6月の新刊:ヴィクトル・セガレン著作集3

2010年 6月 21日

segalenヴィクトル・セガレン/木下誠訳

『二重のランボー/オルフェウス王』

四六判上製函700頁 定価10000円+税
ISBN 978-4-89176-545-3  C0098 好評発売中!

《エグゾティスム》を追求した作家の集大成、
ついに待望の第3巻刊行!




20世紀初頭、フランスの海軍船医としてタヒティ、
ポリネシア、セイロンをめぐって仏教を学び、
ランボーの足跡を訪ねた著者がフランスに帰国後、
中国へ向うまでの思考の軌跡。

文学と生、幻想と覚醒、音楽と言葉のあいだで苦闘した、
ランボー、ゴーダマ・シッダールタ、オルフェウス。
著者が憑かれ、自らの分身を認めたこの3人をめぐって、
生涯にわたって書かれ続けた終わりなき4作品、
そしてドビュッシーとの往復書簡を収録する。

 

6月の新刊『シュタイナー幼稚園のうた』

2010年 6月 21日

e382b7e383a5e382bfe382a4e3838a高橋弘子編著

シュタイナー幼稚園のうた

B5判並製64頁/定価1000円+税
ISBN978-4-89176-784-6 C0073 6月25日頃発売
*新刊委託はありません。返条付き注文で出荷します。

おとなもこどもも、
さあ、うたいましょう!



ドイツの、そして日本のシュタイナー幼稚園でうたわれている
《流れゆく雲のような》、《雨の降る音のような》美しいうた、
楽しいうたを、楽譜とともに65曲収録する日本でただ1冊の、
シュタイナー幼稚園の歌曲集。

 

編集部通信:バナナの本はまだすべるのか?

2010年 6月 16日

banana_coverバナナというフルーツに
関心のある読者はもちろん、
お笑い関係者や映画関係者のみならず、
古今東西の文献からの圧倒的
かつ豊富な引用の実例によって、
ブッキッシュな読者をも驚愕のズンドコに……
もとい、ドン底におとしこんだのが、
黒木夏美『バナナの皮はなぜすべるのか?』

な、なんと、おかげさまでよもやの重版決定!
(とはいえ、最小ロットではありますが)。
担当編集者も目と耳と心を疑っております。

これまでご紹介の労をとってくださった各紙誌、
そしてブログやツィッター等ウェブで広めていただいた
みなさまのおかげです。ありがとうございます。。。
すでにご注文いただいていたお客様のお手許にも、
もうすぐ届きますので、いましばらくお待ちください。
まだお買い求めいただいていないかたは、
ぜひともお気に入りの書店/ネット書店へ、
じゃんじゃんと注文をお寄せください。

……とアップしたら、今週末(20日付)
朝日新聞の書評欄でも紹介されるとの報が!
お楽しみに!




さて、このかんも6月7日発売の『アエラ』誌に
小さいながらとてもユニークな 書評 が掲載され、
また、8日付の静岡新聞朝刊の名物コラム「大自在」では、
本書にことよせて、菅政権の趨勢(!?)が論じられました。
(リンク切れながらその一部はこちら→

banana_hokkaiそして去る13日には、
北海道新聞文芸面のコラムで、
北海学園大学准教授で
歌人の田中綾さんが、本書を
紹介してくださりました
左の画像をクリック)。

著者の黒木さんが俳人でもあるせいか、
本書には、バナナの皮をめぐる短歌や俳句も
ふんだんに引用されているのですが、
田中さんが着目したのは、会津八一のもの。

わがすてしバナナのかはをながしゆくしほのうねりをしばしながむる


田中さんはこの歌を「瀬戸内海のうねる潮が、
小さな黄色い皮をダイナミックにのみこんでいった光景への
感嘆だろう」と解釈していますが、その色と音が聞こえてくるような、
じつに色彩感あふれる名評ですね。田中さん、ありがとうございました。



ちなみに、その田中綾さんも主要な執筆者のひとりである、
『〈殺し〉の短歌史』(現代短歌研究会編)も、
今月末、6月25日ころの配本予定で現在印刷・製本中です。
この本は、100年前の大逆事件から、第2次世界大戦、
60/70年安保、前衛歌人、そして21世紀のアキバ事件まで、
日本の近現代史のさまざまな〈殺し〉を詠んだ短歌をめぐって、
《短詩型新時代》の旗手として活躍中の歌人や研究者たちが、
縦横に論じまくった1冊です。

詳細は近日中にこのブログでご紹介いたしますが、
こちらも『バナナの皮〜』に負けず劣らずの奇書(!?)として、
ぜひともご注目ください。(編集部:Naovalis)

 

編集部通信/『暗闇の楽器』の反響その2

2010年 6月 7日

ナンシー・ヒューストンの『暗闇の楽器』、好評です。

kurayami002発売後まもなく女性誌『BAILLA』6月号に
江南亜美子さんの紹介記事が載り、
5月6日に東京・表参道の
青山ブックセンター本店で行われた
トークイベント「われらの〈世界文学〉」
(野崎歓×沼野充義×柴田元幸)で、
野崎歓さん「これぞ世界文学という作品」の一つに
『暗闇の楽器』を挙げていましたが、
それからひと月後の6月6日付け『日本経済新聞』読書欄に
同氏による書評が掲載されました。
「時代小説の波瀾に満ちた面白さと、現代小説としての知的な刺激を
たっぷりと味わわせてくれる秀作である」

実によくポイントをおさえた評価をしておられます。

また、『ダ・ヴィンチ』7月号の「注目の新刊情報コーナー」にも、
「独創的なアイデアを楽しみたい」と紹介されました。

さらに、『悪童日記』の翻訳者として知られる慶応大学教授の堀茂樹さんも
『暗闇の楽器』邦訳版を読んで絶賛、訳文もすぐれているとおっしゃっていて、
近々、力のこもった書評を書かれる予定です。

それから最新ニュースをひとつ。
日本語版『暗闇の楽器』が出た5月に、フランスのほうでは
ナンシー・ヒューストン4年ぶりの新作小説Infrarouge(赤外線)が上梓され、
話題になっています。フィレンツェを主な舞台にしたこの新作では、
東京も描かれ、日本の著名なカメラマンの名も出てきますが、
『暗闇の楽器』の現代の物語の世界をより深化させ、
かなり過激な内容になっているようです。
ヒューストンの創作力はますます凄みを増していて、
今後の活躍が本当に楽しみな世界的作家のひとりです。(編集部So)


kurayami001ナンシー・ヒューストン/永井遼・いぶきけい訳

暗闇の楽器

四六判上製328頁/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-783-9  好評発売中!

