『人形の文化史』刊行記念イベントのお知らせ

2016年 6月 22日

ピクチャ 1香川檀×阿部賢一「ロボットと球体関節人形のルーツへ――ヨーロッパの人形文化を文学・芸術から語る」

今年3月に刊行後、ご好評をいただいている香川檀編『人形の文化史――ヨーロッパの諸相から』のトークイベントを開催します。
近年、日本でもひそかなブームになっている「人形」について、編者の香川檀先生(武蔵大学)と、中東欧の文化に詳しい阿部賢一先生(東京大学)に、その人形文化の奥深い歴史について語っていただきます。人形を制作している方、また人形文化に関心のある方など、お気軽にご参加ください。

「古来より人間が自らの似姿としてつくりだし、様々な関係を結んできた「人形(ひとがた)」。その意義や魅力について、ヨーロッパ、とくにチェコ・ポーランド・ドイツなど、歴史的に豊かな人形文化の土壌を育んできた地域の文学・芸術から考えていきます。
フィギュアやロボットが溢れる現代文化を理解するためには、まずは西洋の奥深い人形芸術に親しむ必要があります。
中東欧の現代文学・芸術の研究者である阿部賢一さんと、ドイツのモダンアート・前衛芸術の研究者である香川檀さんが、『人形の文化史』をもとに、人形に託して表現された人間の歴史と心理のひだを存分に語りあいます。」(B&BのHPより)
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J・G・バスケスを芥川賞作家と読む

2016年 4月 20日

世界が最も注目するラテンアメリカ作家 2冊同時刊行記念
J・G・バスケスを芥川賞作家と読む


主催:東京外国語大学総合文化研究所
登壇者:小野正嗣・柳原孝敦・久野量一
司会:和田忠彦

今年1月に小社より刊行した『コスタグアナ秘史』の著者、フアン・ガブリエル・バスケスについての講演会が催されます。東京外国語大学総合文化研究所が主催している「series 翻訳を考える2016」の第1回目として、小社刊行の『コスタグアナ秘史』の訳者・久野量一先生(東京外国語大学)と、松籟社より刊行の『物が落ちる音』の訳者・柳原孝敦先生(東京大学)の訳者2名と、芥川賞作家・小野正嗣先生とともにJ・G・バスケスの作品を読解します。
 世界が最も注目する作家の作品を、芥川賞作家はいかに読むのでしょうか。外国文学の“今”が分かるイベントに、ぜひ足をお運びください。
詳細は以下のリンクよりをご覧ください。
J・G・バスケスを芥川賞作家と読む


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日時:2016年4月26日(火)18:00〜19:30
会場:東京外国語大学総合文化研究所研究講義棟 4F 422
入場無料
事前予約不要
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「『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』刊行記念イベント開催

2016年 4月 5日

管啓次郎×金子遊「マイケル・タウシグの人類学と思想」

マイケル・タウシグはコロンビア大学人類学教室の教授で、英語圏では知らない人のいない人類学者=移動するエッセイストです。大胆にフィクション批評を導入したその哲学的なエッセイは、まるでビートニク小説のようにも読めると評判です。タウシグの著書が日本語に翻訳されるのは、本書が初めてとなります。「文化人類学の巨人」の魅力を存分に味わっていただくため、管啓次郎さん(詩人・比較文学)と、本書の訳者のひとりである金子遊さん(映像作家・民族誌学)のトークイベントを開催します。

管啓次郎(すが・けいじろう)
1958年生まれ。詩人、比較文学者。明治大学理工学部教授。ハワイ大学、ニューメキシコ大学、ワシントン大学などで、文化人類学と比較文学を学ぶ。主な著作に『コロンブス の犬』、『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)、『斜線の旅』(インスクリプト、読売文学賞)、『本は読めないものだから心配するな』、『ストレンジ オグラフィ』(いずれも左右社)など。カリブ海フランス語圏文学、チカーノ文学などの翻訳でも知られる。主な訳書に、エドゥアール・グリッサン『関係の〈詩学〉』、アントナン・アルトー『手先と責苦』(いずれも河出書房新社)、ル・クレジオ『ラガ』(岩波書店)など多数。

金子遊(かねこ・ゆう)
1974年生まれ。映像作家、民族誌学。慶應義塾大学環境情報学部ほか非常勤講師。著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社)。編著に『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』、『吉本隆明論集』(いずれもアーツアンドクラフツ)、『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(森話社)、『国境を超える現代ヨーロッパ250 移民・辺境・マイノリティ』(河出書房新社)。共著に『鳥居龍蔵 日本人の起源を探る旅』(アーツアンドクラフツ)、『アイヌ民族否定論に抗する』(河出書房新社)など多数。

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日時:2016年05月17日(火)19:30〜
会場:ジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区南池袋2-15-5)
入場料:1000円(1ドリンク付き)
*イベントに関するお問い合わせ、ご予約は下記へお願いいたします。
ジュンク堂書店池袋本店
TEL 03-5956-6111
東京都豊島区南池袋2-15-5
*当日、会場の4F喫茶受付でお支払いください。
*ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願いいたします。(電話:03-5956-6111)
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2月新刊:めずらしい花 ありふれた花

2016年 3月 15日

めずらしい花 ありふれた花
タイトル:めずらしい花 ありふれた花
サブタイトル:ロタと詩人ビショップとブラジルの人々の物語
カルメン・L・オリヴェイラ(著)
小口未散(訳)

判型:四六判上製
頁数:368頁
定価:3500円+税
ISBN:978−4−8010−0131−2 C0098 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
〈魅惑の都市〉に翻弄されて──
フラメンゴ公園造成を発案したロタとアメリカの桂冠詩人ビショップ。そそり立つ岩と雲流れる家,秘めやかな「家庭」,愛の暮し。家は建築賞,詩集はピュリッツァー賞に輝くが,公園事業がふたりの距離を生む。1950-60年代の軍政に向かう不穏な国で,政治的後ろ楯と仲間を失い,ロタは詩人との絆に賭けて渡米するが……。闇に埋もれた先駆的女性の一生を蘇らせ,詩人の飛躍を促したブラジル生活を,親友たちの証言で初めて公にした二人の評伝!

