《小島信夫長篇集成》まもなく配本開始!

2015年 7月 7日

現代日本文学の異才=小島信夫の全長篇を網羅する、待望の新シリーズ《小島信夫長篇集成》全10巻、初回配本の『別れる理由Ⅰ』が、7月9日ごろから書店に並びます。

また、全巻ご予約の応募ハガキ付き内容見本も配布中。
全巻ご予約・ご購入の方にはもれなく、小島信夫の魅力がいっぱいの小冊子『小島信夫の世界』(仮題、非売品)を進呈いたします。

《小島信夫長篇集成》にぜひご期待ください!

小島長篇パンフ表

小島長篇パンフ裏

 

 

 

 

 
*PDF版はこちら→小島長篇パンフ表小島長篇パンフ裏

*内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。

 

7月新刊:ジョン・ケージ伝

2015年 6月 23日

ケージ書影
ジョン・ケージ伝 新たな挑戦の軌跡
ケネス・シルヴァーマン
柿沼敏江訳

判型:A5判上製
頁数:506頁
定価:5800円+税
ISBN978-4-8010-0094-0  C0073  好評発売中!
装幀者:宗利淳一

*本書は、論創社との共同による出版です。

内容紹介:
沈黙もまた音楽である……
音楽の概念を一変させてしまった、20世紀を代表する音楽家の、本邦初の伝記。

ケージはやはりとても巨大で、でも、ぼくにとっては、ナム・ジュン・パイクに連れられて行ったケージのペントハウスで、こっそりキッチンに忍び込み、例の茸が収納されている薬棚を目撃した日のことが、とても大事です。
——坂本龍一(音楽家)

現代音楽の父、キノコ博士、音楽に『易』を取り入れた男、スタインウェイにハンマーを投げ込んで弾いた男……ジョン・ケージとはいったい誰か? デュシャン、カニングハム、ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、オノ・ヨーコ、シェーンベルク、マクルーハン、バックミンスター・フラーなどとの華やかな交流とともに、ジョン・ケージの真の姿に迫る!

著者について:
ケネス・シルヴァーマン(Kenneth Silverman) 1936年生まれ。『アメリカ革命の文化史』のほか数冊の伝記を著しており、伝記作家として知られている。『コットン・マザーの人生とその時代』ではピュリッツァー賞とバンクロフト賞を受賞。またエドガー・アラン・ポーの伝記ではアメリカ探偵作家クラブのエドガー賞、『フーディーニ!!!』ではアメリカ奇術師協会のクリストファー文学賞を受賞。アメリカ文学アカデミーの特別会員。ニューヨーク大学英文学名誉教授。ニューヨーク在住。

訳者について:
柿沼敏江(かきぬまとしえ)  静岡県に生まれる。国立音楽大学、お茶の水女子大学大学院修士課程を経て、カリフォルニア大学サンディエゴ校音楽学部博士課程修了(Ph.D.)。現在、京都市立芸術大学音楽学部教授。専攻、西洋音楽史。主な著訳書に、『アメリカ実験音楽は民族音楽だった』(フィルムアート、2005)、ジョン・ケージ『サイレンス』(水声社、1996)、アレックス・ロス『二十世紀を語る音楽』(みすず書房、2010)などがある。

関連書
ジョン・ケージ 柿沼敏江訳『サイレンス』 4000円+税
ダニエル・シャルル 岩佐鉄男訳『ジョン・ケージ』 4000円+税

 

日仏翻訳受賞報告

2015年 6月 23日

受賞写真
弊社から2013年1月に刊行されました、レーモン・クノー『リモンの子供たち』の翻訳が、「専門的知見に支えられた驚くべき名人芸」であるとして、訳者の塩塚秀一郎氏に第20回日仏翻訳文学賞が与えられました。(授賞式:2015年6月15日、於、ホテル・オークラ)
選考委員の野崎歓、堀江敏幸、澤田直の3氏、小西国際交流財団の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。
「英雄が渇望される時代一般への警鐘としての普遍的な価値」と「クノーらしい人間に対する寛容な眼差し」(塩塚秀一郎氏(受賞者))という、二面的な魅力を持つ本作を、この機会にぜひお手にとってご覧下さい。

リモンの子供たち (レーモン・クノー・コレクション 3)
塩塚秀一郎訳
四六判/上製395頁/定価3200円+税
ISBN978-4-89176-863-8 C0397 絶賛発売中!


太陽は糞便でできている!

実在の〈狂人〉たちをテーマに『不正確科学百科事典』を執筆する、シャンベルナックとブルジョアの一家、リモン家。二つの世界が交錯しながら、突飛な〈狂人〉たちの言行が、破局へ向かう時代の空気を照らし出す。人間の愚かさを根源的に問う、クノーの知られざる傑作。

 

6月新刊:変動期の画家

2015年 6月 23日

書影
変動期の画家
山口泰二(著)

判型:A5版
頁数:488頁
定価:5000円+税
ISBN:978−4−8010−0104−6 C0070 好評発売中!
発行:美術運動史研究会
発売:水声社

表現の自由が奪われた時代の画家たち
社会の状況と格闘しながら、絵画の可能性に挑んだ松本竣介、柳瀬正夢、永田一脩、小野忠重、鳥居敏文。絵と生活に刻まれた苦悩や喜びは社会と美術のかかわりを語る歴史の貴重な遺産である。

《私達若い画家が、実に困難な生活の中にゐて、なほ制作を中止しないといふことは、それが一歩一歩人間としての生成を意味してゐるからである。例え私が何事も完成しなかったとしても、正しい系譜の筋として生きるならば、やがて誰かがその意志を成就せしめるであらう。》…………松本竣介

内容紹介:
1920年代半ばから終戦前後にかけての抑圧的な社会のなかで、それに屈することなく、絵画の可能性を探究し続けた5人の画家たち。
彼らが貫いた精神と表現世界とは何か?
そこから生み出された絵画とは?