『天使の記憶』『時のかさなり』によって多くの読者の心を震わせた
ナンシー・ヒューストンの最高傑作——待望の邦訳なる!




【高校生が選ぶゴンクール賞受賞作】

美貌の女性作家をめぐる複雑な人間関係を
内面から描く現代のマンハッタンの物語。
17世紀フランスの暗黒時代を果敢に生き抜く
双子のみなしご兄妹の数奇な運命。
——二つの世界が時空を超えて
パラレルに展開する奇跡の小説。

『悪童日記』以来の文学的衝撃と感動が甦る!

 

編集部通信/不況でも みんなですべれば こわくない 5・30は バナナ記念日

2010年 6月 4日

banana_cover去る5月30日、日曜。

すでにお読みになったかたも多いとは存じますが、
はからずも全国紙2紙の書評面を飾ってしまったのが、
「バナナの皮ですべるギャグ」だけで250ページを埋め尽くした
世界初の本、黒木夏美さん(web「本の中のキートン」管理人)
『バナナの皮はなぜすべるのか?』です。


読売新聞(本よみうり堂)には、左ページ上段にどかんと書評が。
評者は既成の文学史を積極的に読み直している黒岩比佐子さん
タイトルからイロモノ的に見なされがちではあるけれども、
じつは硬派な本書の魅力を、あますところなく伝えてくださいました
黒岩さん、ありがとうございました!

「本よみうり堂」ウェブ版はこちら(→
黒岩さんのブログ(→



nikkei001いっぽう、日本経済新聞 の読書面。
「あとがきのあと」というインタビュー欄に、
著者の黒木さんが近影入りで登場しました。
本書のモティーフはもちろん、
「救いようもなく暗い一面がある人間社会には、
一隅を照らすような愉快なギャグが必要だ」

という持論を展開しています。
「書評より取材を〜」と言って、
著者の在住する中国地方まで足を運んでくださった、
文化部のTu さん、ありがとうございました!



さらに、ほかのメディアに先駈けて、
いち早く本書の紹介記事を全国に配信してくださったのが、
共同通信 の Ta さん。おかげさまで日本全国津々浦々の地方紙に
順次掲載されています。弊社に届いている紙面を列挙すると……

【共同通信配信分】
5月15日付 岩手日報
16日付 中国新聞
22日付 沖縄タイムス
23日付 神奈川新聞
〃  福井新聞
〃  河北新報
〃  上毛新聞
〃  秋田魁新報
〃  山陰中央新報
〃  宮崎日日新聞
〃  新潟日報
30日付 東奥日報
〃  岐阜新聞
〃  山形新聞
〃  南日本新聞  (以上、順不同)


ほかにもあるのかも? Taさん、ありがとうございました!



おかげさまで現在は品薄状態が続いており、
各書店さまにはご迷惑をおかけしていますが、
まだ一部書店・ネット書店には店頭在庫がありますので、
ぜひともお買い求めいただければ幸いです。

巷では「すべらない話」がもてはやされている昨今、
そんな風潮に叛旗をひるがえさんとして(?)、
帯にも麗々しく「絶対、すべる」と謳ってみたのですが、
「すべらない本」、いえいえ、「すべりしらずの本」となりますよう、
なにとぞお力添えをお願いいたします!(編集部 Naovalis)


黒木夏美

バナナの皮はなぜすべるのか?

A5判並製252頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-777-8  C0095 大好評発売中!

——–
もくじ
——–
夜の終わりに
バナナの皮で笑うわけ
バナナの皮は誰かの手製
バナナの涙
世界に冠たるバナナの皮
お笑いに王道あり
永遠のお約束
バナナの皮の文学史
戦前日本のバナナの皮
アメリカ喜劇映画の神々
バナナの皮がギャグになるまで
バナナの皮の罪と罰
ストップ・ザ・スリップ
バナナの皮のモラル
踏み出す一歩
あとがき

 

6月の新刊/バルザックの新シリーズ刊行開始!

2010年 6月 4日

balzac_cover-31バルザック芸術/狂気小説選集1
【絵画と狂気】

知られざる傑作 他

私市保彦・芳川泰久・澤田肇・片桐祐・
奥田恭士・佐野栄一訳

四六判上製336頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-791-4 C0397 6月5日頃発売!


