6月の新刊:異邦人のフランス語圏文学――立花英裕と「世界‐文学」の想像力

2025年 6月 2日 コメントは受け付けていません。

異邦人のフランス語圏文学_書影異邦人のフランス語圏文学
立花英裕と「世界‐文学」の想像力
谷昌親・中村隆之(編)

判型:A5判上製
頁数:452頁
定価:6500円+税
ISBN:978-4-8010-0878-6 C0098
装幀:宗利淳一
6月下旬発売!

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文学という潜勢力
ロートレアモンから出発して、マルティニック、ハイチ、ケベックの文学へと多様に展開された、知の越境者の旅路。歴史の他性に開かれた文学的思考から、われわれは何を受けとるべきか。ネーションへの同化でもなければ、グローバル化の伸展でもない、時空の異なる作品に張り巡らされた世界の複数性を読解する。


目次

はじめに 中村隆之

序 異邦人の声に耳を傾ける――立花英裕とその継承者たちにとっての文学 谷昌親

第Ⅰ部 ロートレアモン、クレオール、そして「世界‐文学」|立花英裕の仕事
パリの異邦人
 ロートレアモンはクレオール作家か
 「大型種の年老いた蜘蛛」と現代的語り――『マルドロールの歌』のポストコロニアル的読解の試み
 『マルドロールの歌』、ぶれた時針
 「狂騒の時代」のパリとネグリチュード
 言語のせめぎあう空間、パリ――祖国を離れた作家達、ビアンシォッティ、クンデラ、コルタサル

マルティニックとクレオール
 クレオールの旅
 エドゥアール・グリッサンにおける不透明性の概念
 クレオールとネーション――エドゥアール・グリッサンの視点
 小説『レザルド川』のガランとは誰か?――エドゥアール・グリッサンに見るカリブ社会とポストコロニアル
 世界文学としてのエメ・セゼールを読む
 エメ・セゼールあるいは群島的抵抗

ハイチ、ケベックと「世界‐文学」の可能性
 ハイチ現代文学の歴史的背景ダニー・ラフェリエールと世界文学
 ガストン・ミロンとローランティド

第Ⅱ部 複数の世界文学に向けて
 日本におけるフランス語圏アフリカ系文学出版・研究史事始め 中村隆之
 継承できないものを継承する――「フランス語圏文学の遺産と未来」をめぐって 福島亮
 二つの越境――ロートレアモンとラフェリエール 西川葉澄
 奴隷制とショアーの呼応――シモーヌ&アンドレ・シュヴァルツ゠バルトのカリブ海連作に見るケアの思想 大辻都
 デウェ・ゴロデーとニューカレドニアの文学 星埜守之
 世界文学のなかのフランス語圏文学――文学賞と市場を手がかりに 澤田直
 世界文学からフランコフォニー文学へ――概念と言語にまつわる系譜について 廣田郷士

あとがき 谷昌親・中村隆之

著者について
立花英裕(たちばなひでひろ)
1949年、宮城県に生まれ、2021年、東京都にて没する。1982年、早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。早稲田大学名誉教授(フランス語圏文学)。フランス政府よりフランス教育功労賞(2001年)、カナダ・ケベック州政府よりアメリカ地域フランコフォン功労賞(2009年)を授与される。主な著書に、『現代フランス社会を知るための62章』(共著、明石書店、2010年)、『クレオールの想像力――ネグリチュードから群島的思考へ』(編著、水声社、2020年)、主な訳書に、ダニー・ラフェリエール『吾輩は日本作家である』(2014年、藤原書店)、ルネ・ドゥペストル『ハイチ女へのハレルヤ』(共訳、2018年)、エドゥアール・グリッサン『ラマンタンの入江』(共訳、2019年、いずれも水声社)などがある。

谷昌親(たにまさちか)
早稲田大学教授(フランス現代文学・イメージ論)。主な著書に、『ロジェ・ジルベール゠ルコント――虚無へと誘う風』(水声社、2010年)、主な訳書に、ミシェル・レリス『ゲームの規則Ⅳ 囁音』(平凡社、2018年)などがある。
中村隆之(なかむらたかゆき)
早稲田大学教授(フランス語圏カリブ海文学・環大西洋文化研究)。主な著書に、『ブラック・カルチャー――大西洋を旅する声と音』(岩波書店、2025年)、主な訳書に、エドゥアール・グリッサン『カリブ海序説』(共訳、インスクリプト、2024年)などがある。
大辻都(おおつじみやこ)
京都芸術大学教授(フランス語圏文学)。主な著書に、『渡りの文学――カリブ海のフランス語作家、マリーズ・コンデを読む』(法政大学出版局、2013年)、『リベラルアーツと芸術』(共著、水声社、2024年)などがある。
澤田直(さわだなお)
立教大学名誉教授(フランス語圏文学・思想)。主な著書に、『フェルナンド・ペソア伝――異名者たちの迷路』(集英社、2023年)、『女性・戦争・植民地 1919-1939――両大戦間期フランスの表象』(共編著、水声社、2024年)などがある。
西川葉澄(にしかわはすみ)
慶應義塾大学専任講師(フランス文学・ケベック文学)。主な著書に、『ケベックを知るための56章【第2版】』(共著、明石書房、2023年)、『言語文化とコミュニケーション』(共著、慶應義塾大学出版会、2023年)などがある。
廣田郷士(ひろたさとし)
神戸大学専任講師(フランス語圏文学・思想)。主な著書に、Imaginaire et politique de la créolisation : Édouard Glissant et nous, La Tour-d’Aigues, Éditions de l’Aube(collectif, 2023)、主な訳書に、エドゥアール・グリッサン『ラマンタンの入江』(共訳、水声社、2019年)などがある。
福島亮(ふくしまりょう)
富山大学専任講師(フランス語圏文学・思想)。主な著書に、『クレオールの想像力――ネグリチュードから群島的思考へ』(共著、水声社、2020年)、主な訳書に、アラン・マバンク『アフリカ文学講義――植民地文学から世界‐文学へ』(共訳、みすず書房、2022年)などがある。
星埜守之(ほしのもりゆき)
東京大学名誉教授(フランス文学・フランス語圏文学)。主な著書に、『ジャン゠ピエール・デュプレー――黒い太陽』(水声社、2010年)、主な訳書に、パトリック・シャモワゾー『テキサコ(上・下)』(平凡社、1997年)などがある。

関連書
クレオールの想像力――ネグリチュードから群島的思考へ/立花英裕編/6000円+税
ラマンタンの入江/エドゥアール・グリッサン/2800円+税
痕跡/エドゥアール・グリッサン/2500円+税
マホガニー――私の最期の時/エドゥアール・グリッサン/2500円+税
憤死/エドゥアール・グリッサン/2800円+税
さらばボゴタ/シモーヌ&アンドレ・シュヴァルツ゠バルト/2700円+税
ハイチ女へのハレルヤ/ルネ・ドゥペストル/2800円+税

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