目次:
Ⅰ 松本竣介の思考

第一章 『線』と赤荳の時代
1 同人誌『線』
2 絵画の階級性論争
3 赤荳会と青年たちの境遇

第二章 時代の夜に現れた新星
1 戦時下に求めた絵画の理想──表現の特質
2 『線』から『雑記帳』へ──思考の熟成
3 構図、線、顔の探求を通じて──画風の転換
4 新人画会から焼け跡での模索へ──再建の希望

第三章 「生きてゐる画家」考
1 土方定一の評価
2 洲之内徹の異論
3 「生きてゐる画家」の再検討
4 戦争協力と《航空兵群》
5 美術報国会と終戦
6 一九四五年一〇月──松本竣介の戦後

〔補〕 作品解釈の新地平──長田謙一論文について

Ⅱ プロレタリア美術点景

第一章 柳瀬正夢ふたつの問題
1 モザイク点描と《果樹島園》
2 ジョージ・グロスの受容と評価

第二章 永田一脩とプロレタリア美術運動

第三章 小野忠重版画の起点

第四章 鳥居敏文の画業と足跡
1 初期作品と生い立ち
2 危機一髪のベルリン脱出
3 自由のパリから暗雲の日本へ
4 戦時絵画としての労働現場
5 長崎アトリエ村と池袋大空襲
6 新しいリアリズム

年譜1 松本竣介の造形展開
年譜2 松本竣介1940〜42年の詳細
年譜3 プロレタリア美術運動組織の推移

解題とあとがき


著者ついて:
山口泰二(やまぐちたいじ) 1939年生まれ。前橋市出身。新聞記者を経て美術運動史研究会を主宰。専攻、美術評論、近代美術史。
主な著書には、『アメリカ美術と国吉康雄』(日本放送出版協会、2004)、『中谷泰画集』(編・解説、美術の図書三好企画、2000)などがある。

関連書:
村山知義とクルト・シュヴィッタース/マルク・ダシー、松浦寿夫、白川昌夫、塚原史、田中純著/2500円+税
日本のダダ 1920-1970/白川昌夫編、テクスト=阿部良雄、中原佑介、針生一郎他/3800円+税

 

6月新刊:給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法 

2015年 6月 23日

ブログ上司書影
給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法 
ジョルジュ・ペレック 
桑田光平訳 

判型:四六判並製
頁数:155頁
定価:2000円+税
ISBN978-4-8010-0108-4  C0097  好評発売中!
装幀者:HOLON

内容紹介:
不透明な時代を生き抜くために
フランス文学の奇才が提案(?)する、ウリポ的昇給のススメ! 本邦初、フローチャート文学!?
い段ぬきの『煙滅』、480の思い出リスト『ぼくは思い出す』、チェスを応用して書かれた総勢1000人以上が登場する『人生 使用法』など、奇想天外な作品ばかり残した、ジョルジュ・ペレックによる、新・実用書?

著者について:
ジョルジュ・ペレック(Georges Perec)  1936年、パリに生まれ、1982年、同地に没した。小説家。1966年にレーモン・クノー率いる実験文学集団「ウリポ」に加わり、言語遊戯的作品の制作を行う。主な著書には、『煙滅』(1969。水声社、2010)、『Wあるいは子供の頃の思い出』(1975。水声社、2013)、『人生 使用法』(1978。水声社、1992)などがある。

訳者について:
桑田光平(くわだこうへい)   1974年、広島県府中市に生まれる。東京大学大学院博士課程満期退学。パリ第4大学文学博士。専攻、フランス文学・芸術論。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。主な著書に、『ロラン・バルト 偶発時へのまなざし』(水声社、2011)、『写真と文学』(共著、平凡社、2013)、主な訳書に、バルテュス+セミール・ゼキ『芸術と脳科学の対話』(青土社、2007)、『ロラン・バルト 中国ノート』(ちくま学芸文庫、2011)などがある。

【ペレックの作品】
家出の道筋/酒詰治男訳/2500円+税
煙滅/塩塚秀一郎訳/3200円+税
さまざまな空間/塩塚秀一郎訳/2500円+税
人生 使用法/酒詰治男訳/5000円+税
Wあるいは子供の頃の思い出』/酒詰治男訳/2800円+税
美術愛好家の陳列室/塩塚秀一郎訳/1500円+税
ぼくは思い出す/酒詰治男訳/2800円+税
水声通信6号《ジュルジュ・ペレック》/1000円+税
小誌 風の薔薇5号《ウリポの言語遊戯》/1500円+税

 

6月新刊:ロベール・デスノス――ラジオの詩人

2015年 6月 23日

書影
ロベール・デスノス――ラジオの詩人
小髙正行(著)

判型:四六判上製
頁数:276頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0107-7 C 0098 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

〈声の詩人〉によるラジオ芸術の実践とは?

