10月2025のアーカイヴ

シリーズ:バルザック《人間喜劇》

2025年 10月 3日

バルザック《人間喜劇》全訳 刊行開始!
[第1回配本]2025年11月(第1巻)
以下毎月1冊ずつ刊行。2027年6月頃完結予定。

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内容見本進呈!
人間喜劇実物

*PDF版はこちらからダウンロードできます(実物と色は違います)。

バルザック《人間喜劇》内容見本(表面中面

〈刊行にあたって〉
私市保彦(責任編集)
 戦前は河出書房に戦後は東京創元社によって『バルザック全集』は刊行されたが、あまりに膨大で多岐にわたるためにいずれも《人間喜劇》の全作品を網羅するに至らなかった。今回の企画は本邦初の《人間喜劇》全巻邦訳の試みであり、専門的な研究者を糾合して十九世紀フランスの社会を描き切った超絶的天才の《人間喜劇》を再現しようと努めるものである。なにとぞご期待のほどを。
柏木隆雄(責任編集)
 未完を含めて長短百を超える小説を収めたバルザック《人間喜劇》。その壮大な意図は、作者の構想に従う配列での刊行によって、初めて明らかになるだろう。
 バルザック研究を志した時、実現不可能としか思えなかった配列通りの全訳の夢が、同じ思いの訳者一同の渾身の協力と水声社の英断によって、本邦初の試みとして実現しつつある。私たちの感激と愉悦を共にする多くの読者の方々の支持を心から願い、完結までいっそうの努力を続けたい。

〈推薦文〉
石井洋二郎(フランス文学者)
言葉の建築家バルザックが築き上げた《人間喜劇》という巨大なモニュメントの全貌が、余すところなく日本語で明かされる。読者は華麗な壁画や重厚な列柱の数々に目を奪われ、圧倒されるだろう。まさに壮挙である。
池澤夏樹(作家)
バルザックの登場人物は何百人もいる。男と女、若者と中年と老人、みんな生きる意欲にあふれ、野心と企みに満ち、恋と欲望に突き動かされる。読み始めると止まらないのだから、こうして全作が並ぶのはありがたいことだ。
小倉孝誠(フランス文学者)
これまで未紹介だった序文や未完作品を含めて、世界文学の金字塔たる《人間喜劇》が新たな相貌を示す。バルザックがいなければ、その後の文学はまったく違う姿になっていただろう。全訳の壮図に喝采したい。
鹿島茂(フランス文学者)
もしAIがバルザックを完全学習したら、世界最強の知能になることはまちがいない。そのためにも《人間喜劇》の完璧な翻訳全集が必要なのである。
堀江敏幸(フランス文学者)
バルザックの小説は読み返すたびに弾力を増し、意思を持って他の作品とぶつかりあう。《人間喜劇》はいまだ拡張をやめない小宇宙だ。日本語によるその新たな生成に立ち会えるのは、これ以上ない幸せである
四方田犬彦(映画史・比較文化研究)
人間の愚行と零落を、バルザック以上に執拗に描き抜いた作家がいただろうか。俗悪なる喜劇とは神聖なる喜劇と同義である。ここに近代メロドラマ的想像力の、母なる型が横たわっている。

〈本シリーズの特色〉
●バルザック自身の構想に沿い、あまりにも膨大な《人間喜劇》の全体像を邦訳によって明らかにしようとする初めての試み。
《人間喜劇》全体のプランを踏まえた作品配列を採用し、自筆の序文は全文を収録。未完作品については、構想のみが知られているものや断片的な作品は梗概や解説という形で紹介し、まとまった本文が残されている長編の未完作品については全訳を掲載することで、作家の創作の過程と文学的野心を立体的に浮かび上がらせます。
●各作品に詳細な解題を付し、未完作品の構想や意図も丁寧に解説。作家の創造の核心に迫り、作品の背景を深く掘り下げます。
●バルザック研究の第一線で活躍する専門家の方々による、最新の研究をふまえた翻訳です。
●末長く愛読するに相応しい、堅牢な造本と美麗な装幀です。
●A5判上製9ポ1段組 各巻400〜900頁程度
●予価8000〜15000円(+税)程度