目次:
1章 一九七八年、ボストン/2章 おお、旅人よ/3章 みだらな花柄/4章 昔シナの王さまがおったとさ/5章 一九九四年、リオデジャネイロ/6章 日々の暮らし/7章 八百屋が幸運をつれてくる/8章 美しき椰子の木の国/9章 ドナ・ロタ/10章 ウアーイ――なぜ?/11章 大型倉庫/12章 赤裸の犬/13章 メルドー/14章 まばゆい月明かりの夜/15章 ブブブ・ノ・ボボボ/16章 財団/17章 大きな期待は大きな落胆に通じる/18章 カモンイスの棍棒/19章 ロレーナ産の風狂木/20章 筋を通している暇はない/21章 三流遊園地/22章 落日/23章 一九九四年、リオデジャネイロ/24章 一九七八年、ボストン/訳注/文献/あとがき

著者ついて:
カルメン・L・オリヴェイラ(Carmen L. Oliveira)
リオデジャネイロ生まれ。アメリカ合衆国インディアナ州ノートルダム大学大学院修了、文学専攻。軍政時代に大学での教職を辞し、作家・翻訳家として新聞『グロボ』『エスタード・ヂ・サンパウロ』、雑誌『ブラーヴォ!』などに寄稿。著書に小説Trilhos e quintais (1998)、短編集Diga toda a verdade—em modo oblíquo (2012)、論考にビショップ学会(1998)での発表「輝けるロタ」(”Luminous Lota,” L. Menides /A. Dorenkamp (eds.), In Worcester, Massachusetts, Peter Lang, 1999)、ブラジル国際関係センター学会(2001)で文化のアイデンティティとグローバリゼーションを論じた ” Jack Soul Brasileira — identidade cultural e globalização”(Globalização, democracia e desenvolvimento social, CEBRI, 2001)など。現在サンパウロ州在住。

訳者について:
小口未散(おぐち みちる)
一九五〇年東京生まれ。東京外国語大学フランス科卒、同大学院修了。岩波書店で編集に携わるかたわら詩人ビショップを研究。論考にアメリカの学会(1998)で発表した”The Art of Naming,” L. Menides /A. Dorenkamp (eds.), In Worcester, Massachusetts, Peter Lang,1999)に基づく「名づけるというわざ――夜のポエティックス」(『文学空間』V-No.4、二十世紀文学研究会、風濤社、2007)、「エリザベス・ビショップの家」(『詩と思想』、土曜美術社出版販売、1999)。訳書に『エリザベス・ビショップ詩集』(世界現代史文庫32、土曜美術社出版販売、2001)。ほかに散文「村里にて」(『文学空間』V-No.8、同前、2011)の訳がある。

 

3月の新刊:ヴァルター・ベンヤミンの墓標《叢書 人類学の転回》

2016年 3月 9日

Benjamin
ヴァルター・ベンヤミンの墓標
マイケル・タウシグ(著)
金子遊・井上里・水野友美子訳(訳)


判型:四六判上製
頁数:392頁
定価:3800円+税
ISBN:978−4−8010−0160−2 0010 3月25日発売!
装幀者:宗利淳一


内容紹介:
《叢書 人類学の転回》第3回配本
21世紀の文化人類学界に強烈なインパクトを与えた人類学者であり、現代における最も重要な「移動するエッセイスト」でもある著者の初の邦訳がついに刊行!

ゴンゾー人類学者による、ビートニク小説のようにも読める民族誌的試論集

ベンヤミンが没したフランスと国境を接するスペインの町ポルトボウについてのエッセイにはじまり、コロンビアの農民詩、悪魔との契約、〈海〉が消えていったいきさつ、シャーマンの身体の特質、宗教や道徳上の侵犯、ニューヨーク市警察の横暴、〈花〉と〈暴力〉との関係、について刺激的に語る。


目次:

著者ノート
第一章 ヴァルター・ベンヤミンの墓標――非宗教的な啓示
第二章 アメリカの構築
第三章 太陽は求めず与える
第四章 浜辺(ファンタジー)
第五章 直感性と信仰と懐疑――もうひとつの呪術論
第六章 侵犯
第七章 NYPDブルース
第八章 花言葉


著者・訳者紹介:
マイケル・タウシグ(Michael Taussig) 1940年、オーストラリアのシドニーに生まれる。南米のコロンビアやベネズエラのアマゾン地域を専門とする文化人類学者。現在、コロンビア大学教授。主な著書に『ラテンアメリカの悪魔と商品の物神崇拝』(未訳、1980)、『シャーマニズム、植民地主義、ワイルドマン』(未訳、1986)、『模倣と他者性』(井村俊義訳、水声社近刊、1993)などがある。

金子遊(かねこゆう) 1974年、埼玉県で生まれる。映像作家、批評家、民族誌学者。現在、慶應義塾大学環境情報学部ほか非常勤講師。「弧状の島々 ソクーロフとネフスキー」で三田文学新人賞(評論部門)受賞。著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社、2015)、編著に『吉本隆明論集』(アーツアンドクラフツ、2013)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250 移民・辺境・マイノリティ』(河出書房新社、2015)などがある。
井上里(いのうえさと) 1986年、宮崎県に生まれる。早稲田大学第一文学部総合人文学科卒業。現在、法政大学社会学部非常勤講師。専攻、アメリカ文学。主な訳書に、ジョアンナ・ラコフ『サリンジャーと過ごした日々』(柏書房、2015)などがある。
水野友美子(みずのゆみこ) 1983年、富山県に生まれる。ロンドン大学ゴールスミス・カレッジ・メディア&コミュニケーション学部修士課程、一橋大学大学院総合社会科学専攻人間行動研究科修士課程修了。専攻、アートの人類学・映画学。共訳書に、ニコラス・キャンピオン『世界史と西洋占星術』(柏書房、2012)などがある。