ラジオ番組・広告のうちに詩的実践をおこない、音声により集団的な〈夢〉をリスナーと共有することでラジオの可能性を切り開いた詩人デスノス。大衆に寄り添い、双方向的なコミュニケーションを可能にするこのメディアは詩人にとってシュルレアリスムの理想を体現していた……
20世紀マルチメディアの先駆をなし、番組・広告制作者としての詩人にスポットを当てる異色のモノグラフ。

目次:

はじめに

プロローグ――「最後の詩篇」
第1章  シュルレアリスムの詩人
第2章 二つの愛――イヴォンヌ・ジョルジュとユキ
第3章 ラジオとの出会い
第4章 大衆詩人とレジスタンス
エピローグ――本当の最後の詩

《補遺》 邦人芸術家とデスノス


ロベール・デスノス略年譜
参考文献

あとがき

著者について:
小髙正行(おだかまさゆき)  1952年、千葉県生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、エフエム東京(TOKYO FM)入社。制作、報道などに携わる。ドキュメンタリー番組の取材・演出で日本民間放送連盟賞/報道部門優秀賞(1987)、企画・制作で同賞/報道部門優秀賞およびギャラクシー賞奨励賞を受賞(1998)。エフエム東京退社後、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程に入学。2013年、同大学院修士課程修了。

関連書:
シャルル・クロ 詩人にして科学者——詩・蓄音機・色彩写真/福田裕大 著 4500円+税
アントナン・アルトー 自我の変容——〈思考の不可能性〉から〈詩への反抗〉へ/熊木淳 著 5000円+税
イヴ・タンギー――アーチの増殖/長尾天 著 5000円+税
シュルレアリスム、あるいは作動するエニグマ/J・シェニウー=ジャンドロン 5000円+税

 

6月新刊:詩とイメージ――マラルメ以降のテクストとイメージ

2015年 6月 23日

書影
詩とイメージ――マラルメ以降のテクストとイメージ

マリアンヌ・シモン=及川(編)

(執筆者)
三浦篤
エレーヌ・カンペニョール=カテル
ガエル・テヴァル
鈴木雅雄
谷口円香
セルジュ・リナレス
千葉文夫
塚本昌則
キャロル・オルエ

判型:A5上製
頁数:256頁
定価:4000円+税
ISBN 4-8010-0101-5 C 0090 好評発売中!
装幀者:西山孝司

テクストとイメージが切り開く創造空間とはなにか?

西欧において古代より深い関係を保ってきた詩と美術の関係は、19世紀フランスに出現した詩人マラルメによって決定的に刷新される。書物/挿絵/タイポグラフィー/視覚詩において記念碑的な作品を生み出した詩人の影響のもと、〈詩とイメージ〉の関係は現代までどのように多様化してきたのか。日仏の研究者たちがその本質を究明する。

目次:

まえがき

第Ⅰ部 イメージの世界、詩の世界——本という媒体の変貌
三浦篤/マネとマラルメ――絵画と詩の共鳴
エレーヌ・カンペニョール=カテル/書物の歌——詩集の変容

第Ⅱ部 詩集の中のイメージ
マリアンヌ・シモン=及川/ピエール・アルベール=ビロー――詩集に書かれたイメージ
ガエル・テヴァル/ジャン=フランソワ・ボリーの視覚詩における活字のコラージュと本のレディ・メイド

第Ⅲ部 イメージを詩にする――挿絵の多様性
鈴木雅雄/読めないテクスト、見えない書物——ゲラシム・ルカの視覚的実験
谷口円香/ランボーの『イリュミナシオン』とキュビスム――ロジェ・ド・ラ・フレネの「『イリュミナシオン』のための習作」について

第Ⅳ部 ピカソという巨人
セルジュ・リナレス/詩の挿絵画家ピカソ
千葉文夫/ミシェル・レリスの肖像

第Ⅴ部 イメージを考える、イメージと遊ぶ詩人
塚本昌則/ヴァレリーと写真
キャロル・オルエ/ジャック・プレヴェールと静止したイメージ

編者/執筆者/訳者について――:

マリアンヌ・シモン=及川(Marianne Simon-Oikawa) 1969年、マルセイユ生まれ。東京大学大学院准教授。専攻、フランスと日本におけるテクストとイメージの関係。編著に『絵を書く』(水声社、2012)などがある。

三浦篤(みうらあつし) 1957年、島根県生まれ。東京大学大学院教授。専攻、西洋近代美術史。
エレーヌ・カンペニョール=カテル(Hélène Campaignolle-Catel) 1972年生まれ。CNRS研究員。エクリチュールとその媒体、およびイメージの関係を研究。
ガエル・テヴァル(Gaëlle Théval) 1980年生まれ。パリ第3大学「現代性のエクリチュール(THALIM)」研究所研究員。専攻、現代詩。
鈴木雅雄(すずきまさお) 1962年、東京生まれ。早稲田大学教授。専攻、シュルレアリスム。
谷口円香(たにぐちまどか) 1979年、滋賀県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。専攻、フランス近代詩。
セルジュ・リナレス(Serge Linarès) 1968年生まれ。ヴェルサイユ大学教授。専攻、ジャン・コクトー、およびフランス20世紀文学。
千葉文夫(ちばふみお) 1949年、北海道生まれ。早稲田大学教授。専攻、20世紀フランス文学、およびイメージ研究。
塚本昌則(つかもとまさのり) 1959年、秋田県生まれ。東京大学大学院教授。専攻、フランス近代文学。
キャロル・オルエ(Carole Aurouet) 1973年生まれ。パリ・エスト大学准教授。専攻、プレヴェール、およびフランス20世紀文学。

鈴木隆美(すずきたかみ) 1976年、東京生まれ。福岡大学准教授。専攻、19、20世紀フランス文学、比較文学。
畠山達(はたけやまとおる) 1975年、シンガポール生まれ。明治学院大学准教授。専攻、ボードレールの詩学、フランス教育史。

関連書:
絵を書く マリアンヌ・シモン=及川編 4000円+税

 

6月新刊:ジョイスをめぐる冒険

2015年 6月 23日

こじま002
ジョイスをめぐる冒険
夏目博明(著)