責任編集 私市保彦/柏木隆雄
編集委員 村田京子/松村博史/鎌田隆行
装幀:西山孝司

【各巻詳細】
( )は未完作品

第1巻〈風俗研究〉「私生活情景*」 ……………………………8作品
 「総序」柏木隆雄/(『子供たち』)鎌田隆行/(『女子寄宿学校』)鎌田隆行/(『学校の内側』)鎌田隆行/『鞠打つ猫の店』澤田肇/『ソーの舞踏会』私市保彦/『二人の若妻の手記』芳川泰久/『財布』岩村和泉/『モデスト・ミニョン』柏木隆雄
第2巻〈風俗研究〉「私生活情景**」 …………………………10作品
 『人生への門出』多田寿康/『アルベール・サヴァリュス』柏木隆雄/『ヴァンデッタ』大竹仁子/『二重の家庭』澤田肇/『家庭の平和』佐野栄一/『フィルミアーニ夫人』泉利明/『女性研究』加藤尚宏+芳川泰久/『偽りの愛人』加藤尚宏+芳川泰久/『イヴの娘』宇多直久+大下祥枝/『ことづて』片桐祐
第3巻〈風俗研究〉「私生活情景***」 …………………………6作品
 『柘榴屋敷』佐野栄一/『捨てられた女』博多かおる/『オノリーヌ』加藤尚宏+芳川泰久/『ベアトリクス』大竹仁子+八木優/『ゴプセック』松村博史/『三十女』芳川泰久
第4巻〈風俗研究〉「私生活情景****」 …………………………7作品
 『ゴリオ爺さん』柏木隆雄/『シャベール大佐』大下祥枝/『無神論者のミサ』私市保彦/『禁治産』柏木隆雄/『結婚財産契約』柏木隆雄/(『婿たちと姑たち』)鎌田隆行/『続女性研究』加藤尚宏+芳川泰久
第5巻〈風俗研究〉「地方生活情景*」 …………………………2作品
 『ユルシュール・ミルエ』加藤尚宏+芳川泰久/『ウジェニー・グランデ』柏木隆雄
第6巻〈風俗研究〉「地方生活情景**」 …………………………3作品
 『ピエレット』私市保彦/『トゥールの司祭』柏木隆雄/『ラ・ラブイユーズ』岩村和泉+山崎恭宏+柏木隆雄
第7巻〈風俗研究〉「地方生活情景***」 ………………………10作品
 『名高きゴディサール』藤林道夫/(『皺だらけの人々』)鎌田隆行/『田舎のミューズ』加藤尚宏+芳川泰久/(『旅する女優』)鎌田隆行/『優れた女性』鎌田隆行/(『変わり者』)鎌田隆行/(『ボワルージュの相続人たち』)鎌田隆行/『老嬢』私市保彦/『骨董室』澤田肇/(『ジャック・ド・メス』)鎌田隆行
第8巻〈風俗研究〉「地方生活情景****」 …………………………1作品
 『幻滅』柏木隆雄
第9巻〈風俗研究〉「パリ生活情景*」 …………………………5作品
 『フェラギュス』多田寿康/『ランジェ公爵夫人』大下祥枝/『金色の眼の娘』泉利明/『セザール・ビロトーの栄枯盛衰史』鎌田隆行/『ニュシンゲン商会』谷本道昭
第10巻〈風俗研究〉「パリ生活情景**」 ………………………5作品
 『娼婦の栄光と悲惨』村田京子/『ド・カディニャン公妃の秘密』芳川泰久/『ファチーノ・カーネ』柏木隆雄/『サラジーヌ』芳川泰久/『ピエール・グラスー』私市保彦
第11巻〈風俗研究〉「パリ生活情景***」 ………………………2作品
 『いとこベット』柏木隆雄/『いとこポンス』澤田肇
第12巻〈風俗研究〉「パリ生活情景****」 ……………………12作品
 『実業家』松村博史/(『病院と民衆』)鎌田隆行/『ボエームの王』片桐祐/『ゴディサール二世』山崎恭宏/『平役人』鎌田隆行/『知らぬが仏の喜劇役者』加倉井仁+私市保彦/(『フランス的閑談見本集』)鎌田隆行/(『裁判所の光景』)鎌田隆行/『プチ・ブルジョワ』鎌田隆行/(『学者仲間』)鎌田隆行/(『役者稼業』)鎌田隆行/『現代史の裏面』松村博史
第13巻〈風俗研究〉「政治生活情景」 …………………………8作品
 『恐怖時代の一挿話』私市保彦/(『歴史と小説』)鎌田隆行/『暗黒事件』柏木隆雄/(『二人の野心家』)鎌田隆行/(『大使館員』)鎌田隆行/(『内閣のつくり方』)鎌田隆行/『アルシの代議士』柏木隆雄/『Z・マルカス』私市保彦
第14巻〈風俗研究〉「軍隊生活情景」 …………………………23作品
 (『共和国兵士』)鎌田隆行/(『初陣』)鎌田隆行/(『ヴァンデ党』)鎌田隆行/『ふくろう党』片桐祐/(『予言者』)鎌田隆行/(『パシャ』)鎌田隆行/『砂漠の情熱』片桐祐/(『移動軍隊』)鎌田隆行/(『執政近衛兵』)鎌田隆行/『ウィーン時代』鎌田隆行/(『宿の主人』)鎌田隆行/(『スペインのイギリス人』)鎌田隆行/(『モスクワ』)鎌田隆行/(『ドレスデンの戦い』)鎌田隆行/(『落伍兵』)鎌田隆行/(『パルチザン』)鎌田隆行/(『遊弋艦隊』)鎌田隆行/(『監獄船』)鎌田隆行/(『フランス戦役』)鎌田隆行/(『最後の戦場』)鎌田隆行/(『エミール』)鎌田隆行/(『ラ・ペニシエール』)鎌田隆行/(『アルジェリアの海賊』)鎌田隆行
第15巻〈風俗研究〉「田園生活情景*」 …………………………3作品
 『農民』佐野栄一/『田舎医者』松村博史/(『治安判事』)鎌田隆行
第16巻〈風俗研究〉「田園生活情景**」 …………………………3作品
 『村の司祭』村田京子/(『パリの近郊』)鎌田隆行/『谷間の百合』柏木隆雄+岩村和泉+山崎恭宏
第17巻〈哲学的研究*〉 …………………………………………10作品
 (『現代のパイドン』)鎌田隆行/『あら皮』柏木隆雄+佐久間隆/『フランドルのキリスト』加藤尚宏+芳川泰久/『神と和解したメルモス』泉利明/『知られざる傑作』芳川泰久/『ガンバラ』博多かおる/『マッシミラ・ドーニ』加藤尚宏+芳川泰久/『絶対の探求』私市保彦/(『裁判長フリト』)鎌田隆行/(『博愛家』)鎌田隆行
第18巻〈哲学的研究**〉 …………………………………………13作品
 『呪われた子』私市保彦/『アデュー』大下祥枝/『マラーナの女たち』私市保彦/『徴募兵』東辰之助/『エル・ベルドゥゴ』澤田肇/『海辺の悲劇』泉利明/『コルネリュス卿』私市保彦/『赤い宿屋』私市保彦/『カトリーヌ・ド・メディシス 序章』私市保彦/『カルヴァン教徒の殉教』柏木隆雄+林千宏/『リュッジエリの告白』大下祥枝/『二つの夢』私市保彦/(『新・アベラール』)鎌田隆行
第19巻〈哲学的研究***〉 …………………………………………6作品
 『不老長寿の薬』私市保彦/(『あるイデーの生と冒険』)鎌田隆行/『追放者』芳川泰久/『神秘の書 序文』大須賀沙織/『追放者』芳川泰久/『ルイ・ランベール』私市保彦/『セラフィタ』大須賀沙織
第20巻〈分析的研究〉 …………………………………………6作品
 (『教師団の解剖学』)鎌田隆行/『結婚の生理学』松村博史/『結婚生活のささやかな不幸』藤林道夫/『社会生活の病理学』松村博史/(『美徳のモノグラフィー』)鎌田隆行/(『十九世紀の美点に関する哲学的・政治的対話』)鎌田隆行

