9月の新刊:詩人の場所、星々の時間――関西マラルメ研究会20周年記念論文集
2025年 8月 26日 コメントは受け付けていません。
詩人の場所、星々の時間
関西マラルメ研究会20周年記念論文集
坂巻康司+中畑寛之(編)
判型:A5判上製
頁数:477頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4-8010-0885-4 C0098
装幀:宗利淳一
9月上旬発売!
マラルメの過去・現在・未来
何事も起こりはしないだろう、場を除いては――マラルメの放つ光はあらゆる思考を引きつけ、渦のように邂逅し銀河を形づくる。
同時代の批評をはじめ、現代思想にまで届く詩人の光跡を丹念にたどり、その影響と彼らの布置によって浮かび上がる「場」を描き出す。
【目次】
プロローグ 何も起こりはしないであろう、場を除いては 坂巻康司
第Ⅰ部 同時代人たち、後継者たち
第1章 ボードレールとバンヴィル
タイムマシン・ボードレール――『悪の花』における時間について 廣田大地
マラルメの美術批評における民主主義的転回――ボードレール美学に照らして 佐々木稔
祝祭、家族、介護、詩学――マラルメに語り続けるボードレール 小倉康寛
バンヴィルによるマラルメ――『フランス詩小論』に沿って 五味田泰
第2章 ランボー、グールモン、モーパッサン
マラルメからランボーへ、ランボーからマラルメへ――両者はお互いをどのように評価していたのか 中尾充良
前衛集団のなかのマラルメ――世紀末小雑誌メディアとのかかわりを中心に 合田陽祐
日常の語り手――マラルメの見るモーパッサン 足立和彦
第3章 ヴァレリーとクローデル
マラルメとヴァレリー――『エロディアード』の続篇としての『若きパルク』 森本淳生
マラルメの「声」を刻むヴァレリー 鳥山定嗣
反復される問い――マラルメ、クローデル、その同一性と差異をめぐって 大出敦
第Ⅱ部 マラルメと現代
第4章 シュルレアリスム、現代詩、詩学
わたしたちの空、マラルメの空――ブルトンのマラルメ論をめぐって 有馬麻理亜
マラルメとツェラン――マンデリシュターム「対話者」を参照項に 國重裕
イヴ・ボヌフォワが見たマラルメの詩学――ドゥーヴ、かさね、『敷居の惑わしの中で』をめぐって 中山慎太郎
親密な語りは沈黙の彼方に――マラルメのオラリテをめぐって 森田俊吾
第5章 現代思想におけるマラルメ
哲学者(?)における詩人(?)――『賽の一振り』とランシエール 鈴木亘
詩という出来事――マラルメとバディウ 坂口周輔
「おそらくは」と「あたかも」――カンタン・メイヤスーによる『賽の一振り』論 大橋完太郎
エピローグ マラルメ研究の現在
現代フランス語圏におけるマラルメ研究の傾向――ボアックとエトランを中心に 坂巻康司
「ヴァルヴァン劇場」について――マラルメ関連未公刊資料 中畑寛之
おわりに――謝辞にかえて
【編者・執筆者について】
坂巻康司(さかまきこうじ)
東北大学大学院国際文化研究科教授(フランス文学)。主な著書に、『象徴主義と〈風景〉――ボードレールからプルーストまで』(共編著、水声社、2018年)、主な訳書に、ジャック・ランシエール『マラルメ セイレーンの政治学』(共訳、水声社、2014年)などがある。
中畑寛之(なかはたひろゆき)
神戸大学大学院人文学研究科教授(フランス詩)。主な著書に、『世紀末の白い爆弾――ステファヌ・マラルメの書物と演劇、そして行動』(水声社、2009年)、主な訳書に、ベルナール・テセードル『起源の物語――クールベの《世界の起源》をめぐって』(水声社、2018年)などがある。
*
廣田大地(ひろただいち)
神戸大学准教授(フランス近代詩・抒情詩)。主な著書に、『象徴主義と〈風景〉』(共編著、水声社、2018年)、『抒情の変容――フランス近現代詩の展望』(共著、幻戯書房、2024年)などがある。
佐々木稔(ささきみのる)
名城大学非常勤講師(フランス詩・フランス文学)。主な論文に、「共和主義から摂理へ――『パリ評論』二篇の思想的背景」(『日本フランス語フランス文学会中部支部研究論集』、2018年)、「ボードレールとレアリスム」(『研究論集』、2022年)などがある。
小倉康寛(おぐらやすひろ)
立正大学人文科学研究所研究員、大阪大学非常勤講師(比較文学・美術史・美学)。主な著書に、『ボードレールの自己演出――『悪の花』における女と彫刻と自意識』(みすず書房、2019年)などがある。
五味田泰(ごみたたい)
北星学園大学文学部准教授(フランス詩・フランス文学)。主な著書に、『抒情の変容――フランス近現代詩の展望』(共著、幻戯書房、2024年)、主な訳書に、オレリアン・バロー『人類史上、かつてない試練』(ぷねうま舎、2023年)などがある。
