1月の新刊:鉤十字の夜

2020年 1月 8日 コメントは受け付けていません。

鉤十字の夜鉤十字の夜
キャサリン・バーデキン(著)
日吉信貴(訳)

判型:四六判上製
頁数:259頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0464-1 C0097
装幀:宗利淳一
1月25日発売!

慟哭の未来史
西暦26XX年、神聖ドイツ帝国――
自民族男性中心主義を掲げるヒトラー教社会において、女性たちは自由と美を剥奪され、男性への服従と男児の出産だけを期待される家畜に等しい存在として徹底的に虐げられていた……
ナチス政権の台頭を峻烈に風刺するのみならず、男尊女卑の過激化によって女性がたどる苛酷な運命を予言する〈フェミニスト・ディストピア小説〉の古典的傑作!


あらすじ
時は西暦26XX年。ヨーロッパ最終戦争において圧倒的な勝利を収めたナチス・ドイツは《神聖ドイツ帝国》を樹立、同じく戦勝国である日本帝国と拮抗しながら世界の覇権を争い続けてきた。厳格な自民族男性中心主義を掲げ、ヒトラーを軍神として崇める国家宗教《ヒトラー教》の守護者たる《騎士》たちの統率のもと、建国以前の記録はことごとく破壊され、キリスト教徒は徹底的な迫害を被り、そして女性たちもまた、男児の出産を除くあらゆる価値を剥奪された家畜に等しい存在として、ゲットーでの隔離生活を強いられていた。そんな中、従属民族であるイギリス人の技術者アルフレッドは、一人の騎士から帝国開闢の真相を物語る禁断の書物を託されるのだった……

日独二大戦勝国による世界の分割統治、書物の破壊と歴史の分断、過激化した自民族中心主義、そして女性に対する蔑視と、出産を除くあらゆる存在理由の剥奪……
開戦前夜の1937年にイギリスで刊行され、G・オーウェル『一九八四年』、R・ブラッドベリ『華氏451度』、P・K・ディック『高い城の男』、M・アトウッド『侍女の物語』の先駆として、また現代社会の予言書として異彩を放つ今こそ読まれるべき問題作、待望の邦訳!


著者について
キャサリン・バーデキン(Katharine Burdekin)
1896年、イギリス・ダービーシャーで生まれ、1963年に没する。小説家。主な著書に、本書『鉤十字の夜』のほか、『傲慢な男』(Proud Man, Boriswood, 1934)、死後刊行の『今日の戦いの結末』(The End of This Day’s Business, Feminist Press, 1989)などがある。

訳者について
日吉信貴(ひよしのぶたか)
1984年、愛知県に生まれる。神田外語大学、都留文科大学、明治学院大学非常勤講師(現代英語文学)。主な著者に、『カズオ・イシグロ入門』(立東舎、2017年)、『カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を読む――ケアからホロコーストまで』(共著、水声社、2018年)などがある。

関連書
ホロコーストを逃れて――ウクライナのレジスタンス/ジェニー・ウィテリック/池田年穂訳/2500円+税

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