内的夢想の氾濫によって現代を幻視する、
《過剰》と《想像力》の作家・バルザック。
狂気と現実のあわいを横断するベスト・セレクションにして、
すべて新訳の新シリーズ、刊行開始!(全4巻)


生命ある絵を追い求め、10年を費やして
「カトリーヌ」を描いた老画家フレンホーフェル。
長らく秘密にされていた、その絵の本当の姿が
明らかになったとき、画家は……。

ピカソやセザンヌが主人公に自分を重ね合わせたという
表題作のほか、「絵画」と「狂気」が交錯する6篇を収録。


目次

鞠打つ猫の店(澤田肇訳)
財布(片桐祐訳)
知られざる傑作(芳川泰久訳)
ピエール・グラスー(私市保彦訳)
海辺の悲劇(奥田恭士訳)
柘榴屋敷(佐野栄一訳)

解説:画家の群像と情念に侵された風景(私市保彦)


【内容見本進呈】
ご希望の方は、80円切手を同封のうえ、
下記弊社営業部までお申し込み下さい。
112-0002  東京都文京区小石川 2-10-1-202

 

『絵本の子どもたち』書評など

2010年 5月 27日

5月23日(日曜)付け『毎日新聞』の「今週の本棚」で、
『絵本の子どもたち』(寺村摩耶子著)の書評が掲載されました。
かなりのスペースを割き、評者の川本三郎さんが
この本の見どころ読みどころを見事に紹介してくださっています。
まだ目にしていない方はここにリンクをはっておきますので、
ぜひご覧になってみてください。
すぐにでも本屋さんへ駆けつけたくなることでしょう。
(こちら→

それから、著者の寺村摩耶子さんに対するインタビュー記事が、
白泉社で発行している『月刊MOE』7月号(6月3日発売)に
1頁で掲載されます。こちらも要チェック!(編集部So)



ehon_cover寺村摩耶子著

『絵本の子どもたち 14人の絵本作家の世界』

A5判上製320頁+カラー口絵8頁 定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-779-2  C0095
全国書店絵本・芸術書コーナーほかで好評発売中!

子どもの本を舞台に、
美しい作品を作りつづけている絵本作家たち。
14人のクリエイターたちの魅力あふれる世界を
200点以上の絵本をとおしてみつめた注目の絵本作家論集!
貴重な資料であると同時に、驚きと楽しさにみちた生のドキュメント。

カラー口絵8頁ほか図版多数収録。


——絵本の森への招待。14の入口——
片山健/長新太/スズキコージ/井上洋介/
荒井良二/飯野和好/たむらしげる/
宇野亜喜良/酒井駒子/沢田としき/
谷川晃一/島田ゆか/南椌椌/木葉井悦子

 

編集部通信/世界も認める すべりっぷり

2010年 5月 21日

banana_cover一部の好事家の頬をニヤリとゆるませる本として、
密やかに話題を呼びつつある〈奇書〉が、
4月末に満を持して刊行された、
黒木夏美著『バナナの皮はなぜすべるのか?』です。

このタイトルのためにしばしば誤解されるのですが、
本書は、バナナにかこつけて処世術を解いたノウハウ本でも、
はたまたバナナの皮でのすべりかたを、
科学的物理的に検証した本でもありません。

ある日、本当にバナナの皮が道端に落ちているのをみた著者が、
古今東西の映画、コミック、文学作品、インターネットをくまなく検索、
有史以来、最も有名かつ普遍的な「バナナの皮ですべる」という
ギャグの由来と現在をひたすら調べまくった労作なのです。
徹頭徹尾、バナナの皮とそのギャグだけで、
250ページになんなんとする誌面を埋めた、
世界ではじめての本!
——と言うことができましょう。

banana_0515_iwateこのような著者の営為を広く世に知らしめるため、
まず共同通信さまが「気になるこの本」として配信してくださり、
すでに『岩手日報』(5/15日付=左の画像=クリック)、
『中国新聞』(5/16付)などなどに掲載されました。

さらに今月末には、いわゆる4大紙の1紙に
著者インタビューが掲載される予定
になっています。
*さらに 5月30日付読売新聞の書評が追加になりました!
思わぬところから取材や書評掲載のオファーが舞い込んできており、
バナナの皮の中毒患者は、確実に、じわりじわりと増えつつある情勢です。

たとえ2日分の夕飯をバナナにしてでも
いちどは手にしてみたくなる本、『バナナの皮はなぜすべるのか』
ちなみにカバーはあのロックの名盤のパロディです。

まだ未読のかたがいらっしゃったら、
ぜひお買い求めいただければ幸いです。(編集部 Naovalis)


黒木夏美

バナナの皮はなぜすべるのか?

A5判並製252頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-777-8  C0095 大好評発売中!


もくじ
夜の終わりに
バナナの皮で笑うわけ
バナナの皮は誰かの手製
バナナの涙
世界に冠たるバナナの皮
お笑いに王道あり
永遠のお約束
バナナの皮の文学史
戦前日本のバナナの皮
アメリカ喜劇映画の神々
バナナの皮がギャグになるまで
バナナの皮の罪と罰
ストップ・ザ・スリップ
バナナの皮のモラル
踏み出す一歩
あとがき

 

編集部通信/『暗闇の楽器』の反響その1(編集部 So)

2010年 5月 10日

libro1今年は寒い春が続いていたのに、
このところ急に初夏の陽気。
天候に恵まれたGWを戸外で
ゆったりと過ごされた方も多いのでは。
私も久々に原稿やゲラと格闘する世界から離れ、
数日間、自転車で都内散策に出かけました。
ついでに書店も行けるだけ覗いてきましたが、
最新刊の『暗闇の楽器』が大型店では
目立つところに平積み・山積みされていました!
(左上の写真は池袋リブロの新刊台のコーナー、
その下のポップ付きは青山ブックセンター本店です)

少し驚いたのは、「フランス文学」なのに、
「アメリカ文学」に分類している書店が多かったこと。
書店員さんも忙しくて、「ナンシー・ヒューストン」という
著者名に惑わされ勘違いしたのかも。
これと逆のケースが昨秋刊行したアナイス・ニンの『人工の冬』で、
アメリカ文学なのに「フランス文学」と分類している書店が結構ありました。
これも早稲田大学の都甲幸治さん式に言うならば、
ナンシー・ヒューストンは「偽フランス文学」で、アナイス・ニンは
「偽アメリカ文学」だからこそ起こる勘違い現象なのかもしれません。

aoyamabc それはともかく、刊行後間もないのに、
連休が明けると『暗闇の楽器』を
さっそく読んだという方々から
次々と感想が寄せられてきました。
みなさん、担当者の私も驚くほど、
すごく核心をついた読み方をされているので、
ここに一部紹介させていただくと——




