3月の新刊:『六〇年代演劇再考』

2012年 3月 13日

angra_a5_cover_e69c80e7b582ol21岡室美奈子・梅山いつき編

六〇年代演劇

A5判上製288頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-888-1  C0074  3月21日頃発売!



60年代劇とはなんだったのか。

アングラ演劇を支えたあの巨人たちと批評家たち、
そして後続の演劇人と関係者が一同に会し、
当時の躍動感を伝えつつ60年代の実態に迫る、決定的保存版!

唐十郎から
佐藤信
蜷川幸雄
別役実
横尾忠則
エレン・スチュワート
岡田利規
平田オリザ
宮沢章夫まで



目次

六〇年代演劇再考によせて 竹本幹夫
前口上 岡室美奈子

Ⅰ 創造者たちの証言
唐十郎が語る紅テント 唐十郎(聴き手:堀切直人)
演出家の役割  蜷川幸雄(聴き手:扇田昭彦)
「言葉への戦術」をめぐって 別役実(聴き手:岡室美奈子)
運動としての演劇 佐藤信(聴き手:デイヴィッド・グッドマン)
そして幕は閉じた 横尾忠則

Ⅱ 記憶と継承
コーヒーハウス・クロニクルズ エレン・スチュワート、オージー・ロドリゲス、藤藪香織、二ノ宮祥子(司会:岡室美奈子)
黎明期の寺山修司 安藤紘平、九條今日子、萩原朔美
現在から見た六〇年代演劇 岡田利規、平田オリザ、宮沢章夫(司会:松井憲太郎)

Ⅲ 批評者たちの証言
六〇年代演劇の軌跡と影響 扇田昭彦
アングラ演劇とはなんだったのか? 大笹吉雄
六〇年代演劇の歴史的位置と現在 菅孝行
アングラの「亡霊」 佐伯隆幸

Ⅳ 六〇年代演劇を再考する
アングラの行方 デイヴィッド・グッドマン
驚異の書物 梅山いつき
あとがき 梅山いつき

 

3月の新刊:『サミュエル・ベケット!』

2012年 3月 13日

beckett_a5_cover_e69c80e7b582ol岡室美奈子・川島健・長島確編

サミュエル・ベケット!——これからの批評

A5判上製376頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176—897-3  C0098  3月15日頃発売!


ゴドーは待たれていなかった !?


新進気鋭の執筆陣が、メディア論、イメージ論、
演劇論など、さまざまなアプローチによって、
「不条理劇作家」ではない、新たなベケット像に肉薄する試み。



目次

巻頭言 竹本幹夫
はじめに 岡室美奈子

Ⅰ 「ゴドー」のいま
結びのパラドクス——『ゴドーを待ちながら』における執筆の軌跡をめぐって 西村和泉
歓待の失敗——『ゴドーを待ちながら』と他者の迎え入れ 垣口由香

Ⅱ 耳をすます——メディア
ひび割れた声、開かれた瞳——『クラップの最後のテープ』における裂開と合一のイメージ 藤原曜
ロンドンのアイルランド人——ベケット『なつかしの曲』/パンジェ『クランクハンドル』をめぐって 川島健
見える身体のゆくえ——『わたしじゃない』における「聴き手」の不在を考える 宮脇永吏

Ⅲ 想像/創造せよ——散文
『死せる想像力よ想像せよ』——球形、アンドロギュヌス的イメージの表象をめぐる考察 景英淑
「同伴するために」——『伴侶』におけるイメージの創造と境界の感覚 菊池慶子

IV 反復のはてに——後期演劇1
起源なき痕跡としての身体——『あしおと』における指標性 久米宗隆
終わりなき流離——『なに どこ』における構造の不確定性について 片岡昇

Ⅴ 幽霊たち——後期演劇2
演劇の〈今(maintenant)〉を転倒させること——サミュエル・ベケット『モノローグ一片』における〈捉まえる手(la main tenante)〉 木内久美子
霊媒ベケット——蓄音機としての『オハイオ即興劇』と『ユリシーズ』 岡室美奈子

資料紹介
あとがき

 

2月の新刊:『きびしい冬』

2012年 2月 22日

rqefbc8fe3818de381b3e38197e38184e586ac_coverレーモン・クノー・コレクション4

きびしい冬

鈴木雅生訳
4/6判上製168頁/定価1800円+税
ISBN978-4-89176-864-5  C0397 2月25日頃発売!