関連書
マリリン・ストラザーン 大杉高司・浜田明範・田口陽子・丹羽充・里見龍樹訳『部分的つながり』3000円+税
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ 近藤宏・里見龍樹訳『インディオの気まぐれな魂』 2500円+税
アルフォンソ・リンギス 小林徹訳『変形する身体』2800+税
ピエール・クラストル 渡辺公三訳『国家に抗する社会』 3500円+税

 

『『フランケンシュタイン』とヘルメス思想――自然魔術・崇高・ゴシック』刊行記念

2016年 3月 6日

田中千惠子×高山宏「はじめて語られる異貌のフランケンシュタイン像」

『フランケンシュタイン』は、近代の科学的唯物論に対抗するヘルメス〈知〉の復権であり、精神的魔術の文学である――

マッド・サイエンティストといわれてきたフランケンシュタイン博士とは、じつは錬金術を愛する、アグリッパ的自然魔術の継承者であった。彼の錬金術・魔術はヘルメス思想の伝統に深く根ざしている。

『フランケンシュタイン』と錬金術・魔術、ヘルメス思想との深いつながりを、膨大な資料と論証を用いて初めて解明した『『フランケンシュタイン』とヘルメス思想——自然魔術・崇高・ゴシック』が刊行されました。本書は、日本では未紹介のアグリッパ『隠秘哲学について』から薔薇十字主義にいたるまで、『フランケンシュタイン』にまつわるさまざまな魔術的な表象・思潮を丹念に拾いあげながら、フランケンシュタイン博士の人体創造の全貌を明らかにしています。
さらに本書は、欧米の現代エソテリシズム研究を日本で初めて概観・紹介しており、エソテリシズムと文学の関係についても知ることができます。

・錬金術・魔術、神秘主義の視点から『フランケンシュタイン』やロマン主義を見ると何がわかるのか?
・エソテリシズム、ヘルメス思想はどう繋がるのか?
・現代のエソテリシズムの研究はどんな状況なのか?

このようなファウスト的学知をめぐる問題にお答えするため、著者の田中千惠子先生と、その恩師である学魔 高山宏先生をお迎えして、縦横無尽に『フランケンシュタイン』や文学をエソテリックに語りあっていただきます。同時に、現代欧米で盛んに行なわれているエソテリシズム研究の刺激的な現場についても紹介していただきます。

田中千惠子(たなか・ちえこ)
首都大学東京大学院博士後期課程修了。非常勤講師等を経て、ロマン主義文学・現代文学とエソテリシズム思想との関係を研究。主要論文に、‘‘Frankenstein and Hermetism’’、「メアリ・シェリー、孤独な魂の飛翔——The Fields of Fancy におけるプラトン主義的探求」などがある。

高山宏(たかやま・ひろし)
英文学者・批評家・翻訳家。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京都立大学教授、首都大学東京都市教養学部教授、明治大学国際日本学部教授を経て、大妻女子大学比較文化学部教授。マニエリスムから精神史に至るまで、文学・芸術・思想・表象をめぐる分野横断的研究は他の追随を許さない。著書に『アリス狩り』『世紀末異貌』『超人高山宏のつくりかた』『近代文化史入門』、訳書に、バーバラ・M・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』、エリザベス・シューエル『ノンセンスの領域』、ウィリアム・ウィルフォード『道化と笏杖』など。

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日時:2016年3月26日(土)12:00~14:00(11:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
お申込み先:http://bookandbeer.com/event/20160326_frankenstein/
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2月の新刊:オーラルヒストリーとは何か

2016年 2月 2日

オーラル


アレッサンドロ・ポルテッリ/朴沙羅訳

判型:A5判上製
頁数:449頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4801001480 C0021 好評発売中!

装幀者:宗利淳一

 

内容紹介:

語られた記憶を、歴史として書く――。
第二次世界大戦後のイタリアと、戦間期のアメリカの知られざる一面を描きつつ、口述資料の考察に新たな視点と方法をもたらした、オーラルヒストリー研究の基本文献。

【目次】

日本語版への序文
はじめに

第1章 ルイージ・トラストゥッリの死

Ⅰ 方法論をめぐって

第2章 調査 対等な関係を求める実験として
第3章 オーラルヒストリーとは何か
第4章 「私の生きた時代」――オーラルヒストリーにおける時間の役割

Ⅱ 二つの産業文化

第1部 テルニ イタリア、ウンブリア州
第5章 世界の分割――文化が移り行くときの音と空間
第6章 ユークロニアの夢――労働者階級の記憶とありえたかもしれない世界
第7章 町いちばんのゴミ屋さん――労働者ヴァルテロ・ペポローニの人生とその時代
第8章 ある工業都市のスポーツ・労働・政治
第9章 民謡の類型学
第2部 ハーラン アメリカ、ケンタッキー州
第10章 模範的家父長制――企業城下町から組合事業所まで
第11章 中立なんてありえない――ハーラン郡炭鉱労働者のストライキにみる文化的階級闘争

Ⅲ 学際的方法

第12章 法が口述されるとき――「四月七日事件」
第13章 『アブサロム、アブサロム!』――オーラルヒストリーと文学

語り手
原註
訳註
初出一覧

ポルテッリの「オーラルヒストリー」研究と戦後イタリア(伊藤公雄)
訳者あとがき

【著者について】
アレッサンドロ・ポルテッリ(Alessandro Portelli)  一九四二年、ローマに生まれる。シエナ大学、ローマ大学ラ・サピエンツァ校で研究・教育活動に従事。専攻は、アメリカ文学。主な著書に、They Say in Harlan County (New York: Oxford University Press, 2010). The Order Has Been Carried Out (New York: Palgrave Macmillan, 2003). The Battle of Valle Giulia (Madison: University of Wisconsin Press, 1997). The Text and the Voice (New York: Columbia University Press, 1994). Biografia di una città (Torino: Edizioni Einaudi, 1985). Veleno di piombo sul muro (Bari: Edizioni Laterza, 1969)などがある。