「……物語の凄さに圧倒されています。本当にこの著者は、
言葉を選び抜き、音楽や光の使い方が卓越していますよね。
ナダの名前の由来など、小さなエピソードがとにかく魅力的。
読みはじめから物語にからめとられました。
『時のかさなり』もすばらしかったですが、この『暗闇の楽器』も、
今年のベスト1になりそうな勢いです」
(東京在住YMさん)

「連休初日に『暗闇の楽器』を本屋さんで見つけて、
ちょうど連休中に読み終えました! とても面白かったです。
小説内に複数の声がわんわんと響いていて、でもそれは
すべて一人の作家(ナンシー・ヒューストンまたはナディア)のものであり。
……となにか気の利いた感想を書こうとしたのですが、
とてもたくさんのものを抱え込んでいる小説で、
一回ではとても読み切れなかった気がします。
時間と空間を超えて一人に収斂する複数の声、という意味で
『時のかさなり』と似たものを感じ、私にとってはそこが面白いポイントでした。
とにかくこういう、内容以前に、「小説」という器を意識した作品はすごく好きです。
今さらフィクションを書くならこういうふうにしてもらわないとって思います。
でもそれを変な実験的作品にせず、小説としての見事な完成度でもって仕上げてしまう
ナンシー・ヒューストンはますます気になる作家になりました。
以前に出た『天使の記憶』も読んでみようと思います。
でも翻訳するのはすごく難しい小説のように思いました。特にナディアのパート。
西洋人の女の人の独り言は日本語にしてしまうと
どうもエキセントリックで現実ばなれしてしまう。
「復活のソナタ」のパートは情景が強烈に残ります。
特にバルブが子どもを産み落とす章は迫真の筆致ですごい。
ここだけもう一回読み返してしまいました。
それにしてもこれが高校生に支持されるって、
フランスの高校生はレベル高いですね……。
どういうことなんでしょう?」
(東京在住AYさん)

「女性が直面する生きづらさという重いテーマを扱っているにもかかわらず、
物語性の豊かさと確かな筆力によって手に汗にぎる思いで読了し、
(帯の「絶望そして希望の物語」そのものの)見事なラストに感嘆しました
(訳文もこなれていて読みやすかった)。
この本に巡り会えて本当に良かったと心から感謝しています。
まず、作家の「わたし」(ナディア)の日常と、
「わたし」が執筆中の小説「復活のソナタ」が
交互に配置されるという構成が素晴しい。
次に三人のヒロイン(小説での17世紀のバルブ、
ハンガリー系のヴァイオリニストで「わたし」の母エリザ、
そして「わたし」)を通して、女性だけが背負う諸問題
(妊娠と出産、レイプ、中絶、避妊、魔女裁判など女性への偏見、
結婚して放棄せざるをえないキャリア、家事労働の空しさ、
夫の浮気と暴力 etc.)と真正面から向き合う見事な覚悟に胸打たれます
(その意味で、角田光代〔『対岸の彼女』『八日目の蝉』など〕の先達といえる)。
母語ではない仏語で書く作家で、双子が登場する小説というと、
やはりアゴタ・クリストフ(『悪童日記』三部作)を想起しますが、
天才型のクリストフに対し、こちらは秀才型か。
また、明快で率直な描写や物語性の豊かさから、
ジョン・アーヴィングなどのアメリカ文学の系譜を感じました」
(鎌倉在住YS氏)

「『暗闇の楽器』、読み終えました。
緊密な構成の作品ですね。「おんな」の肉体と精神と心の
激しいぶつかりのせいで、床が地震のように大きくゆれ
(実際は、自分自身がゆれているのですが)、めまいを感じました。
否定的な意味合いをもつNではじまる名前のNadiaが、
自分には「わたし」がないということで、
Nada(無)と自分自身のことを呼びかえる記述には、
どきりとしました。最後には主体をとりもどして、
Nadiaという名前に戻るのですが、
そこに関与しているのは母親の存在を意識したことでした。
この結末は、身につまされてよくわかる箇所でした。
ナンシー・ヒューストンも否定的なNではじまる名前です。
この世のあらゆるネガティヴなものを集結させた結果、
作家の心に転化が生じたようです。
女性が創作すると、男性が創作するよりも、
自然な転化がおこるということを
目の当たりにしました。ヒューストンには無理がありません。
彼女は今後もいい作品を多く書いていくことでしょう」
(大阪在住MKさん)

 

5月の新刊『暗闇の楽器』

2010年 4月 27日

kurayami001ナンシー・ヒューストン/永井遼・いぶきけい訳

暗闇の楽器

四六判上製328頁/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-783-9  5月1日頃発売!

『天使の記憶』『時のかさなり』によって多くの読者の心を震わせた
ナンシー・ヒューストンの最高傑作——待望の邦訳なる!




【高校生が選ぶゴンクール賞受賞作】
美貌の女性作家をめぐる複雑な人間関係を
内面から描く現代のマンハッタンの物語。
17世紀フランスの暗黒時代を果敢に生き抜く
双子のみなしご兄妹の数奇な運命。
——二つの世界が時空を超えて
パラレルに展開する奇跡の小説。

『悪童日記』以来の文学的衝撃と感動が甦る!

