8月の新刊:生きている音楽——キューバ芸術音楽の民族誌

2021年 7月 26日 コメントは受け付けていません。

書影 生きている音楽生きている音楽
キューバ芸術音楽の民族誌
田中理恵子(著)

判型:A5判上製
頁数:388頁
定価:6000円+税
ISBN:978-4-8010-0588-4 C0039
装幀:宗利淳一
8月上旬頃発売!

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キューバの音楽人類学
ボレロ、ルンバ、アフロ・キューバンなどさまざまな音楽を発展・融合させた特異な歴史をもつ音楽大国キューバ。音楽実践が生活と親密に関わる国で営まれる芸術音楽とはなにか? フィールドワークを通してハバナに暮らす人々の語りを収集・分析することにより、人々の生活と音楽が結びつくダイナミズムを描き出す。


目次

はじめに

Ⅰ 

序章 ハバナの生と音楽に向けて
1 挿話 
2  調査の概要
3 本書の構成 

第一章 ハバナの生と音楽の現在
1 「生きている」生と音楽 
2 ラテンアメリカに生きる 
3 生成/出来事としての音楽 
4 おわりに 

第二章 ハバナの生の空間

1 ハバナの人々と音楽 
2 統治時代と革命政府 
3 三つの調査地 
4 音響空間の過去と現在 
5 そこに在り続ける 

第三章 内と外のはざまで
1 キューバの歴史と時間をめぐって 
2 アメリカとのせめぎあい 
3 キューバの内/外 
4 ハバナに「生きている」 
5 情熱と社会変化 


第四章 楽器と人との相互に触発する関係――学習プロセスを焦点に
1 楽器に憑かれる 
2 オラリティとモノの人類学 
3 接触と学習プロセス 
4 不均衡の動き 
5 融合と否定の相互依存 
6 「生きている」関係 

第五章 音楽の複層性とその移行
1 「ひとつ」の音楽 
2 音楽の再配分 
3 複数の音楽の同一性 
4 同一の多重性 
5  音楽家による分節化
6 演奏をめぐる主体の変換と継続 

第六章 オーケストラの生成――集団の生成としての音楽実践
1 音楽が聴こえる 
2 ラテンアメリカのオーケストラ 
3 劇場での音楽 
4 ハバナのオーケストラ 
5 リハーサルでの連鎖のプロセス 
6 「現在の」音楽として 


第七章 流れる音の向こうへ
1 ピアノ奏者の手 
2 ポジションの移行 
3 音楽空間の変化 
4 居住空間の変換 
5 ハバナに流れゆくもの 

終章 音楽的人間
1 複雑な全体の経験へ 
2 民族誌的記述のまとめ 
3 音楽の経験的次元 
4 生と音楽の人類学 
5 物質・場所・身体の共鳴と不共鳴 
6 人間へ 


   注 
    参考文献 
    人名索引 
    事項索引 

    あとがき 

著者について
田中理恵子(たなかりえこ)
東京生まれ。国立音楽大学卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。キューバ国立芸術大学客員研究員、早稲田大学助手を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員、東京工業大学ほか講師。専攻、文化人類学、音楽論。主な論文には、「民俗/実験、アートの交差――音の経験に関する一考察」(『表象文化論研究』9号、2013年)、「表出する情動、試論――音楽と《建てること》をめぐって」(『嗜好品文化研究』5号、2020年)などがある。社会連携活動として、社会福祉法人青丘社講師(民族音楽)、AJIA-CO 代表(多文化共生プロジェクト)を務めるほか、さまざまな事業に携わる。


関連書
クリストファー・スモール『ミュージッキング――音楽は〈行為〉である』野澤豊一・西島千尋訳 4000円+税

トマス・トゥリノ『ミュージック・アズ・ソーシャル・ライフ――歌い踊ることをめぐる政治』野澤豊一・西島千尋訳 6000円+税

丹羽充『不信の支える信仰共同体――ネパールのプロテスタンティズムについての民族誌的研究』 4000円+税

田口陽子『市民社会と政治社会のあいだ――インド、ムンバイのミドルクラス市民をめぐる運動』 4000円+税


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