【訳者について】
朴沙羅(ぱくさら)  一九八四年、京都府に生まれる。京都大学文学研究科博士後期課程単位取得認定退学。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員、京都大学人文科学研究所所属。専攻、社会学・移民研究。主な論文に、「「お前は誰だ!」――占領期における「不法入国」と「朝鮮人」の定義をめぐって」(『社会学評論』第六四巻二号、二〇一三年)などがある。

 

10月新刊:偽りの愛人《バルザック愛の狂気・夢魔小説選集》全5巻刊行開始!

2015年 11月 2日

バルザック書影
バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集1  
偽りの愛人  
私市保彦・加藤尚宏・澤田肇・博多かおる(訳)

判型:四六判上製
頁数:352頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0141−1 C0397 好評発売中



十九世紀前半のフランスにおける人間の情念と社会の裏面のすべてを描きだそうとした、百科全書的な巨人バルザック。その喜びと悲哀と苦悩をふくめ、恋愛のあらゆる局面を描きだした作品を編んだ新シリーズ(全5巻)が始まります。

内容紹介:
戦友であり、命の恩人であるラジンスキ伯爵に仕えるタデ・パス。互いに好意を抱くことを恐れ、伯爵夫人を遠ざけるため、サーカスの女芸人マラガに恋をしているとでっちあげるが……。
表題作を始め、愛と結婚によって狂わされていく女の悲劇を描いた「二重の家庭」「ソーの舞踏会」「捨てられた女」の四篇。

目次:
ソーの舞踏会
二重の家庭
偽りの愛人
捨てられた女
愛の裏切りと悲哀 私市保彦

訳者について:
私市保彦(きさいちやすひこ)  1933年、東京に生まれる。東京大学卒業、同大学大学院修士課程修了。武蔵大学名誉教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『ネモ船長と青ひげ』(晶文社、1976)、『幻想物語の文法』(晶文社/ちくま学芸文庫、1997)、『名編集者エッツェルと巨匠たち』(新曜社、2007)などがある。
加藤尚宏(かとうなおひろ)  1935年、東京に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院博士課程修了。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『バルザック 生命と愛の葛藤』(せりか書房、2005)、訳書に、オーウェン『黒い玉』(1993)、バルザック『村の司祭』(1975、ともに東京創元社)などがある。
澤田肇(さわだはじめ) 1952年、北海道に生まれる。上智大学卒業、パリ第3新ソルボンヌ大学大学院博士課程修了(文学博士)。現在、上智大学文学部教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『フランス・オペラの魅惑』(上智大学出版、2013)、『パリという首都風景の誕生 フランス大革命期から両大戦間まで』(上智大学出版、2014)などがある。
博多かおる(はかたかおる)  1970年、東京に生まれる。東京大学卒業、同大学大学院およびパリ第7大学博士課程修了。現在、東京外国語大学大学院准教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『バルザック生誕200年記念論文集』(駿河台出版社、1999、共著)、『テクストの生理学』(朝日出版社、2008、共著)などがある。



*PDF版はこちら→バルザック愛の狂気パンフ

*内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。
【次回配本】
⑤三十女 
 


関連書:
バルザック幻想・怪奇小説選集 《全五巻》 編集=私市保彦+加藤尚宏 
1、百歳の人—魔術師  私市保彦訳 3000円
2、アネットと罪人  私市保彦監訳 澤田肇・片桐祐訳 3500円
3、呪われた子他 私市保彦・加藤尚宏・芳川泰久・澤田肇・片桐祐・奥田恭士訳 3500円
4、ユルシュール・ミルエ 加藤尚宏訳 3000円
5、動物寓話集他 私市保彦・大下祥枝訳 3000円

バルザック芸術/狂気小説選集 《全四巻》 責任編集=私市保彦・加藤尚宏・芳川泰久
1、知られざる傑作 他 【絵画と狂気】篇 私市保彦・芳川泰久・澤田肇・片桐祐・奥田恭士・佐野栄一訳 3000円
2、ガンバラ 他 【音楽と狂気】篇 私市保彦・加藤尚宏・博多かおる・大下祥枝訳 3000円
3、田舎のミューズ 他 【文学と狂気】篇 加藤尚宏・芳川泰久訳 3500円
4、絶対の探求 他 【科学と狂気】篇 私市保彦訳 3500円


神秘の書 私市保彦・加藤尚宏・芳川泰久・大須賀沙織訳 A5判クロス装クロス函入 8000円

 

保坂和志氏・佐々木敦氏トークイベントの抄録が掲載されました

2015年 10月 30日

保坂和志氏・佐々木敦氏トークイベントの抄録が掲載されました


去る10月6日にMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店にて開催された、保坂和志氏・佐々木敦氏のトークイベントの模様が「週刊読書人」に紹介されました。
来場者を笑いと興奮と感嘆の渦に巻きこんだ、怒濤の1時間半をここに凝縮!
ぜひお手にとってご覧ください。