判型:A5判上製
頁数:307頁
定価:4000円+税
ISBN:978−4−8010−0102−2 C0090 好評発売中!
装幀者:齊藤久美子


内容紹介:
ジョイスに挑む。
アリュージョンを手がかりにテクストの成り立ちを探り、仕組まれたトリックをかいくぐり、『ユリシーズ』を読みとく。さまざまな批評理論を駆使し、アイルランドの歴史、経済にも論及する。ジョイス研究の新たな方位をさぐる試み。


目次:
序論 ジョイス・インダストリーの流れのなかで
第1章 『ユリシーズ』を読む
1  分立の調べ
2  ブルームの受難の構図——テクスト世界からの脅威
3  内的アリュージョン―—テクスト形成の原理
4 《ナウシカア》をめぐる全体と部分
5  海辺の娘ガーティ
6 《イタケ》の語りを語る語り
7 『ユリシーズ』批評の未来
第2章 ジョイスと批評理論
     1 ジェイムズ・ジョイスにおける「主体」の問題
     2 ディコンストラクション批評——デリダのジョイス、ジョイスのデリダ
     3『ユリシーズ』のなかの読者
     4『ユリシーズ』批評(1)——モリーの出自
     5『ユリシーズ』批評(2)——モリー像の変遷
     6 ふしだらな女が精神分析を受けると―—ジョイスとジェンダー
7 1904年ダブリン物語——モリーをめぐる物語
8  モダニズムという制度
9 『フィネガンズ・ウェイク』のナゾ謎々
第3章 ジョイスとアイルランド
     1 ヒベルニアとしてのアイルランド―—ガーティと「市民」 
     2 「姉妹」におけるタイトルと語り
     3「レースの後で」の時代と背景
     4 死者が近づく夜——ケルト文化から読む「土」
     5 ジョイスのダブリン
     6 レオポルド・ブルームノ経済事情

解題  結城英雄+吉川信+山田久美子
あとがき  夏目康子

著者について:
夏目博明(なつめひろあき) 1954年生まれ。2011年没す。一橋大学法学部卒業、筑波大学大学院博士課程イギリス文学専攻満期退学。青山学院大学名誉教授。専攻、ジェイムズ・ジョイス、アイリッシュ・アメリカン、批評理論。主な著書に、『文学の受容』(共著、研究社、1985)、『辺境のマイノリティ』(共著、英宝社、2002)、『亡霊のイギリス文学』(共著、国文社、2012)、主な訳書に、A・J・マッケナ『暴力と差異』(法政大学出版局、1997)、A・N・ファーグノリ他『ジェイムズ・ジョイス事典』(共訳、松柏社、1997)などがある。

関連書:
『ユリシーズ』と我ら―—日常生活の芸術/デクラン・カイバート著/坂内太訳/5000円+税
ジョイスとめぐるオペラ劇場/宮田恭子著/4000円+税

 

6月新刊:ジョイスとめぐるオペラ劇場《水声文庫》

2015年 6月 23日

こじま003
ジョイスとめぐるオペラ劇場
宮田恭子(著)

判型:四六判上製
頁数:333頁
定価:4000円+税
ISBN:978−4−8010−0100−8 C0090 好評発売中!
装幀者: 宗利淳一

内容紹介:
ジョイスにとって《歌に高められた人間の声は、最高にして最も清らかな音楽の顕現》であった。テノールの歌手としても存在感をしめしたジョイスがいかにオペラの歌詞をわがものとし、『ユリシーズ』『フィネガンズ・ウェイク』に反映させたか。
14のオペラを通してジョイスを考え、ジョイスを通してオペラを語る。

目次:
まえがき
第1部 ジョイスとオペラ
第2部 ジョイスと個々のオペラ作品
1 モンテヴェルディ『オルフェオ』 葬送の歌
2 モンテヴェルディ『ポッペアの戴冠』 愛欲の見本図
3 モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』 カタログの歌
4 モーツァルト『魔笛』 フリーメイソン
5 ベッリーニ『夢遊病の娘』 「すべては失われ」
6 ベッリーニ『ノルマ』 「清らかな女神」
7 ドニゼッティ『愛の妙薬』 媚薬の効用
8 ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』 狂乱の娘
9 フロトー『マルタ』 「夢のように」
10 ヴェルディ『ナブッコ』 祖国愛
11 ヴェルディ『椿姫』 再生への願望
12 ワグナー『トリスタンとイゾルデ』 愛の死
13 プッチーニ『トゥーランドット』 謎かけ花嫁
14 シュトラウス『サロメ』 七つのベールの踊り


テキスト・主要参考文献
あとがき


著者について:
宮田恭子(みやたきょうこ) 1934年、石川県に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化修士課程修了。元玉川大学教授。主な著書に『ウルフの部屋』(1992)、『ジョイスと中世文化』(2009)、『ルチア・ジョイスを求めて』(2011、いずれも、みすず書房)、おもな訳書にS・ジョイス『兄の番人——若き日のジェイムズ・ジョイス』(1993)、R・エルマン『ジェイムズ・ジョイス伝1・2』(1996、いずれも、みすず書房)、J・ジョイス『抄訳 フィネガンズ・ウェイク』(2004、集英社)等がある。

関連書:
『ユリシーズ』と我ら―—日常生活の芸術/デクラン・カイバート著/坂内太訳/5000円+税
ジョイスをめぐる冒険/夏目博明著/4000円+税

 

芸術選奨受賞報告

2015年 6月 23日

写真(野村)
芸術選奨受賞報告

弊社から2014年4月に刊行されました、『諷刺画家グランヴィル テクストとイメージの十九世紀』が、「文学と視覚芸術にまたがる豊穣な研究成果」であるとして、著者の野村正人氏に第65回芸術選奨評論等部門文部科学大臣賞が与えられました。(授賞式:2015年3月18日、於、都市センターホテル)
選考委員、文化庁の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。