アネット、わたしの生命

悲劇的な事故によって妻を亡くし、心に空虚を抱えながら
やもめ暮らしするルアモー。第一次世界大戦期の
重苦しい空気が立ちこめるル・アーヴルで、
さまざまな出会いを経て、ある少女と出会う……。
作家の既存のイメージを覆す叙情的で詩的な作品。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、第五回配本!

 

12月の新刊:『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』

2011年 11月 29日

merulanaカルロ・エミーリオ・ガッダ/千種堅訳

メルラーナ街の混沌たる殺人事件

四六判上製416頁/3500円+税
ISBN978-4-89176-859-1  C0097 12月5日頃発売!
解説:和田忠彦
装幀:宗利淳一+田中奈緒子


ジョイス、プルースト、カフカに比肩する、
イタリア・ポストモダン小説の金字塔。

書評家・豊崎由美さんが偏愛し、
「復刊熱望
のツイートで大反響!
40年ぶりによみがえる奇跡の《改訳決定版》
旧版よりぐっと読みやすくなって、ついに刊行。


ムッソリーニ政権下のローマ。
成金街の宝石盗難事件—殺人事件。
奮闘する敏腕警部。
すったもんだに迷走する大捜査線。
混乱。
脱線。
紛糾。
そして、真犯人は……?


めくるめくドタバタ捜査劇の行方やいかに !?
これぞ《フィクションの楽しみ》をご堪能あれ!


 

12月の新刊:『ドリス・レッシングを読む』

2011年 11月 28日

lessing大社淑子

ドリス・レッシングを読む

四六判上製272頁/3000円+税
ISBN978-4-89176-883-6  C0098 12月2日頃発売!
装幀:齋藤久美子


アフリカ、SF、コミュニズム、そして性愛。
いま、レッシング文学の扉がひらく——。


旺盛な想像力を駆使した多彩な作品で知られる、
2007年度ノーベル文学賞受賞作家、ドリス・レッシング。
半世紀以上におよぶ彼女のほぼ全作品を読み解き、
その本質に肉薄する、待望の作家論にして読書ガイド。



【ドリス・レッシングの本】
生存者の回想 大社淑子訳…………2200円
シカスタ 大社淑子訳………………3800円
暮れなずむ女 山崎勉訳……………2500円

 

9月の新刊:『高松次郎 言葉ともの』

2011年 9月 28日

takamatsu_cover2光田由里

『高松次郎 言葉ともの——日本の現代美術 1961-72』

A5変判上製277頁/定価=3000円+税
ISBN978-4-89176-856-0 C0071 好評発売中
ブックデザイン:宗利淳一+田中奈緒子


新しい純白のキャンバスに、その純白のキャンバスを写生すること。
〔……〕ぼくによってその表面にみずからを描かれてしまった物体は、
実在でありながら同時に虚像でもあることによって、
その虚像もろとも実在性をいっきに否定されるに違いない。(高松次郎)


後期資本主義が終わりにさしかかった現在、
《かつては存在したが今はすでに断絶してしまった「現代美術」の本質を通して》
考察する気鋭の美術批評家の書き下ろし。【図版多数収録】

【目次】

第1章 《点》と《紐》——「点と線」あるいは「針金と紐」

第2章 不在体、不在の部屋、不在性

第3章 《影》連作——ハプニングと絵画論

第4章 《影》における存在論と絵画論——穴と鏡のあいだに

第5章 《影》と言葉——「影論争」と呼ばれる批評群

第6章 絵画の外側——《影》から生まれるもの

第7章 原理と実在のあいだに——表象のパラドックス

第8章 《題名》という題名——美術作品への名づけ/ものと言葉の接面

第9章 言葉と言葉でないもの——《The Story》と反記述

主要参考文献
高松次郎略年譜および展覧会歴
あとがき

 