「週刊読書人」2015年10月23日号、7面
保坂和志・佐々木敦
「読みあぐねている人のための小島信夫入門」
《小島信夫短篇集成》完結+《小島信夫長篇集成》刊行開始記念トークイベント抄録
保坂「文章ってどこか外しちゃいけないタガとか越えちゃいけない一線とかってあるんだけど、その規範に対して小島さんは本当に敢然とそこを踏みにじっていくんだよ。〔……〕みんなそういう拘束のなかに生きているわけ。それを本当にどんどん踏みにじってみせたのが小島さんで、だから何してもいいんだよって小島さんは言ってるんだよね。だけどその真似すらやっぱり出来ないんだよ」(抜粋)

http://dokushojin.shop-pro.jp/?pid=94739187



《小島信夫長篇集成》
①島/裁判/夜と昼の鎖 解説=春日武彦 8000円+税 ☆11月6日発売!
④別れる理由Ⅰ 解説=千石英世 9000円+税 ☆好評発売中
⑤別れる理由Ⅱ 解説=佐々木敦 9000円+税 ☆好評発売中
⑥別れる理由Ⅲ 解説=千野帽子 9000円+税 ☆好評発売中

★内容見本に付属の応募ハガキにて全巻ご予約・ご購入の方にはもれなく、小島信夫の魅力がいっぱいの小冊子『小島信夫の世界』(仮題、非売品)を進呈いたします。
★内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。



《小島信夫短篇集成》
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円+税
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円+税
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円+税
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円+税
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生 7000円+税
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円+税
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円+税

 

〈国際三島由紀夫シンポジウム2015〉開催のお知らせ

2015年 9月 25日

生誕90年・没後45年にあたる本年、今なお世界中で強い関心をもって読まれている三島由紀夫の全体像を把捉することを目指す、本邦初の国際シンポジウムが開催されます。

30名を超える各界の論者や作家陣の講演・ディスカッションによって三島由紀夫の魅力と世界像に迫り、現在そして未来において三島文学を読むことの意義を問いかける、大規模かつ豪華なシンポジウムです。奮ってご来場ください。

また小社では、本シンポジウムの記録論集の刊行を予定しています(2016年春ごろ刊行予定)。ご期待ください。

 

日程:2015年11月14日(土)・15日(日)・22日(日)

場所:東京大学駒場キャンパス講堂900番教室(11/14)

東京大学駒場キャンパス18号館ホール(11/15)

青山学院アスタジオ地下多目的ホール(11/22)

 

*開催概要・登壇者などの詳細は、http://mishimayukio2015.org/ 国際三島由紀夫シンポジウム公式サイトにてご覧いただけます

 

「天命反転トーク 小林康夫×池上高志」

2015年 9月 25日

今春、小社から出版した荒川修作先生との対談本『幽霊の真理』のお相手である小林康夫先生。約10年間に渡るダイアローグの数々に秘められたとっておきのエピソードとは? 荒川先生と親交の深い池上高志先生をお相手に、会場のみなさまと共にランディング・サイトを創造する場へ。
日時:2015年9月27日(日)
開場:14:30/開演:15:00/終了予定:16:30
参加費:3,500 円
定員:30名
講師:
小林康夫(日本の哲学者)
1950年、東京都に生まれる。東京大学大学院博士課程、パリ第十大学(ナンテール)大学院博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授を経て、現在、青山学院大学総合文化政策学部特任教授。専攻、フランス文学、哲学。主な近著に、『こころのアポリア』(羽鳥書店、2013)、『君自身の哲学へ』(大和書房、2015)などがある。
池上高志(複雑系の科学者)
1961年生まれ。大学で教授として教鞭を執る傍ら、複雑系科学研究者として、アートとサイエンスの領域を繋ぐ活動も精力的に行う。音楽家、渋谷慶一郎とのプロジェクト「第三項音楽」や、写真家、新津保建秀とのプロジェクト「MTM」、宮島達男とのプロジェクト、生命体のような動きをするガジェット「LIFE I-model」など、その活動は多岐にわたる。著書:『生命のサンドウィッチ理論』(講談社、2012)、『動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ』(青土社2007)、共著:『複雑系の進化的シナリオ』(朝倉書店、1998)『ゲーム―駆け引きの世界 (東京大学公開講座)』(東京大学出版会、1999)、共訳書:Andy Clark著『現れる存在』(NTT出版、2012)など。

 

《小島信夫短篇集成》完結+《小島信夫長篇集成》刊行開始記念イベント

2015年 9月 11日

《小島信夫短篇集成》完結+《小島信夫長篇集成》刊行開始記念イベント
読みあぐねている人のための小島信夫入門
保坂和志 × 佐々木敦

小説家・小島信夫の生誕100周年にあたる今年、著者の全187短篇を網羅した《小島信夫短篇集成》(全8巻)が完結し、さらに7月から、伝説的超大作『別れる理由』を皮切りに、全15長篇を一挙に集成する《小島信夫長篇集成》(全10巻)の刊行がスタートしました。
これらを記念して、小島信夫を語らせたら右に出る者はない、数多くの読者を小島信夫の小説世界に導いてきた小島文学の伝道者=保坂和志先生と、現代文学・思想への深い造詣を武器に小島文学をさまざまな角度から論じてこられた佐々木敦先生をお迎えし、小島文学の魅力について語っていただきます。
小説の可能性の限界へと挑戦し続けた小島信夫を既存の枠組みにとらわれない視点から読み直し、小説にとっての〈自由〉とは何かを追究する、最強タッグによる縦横無尽の対話!