諷刺画家グランヴィル――テクストとイメージの19世紀

野村正人
A5判上製/424頁/定価=6000円+税
装幀=宗利淳一
978-4-8010-0029-2 C0098 好評発売中



挿絵画家として戦うこと

19世紀の視覚文化を体現した諷刺画家グランヴィル。観相学、骨相学の影響下、獣頭人間を使った政治や社会風俗を諷刺する肖像画や風俗画から、ロマン主義 的挿絵本、『寓話』『ガリヴァー旅行記』等の挿絵の制作にいたるまで、徹底して挿絵画家で有り続けたのはなぜなのか? グランヴィルの作品世界を読み解 き、出版・文化史的観点から考察する。

「グランヴィルが文章と挿絵を同時につくる企画に関心を持っていたのは[……]文章にたいする挿絵の従属性を乗り越えようとする信念を持っていたからであ る。挿絵は文章の添え物にとどまったり、先行する文章の意味を説明する役割に甘んじたりするのではなく、ひとつの独立した創作物であるべきであり、また、 ともすれば軽視されがちな挿絵画家は芸術家として評価されなくてはいけない、と考えたのである。」(本文より)

【目次】
序章 グランヴィルの生涯
第一章 フランスの出版文化とその背景
第二章 顔――内面を映す鏡  変身の中間状態
第三章 政治諷刺の経験
第四章 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵
第五章 グランヴィルと『動物たちの私的公的生活情景』
第六章 『もうひとつの世界』の挿絵
終章 最後のグランヴィル

補遺 
図版一覧

文献一覧
人名索引
あとがき

【著者】
野村正人(のむらまさと) 1952年、愛知県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(仏文学)満期退学。ギュスターヴ・フローベール『ボヴァ リー夫人』についての研究でパリ第4大学博士号取得。東京農工大学工学部教授(同大学名誉教授)を経て、2005年より、学習院大学文学部フランス語圏文 化学科教授。主な著訳書に、アラン・コルバン『時間・欲望・恐怖――歴史学と感覚の人類学』(共訳、藤原書店、1993)、『言葉と〈言葉にならぬもの〉 との間に』(共著、行路社、1995)、パトリック・バルビエ『カストラートの歴史』(筑摩書房、1995)、ベルナール・コマン『パノラマの世紀』(筑 摩書房、1996)、エミール・ゾラ『金』(藤原書店、2003)、『ロラン・バルト著作集6 テクスト理論の愉しみ』(みすず書房、2006)などがある。

 

5月新刊:綺想の風土 あおもり

2015年 6月 23日

綺想の風土
綺想の風土 あおもり
黒岩恭介(著)

判型:A5判上製
頁数:247頁
定価:3500円+税
ISBN:978−4−8010-0103-9 C0070 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
青森に生まれ、異彩を放った芸術家や作家たち。
青森県近代文学館の館長を務めた著者が、彼らの残した作品に直に触れることによって得た、新たな発見や豊かな経験について丹念につづった批評、エッセイを集成。

目次:
第一章 津軽綺想の源流 建部綾足
第二章 近代ジャーナリズムの先駆者 陸羯南とその周辺
第三章 陸奥の詩人 菊岡久利
第四章 昭和を生きた青森の異才たち
第五章 棟方・太宰・寺山
第六章 青森で出会ったアーティストたち
第七章 あおもりあれこれ

著者について:
黒岩恭介(くろいわきょうすけ) 1950年、福岡県に生まれる。東京大学文学部美学藝術学科卒業。北九州市立美術館学芸員、青森県美術館整備・芸術パーク構想推進室整備推進監、青森県近代文学館館長を経て、現在、九州造形短期大学学長。主な著書に、『黒の迷宮から』(アキラ イケダ ギャラリー、2009)、『発見する力』(水声社、2010)、『ロマン・オパルカ 無限への歩み』(アキラ イケダ ギャラリー、2014)、共著に、『ジャクソン・ポロック』(講談社、1994)、共訳書に、フランク・ステラ『ワーキング・スペース』(福武書店、1989)、などがある。

関連書:
発見する力/黒岩恭介/4000円+税

 

《小島信夫長篇集成》(全10巻)刊行開始!

2015年 6月 15日

人間の生への深い洞察と、独特の浮遊感を孕んだ文体、そして小説の可能性への飽くなき挑戦によって古今に類例を見ない実験的な作品世界を創造し、日本の現代文学に新風を吹き込んだ小説家、小島信夫。
このたび、生誕100年(2015年)、没後10年(2016年)を記念し、著者が半世紀にわたって書き継いだすべての長篇を網羅する、《小島信夫長篇集成》(全10巻)の刊行を開始します。
長らく入手困難であった問題作『別れる理由』や『菅野満子の手紙』、幻の『大学生諸君!』などをふくむ全15作品を10巻に集成し、小島信夫の全貌に迫ります。
《批評集成》(全8巻)、《短篇集成》(全8巻)に引き続く、本《長篇集成》の刊行によって、小島文学の全体像の把握がようやく可能になります。ご期待ください。



《小島信夫長篇集成》(全10巻)
編集委員=千石英世・中村邦生/編集協力=柿谷浩一

①島/裁判/夜と昼の鎖(解説=春日武彦)★第4回配本(9月末発売予定)
②墓碑銘/女流/大学生諸君!(解説=石原千秋)
③抱擁家族/美濃(解説=小池昌代)
④別れる理由Ⅰ(解説=千石英世)★第1回配本(好評発売中!)
⑤別れる理由Ⅱ(解説=佐々木敦)★第2回配本(7月末発売予定)
⑥別れる理由Ⅲ(解説=千野帽子)★第3回配本(8月末発売予定)
⑦菅野満子の手紙(解説=近藤耕人)
⑧寓話(解説=保坂和志)
⑨静温な日々/うるわしき日々(解説=中村邦生)
⑩各務原・名古屋・国立/残光(解説=平井杏子)



