぜひ『水声通信』の方もよろしくお願い致します。


さて、『煙滅』ですが、相次いで書評等でお取り上げいただきました。

→牧眞司氏(『SFマガジン』2010年3月号)
「前代未聞の実験小説、反ミステリ、逆説ロマンス、超絶SF。凄まじく面白い」

→風間賢二氏(『ミステリマガジン』2010年3月号)
「語りの形式と語られる内容が渾然一体となった傑作である」

書評ではありませんが、『ブレーン』2010年3月号でも、
「編集部が街で気になったデザイン」というページで、『煙滅』の装幀について、
さまざまな実験的試みの上に成立した稀有なデザイン」

とコメントをいただいております。
各媒体のみなさま、ありがとうございます!

enmetsuabcまた、青山ブックセンター本店で、
「ウリポの言語遊戯」フェアということで、
大々的に『煙滅』を取り上げていただいております。
詳しくはこちら→

ほかにもペレックの作品やウリポの影響を受けた
作家たちなどの本も並んでいて、
見ているだけでも楽しいフェアですので、
ぜひ一度足を運んでみてください。2月末までです!(編集部 Ka)



e78599e6bb85e382abe38390e383bc-e585a5e7a8bf3ョルュ・ぺレック/秀一郎訳

煙  滅

六判上製376頁/価3200円+
ISBN978-4-89176-750-1   C0097    売中
=宗淳一+田中奈緒子

 

紀伊國屋書店のフェアは今週末まで!

2010年 1月 22日

ismfileget年末年始をはさみつつ、
紀伊國屋書店新宿本店で開催中の、
《水声社 全点フェア+在庫僅少本フェア》(こちら→)。
おかげさまで好評をいただいているとのこと、
本当にありがとうございます。
あらためて読者のみなさまと関係各位にお礼申しあげます。

が、それもとうとう、

今週末の日曜日、24日までになりました!

僅少本やサイン本を中心に、棚にも空きが目立っていますが、
500点におよぶ弊社刊行物を手にとることができる、またとないこの機会。
文学や現代思想を中心に、美術、音楽、建築、そしてサブカルまで、
多彩な作品群が読者と出会えるのを待っています。
都内近郊にお住まいのみなさま、ぜひともこの週末は新宿へ!!

 

《シュルレアリスムの25時》情報

2010年 1月 21日

ジェンダーを越えた異色の写真家『クロード・カーアン』(永井敦子著)の
発売も間近に迫った、弊社創立30周年出版《シュルレアリスムの25時》。

braunercover初回配本で採りあげられたゲラシム・ルカとヴィクトル・ブローネルは、
ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』の「補遺」の部分で
言及されていながら、日本ではほとんどよく知られていませんでした。

河出文庫版だと、ブローネルは「ブロネ」とフランス語読みですが、
本書『ヴィクトル・ブローネル』には、カラー8点を含む160点以上(!)の
図版が掲載されており、彼らが言及している作品もばっちり。
日本でのドゥルーズ=ガタリ読解にも、新しい視点を提供するはずです。

……という『ゲラシム・ルカ』と『ヴィクトル・ブローネル』の2冊は、
各方面で続々と話題になっていますので、まとめてご紹介させていただきます。
(各媒体のみなさま、ありがとうございます!)


【書評】
新年1回目、1月10日付けの読売新聞読書面(本よみうり堂)に
『ゲラシム・ルカ』の書評が掲載されました。評者は、美術批評家の
椹木野衣さん。

それにしてもなぜ、いまシュルレアリスムなのか。
誤解をおそれずに言えば、それは、シュルレアリスムを
「シュルレアリスム」から解放するためと言ってよい。


と、明快にして簡潔に本書・本シリーズの魅力を
スケッチしていただきました。椹木さん、ありがとうございます!
なお、web上で全文の閲覧が可能です(こちら→


【対談】
lucacover現在発売中の『図書新聞』(2010年1月23日号)では、
『ゲラシム・ルカ』の著者・鈴木雅雄さんと美学者の林道郎さんによる、
3ページぶち抜きの 長篇対談 が掲載されています。
本国フランスはもちろん世界でも異色の本シリーズの特色や裏話、
いま、なぜシュルレアリスムなのかをめぐって、白熱の議論になっています。
本シリーズのサイド・ストーリーとして、ぜひご一読ください!