講師:保坂和志先生、佐々木敦先生
日時: 10月6日(火)19:00~(18:30開場)
場所:MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店(東急百貨店本店7階)
入場料:1000円(ワンドリンク付き)
★詳細・ご予約方法は、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店のページ()をご覧ください。



保坂和志 1956年生まれ。小説家。「この人の閾」で芥川賞受賞。主な著作に、『季節の記憶』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『未明の闘争』など。《短篇集成》第7巻、《長篇集成》第8巻(『寓話』)の解説を執筆。
佐々木敦 1964年生まれ。批評家、早稲田大学教授。主な著書に、『映画的最前線』『ニッポンの思想』『文学拡張マニュアル』『未知との遭遇』『あなたは今、この文章を読んでいる』『ニッポンの音楽』など。《短篇集成》5~7巻の月報(連載)、《長篇集成》5巻(『別れる理由Ⅱ』)の解説を執筆。

 

2015年度版『目録』ができました

2015年 8月 25日

以下よりダウンロードの上ご覧ください。

2015度版 目録

目録の郵送をご希望の方は、下記、小社営業部まで、電話、FAX、手紙でお申しつけ下さい。
(代金、送料は必要ありません。また、小社目録は全国の書店でも無料で直接お取り寄せ頂けます)。

〒112-0002 文京区小石川2-10-1-202
水声社営業部・目録係

 

 

『幽霊の真理――絶対自由に向かうために』刊行記念イベント

2015年 8月 17日

小林康夫×難波英夫「荒川修作の声が聴こえる!」


長くニューヨークを拠点に活動し、2010年に没した世界的な建築家で美術家の荒川修作先生と哲学者の小林康夫先生が、1992年から2005年に「三鷹天命反転住宅」が完成するまでのあいだ7回にわたって行なった対談を集成した『幽霊の真理――絶対自由に向かうために』の刊行を記念し、下北沢にある本屋B&Bでトークイベントが開催されます。
本書の著者のひとりである小林康夫先生と、荒川修作の生前その活動に注目し、応援し続けてきた、セゾン現代美術館館長であり芸術批評家の難波英夫先生が、彼との破天荒なエピソードを交えつつ、今あらためて若者を中心に注目される世界のアラカワについて語ります。また、荒川を通して見えてくる「建築」や「人間」の可能性についても十全に語り尽くします。

小林康夫(こばやしやすお)
1950年、東京都に生まれる。東京大学大学院博士課程、パリ第十大学(ナンテール)大学院博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授を経て、現在、青山学院大学総合文化政策学部特任教授。専攻、フランス文学、哲学。主な近著に、『こころのアポリア』(羽鳥書店、2013)、『君自身の哲学へ』(大和書房、2015)などがある。

難波英夫(なんばひでお)
1950年、東京都に生まれる。東京芸術大学美術学部美術学科卒業。現在、セゾン現代美術館館長。専攻、欧米近現代美術。『横尾忠則全絵画』(監修・解説、平凡社、1996)、訳書に、ベッツィー・ワイエス『クリスティーナの世界』(リブロポート、1983)などがある。

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日時:2015年8月21日(金)20:00~22:00(19:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
お申込み先:http://bookandbeer.com/event/20150821_yurei/
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《小島信夫長篇集成》が紹介されました

2015年 8月 17日

エキサイトレビューにて、《小島信夫長篇集成》が紹介されました!
ライターは、本集成第6巻『別れる理由Ⅲ』(9月上旬発売予定)に解説を寄せていただく千野帽子さんです(7月19日掲載)。

TV版「エヴァ」か江口寿史「POCKY」か。世紀のデタラメ、文学的大事故『別れる理由』復活
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20150719/E1437214095848.html

小島信夫には愛好者が多い。それも文学の「通」みたいな人にかぎって、小島信夫を褒める。
『別れる理由』はしばしば、果敢な文学的実験とされる。
僕は小島信夫が書くものがとにかく大好きだ。だけど、いわゆる「愛好者」かどうかはわからない。そもそも僕が文学の「通」でないことは確かだ。
だから、自分の立場からはっきり言う。
これは事故だ。「傑作」などと強弁はしない。



別れる理由Ⅰ 解説=千石英世 *好評発売中
別れる理由Ⅱ 解説=佐々木敦 *8月上旬発売予定
別れる理由Ⅲ 解説=千野帽子 *9月上旬発売予定
各巻9000円+税



★内容見本に付属の応募ハガキにて全巻ご予約・ご購入の方にはもれなく、小島信夫の魅力がいっぱいの小冊子『小島信夫の世界』(仮題、非売品)を進呈いたします。(2015年10月末日締切)。
★内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。

 

書評『作家の聖別』

2015年 7月 28日

今年の一月に刊行されました『作家の聖別』が書評で取り上げられました。各媒体のみなさま、書評者のみなさま、どうもありがとうございました!


◎週刊読書人(2015年5月15日付)
「掛け値なしに名著と呼べる書物〔……〕いまこそ人文学はベニシューに還らなければならない、ベニシューとともに、社会と文学の現在を考えなければならない」(野崎歓さん)

◎ 図書新聞(2015年4月18日付)
「ベニシューの歴史的展望は、〔……〕ラディカルな思考に裏打ちされている。〔……この〕壮大な四部作は新たな地平を開く鍵となるにちがいない」(工藤庸子さん)

◎ ふらんす(2015年3月号)
「それまでの認識を大きく変え、その後長きにわたって基本的な参照文献となる、記念碑的な著作〔……〕長い期間にわたって緻密になされた読書と思考の見事な産物がここにある」(小倉考誠さん)

作家の聖別——フランス・ロマン主義 Ⅰ
ポール・ベニシュー 片岡大右+原大地+辻川慶子+古城毅訳
A5判上製/688頁/定価=8000円+税
ISBN978-4-8010-0028-5 C0098 好評発売中!
装幀=西山孝司

フランス・ロマン主義の哲学的歴史

驚くべきこと、ほとんど奇跡とも思えることであるが、最初の羽ばたきのときには時代遅れのものに映ったこの偉大な業績は、時の流れを受けて今、永遠の空を飛翔している。——フランソワ・フュレ(革命史家)

19世紀前半、宗教的権力に代わり、世俗的な聖職者たらんとした詩人、文学者たちの「聖別」の過程を克明に追いながら、いかにして文学が高い精神的職務を担うよう求められるに至ったのかを論じる。フランス・ロマン主義を徹底的に解明する長大評論の第一巻。