☆A5判上製9ポ1段組み
☆各巻500〜800頁、予価7000〜10000円+税
☆第1回配本は第4巻『別れる理由Ⅰ』。以後、毎月1冊ずつ刊行。2015年3月に全巻完結予定。
☆内容見本呈。ご請求ください。(PDF→小島長篇パンフ表小島長篇パンフ裏
☆全巻をご予約・ご購入いただいた方に、非売品の『小島信夫の世界』(仮題)を進呈いたします。詳細は内容見本をご覧ください。

【関連書】
《小島信夫短篇集成》[価格税別]
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生 7000円
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円

《小島信夫批評集成》[価格税別]
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円

小島信夫の本/単行本[価格税別]
小説の楽しみ 1500円
書簡文学論 1800円
演劇の一場面 2000円

未完の小島信夫 中村邦生・千石英世 2500円
小島信夫の読んだ本――小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円
小島信夫の書き込み本を読む――小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円
水声通信② 小島信夫を再読する 1000円

 

5月新刊:あなたがこの辺りで迷わないように≪フィクションの楽しみ≫

2015年 6月 8日

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あなたがこの辺りで迷わないように
パトリック・モディアノ(著)
余田安広(訳)

判型:46判上製
頁数:176頁
定価:2000円+税
ISBN:978−4−8010−0099−5 C0097 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
ノーベル賞作家の2014年刊行の最新作!!
両親の愛情に恵まれることのなかった少年時代。苦悩に満ちた青年時代。そして、小説家となった現在の謎めいた交錯のうちに立ち現われる孤独な生の歩み。
著者の〈自伝〉的フィクションの新しい地平!

記憶の迷路……
書くことの迷路……

きみは読むだろう……
読みつづけるだろう……


著者について:
パトリック・モディアノ(Patrick Modiano)  1945年、パリ近郊ブーローニュ=ビヤンクールに生まれる。小説家。2014年、ノーベル文学賞を受賞。主な作品には、『暗いブティック通り』(平岡篤頼訳、白水社、2005年)、『八月の日曜日』(堀江敏幸訳、水声社、2003年)、『家族手帳』(安永愛訳、水声社、2013年)、『地平線』(小谷奈津子訳、水声社、2015年)などがある。

訳者について:
余田安広(よでんやすひろ)  1950年、京都府福知山市に生まれる。京都市立芸術大学、パリ国立高等音楽院、エコール・ノルマル音楽院を卒業。現在、北海道教育大学非常勤講師、ミュージック・ライター。主な訳書に、M・ビッチ/J・ボンフィス『フーガ』(白水社、1986年)、M・モラール『ライプツィヒへの旅』(春秋社、2013年)などがある。

関連書:
【パトリック・モディアノの本】
八月の日曜日/堀江敏幸訳/2200円+税
家族手帳/安永愛訳/2500円+税
地平線/小谷奈津子訳/2000円+税

 

5月新刊:ぼくは思い出す《フィクションの楽しみ》

2015年 5月 15日

ぼくは思い出す
ぼくは思い出す  
ジョルジュ・ペレック(著)  
酒詰治男(訳)

判型:四六判上製
頁数:291頁
定価:2800円+税
ISBN:978−4−8010-0095-7 C0097 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
ジョー・ブレイナード『ぼくは覚えている』に想を得て、四八〇の「忘れられた、どうでもいい凡庸な思い出」を列挙しつづける、言語遊戯の作家ならではの「記憶」をめぐる奇妙な試み。
戦後から六〇年代にかけてのフランス版枕草子!?

著者について:
ジョルジュ・ペレック(Georges Perec)  1936年、パリに生まれ、1982年、同地に没した。小説家。1966年にレーモン・クノー率いる実験文学集団「ウリポ」に加わり、言語遊戯的作品の制作を行う。主な著書には、『煙滅』(1969。水声社、2010)、『Wあるいは子供の頃の思い出』(1975。水声社、2013)、『人生 使用法』(1978。水声社、1992)などがある。

訳者について:
酒詰治男(さかづめはるお) 1944年、東京に生まれる。甲南女子大学文学部名誉教授。専攻フランス文学。主な著書に、『文学をいかに語るか』(共著、 新曜社、1996)、主な訳書に、ペレック『人生 使用法』(水声社、1992/2013)、ペレック『家出の道筋』(水声社、2011)、ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』(水声社、2013)などがある。

関連書:
【ペレックの作品】
家出の道筋/酒詰治男訳/2500円+税
煙滅/塩塚秀一郎訳/3200円+税
さまざまな空間/塩塚秀一郎訳/2500円+税
人生 使用法/酒詰治男訳/5000円+税
Wあるいは子供の頃の思い出』/酒詰治男訳/2800円+税
美術愛好家の陳列室/塩塚秀一郎訳/1500円+税
水声通信6号《ジュルジュ・ペレック》/1000円+税
小誌 風の薔薇5号《ウリポの言語遊戯》/1500円+税

 

5月新刊:中村真一郎手帖⑩

2015年 5月 15日

中村手帖10
中村真一郎手帖⑩
中村真一郎の会(編)
判型:A5判並製
頁数:88頁
定価:1000円+税
ISBN978-4-8010-0098-8 C0091 好評発売中!
装幀者:齋藤久美子