中尾充良(なかおじゅうろう)
愛知大学文学部人文社会学科教授(フランス文学)。主な著書に、Poétique du parc d’attractions – Etude sur l’espace et le mouvement dans l’oeuvre de Rimbaud(Presses Universitaires du Septentrion, 1997)などがある。
合田陽祐(ごうだようすけ)
山形大学大学院社会文化創造研究科教授(フランス文学・メディア論)。主な著書に、『声と文学――拡張する身体の誘惑』(共著、平凡社、2017年)、『象徴主義と〈風景〉』(共著、水声社、2018年)、主な訳書に、コレージュ・ド・パタフィジック『101語でわかるパタフィジック』(白水社、2025年)などがある。
足立和彦(あだちかずひこ)
名城大学法学部教授(フランス文学)。主な著書に、『モーパッサンの修業時代――作家が誕生するとき』(水声社、2017年)、主な訳書に、アンリ・トロワイヤ『モーパッサン伝』(水声社、2023年)などがある。
森本淳生(もりもとあつお)
京都大学人文科学研究所教授(フランス文学)。主な著書に、『愛のディスクール――ヴァレリー「恋愛書簡」の詩学』(共編著、水声社、2020年)、『落語と学問する』(共編著、水声社、2025年)、主な訳書に、ジャック・ランシエール『文学の政治』(水声社、2023年)などがある。
鳥山定嗣(とりやまていじ)
京都大学大学院文学研究科・文学部准教授(フランス詩)。主な著書に、『ヴァレリーの『旧詩帖』――初期詩篇の改変から詩的自伝へ』(水声社、2018年)、主な訳書に、ポール・ヴァレリー『メランジュ――詩と散文』(幻戯書房、2024年)などがある。
大出敦(おおであつし)
慶應義塾大学法学部教授(フランス文学)。主な著書に、『クローデルとその時代』(編著、水声社、2023年)、『余白の形而上学――ポール・クローデルと日本思想』(水声社、2025年)などがある。
有馬麻理亜(ありままりあ)
近畿大学経済学部准教授(フランス文学)。主な著書に、『別冊水声通信 バタイユとその友たち』(共著、水声社、2014年)、『ナラティヴとダイアローグの時代に読むポー』(共著、彩流社、2023年)などがある。
國重裕(くにしげゆたか)
龍谷大学経営学部商学科教授(現代オーストリア・東欧文学)。主な著書に、『ことばの水底へ――「わたし」をめぐるオスティナート』(松籟社、2018年)、『壁が崩れた後――文学で読むドイツ統一後の東ドイツ社会』(郁文堂、2022年)、『母と娘の物語――戦後オーストリア女性文学の《探究》』(松籟社、2022年)などがある。
中山慎太郎(なかやましんたろう)
跡見学園女子大学文学部人文学科准教授(フランス文学)。主な著書に、『抒情の変容――フランス近現代詩の展望』(共著、幻戯書房、2024年)、主な訳書に、イト・ナガ『私は知っている』(水声社、2019年)などがある。
森田俊吾(もりたしゅんご)
奈良女子大学文学部言語文化学科専任講師(フランス文学)。主な訳書に、ロラン・バルト『バルザックの『サラジーヌ』について――セミナーのための未刊のノート』(共訳、水声社、2022年)、『戦後フランスの前衛たち――言葉とイメージの実験史』(共著、水声社、2023年)などがある。
鈴木亘(すずきわたる)
東京大学大学院人文社会系研究科助教(美学)。主な著書に、『声なきものの声を聴く――ランシエールと解放する美学』(堀之内出版、2024年)、『落語と学問する』(共編著、水声社、2025年)などがある。
坂口周輔(さかぐちしゅうすけ)
愛媛大学法文学部人文学科講師(フランス文学)。主な訳書に、ユベール・ダミッシュ『カドミウム・イエローの窓――あるいは絵画の下層』(共訳、水声社、2019年)、アラン・バディウ『思考する芸術――非美学への手引き』(水声社、2021年)などがある。
大橋完太郎(おおはしかんたろう)
神戸大学大学院人文学研究科教授(フランス思想・表象文化論)。主な著書に、『ディドロの唯物論』(法政大学出版局、2011年)、主な訳書に、リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』(監訳、人文書院、2020年)などがある。
【関連書】
サロメ 詩と散文のはざまに――ボードレール・マラルメ・フローベール・ユイスマンス/ベルトラン・マルシャル/5500円+税
象徴主義と〈風景〉――ボードレールからプルーストまで/坂巻康司・立花史・津森圭二・廣田大地(編)/5500円+税
近代日本とフランス象徴主義/坂巻康司(編)/6500円+税
マラルメの現在/大手敦(編)/6000円+税