〈ベニシューのロマン主義研究は、文学的なものの社会的身分規定を探求する歩みそれ自体を通して、非宗教化された社会生活を律しうる新たな正当化原理の形成という、フランス的近代の全体を貫く――そして私たちの生きる近代それ自体の根本的性格とも関わっているはずの――広範な問題系へと道を開く。〉
「ポール・ベニシューとその時代(1)」より

【目次】
作家の行程―ポール・ベニシューへのインタビュー

作家の聖別

序論
第一章 世俗的聖職を求めて
第二章 神聖詩人
第三章 イリュミニスムと詩―ルイ・クロード・ド・サン=マルタン
第四章 反革命と文学
第五章 自由主義派の貢献
第六章 神智論者の詩学
第七章 ロマン主義革命
第八章 偉大な世代の登場
第九章 一八三〇年と〈若きフランス〉

巻末の省察


人名索引

ポール・ベニシューとその時代(一) 片岡大右
訳者あとがき

【著者/訳者について】
ポール・ベニシュー(Paul Bénichou)  1908年、トレムセン(アルジェリア)生まれ。2001年パリに没した。ユルム街の高等師範学校(フランス、パリ)に学ぶ。第二次大戦中のアルゼンチン亡命を挟み、戦前・戦後にかけて長くフランスで中等教育に携わった後、1958年にハーヴァード大学(アメリカ合衆国)に招かれて、以後79年までフランス文学およびスペイン口承文学を講じた。1948年の『偉大な世紀のモラル』(朝倉剛・羽賀賢二訳、法政大学出版局、1993)に始まり、1973年の『作家の聖別』(本書)以降、『預言者の時代』(1977)、『ロマン主義の祭司』(1988)、『幻滅の流派』(1992)と書き継がれた四冊の「フランス・ロマン主義の哲学的歴史」を経て1995年の『マラルメに従って』に至る一連の著作は、17世紀以降のフランス文学・思想史を刷新する壮大なパノラマを描き出している。

片岡大右(かたおかだいすけ)  1974年北海道生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科にて博士号取得。現在、同研究科研究員。フランス文学・思想史。著書に『隠遁者、野生人、蛮人――反文明的形象の系譜と近代』(知泉書館、2012)、最近の論文に« Chateaubriand disciple infidèle de Pascal »(RHLF, à paraître en 2015)、共訳書にF・ドゥノール&A・シュワルツ『欧州統合と新自由主義――社会的ヨーロッパの行方』(論創社、2012)などがある。
原大地(はらたいち)  1973年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。パリ第四大学にて博士号取得。現在、慶應義塾大学商学部准教授。フランス語・フランス文学。著書にLautréamont : vers l’autre (L’Harmattan, 2006)、『牧神の午後―マラルメを読もう』(慶應義塾大学教養研究センター選書、2011)、『マラルメ 不在の懐胎』(慶應義塾大学出版会、2014)などがある。
辻川慶子(つじかわけいこ)  1973年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科単位取得退学。パリ第八大学にて博士号取得。現在、白百合女子大学准教授。19世紀フランス文学。著書にNerval et les limbes de l’histoire. Lecture des Illuminés (Genève, Droz, 2008)、共訳書にブリュノ・ヴィアール『100語でわかるロマン主義』(白水社、2012)などがある。
古城毅(こじょうたけし)  1975年東京都生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科にて博士号取得。現在、学習院大学法学部教授。政治学史。主な論文に「商業社会と代表制、多神教とデモクラシー(1)‐(5)」(『国家学会雑誌』第127巻、3・4号‐11・12号、2014)、「フランス革命期の共和政論――コンスタンと、メストル、ネッケル、スタール―」(『国家学会雑誌』第117巻、5・6号、2004)、訳書にブリュノ・ベルナルディ『ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学―一般意志・人民主権・共和国』(共訳、勁草書房、2014)などがある。

 

《小島信夫長篇集成》まもなく配本開始!

2015年 7月 7日

現代日本文学の異才=小島信夫の全長篇を網羅する、待望の新シリーズ《小島信夫長篇集成》全10巻、初回配本の『別れる理由Ⅰ』が、7月9日ごろから書店に並びます。

また、全巻ご予約の応募ハガキ付き内容見本も配布中。
全巻ご予約・ご購入の方にはもれなく、小島信夫の魅力がいっぱいの小冊子『小島信夫の世界』(仮題、非売品)を進呈いたします。

《小島信夫長篇集成》にぜひご期待ください!

小島長篇パンフ表

小島長篇パンフ裏

 

 

 

 

 
*PDF版はこちら→小島長篇パンフ表小島長篇パンフ裏

*内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。

 

日仏翻訳受賞報告

2015年 6月 23日

受賞写真
弊社から2013年1月に刊行されました、レーモン・クノー『リモンの子供たち』の翻訳が、「専門的知見に支えられた驚くべき名人芸」であるとして、訳者の塩塚秀一郎氏に第20回日仏翻訳文学賞が与えられました。(授賞式:2015年6月15日、於、ホテル・オークラ)
選考委員の野崎歓、堀江敏幸、澤田直の3氏、小西国際交流財団の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。
「英雄が渇望される時代一般への警鐘としての普遍的な価値」と「クノーらしい人間に対する寛容な眼差し」(塩塚秀一郎氏(受賞者))という、二面的な魅力を持つ本作を、この機会にぜひお手にとってご覧下さい。

リモンの子供たち (レーモン・クノー・コレクション 3)
塩塚秀一郎訳
四六判/上製395頁/定価3200円+税
ISBN978-4-89176-863-8 C0397 絶賛発売中!


太陽は糞便でできている!