内容紹介:
日本語による定型押韻詩によって詩の革命を目指した若き詩人たち=〈マチネ・ポエティク〉を特集。その他、中村真一郎の人と作品を美術という側面から照射する講演や、論考、エッセイなどを多数収録する、中村真一郎研究の最前線。

目次:
中村真一郎と〈マチネ・ポエティク〉のこと 清水徹
『マチネ・ポエティク詩集』とその時代 安藤元雄
〈マチネ・ポエティク〉における押韻 菅野昭正
『マチネ・ポエティク詩集』 池内輝雄
中村真一郎と堀辰雄 影山恒男
ミメーシスと継承 鳥山玲
父、真一郎の思い出 Sr. ムジカ 中村香織
中村真一郎に甦るネルヴァル――女優の問題(4) 小林宣之
豪徳寺二丁目猫屋敷(9) 木島佐一
近況/短信/趣意書/会則

関連書:
【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑩号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧号のみ1500円+税)

【中村真一郎の本】
小説構想への試み/2800円+税
続・小説構想への試み/4000円+税
中村真一郎 青春日記/池内輝雄・傳馬義澄編/5000円+税
城北綺譚/解説=菅野昭正/1800円+税
日本古典にみる性と愛/解説=沓掛良彦/2500円+税
全ての人は過ぎて行く/解説=飯島耕一/3000円+税

戦後文学の旗手 中村真一郎/鈴木貞美/2500円+税

 

『ポストメディア人類学に向けて 集合的知性』刊行記念イベント

2015年 5月 15日

清水高志×西川アサキ「ポスト・ドゥルーズと四つの空間――集合的知性、心身問題」

このたび、フランスの哲学者ピエール・レヴィの著作『ポストメディア人類学に向けて 集合的知性』の翻訳者のひとりである哲学者の清水高志氏をお招きして、下北沢にある本屋B&Bでトークイベントが開催されます。
『魂と体、脳――計算機とドゥルーズで考える心身問題』(講談社)、『魂のレイヤー』(青土社)などの著作がある西川アサキ氏をお相手に、現代の情報哲学者ピエール・レヴィの理論の可能性とその周辺を語り尽くしていただく2時間!
ドゥルーズの理論を、21世紀の哲学を模索するレヴィがいかに吸収し、乗り越えようとしたか?
この世界そのものにおいて「思考しているもの」とは何なのか?
心脳問題と情報空間、そしてモナドロジーの関係とは?
W・ジェイムズの純粋経験論と亡霊、思弁的実在論の結びつきとは?
個性ある論客にして友人である二人が、五月の宵にちょっと尖った現代思想をLIVE! します。

清水高志(しみずたかし)
哲学者。現在、東洋大学総合情報学科准教授。主な著書に、『セール、創造のモナド――ライプニッツから西田まで』(冬弓舎、2004年)、『ミシェル・セール――普遍学からアクターネットワークまで』(白水社、2013年)などがある。

西川アサキ(にしかわあさき)
哲学者、批評家。現在、東京大学大学院情報学環助教。主な著書に、『魂と体、脳――計算機とドゥルーズで考える心身問題』(講談社、2011年)、『魂のレイヤー――社会システムから心身問題へ』(青土社、2014年)などがある。

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日時:2015年5月30日(土)15:00~17:00(14:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
お申込み先:http://bookandbeer.com/blog/event/20150530_levy/
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【書評】パトリック・モディノ『地平線』

2015年 5月 11日

朝日新聞朝刊で『地平線』の書評が掲載されました。

「何者でもなかった頃の懐かしさ」(評・大竹昭子 朝日新聞2015年5月3日付)

 

『氷山へ』刊行記念イベント

2015年 5月 11日

中村隆之×今福龍太「豊穣な沈黙、遠回りする行動力――ミショーとル・クレジオの方へ」


「イニジ」、「氷山」、これらは、フランス語が生み出したもっとも美しく、もっとも純粋で、もっとも真実な詩のうちでも究極の二篇だ――

2008年にノーベル文学賞を受賞したル・クレジオの『氷山へ』は、彼の思考と実践に大きな影響を与えた孤高の詩人アンリ・ミショーの至高の詩編である「氷山」と「イニジ」について、包括的に、かつ詩的に綴られた珠玉の批評-エッセイです。

このたび、この本の刊行を記念し、訳者である中村隆之先生と、ル・クレジオと親交の深い、また、この本に解説を寄せてくださった文化人類学者であり批評家の今福龍太先生をお招きし、下北沢にある本屋B&Bでトークイベントを開催します。

当日は、今福先生、中村先生が持ち寄った、ル・クレジオとミショーをめぐる映像や音声なども聴きながら、うわすべりした饒舌なだけの言葉の氾濫にあらがいつつ、そして文字情報による知覚の包囲からも身を引き離し、豊穣な沈黙と遠回りする行動力について、対話していただきます。


中村隆之(なかむらたかゆき)
フランス語圏カリブ海文学。現在、大東文化大学専任講師。主な著書に、『カリブ–世界論』(人文書院、2013年)などがある。

今福龍太(いまふくりゅうた)
文化人類学、批評家。現在、東京外国語大学大学院教授。近著に、『書物変身譚』(新潮社、2014年)、『ジェロニモたちの方舟』(岩波書店、2015年)などがある。

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日時:2015年5月24日(日)15:00~17:00(14:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
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アブドゥラマン・アリ・ワベリ氏来日講演&トークイベントのお知らせ