6月の新刊:『シュルレアリスム美術を語るために』

2011年 6月 15日

e382b7e383a5e383abe383ace382a2e383aae382b9e383a0efbc9de382abe38390e383bc1鈴木雅雄×林道郎

シュルレアリスム美術を語るために

四六判上製250ページ/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-834-8   C0070 好評発売中


《絵画》と《書物》のあいだに瞬く、イメージの星座たち
——往復書簡、講演、対話によって織りなされる、挑戦的探求の現在


観るものにとってかけがえのないものでありながら、
本や写真にも転用しうるシュルレアリスム美術。
シュルレアリスム研究と美術史という、
2つの分野の2人の研究者の刺激的な対話が、
その謎を新たに語ることを可能にする。

 

6月の新刊『イタリア・ファシズムの芸術政治』

2011年 6月 15日

italiafascism_cover鯖江秀樹

イタリア・ファシズムの芸術政治

A5判上製276ページ/定価4000円+税
ISBN 978-4-89176-836-2   C0070 好評発売中



《ファシズモの芸術》とは何か?

政治権力による桎梏のもと、グラムシ、ゴベッティらの
卓抜な批評によって浮上するモダン・アートの可能性/不可能性を、
絵画・建築の豊富な実例を通して検証する。

【目次】

はじめに:「芸術政治」の展望と方法:アントニオ・グラムシに倣って
第1章:批評家と画家の行方:ピエロ・ゴベッティの絵画論
第2章:ファシズム芸術をめぐる葛藤:ジュゼッペ・ボッタイの文化政策論
第3章:美術史学の政治化:リオネッロ・ヴェントゥーリの美術論
第4章:批評と生への眼差し:エドアルド・ペルシコの建築批評論
第5章:ファシズム文化のための攻防:ジュゼッペ・ボッタイの芸術戦略論
おわりに:様式の不在から多面性へ


参考文献
図版一覧
あとがき

 

5月の新刊:全巻完結!『そんなに沢山のトランクを 小島信夫批評集成 第7巻』

2011年 5月 19日

言葉が余りの風に触られ,部分が全体になり,全体が部分になる。
両者のはざまで生まれた鵺のような言葉を「書き放し」たとき,
真の意味での「現」と「前」とのたすき掛けが起こって,小説が批評になり,
批評が小説になる。小島信夫が小島信夫になるのは,そこからなのである。
——堀江敏幸




小説や舞台をその現場であじわう『そんなに沢山のトランクを』。
天才俳人を甦らせる『原石鼎』。そして現代美術の深淵を探る『X氏との対話』。
晩年なお躍動する,批評精神の軌跡。【全8巻,ついに完結!】

kojimanobuo_7_cover『そんなに沢山のトランクを 小島信夫批評集成 第7巻』

A5判上製744頁,別丁16頁/定価9000円+税
ISBN978-4-89176-817-1  C0395 5月25日頃発売!

解説=堀江敏幸
月報=海上雅臣、山崎勉、近藤耕人、平井杏子、太田鈴子


* 本集成は、今回配本分をもって完結となります。
長い間のご愛読, 誠にありがとうございました。
なお、全巻ご購読特典は、現在鋭意編集中です。
出来次第のお届けとなります。もう少々お待ちください。

 

5月の新刊:『金井美恵子の想像的世界』

2011年 5月 18日

kanai_mieko芳川泰久

金井美恵子の想像的世界

四六判上製280ページ/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-835-5 C0095 5月25日頃発売


惑溺する、<水>のエクリチュール

言葉に対する鋭敏な感覚により、常にこれまでの文学史や社会制度を
戦略的に転覆してきた作家、金井美恵子。小説内に頻出する
「水」、「皮膚」、「不在」といったモチーフから、
作家の世界観を鮮やかに浮かび上がらせる、本邦初の金井美恵子論!



