編集部通信/『また君に恋をした』の反響その1

2010年 11月 15日 コメントは受け付けていません。

10月下旬に発売していらい、アンドレ・ゴルツ『また君に恋をした』は
実によく動いています。池袋リブロはじめ幾つかの書店・大学生協では
発売後たちまち売り切れ、追加注文がきました。
そのうえ、活字が大きく短い作品なのですぐ読めてしまうのか、
読者からの感想が続々と寄せられています。(編集部So)

一番早かったのは、書評家の江南亜美子さんの反応です。
うんうん唸りながら一気読みしたそうで、まずツイッターでつぶやき、
その勢いでブログにも書き込んでくれました。こちら→(
また、神戸の海文堂書店のブログ(11月2日の日記)にも
詳細な紹介が出ています。こちら→(

大方の感想は、「読んでいて胸が熱くなった」
「哲学的なところは少々難解だが、一気に読んでしまった」
「訳文がこなれていて読みやすい」といったものですが、
結構みなさん読み込んでいて、編集担当の私や
訳者の杉村裕史氏も驚くような反応や感動的な感想文が
多いので、ここで一気に紹介してみます。

「とても読みやすくて、妻をいたわり、
やさしく語りかける雰囲気がよく伝わってきました。
なれそめの部分は恋愛小説のようで、ロマンチックでよかったです。
筆者はジャーナリストで、知識人階級の人なのに、
やわらかい文章で、素直に心情を表現しているのがいいですね。
母国語を捨てて生きなければいけなかったことなど、
時代背景も興味深かったです。商業主義的な医療行為のこととか、
考えさせることも多かったです。
それに、最後の2頁がすごく感動的でした。
あとがきも、いろんな情報が盛り込まれていて読み応えがあり、
グリーンと茶色が基調の装丁も上品で、とても素敵な感じです。
性別、年代に関係なく楽しめる本ですね」(アラフォー女性)


「私には全く未知の作者でしたが、このような夫婦がいたことを知り、
近年味わったことのない大きな感動を覚えました。……
一読後、思い出を綴ったあと奥さんの後追い自殺をした
江藤淳氏のことや、やはり亡妻との思い出を本にした川本三郎氏のことを
想起しましたが(いずれも子供のいない、夫婦きりの結婚生活で、
絆がより強かったと思われます)、感情を抑制し、冷静に、
客観的に夫婦の日々の真実を描き切った本書の重みには
かなわないと思いました」(50代男性)


「若い人に読んでもらいたい。これから結婚しようとする
カップルにも。ちょうど12月に教え子の結婚式があるから、
プレゼントすることに決めた」(40代女性)


「『また君に恋をした』を手にとったところ遅読の私にしては
奇跡的に冒頭から一気に入り込んですぐ読み終えてしまいました。
こういう男女の愛が現実にあったという感動で涙ぐみ
奇跡のカップルを羨ましく思います。
さらに彼らがニューヨークで抱いたアメリカ文明への嫌悪感や
「再道具化社会」の概念、イリイチの「自主管理」
「脱病院化社会」の概念は今現在の私の日常の意識なので、
当時は最先端であっただろうこの方々に
難しい話題でありながら親近感を覚えました」(アラフォー女性)


「ゴルツの老齢になってからの強烈な想い。「要するに
本質的なことはただ一つ、君と一緒にいることだ」という
一語に集約される人生。特に晩年の人生。
もうすぐ大台になる小生としては我が身を振り返るに
心が痛む一冊です。日本のカップルは中年以降、パートナーを
疎ましく思う人も多いし、妻への想いを素直に出してたまるか、
という照れ屋も多いけど、こうもストレートに書かれると
いろいろ考えると思うなあ」(アラカン男性)


「ふたりがともに生きてきて、そのことがふたりにとって
かけがえのない、大事なことなのだということは切々と伝わってくるね。
そしてどれほど夫が妻を、ある種複雑な思いを持ちながらも、
愛していたか、わかる気がする」(50代男性)


「みなさんに手に取ってほしい一冊があります。
アンドレ・ゴルツ著『また君に恋をした』
著者の妻へのあふれる思いに胸を打たれたのでここに紹介します。
これは、著者が病の妻に宛てて最後に書いた感謝の手紙。
この本が出版されるのを待って、2007年、
二人は共に人生に幕を引きました。著者83歳、妻82歳。
著者はフランスを代表する哲学者で、自己や社会体制について苦悩した人生。
その隣にはいつも妻がいて支えてくれていた。
その妻が一歩、一歩、死に近付いていく。
「君はちょうど八十二歳になったばかり。それでも変わらず美しく、
優雅で、いとおしい。一緒に暮らし始めて五十八年になるけれど、
今ほど君を愛したことはない。最近また、君に恋をした。
僕の胸のここには再びぽっかりと穴が空いていて、
それを埋めてくれるのは僕に寄り添ってくれる君の身体だけだ
———僕たちは二人とも、どちらかが先に死んだら、
その先を生き延びたくはない。叶わないこととはいえ、
もう一度人生を送れるならば二人で一緒に送りたい」
共に生きた人生が終わりを迎えようとする時、苦悩も後悔も超えて
こんなにも熱い思いがあふれるものなのか…。
途中で若い頃の自己や社会への考察が出てきてそのあたりは
哲学者らしく難解なんだけど、そこを経て出た著者の
長年の哲学の結論が「要するに本質的なことはただ一つ、
君と一緒にいること」だということにもまた胸打たれます。
難しい部分で挫けず最後まで読むと感動が待っています。
ぜひ手に取って読んでもらえたらと思います」(20代女性)



matakimi_cover9アンドレ・ゴルツ/杉村裕史 訳

また君に恋をした

Lettre à D.  Histoire d’un amour
四六判変形上製144頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-805-8 C0097 好評発売中!

「君はもうすぐ82歳になる……それでも
変わらず美しく, 優雅で, いとおしい」




83歳の哲学者は, 長年連れ添った不治の病の
妻に宛てて, 最後のラブレターを書き上げた。ふたりは
互いを補い合いながら人生を歩み, 共に幕を閉じた……。

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