【読プレ】
こちらも現在発売中、『美術手帖』(2010年1月号)でも、
『ゲラシム・ルカ』、『ヴィクトル・ブローネル』の2冊が紹介されました。
筆者は粟田大輔さん。こちらはなんと、各1冊ずつの読者プレゼントあり!
当該誌をご覧のうえ、ふるってご応募ください!


【トークイベント】
さらに来月、フランス文学者の野崎歓さんをゲストにお迎えして、
刊行記念トークイベントも開催されます。
シュルレアリスムにくわしくない方も苦手な方も、
これでシュルレアリスムが楽しめるようになることうけあいです。
ぜひ都内近郊にお住まいの方は足をお運びください!
編集部一同、みなさまとお目にかかれるのを楽しみにしております。
(編集部 naovalis)

—-
ジュンク堂池袋店 トークセッション

《誰も知らないシュルレアリスム》

◆講師
野崎 歓さん(フランス文学者)×鈴木雅雄さん(『ゲラシム・ルカ』著者)

20世紀の思想や芸術に大きな痕跡を残し、いまもなお
現代文化を挑発し続けている、シュルレアリスムとその運動。
ブルトンやダリ、マグリットの作品は、日本でもよく知られています。
しかし、彼らの表現だけがシュルレアリスムではありません!
これまで注目されることのなかったユニークな画家や詩人、
写真家たちを紹介しながら、「いま」「わたしたちにとって」の
シュルレアリスムとは何かをめぐって、第一線で活躍する
おふたりの論者に縦横無尽に語っていただきます。

◆日時・会場
2010年2月13日(土) 18:30開場/19:00開演
ジュンク堂池袋店4Fカフェ 定員40名
入場料 1000円(1ドリンク付)
くわしくはこちらをクリック→(

◆講師プロフィール
野崎 歓
1959年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授、フランス文学者。
主な著書に『赤ちゃん教育』(青土社、講談社エッセイ賞)、
『われわれはみな外国人である』(五柳書院)など、
訳書にトゥーサン『浴室』、ソレルス『秘密』などがある。

鈴木雅雄
1962年生まれ。早稲田大学文学学術院教授、シュルレアリスム研究者。
主な著書に『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社)など、
訳書にダリ『ミレー《晩鐘》の悲劇的神話』などがある。




cover永井敦子 著

クロード・カーアン 鏡のなかのあなた

四六判上製/280頁/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-763-1 C0372  1月26日頃発売!
装幀=宗利淳一+田中奈緒子








鈴木雅雄

ゲラシム・ルカ ノン=オイディプスの戦略

四六判上製256頁/定価2500円+税
978-4-89176-761-7  C0398
装幀=宗利淳一+田中奈緒子



齊藤哲也

ヴィクトル・ブローネル 燐光するイメージ

四六判上製総384頁(別丁図版128頁)/定価3500円+税
978-4-89176-762-4  C0371
装幀=宗利淳一+田中奈緒子

 

1月の新刊『クロード・カーアン』

2010年 1月 15日

読書界瞠目の書き下ろし! シリーズ第2回配本



cover創立30周年記念出版《シュルレアリスムの25時》


クロード・カーアン 鏡のなかのあなた

永井敦子 著
四六判上製/280頁/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-763-1 C0372  1月26日頃発売!





女? 男!? 偽装するセルフポートレート。






1980年代後半に再発見され、一躍世界的評価を得た
写真家・作家・思想家クロード・カーアン。
仮面や鏡を使って仮装したセルフポートレートによって
ジェンダー・アイデンティティを問い、クィア的視点からもアプローチされている
特異なシュルレアリストの虚像≒実像に迫る、本邦初のモノグラフィー。
写真図版26点のほか、巻末付録として、『風景と幻影』『ヒロインたち』
『無効の告白』『賭けは始まっている』等からの文学的テキストを収録。

〈目次〉
序章 カーアン再発見
第一章 生涯
第二章 女ではなく男でもなく
第三章 複数形の単数
第四章 危機の時代を生きる
終章 新しい天、新しい地