目次

はじめに

序論〈不在=現前〉論


一 水・蜜・桃 テクストの聖痕
二 水の誘惑 柔らかな強度
三 水=文字、猫の舌の描く


四 それは“あ”からはじまる
五 書くことの苛立ち——『岸辺のない海』を読む
六 羅列と反復 統辞論的な失調について


七 悪意に充ちた接近の危うさ
八 一義性を揺らす分裂的な強度
九 穏やかで不穏な隣接の試み


十 〈〈声を包む〉声を包む〉声を……——『恋愛太平記』を読む
十一 あふれでる繋辞領域——『柔らかい土をふんで、』を読む
十二 記憶的・映像的・編集的——『噂の娘』を読む

あとがき

 

4月の新刊:『零度のシュルレアリスム』

2011年 4月 27日

e99bb6e5baa6齊藤哲也

零度のシュルレアリスム

四六判上製272ページ/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-830-0 C0070 4月30日頃発売


「シュルレアリスムって、よくわかりません……」
——はい、わからなくていいのです!


だれもが疑問に思っていた7つの「?」を、「なぜ、なにが問題なのか」に
さかのぼり、気鋭の研究者とともに考える必携の入門書。
従来のシュルレアリスム観をアップデートする、要注目の書き下ろし!
【図版多数収録】



現在、東京六本木の国立新美術館では、
《シュルレアリスム展——パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による》
を好評開催中です(詳細はこちら→)。エルンスト、キリコ、ダリ、
デュシャンといった著名なアーティストはもちろん、
この《シュルレアリスムの25時》シリーズが日本ではじめて紹介した、

『ヴィクトル・ブローネル』(齊藤哲也著、図版多数!)
『クロード・カーアン』(永井敦子著、貴重なテクスト多数!)
『ジョゼフ・シマ』(谷口亜沙子著、図版多数!)


をはじめ本邦初公開となる画家・写真家の作品にも照明があてられています。
会期は1週間延長となって5月15日(日)まで。これまで写真版でしか観たことの
なかった作品の実物を目にすることができるこのチャンス、ぜひともお見逃しなく!

 

4月の新刊:『海辺のネコ』

2011年 4月 25日

umibe_no_neko_cover海辺のネコ

アグニェシュカ・ウサキェヴィチ 作
アレクサンデル・オチコ 絵
渡辺克義 訳

B5判上製カラー64頁/定価1800円+税
ISBN 978-4-89176-833-1 C8797 4月30日頃発売!

ハートウォーミングな海外絵本をどうぞ。

あたたかな春の日。大きな浜辺で、真っ黒な子ネコが砂だらけになっていました。
そもそも、そのかわいいネコはどこからやってきたのでしょうか?
――ポーランドから届けられた、心温まる8つの小さな小さな物語


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子ネコには勇気がありました。砂をかきわけ進みました。
しっぽがうまったり、不器用な手足をやっとの思いで
引っぱり出しては、前へと進みました。
すると、黒かった体が真っ黄色になっているではありませんか。
左耳のかわいい白いブチも、目立たなくなっていました。
こうして子ネコは海辺までやってきたのです。 (本文より)

 

4月の新刊:『闘う衣服』

2011年 4月 25日

e99798e38186e8a1a3e69c8d-e382abe383b4e382a1e383bce585a5e7a8bf小野原教子

闘う衣服

四六版上製384ページ/定価4500円+税
ISBN 978-4-89176-833-1   C8797 4月30日頃発売!
【叢書 記号学的実践 27 】


ヴィヴィアン・ウエストウッド!
女子プロレス!
ゴスロリ・ファッション!


《私とは誰か》という根元的な問いと戯れる、今日のファッションの多様な様相を、
さまざまな雑誌やコスチュームのなかに探る、記号学的モード研究の新しい成果。

 

4月の新刊:『変幻自在の人間 小島信夫批評集成 第2巻』

2011年 4月 25日

時代ごとに正しいとされた観念から自在に出て行ける知性とは,
人間世界の内と外を同時に見ながら,相手や自分のどうしようもなさを
優しく受け止める力を持つのだろう。
小島にとって文学とは,そうした知性への試みに思えてならない。
——都甲幸治




性,軍隊生活,演劇,美術,そして文学について思いをめぐらせた
『小説家の日々』,『変幻自在の人間』,『文学断章』の3冊を収録。
高揚してゆく時代を背景に、作家の本音と肉声が交錯する珠玉の随筆群。

kojimanobuo_2_cover『変幻自在の人間 小島信夫批評集成 第2巻』

A5判上製807頁/定価10000円+税
ISBN978-4-89176-812-6  C0395 4月25日頃発売!