 

編集部通信/偽アメリカ文学の実践 その3

2010年 4月 23日

すでに4月16日から開催されている、紀伊國屋書店新宿南店のフェア、
《村上春樹をめぐる冒険》(→)には、もう足をお運びいただいたでしょうか?

imageもちろん、村上春樹の新作、
『1Q84』第3巻がメインなわけですが、
弊社刊『偽アメリカ文学の誕生』
著者であり、最近は読売新聞の書評委員としても
活躍中の早稲田大学准教授、
都甲幸治さんが選書した棚も併設中なのです。
そこでさっそくフェア初日にお邪魔したのですが……。

その『偽アメリカ文学の誕生』も、
者サイン入り、フェア特製手書き帯つきで並んでますね。

そしてさらに、

image2おおっ、すごいことになってます。

「村上春樹 × 都甲幸治」!!

今回のフェアは、村上春樹の本を通して、
1984年の時代背景に迫ったり、
ハルキ文学の源泉ともいうべき
内外の作品もふんだんに揃えているところが
ユニークなのですが、もうひとつの大きな特長、
それは海外文学の原書、つまり洋書と邦訳の併売でしょう。

たとえばサリンジャーの『ライ麦畑』。
いろんな翻訳で親しんできましたが、
原書にまで手を伸ばすことがあまりなかったかも?
今回のフェアでは、都甲さんがチョイスした
すぐれた翻訳とその原書が一緒にならべて販売されています

6階の広い売り場面積を擁した洋書に強みをもつ、
新宿南店さんならではのこの大胆な試みも、
洋書ご担当の舟木さん、仕入れ担当の桐生さん、
おふたりの非常に熱心なお力添えとバックアップがあってのこと。
都内近郊にお住まいのみなさん、
ぜひともこのフェアに足を運んでみてください!
ほんと、本好きにはたまらない売り場になってますよ。

ちなみに、新宿南店さんのサイトでは
都甲さんのひと言コメント付きでブックリストを掲出中です(→)。
(編集部 Naovalis)

 

4月の新刊『バナナの皮はなぜすべるのか?』

2010年 4月 20日

banana_cover黒木夏美

バナナの皮はなぜすべるのか?

A5判並製252頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-777-8  C0095
4月23日頃発売!(一部書店は26日頃)

絶対すべることまちがいなし。
世界初! バナナの皮だらけの本、
ついに刊行!


人類の誕生以来、最もポピュラーなギャグ
《バナナの皮すべり》は、いつ、どこで、誰によって、
どうやって生み出されたのか——?

チャップリンもキートンも怪物くんも北野武もオダギリジョーも、
誰もが魅了された、この素樸にして普遍的な疑問を検証するべく、
マンガ、映画、文学作品、テレビ番組、ウェブサイトなど、
あらゆるバナナを踏んで歩いた、《バナナ愛》あふれる必滑書。


これを読めば、あなたも食べすべりたくなる!


もくじ

夜の終わりに
バナナの皮で笑うわけ
バナナの皮は誰かの手製
バナナの涙
世界に冠たるバナナの皮
お笑いに王道あり
永遠のお約束
バナナの皮の文学史
戦前日本のバナナの皮
アメリカ喜劇映画の神々
バナナの皮がギャグになるまで
バナナの皮の罪と罰
ストップ・ザ・スリップ
バナナの皮のモラル
踏み出す一歩
あとがき

 

編集部通信/『暗闇の楽器』続報

2010年 4月 19日

e69bb8e5bdb1先月6日に速報でお伝えした、
ナンシー・ヒューストンの話題作『暗闇の楽器』の発売日が
いよいよ迫ってきました。なかには待ちきれないでいる
読者のかたもいらっしゃるのでは?
著者についてはご存じのかたも多いと思いますが、
ここでもう一度紹介し、さらに、『暗闇の楽器』の原著が
フランスで刊行されたときに各紙誌に掲載された
書評/讃辞の数々を抜粋してみることにします。(編集部So)




ナンシー・ヒューストンは、1953年、カナダのアルバータ州カルガリーに
生まれる。英語を母語としてカナダやアメリカ合衆国で教育を受け、
20歳のときにパリに留学、ロラン・バルトに師事する。
以後フランスに住み、79年にはツヴェタン・トドロフと結婚、
フランス語と英語の双方で活発な執筆活動を続けている。
81年に長篇『ゴルトベルク変奏曲』でデビューして以来、
93年の『草原讃歌』(カナダ総督大賞受賞)、96年の『暗闇の楽器』
(高校生が選ぶゴンクール賞受賞)など、これまで十一の小説を発表、
それ以外にも数多くのエッセイ・評論、子供向けの作品等を書いている。
そのうちすでに邦訳があるのは、『愛と創造の日記』(晶文社、1997年)、
『天使の記憶』(新潮社、2000年)、『時のかさなり』(新潮社、2008年)
の三作で、2008年秋には来日講演をおこない、話題をよんだ。


この独創性あふれる小説は、読む人の心をおののかせ、揺さぶる。
読者は、数世紀もの時の隔たりを超えて収斂するふたつの運命を
ともに生きる。果たして、双子のバルブとバルナベは、
ナディアの心の悪魔を祓うことができるのか?
この素晴らしい作品を読了後、その答えが明らかになる。
——Lire(リール誌)

ナンシー・ヒューストンが奏でる魂を貫くような哀しみに満ちた音色が、
きらめく愛情によって癒されてゆく。明晰で才能あふれる名演奏は、
聴く人の琴線をかき鳴らし、その心を捉えて離さない。
——L’Express(レクスプレス誌)

闇に覆われた冒頭と光に満ちたラストのあいだで、
ふたつの人生が火打ち石のようにぶつかり合い、火花を放つ。
ここに、彼女の小説の美しさがある。
——Magazine Littéraire(マガジン・リテレール誌)

読者は、あたかも小説家の創造の現場に入り込んだかのように、
ふたつの楽譜のあいだにある秘められた結びつきを目の当たりにして、
感嘆の念を禁じえない。本書で、ナンシー・ヒューストンは
巧妙な驚くべき錬金術を披露する。バルブとナダは
相手を根本から変えてしまうほどの影響力を発揮するが、
そのときふたりの女性は読者の想像を超える姿で立ち現れるのだ。
——Télérama(テレラマ誌)