実在の〈狂人〉たちをテーマに『不正確科学百科事典』を執筆する、シャンベルナックとブルジョアの一家、リモン家。二つの世界が交錯しながら、突飛な〈狂人〉たちの言行が、破局へ向かう時代の空気を照らし出す。人間の愚かさを根源的に問う、クノーの知られざる傑作。

 

芸術選奨受賞報告

2015年 6月 23日

写真(野村)
芸術選奨受賞報告

弊社から2014年4月に刊行されました、『諷刺画家グランヴィル テクストとイメージの十九世紀』が、「文学と視覚芸術にまたがる豊穣な研究成果」であるとして、著者の野村正人氏に第65回芸術選奨評論等部門文部科学大臣賞が与えられました。(授賞式:2015年3月18日、於、都市センターホテル)
選考委員、文化庁の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。

諷刺画家グランヴィル――テクストとイメージの19世紀

野村正人
A5判上製/424頁/定価=6000円+税
装幀=宗利淳一
978-4-8010-0029-2 C0098 好評発売中



挿絵画家として戦うこと

19世紀の視覚文化を体現した諷刺画家グランヴィル。観相学、骨相学の影響下、獣頭人間を使った政治や社会風俗を諷刺する肖像画や風俗画から、ロマン主義 的挿絵本、『寓話』『ガリヴァー旅行記』等の挿絵の制作にいたるまで、徹底して挿絵画家で有り続けたのはなぜなのか? グランヴィルの作品世界を読み解 き、出版・文化史的観点から考察する。

「グランヴィルが文章と挿絵を同時につくる企画に関心を持っていたのは[……]文章にたいする挿絵の従属性を乗り越えようとする信念を持っていたからであ る。挿絵は文章の添え物にとどまったり、先行する文章の意味を説明する役割に甘んじたりするのではなく、ひとつの独立した創作物であるべきであり、また、 ともすれば軽視されがちな挿絵画家は芸術家として評価されなくてはいけない、と考えたのである。」(本文より)

【目次】
序章 グランヴィルの生涯
第一章 フランスの出版文化とその背景
第二章 顔――内面を映す鏡  変身の中間状態
第三章 政治諷刺の経験
第四章 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵
第五章 グランヴィルと『動物たちの私的公的生活情景』
第六章 『もうひとつの世界』の挿絵
終章 最後のグランヴィル

補遺 
図版一覧

文献一覧
人名索引
あとがき

【著者】
野村正人(のむらまさと) 1952年、愛知県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(仏文学)満期退学。ギュスターヴ・フローベール『ボヴァ リー夫人』についての研究でパリ第4大学博士号取得。東京農工大学工学部教授(同大学名誉教授)を経て、2005年より、学習院大学文学部フランス語圏文 化学科教授。主な著訳書に、アラン・コルバン『時間・欲望・恐怖――歴史学と感覚の人類学』(共訳、藤原書店、1993)、『言葉と〈言葉にならぬもの〉 との間に』(共著、行路社、1995)、パトリック・バルビエ『カストラートの歴史』(筑摩書房、1995)、ベルナール・コマン『パノラマの世紀』(筑 摩書房、1996)、エミール・ゾラ『金』(藤原書店、2003)、『ロラン・バルト著作集6 テクスト理論の愉しみ』(みすず書房、2006)などがある。

 

《小島信夫長篇集成》(全10巻)刊行開始!

2015年 6月 15日

人間の生への深い洞察と、独特の浮遊感を孕んだ文体、そして小説の可能性への飽くなき挑戦によって古今に類例を見ない実験的な作品世界を創造し、日本の現代文学に新風を吹き込んだ小説家、小島信夫。
このたび、生誕100年(2015年)、没後10年(2016年)を記念し、著者が半世紀にわたって書き継いだすべての長篇を網羅する、《小島信夫長篇集成》(全10巻)の刊行を開始します。
長らく入手困難であった問題作『別れる理由』や『菅野満子の手紙』、幻の『大学生諸君!』などをふくむ全15作品を10巻に集成し、小島信夫の全貌に迫ります。
《批評集成》(全8巻)、《短篇集成》(全8巻)に引き続く、本《長篇集成》の刊行によって、小島文学の全体像の把握がようやく可能になります。ご期待ください。



《小島信夫長篇集成》(全10巻)
編集委員=千石英世・中村邦生/編集協力=柿谷浩一

①島/裁判/夜と昼の鎖(解説=春日武彦)★第4回配本(9月末発売予定)
②墓碑銘/女流/大学生諸君!(解説=石原千秋)
③抱擁家族/美濃(解説=小池昌代)
④別れる理由Ⅰ(解説=千石英世)★第1回配本(好評発売中!)
⑤別れる理由Ⅱ(解説=佐々木敦)★第2回配本(7月末発売予定)
⑥別れる理由Ⅲ(解説=千野帽子)★第3回配本(8月末発売予定)
⑦菅野満子の手紙(解説=近藤耕人)
⑧寓話(解説=保坂和志)
⑨静温な日々/うるわしき日々(解説=中村邦生)
⑩各務原・名古屋・国立/残光(解説=平井杏子)



☆A5判上製9ポ1段組み
☆各巻500〜800頁、予価7000〜10000円+税
☆第1回配本は第4巻『別れる理由Ⅰ』。以後、毎月1冊ずつ刊行。2015年3月に全巻完結予定。
☆内容見本呈。ご請求ください。(PDF→小島長篇パンフ表小島長篇パンフ裏
☆全巻をご予約・ご購入いただいた方に、非売品の『小島信夫の世界』(仮題)を進呈いたします。詳細は内容見本をご覧ください。

【関連書】
《小島信夫短篇集成》[価格税別]
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生 7000円
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円

《小島信夫批評集成》[価格税別]
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円

小島信夫の本/単行本[価格税別]
小説の楽しみ 1500円
書簡文学論 1800円
演劇の一場面 2000円

未完の小島信夫 中村邦生・千石英世 2500円
小島信夫の読んだ本――小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円
小島信夫の書き込み本を読む――小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円
水声通信② 小島信夫を再読する 1000円