解説=都甲幸治
月報=大津栄一郎、近藤耕人、平井杏子、中西裕

*全巻予約受付中!

 

4月の新刊:『ベンヤミン』

2011年 3月 28日

benjamin_cover森田團

ベンヤミン——媒質の哲学

A5判上製/536頁/定価7000円+税
ISBN978-4-89176-824-9  C0010 4月1日頃発売


初期の言語論からイメージ論、そして歴史哲学にいたるまで、
ベンヤミンの思想の根柢には、媒質概念があった。
同時代の思想家たちとの対比を通じて、その足跡を辿り、
伝統の刷新を企てたベンヤミン哲学の核心に迫るとともに、
20世紀ドイツの思想的布置をあらたに規定する野心的な試み。

—-
【既刊好評発売中】

benjamin三原弟平

『ベンヤミンと精神分析——ボードレールからラカンへ』

四六判上製254頁/定価=2500円+税
ISBN978-4-89176-727-3  C0010

 

4月の新刊:『バタイユと文学空間』

2011年 3月 28日

bataille-bungaku_cover福島勲

バタイユと文学空間

46判上製/208頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-829-4  C0098  4月1日頃発売

バタイユが夢みた、新たなる文学/社会

動乱の時代を生きた思想家バタイユは、文学にどのような可能性をみていたのか。
他者との不可能な交流の場としての文学という視点で、バタイユの文学観を明るみだし、
新たなコミュニケーションの形態を提示する試み。

—-
【既刊好評発売中】

bataiyu_cover岩野卓司

ジョルジュ・バタイユ——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性

A5判上製/336頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-778-5  C0098

 

3月の新刊:『現代文学の進退 小島信夫批評集成 第1巻』

2011年 3月 28日

小島信夫自身の存在が十分にヘンなのであり,読者にもまた一緒に
ヘンになることを誘惑してやまない。誰もが何気なく通過してしまう
些細な事象に,ヘンなものを感じて引っ掛かり,気がかりな凝滞に
進行が阻まれる。……〈書く=読む〉の愉楽が兆すのだ。
——中村邦生




60年代以降の激動の時代を生きながら,小説論や文芸時評によって,
文学の真実に迫る。カフカやゴーゴリなどの世界文学,
さらには自作をめぐって展開される《批評》。後年の優れた長篇評論の出現を
予感させる『小島信夫文学論集』『現代文学の進退』の2巻を収録。

kojimanobuo_1_cover『現代文学の進退 小島信夫批評集成 第1巻』

A5判上製648頁/定価8000円+税
ISBN978-4-89176-811-9  C0395 好評発売中!

解説=中村邦生
月報=芳川泰久、近藤耕人、平井杏子、太田鈴子


*全巻予約受付中!

 

3月の新刊:『北アイルランドとミューラル』

2011年 3月 15日

n_ireland_img佐藤 亨 写真・文

北アイルランドとミューラル

A5判上製136頁/定価2500円+税
(壁絵写真92点収載=カラー14点+白黒78点)
ISBN 078-4-89176-827-0 C0072 3月22日頃発売!


街頭のミューラル(壁絵)が映し出す, 北アイルランドの「現在」。
【世界初のオリジナル写文集】

ここに在るのは, 歴史に対する証拠写真だ。
“東北人”佐藤亨の眼はアイルランドの痛みとおののきに触れている。
このストリート・ヒストリーは見る者を圧倒する。
——吉田文憲


n_ireland_photo●ミューラルとは何か。それは刺青のようなものかもしれない。わたしが最初に見たとき, それは北アイルランドという身体に彫られた, 意味のわからない, しかも, 全身に彫られた痛々しくも激しい記号だった。ミューラルが氾濫する街は,意味が乱反射する空間であり, わたしはその磁場に圧倒されてしまった。
——「著者あとがき」より


●著者紹介————佐藤 亨(さとうとおる)
1958年, 一関市生まれ。現在, 青山学院大学教授。専攻, アイルランド地域・文化研究。著書に, 『異邦のふるさと「アイルランド」——国境を越えて』(新評論, 2005年), 『ギリシア劇と能の再生』(共編著,水声社, 2009年)など。

 

3月の新刊:《シュルレアリスムの25時》第6回配本

2011年 3月 4日

crevel_cover鈴木大悟著

ルネ・クルヴェル ちりぢりの生

四六判上製296頁/定価3000円+税
ISBN 978-4-89176-767-9  C0398 2011年3月10日頃発売


知られざる天才作家の肖像
——困難な生の告白=偽装。


小説『バビロン』の第1章「ナイフ氏、フォーク嬢」収録!