小説家は魔女。非現実的なものを実在させる魔法の力を持っている。
人生は虚構によって、より現実になる。
(インタヴューに対する著者自身の言葉)
——Centre France Dimanche(サントル・フランス・ディマンシュ紙)

ナンシー・ヒューストンは、人が楽器で聴かせてくれるものを言葉で表す。
この小説でいえば、ひとりの女がつぶやくと、その哀しい繰り言が
もうひとりの女の胸に木霊(こだま)する。
反抗と怒りの歌、だが同時にそれは愛の歌でもある。
ささやかな瞬間を積み重ねることによって、
私たちは暗闇のただ中を前進することができるのだ。
——Elle(エル誌)

双子と魔法を描き、怒りに満ちた明晰な内省を連ねたこの本は、
何よりも文学的創造の秘密を解き明かしてみせる。
そして書くことは、現実を意味あるものにし、
書き手の落胆、怒り、疑念を癒す唯一の方法であると結論づける。
——Les Echos(レ・ゼコー紙)

 

編集部通信/『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』

2010年 4月 15日

さっそく月曜社さんのウラゲツ☆ブログでもご紹介いただいた、
ステファヌ・ナドー著/信友建志訳
『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』
(Kさん、いつもありがとうございます!)

『カフカの夢分析』(小社)や『アンチ・オイディプス草稿』(みすず書房)
などで、フェリックス・ガタリの復権と再評価に力を傾注してきた著者が、
『アンチ・オイディプス』という稀有な1冊と真っ正面から向き合った、
文字通り《思想的実践の書》として、各方面で話題になっています。

nadaud_kouenところで著者のステファヌ・ナドーさんは
大の親日家で、本書の訳者解説にも
書かれているとおり、
3月初旬から2カ月にわたって来日中です。
(この写真は、一私企業による占拠への反対運動で
湧いている渋谷の宮下公園にて)。
そこで去る4月10日には、かれと由縁のある
友人知人たちが新宿に集い、ささやかな出版記念パーティーが開催されたのでした。

この日の会場となった新宿のカフェ・ラヴァンデリアに参集したのは、
本書の訳者・信友建志さん、本書の育ての親で
『カフカの夢分析』の訳者でもある龍谷大学の杉村昌昭さん、
文庫版『アンチ・オイディプス』の訳者・宇野邦一さん、
その版元で会場をご提案くださった河出書房新社の阿部さんはじめ、
D=G関係の訳者・研究者、出版関係者などなど、
じつに豪華でユニークな方々ばかり。
ナドーさんも本書のモティーフを熱く語っていました。

nadaud_talk京阪神からもふくめ、
こちらの予想をはるかに上回る
40名前後の出席者が、
けっして広くはない会場から路上に
あふれ出すほどの熱気で大いに賑い、
その後も終電が尽きる時間まで、
2次会3次会と続いたのでした……。
ご協力・ご参集いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

ところで、3月から4月にかけては『奥の細道』をたどって佐渡や北陸を
旅していたナドーさんですが、いまは西—南日本を旅行中とのこと。
もしも見かけたら、気軽に声をかけてみてください。
かれはとても優しいナイスガイです。(編集部 Naovalis)


nadaud_cover2ステファヌ・ナドー著/信友建志訳

アンチ・オイディプスの使用マニュアル

四六判上製352頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-760-0  C0010 4月10日頃発売!


逃走か、あるいは競闘か?
21世紀の最もラディカルな
『アンチ・オイディプス』臨床実践!


ポップ心理学、資本主義、そして死。
混沌が支配する日常を《くたばらずに》生き抜くために、
ガタリ=ドゥルーズはいかに実践しうるのか?
カフカ、プルースト、三島由紀夫、
『スター・ウォーズ』、バッグス・バニーを駆使する、
鮮烈なエクリチュール機械の誕生!



ステファヌ・ナドー:
1969年生まれ。哲学者にして児童精神科医。
フェリックス・ガタリ『カフカの夢分析』(水声社)、
『アンチ・オイディプス草稿』(みすず書房)などの編者でもある。

信友建志:
1973年生まれ。京都大学非常勤講師。思想史・精神分析専攻。
著書に『フロイト=ラカン』(共著、講談社選書メチエ)など、
訳書にアルチュセール『精神分析講義』(共訳、作品社)、
ネグリ『野生のアノマリー』(共訳、作品社)など多数がある。

 

編集部通信/『絵本の子どもたち』続報

2010年 4月 15日

まだ発売されたばかりですが、寺村摩耶子著『絵本の子どもたち』、好評です。
早速お読みいただいた、画家で、美術評論家でもある谷川晃一さんより、
本書へのすばらしい推薦のことばをいただきました。
以下、ご紹介させていただきます。(編集部 So)



人は誰でも心の中に「子ども性」を持っている。しかしその
「子ども性」が人生の豊かさの根源だと自覚している人は少ない。
ではその「子ども性」の豊かさとは何なのか、
寺村摩耶子の『絵本のなかの子どもたち』は絵本という
独特のメディアを通して、その豊かさをさまざまな観点から語っている。
むろん「子ども性」の豊かさを開示しているものは絵本だけではなく、
音楽や美術、文学や映画、マンガにもアニメの中にも存在するが、
はじめから子ども向けに描かれた絵本は
最もシンプルにそのことを考察できるものである。

寺村摩耶子は今日の絵本の中にティピカルに現れている
フォークロア、ファンタジー、ノスタルジー、ナンセンス、
ユーモア、メタモルフォーゼ、プリミティビィズムなどを取り出し、
万華鏡のように展開している絵本の夢の魅力を、
十四人の絵本作家に即して紹介している。

かつて子どもだった大人たちが「子ども性」が孕んでいる
至福にについて気がつくならば、絵本は実に奥深く、
かつ広大な文化領域であることを本書は熱く述べている。

谷川晃一(画家・美術評論家)




ehon_cover寺村摩耶子

絵本の子どもたち——14人の絵本作家の世界

A5判上製320頁+カラー口絵8頁/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-779-2  C0095  4月10日頃発売!