 

10月の新刊:私の中の水

2025年 10月 3日

私の中の水私の中の水
(著)ミヤタタカシ

判型:A4上製
頁数:48頁
定価:2000円+税
ISBN:978-4-8010-0894-6 C0793
10月下旬発売!

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水のめぐりに想いを馳せる女の子の、広大なスケールの心象世界を描いた絵本。
静謐な文章にのびやかであたたかみのある絵が合わさった、大人も子どもも楽しめる内容。


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10月の新刊:太陽の都市《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション6》

2025年 10月 3日

太陽の都市太陽の都市
トンマーゾ・カンパネッラ(著)
澤井繁男(訳)

判型:A5判上製
頁数:160頁
定価:2700円+税
ISBN:978-4-8010-0776-5 C0310
装幀:西山孝司
10月中旬発売!

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《イタリアルネサンス文学・哲学コレクション》(全6巻)完結!
教会とスペイン帝国に対し武装蜂起を企図したカトリック僧が、逮捕された獄中にて執筆したユートピア論。
神政政治、結婚と生殖の管理、財産の共有、卓越した科学技術……
混迷の17世紀イタリアで千年王国到来の予感とともに夢想する、原始共産制社会の驚くべきビジョン。

《土星の遠地点が「磨羯宮」に入り、水星のそれが「人馬宮」に入り、火星のそれが「処女宮」に入り、またカシオペア座で、新星が出現した後に大きな合が第一番目の三宮に戻るとき、新しい偉大な君主国の創建、法令や学芸の刷新、新たな預言者たちの誕生、それに大いなる改新が起こるだろう。それはキリスト教徒に大きな利益をもたらすと彼らはいう。だがまず世界は根こそぎ浄化され、それから再建、統合されるだろうさ。》   (本文より)

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10月の新刊:ハザール探索

2025年 10月 3日

ハザール探索ハザール探索
城田俊(編著)

判型:四六判上製
頁数:340頁+モノクロ別丁8頁
定価:3500円+税
ISBN:978-4-8010-0776-5 C0022
装幀:齋藤久美子
10月中旬発売!

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謎の帝国の痕跡を求めて
黒海からカスピ海沿岸にかけて繁栄し、10世紀後半に滅亡した騎馬民族ハザール。ユダヤ教との関連をはじめとする数多の謎を解明する、ハザール研究=探索の最前線。
ロシア人考古学者による最良の入門書『ハザール――謎の帝国』(S・プレトニョーヴァ)、ユダヤ・ハザール人が遺した数少ない文字資料『ユダヤ・ハザール往復書簡』、旧ソ連を筆頭に各国のハザールをめぐる政治的思惑に迫った「ハザール探索小史略」を収録!

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