クルヴェルは震える存在だった
………………フィリップ・スーポー


典型的なプチ・ブル、同性愛者、結核患者、コミュニスト……
矛盾に満ちた生を駆け抜けた異端のシュルレアリストにして
絶対的自由を渇望する生粋のロマンティスト。
かつての仲間とも決別したその激烈な生涯と作品を、
さまざまな角度から「弁証法」的に照射する。



すでにご覧になった方も多いと思いますが、いま、東京六本木の国立新美術館では、
《シュルレアリスム展——パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による》
好評開催中です(詳細はこちら→)。
エルンスト、キリコ、ダリ、デュシャンといった著名なアーティストはもちろん、
この《シュルレアリスムの25時》シリーズが日本ではじめて紹介した

『ヴィクトル・ブローネル』(齊藤哲也著、図版多数!

『クロード・カーアン』(永井敦子著、貴重なテクスト多数!

『ジョゼフ・シマ』(谷口亜沙子著、図版多数!

をはじめ本邦初公開となる画家・写真家の作品にも照明があてられています。
会期は5月9日(月)まで。これまで写真版でしか観たことのなかった作品の
実物を目にすることができるこのチャンス、ぜひともお見逃しなく!

《さらに》
なお、小社ではこの春、シュルレアリスムの基礎から応用までが
手にとるようにわかる入門書『零度のシュルレアリスム』(齊藤哲也著、3月末
刊行予定)、そして2人の先鋭なる研究者がシュルレアリスム美術を論じ尽くす
『シュルレアリスム美術をどう語るか?(仮)』(林道郎×鈴木雅雄共著)を
順次刊行する予定です。お手許に届くまで、もうすこしお待ちください!

 

3月の新刊:『ジーン・セバーグ』

2011年 2月 25日

なぜ、女優は「自殺」しなければならなかったのか?

けっして代表作に恵まれてはいないにもかかわらず、
いまなお不思議な魅力を放ちつづける女優、ジーン・セバーグ(1938-79)。
その日本では初めてとなる本格的な評伝がついに刊行になります。

seberg_coverギャリー・マッギー 石崎一樹訳

ジーン・セバーグ

四六版並製/2段組452ページ/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-820-1 3月3日頃発売/予約受付中



JFK、ド・ゴール、アンドレ・マルローといった米仏の大物政治家から、
トリュフォー、イーストウッド、ロジェ・グルニエ、ピート・ハミルをはじめとする
同時代人たちを魅了。『悲しみよこんにちは』(’58)の「セシルカット」では
鮮烈なファッションリーダーとして脚光を浴び、ゴダール監督のデビュー作
『勝手にしやがれ』(’59)では「ヌーヴェルヴァーグのイコン」として、
その評価を決定的なものとしました。

seberg_blog02しかし、そんな彼女の栄光を暗転させたのは、
FBI(アメリカ連邦捜査局)の謀略でした。
自分の信念から黒人解放運動にかかわったことを
スキャンダルとして報じられ、さらに愛娘を失った彼女は、
以後、暗黒の日々を送ることになります。
そして40歳の若さで「自殺」――。
1940年に生まれ、「アメリカ」と闘いつつ80年に亡くなった
ジョン・レノンとまったくの同時代人だといえるでしょう。

本書は、そんなジーン・セバーグの短い生涯を、膨大な資料と関係者への
綿密な取材であきらかにした決定版評伝です。60点あまりの
プライヴェート写真も収録。映画ファンはもちろん、さまざまな現場で
さまざまに格闘中の、すべてのかたに読んでいただきたい1冊です。ぜひ!