〈子どもを生きる〉
絵本という、子どもの本を舞台に、個性あふれる美しい作品を
つくりつづけている絵本作家たち。圧倒的な輝きをはなつ
クリエイターたちの魅力を、200点以上の絵本をとおして語る、
注目の絵本作家論にして楽しいエッセイ集。カラー口絵8頁ほか図版多数収録。

絵本の森への招待。14の入口——
片山健/長新太/スズキコージ/井上洋介/荒井良二/
飯野和好/たむらしげる/宇野亜喜良/酒井駒子/沢田としき/
谷川晃一/島田ゆか/南椌椌/木葉井悦子

 

編集部通信/偽アメリカ文学の実践 その2

2010年 4月 13日

今週末に発売される村上春樹『1Q84』第3巻にあわせて、
全国の書店で大々的なフェアが開催されますが、
紀伊國屋書店新宿南店のフェア《ハルキをめぐる冒険》では、
弊社刊『偽アメリカ文学の誕生』の著者・都甲幸治さんによって
アメリカを中心とした内外の作品が選書されたコーナーが
併設されることになりました(4月16日から5月11日まで)。

そこで先週、書店の仕入れご担当・桐生さんを中心に、
都甲さん、水声社編集担当の3人が書店地下の事務所に集い、
選書した本を飾るポップの作成作業をおこないました。
(前回のようすはこちら→

jissen_image選書リストの書名を桐生さんが
順番に読み上げていくと、
都甲さんがその本の内容に即した、
キャッチーで明快なフレーズを、
ぱぱっとコメントしていきます。
そのじつに明晰なこと! そのさまはまるで、
お題にあわせてボケる芸人のごとし。
みるみるユニークでおもしろいポップが完成していきます。
このポップだけ見てたら、なんの本だかわかりませんが(笑)、
みなさんもご存じのあの本にどんな都甲節が炸裂しているか、
ぜひぜひフェアを楽しみにしていてください。

jissen_image2そしてさらに、強力な秘密兵器が登場!
桐生さんが作成した、世界に一つの
都甲幸治・消しゴムはんこ」
故ナンシー関ばりの、
実にすてきなこの消しゴムはんこが、
アイコンとして、数々のポップを彩る予定です。
これはしかしじつにそっくり! 桐生さん、すごいです!

そういうわけで、この日もたっぷり3時間以上かけて、
全作業が終了。都甲さんのコメントはじつに90点ちかく!
これだけの数のポップをどうやって展示するのか……。
ポップだらけのすごい棚になるのかもしれませんが、
桐生さんを中心とした書店のみなさまも気合いバッチリ。
きっとおもしろいフェアになることまちがいなし、です。
これからのGWを利用して、ぜひふるって足をお運びください。

ちなみに、都甲さんの著書『偽アメリカ文学の誕生』には、
村上春樹が海外のメディアで応じたインタビューが
紹介されているのですが、これは日本ではうかがいしれない
村上さんの本音と素顔を知ることができる、唯一の本
村上春樹ファンはもちろん、むしろそうでないかたにも
読んでいただきたい必読書としてオススメです!(編集部 Naovalis)


niseamerica_cover都甲幸治

『偽アメリカ文学の誕生』

四六判上製352頁/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-726-6 C0098  全国書店で絶讃発売中!

フィッツジェラルド、サリンジャー、ブコウスキー、デリーロはもちろん、
本邦初紹介の作品から、海外でのインタビューを通して語られる
日本では知られざる村上春樹の本音と実像にいたるまで、
最新型の 〈 アメリカ文学 〉 をこの1冊にパッケージ。
〈偽〉アメリカ文学の 「リアル」はここにある !

 

4月の新刊『トゥルゲーネフ伝』

2010年 4月 12日

e38388e382a5e383abe382b2e383bce3838de38395001アンリ・トロワイヤ/市川裕見子訳

トゥルゲーネフ伝

A5判上製264頁+口絵16頁/定価3800円+税
ISBN 978-4-89176-780-8  C0098 4月16日頃発売!

19世紀ロシアの貴族社会に生まれ,
フランスをも愛した男の情熱的生涯。


ドストエフスキーやトルストイと同時期に活躍した
もう一人のロシアの文豪トゥルゲーネフ。
長年フランスに住んで、フロベールやゾラやモーパッサンらと
親しく交流し、西欧文壇で指導的役割を演じた彼の、
恋と文学に身を捧げた豊潤な人生を鮮烈に描く。

▼アンリ・トロワイヤの伝記シリーズ/好評発売中
ボードレール伝(沓掛良彦・中島淑恵訳) 定価4000円+税
プーシキン伝(篠塚比名子訳) 定価7000円+税
ヴェルレーヌ伝(沓掛良彦・中島淑恵訳) 定価5000円+税
フロベール伝(市川裕見子・土屋良二訳) 定価4000円+税

 

4月の新刊『美術館・動物園・精神科施設』

2010年 4月 12日

museum白川昌生

美術館・動物園・精神科施設

四六判上製272頁/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-759-4 C0070 4月15日頃発売!

《根源的な破壊と死、そして苦しみ》にみちたこの世界にあって、
アーティストのなし得ることとは何か?