2015年 5月 11日

昨年刊行しました、長篇小説『バルバラ』の著者アブドゥラマン・アリ・ワベリ氏が、アンスティチュ・フランセ日本の催す「フランコフォニー祭」のゲストとして来日され、各地で講演とトーク+サイン会が行われます。ぜひ、足をお運びください。また、氏の新作2点を近日中にお届けするべく、ただいま鋭意編集中です。こちらもぜひ、ご期待下さい。


5月12日(火)18:00〜
「ノマドのエクリチュールからエクリチュールのノマドへ」
小樽商科大学 札幌サテライト
入場無料(先着申し込み35名様まで)/通訳有
問い合わせ先 札幌アリアンス・フランセーズ Tel 011-261-2771

5月13日(水)12:30〜13:00(茶話会)/13:05〜14:30(講演会)
「ジブチ出身のフランス語作家WABERI氏と語ろう!」
日本女子大学 目白キャンパス ランゲージ・ラウンジ(茶話会)/香雪館203(講演会)
入場無料/予約不要/通訳有
問い合わせ先 日本女子大学文学史学科 高頭麻子 Tel 03-5981-3595

5月15日(金)19:00〜21:00
「対談:アブドゥラマン・アリ・ワベリ×陣野俊史」
アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
入場無料/予約不要/通訳有
問い合わせ先 アンスティチュ・フランセ東京 Tel 03-5206-2500

5月16日(土)開場13:00/開演13:30〜
「アブドゥラマン・アリ・ワベリ氏 トーク&サイン会」
紀伊國屋書店新宿南店 6階Books Kinokuniya Tokyoイベントスペース
入場無料/予約不要/通訳有
トーク終了後にサイン会を行います。会場にて書籍を販売いたします。
問い合わせ先 紀伊國屋書店新宿南店6階Books Kinokuniya Tokyo Tel 03-5361-3316

著書紹介 『バルバラ』
死ぬ前に証言する、
消滅する前に書く。
植民地時代の悪弊、帝国主義列強の支配、氏族独裁主義の迷妄と内紛……
血塗られたジブチの歴史的悲劇、混迷する日常のなかで格闘する、ワイス、ディレイタ、ヨニス、アナブら4人の若者の抵抗を描く実験的心理小説。

著者紹介 アブドゥラマン・アリ・ワベリ(Abdourahman A. Waberi)
1965年、ジブチ共和国(元フランス領ソマリ海岸)の首都ジブチに生まれる。Le Pays sans Ombre(Serpent à plumes, 1994)でベルギー王立アカデミー・フランス語圏文学大賞およびアルベール・ベナール賞を受賞。Cahier nomade(Serpent à plumes, 1996. アフリカ文学大賞受賞作)と本書Balbala(Serpent à plumes, 1997.『バルバラ』水声社、2014)で、ジブチをテーマとする三部作をなす。その後の主な作品に、Transit(Gallimard, 2003.『トランジット』水声社、近刊)、Passage des larmes(Jean-Claude Lattès, 2009.『涙の通り路』水声社、近刊)、La Divine Chanson(Zulma, 2015)などがある。

訳者紹介 林俊(はやしたかし)
1950年、広島県三原市に生まれる。通訳、翻訳業。日本文藝家協会会員。主な著書に、『アンドレ・マルロォの「日本」』(中央公論社、1993年)、主な訳書に、イエルール・ブラウワーズ『うわずみの赤』(水声社、2001年)などがある。

 

4月の新刊:〈冒険〉としての小説

2015年 4月 28日

ピクチャ 1
〈冒険〉としての小説――ロマネスクをめぐって
赤羽研三(著)

4/6判上製
416頁
定価4,000円+税
ISBN 978-4-8010-0086-5 C0098  好評発売中!
装幀:西山孝司


生の強度として体験される〈冒険〉とは何か?


バフチン、ルカーチ、ジュネットらの物語論を踏まえ、語り/読み/登場人物における〈冒険〉から小説一般の理論を究明し、19世紀以降の小説(スティーヴンスン、ポー、フロベール、ラディゲ、カミュ)を題材に、多様なジャンルにおける〈冒険〉の諸相に肉薄する。

《本書の狙いは、小説のもつ冒険の側面を明らかにすることである。それでは、この場合の冒険とはいったい何なのか、小説における冒険とはどういう意味をもつのか。(……)読み手は小説を読むことによって、冒険というかたちで生を体験するのである。そしてまさにここにこそ小説を読む面白さ、醍醐味があるのではないか。》(本書より)

目次

はじめに
第1章 ロマネスク
第2章 冒険の様々なかたち
第3章 語りと読み手の冒険
第4章 物語の発生と進行
第5章 状況の設定と人物の行動
第6章 因果性と「思いがけなさ」
第7章 リアルとアクチュアル
第8章 状況の流動性と主体の変容
第9章 小説の締めくくり方
第10章 冒険小説における冒険とその不可能性――コンラッド『ロード・ジム』
第11章 恋愛における冒険――ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』
第12章 新たな冒険の可能性――カミュ『異邦人』
おわりに


あとがき


【著者について】
赤羽研三(あかばけんぞう)  1949年、東京生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、上智大学教授。専攻、現代フランス思想・詩学。主な著書に、『言葉と意味について考える Ⅰ/Ⅱ』(夏目書房、1997年)、『危機のなかの文学』(共著、水声社、2010年)、主な訳書に、ジュリア・クリステヴァ『ポリローグ』(共訳、白水社、1986年)、ミシェル・フーコー『考古学と系譜学』(共訳、新評論、1992年)、サラ・コフマン『芸術の幼年期』(水声社、1994年)などがある。

[関連書](価格税別)
物語のディスクール G・ジュネット/花輪光・和泉涼一訳 5000円
ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論 橋本陽介 2800円
小説の楽しみ 小島信夫 1500円