美術館、動物園、精神科施設の内外において
《見せ物》にする/されるという関係における《倫理》とは何か?
《技能的実践者としてのアーティスト》である著者が、エランベルジェ、中井久夫らの
彼方へ向けて、今日、そしてこれからの《美術》と《美術館》を考察する。

 

編集部通信/『絵本の子どもたち』

2010年 4月 8日

先にご案内した『絵本の子どもたち』(寺村摩耶子著)の発売日が
迫ってまいりました。タイミングよく、4月6日に発行された
『ウィークリー出版情報』(日販図書館サービス発行)に
「今週の注目本」として取り上げられ、編集担当の私の書いた
紹介文が掲載されましたので、ここに全文を転載させていただきます。
とてもわかりやすく内容を紹介してみました。興味をもっていただければ幸いです。



総合芸術としての絵本


近年、絵本のガイドブックは増えているようだが、つくり手である絵本作家について
論じた本は意外と少ない。いや、ほとんど皆無といっていいのではないだろうか。

寺村摩耶子著『絵本の子どもたち 14人の絵本作家の世界』は、
現代日本を代表する絵本作家たちをはじめ、圧倒的な魅力をはなつクリエイターたちの
世界とその起源をみつめた、注目の絵本作家論である。

といっても、本書は決して堅苦しい評論集ではない。最大の特徴は、
個々の具体的な絵本をとおして——その数は200冊以上にのぼる——、
目の悦びを味わい、ことばの「音」や「リズム」を楽しみながら、
作家のスタイルや本質をとらえようとした点にあるだろう。

たとえば長新太の章では、『ごろごろにゃーん』や『ちへいせんのみえるところ』
といった「ナンセンス絵本の傑作」に驚いているうちに、いつしか
「ナンセンス」そのものの「地平線」が見えてくる。

スズキコージの章「大千世界の魔法画家」では、抱腹絶倒の絵本(とその紹介)に
吹き出しつつ、しだいに民話やお伽噺の「魔法の森」へと導かれていく。また、
酒井駒子の章「子どもと大人の出会うところ」では、おさない子どもの世界をとおして、
人間のもっともプリミティフな存在としての〈子ども〉が浮き彫りにされるようだ。

私個人的には映画が好きということもあり、荒井良二の章「日常の旅人」における
ロードムーヴィーと絵本との関係にも興味をそそられた。

グラフィックデザインと絵本との繋がり(宇野亜喜良の章)。「鳥獣戯画」に
はじまる日本の「漫画」のルーツとの関係(井上洋介の章)……。

本書を読むと、絵本というメディアの奥深さにあらためて目を開かせられると同時に、
日本の絵本がいかにさまざまなジャンルの栄養をたっぷりと吸収することによって、
今日のように豊かな果実を実らせているかということがよくわかる。

絵本ファンのみならず、芸術や文学全般に関心のある方、これから勉強しようと
思っている学生さんたちにもぜひ読んでいただけたらと思う。そしてまた、
今後の人生についていろいろと考えている若い人たちにも……。というのも、著者によれば、
本書に登場する14名の絵本作家たちの個性豊かな作品は、好きな道をとことん貫いてきた
彼らの「生き方とつながっている」からだ。

「大人のなかの子どもと、人間のなかの子ども。絵本作家たちは、
内なる〈子ども〉をとおして、現実の子どもたちを中心とする
『世界』そのものとコミュニケーションしている」(「はじめに」より)。

〈子ども〉を生きる表現者たちの明るい姿は、今の私たちに
かぎりない励ましと勇気を与えてくれることだろう。

著者は90年代はじめに絵本と出会い、映画会社に勤務しながら、週刊誌などで
絵本のレビューを書きはじめた。巻末に付した「作品名索引」には、絵本のほか、
さまざまなジャンルの作品が一堂に会しており、本書の世界観をあらわしているようだ。
総合芸術としての絵本。巻頭の8ぺージにわたるカラー口絵をはじめ、
美しい図版も多数収録した。見て、読んで、楽しむことができる、
まさに絵本のような書物といえるのではないだろうか。(水声社編集部 祖川和義)



ehon_cover寺村摩耶子

絵本の子どもたち——14人の絵本作家の世界

A5判上製320頁+カラー口絵8頁/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-779-2  C0095  4月10日頃発売!


〈子どもを生きる〉
絵本という、子どもの本を舞台に、個性あふれる美しい作品を
つくりつづけている絵本作家たち。圧倒的な輝きをはなつ
クリエイターたちの魅力を、200点以上の絵本をとおして語る、
注目の絵本作家論にして楽しいエッセイ集。カラー口絵8頁ほか図版多数収録。

絵本の森への招待。14の入口——
片山健/長新太/スズキコージ/井上洋介/荒井良二/
飯野和好/たむらしげる/宇野亜喜良/酒井駒子/沢田としき/
谷川晃一/島田ゆか/南椌椌/木葉井悦子

 

重版出来(『煙滅』『タルコフスキイの映画術』)

2010年 4月 5日

お待たせいたしました!
弊社の既刊のうち、ご好評をいただいている
ペレック『煙滅』と『タルコフスキイの映画術』の重版分が完成しました。
『煙滅』は一足早くすでに搬入しており、全国書店で入手可能です。
また『タルコフスキイの映画術』は、今週末の搬入予定となっております。
同じくヘンリー・ミラー『北回帰線』も4月下旬には出来予定です。
ぜひ今後ともご愛読を賜りますようお願い申し上げます。(営業部 Lee)


tarkovskyアンドレイ・タルコフスキイ/扇千恵 訳

タルコフスキイの映画術

A5判上製214頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-683-2   C0074 絶賛発売中!

映画——それは人間を全世界と結ぶ不朽の芸術。
世紀を超え,国家を越え、いまなお観客の魂を魅了する
映像作家、タルコフスキイ。映画に対する情熱から、
作劇、演出の実際にいたるまで、現在に遺された
ソ連時代の肉声を集成し、《映像詩人》の原点に迫る貴重な映画論集。