公開講座のご案内

2013年 7月 22日 コメントは受け付けていません。

小社より好評発売中の『ジョルジュ・バタイユ——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』の著者、岩野卓司さんによる公開講義が行われます。中沢新一さんが所長となって立ち上げられた、明治大学の「野生の科学研究所」()にて、3回にわたって行われますので、ふるってお運びください。

第一回「贈与の現象学」


講師:岩野卓司


コメンテーター:中沢新一

日時:2013年7月31日(水)18:00〜

場所:明治大学野生の科学研究所
資料代:500円

明治大学野生の科学研究所では、本学教授岩野卓司先生を講師に招き、「贈与の哲学ージャン・リュック=マリオンの思想」と題する公開連続講座を行います。この研究会は、これまで当研究所が主として行って来た人類学・社会学・経済学の方向から、現代における「贈与」の主題の重要性についての研究に、現代フランス哲学を代表する一人であるジャン・リュック=マリオンの思想を考察することによって、さらに新しい展望を開こうという試みです。
マリオンはハイデッガーの強い影響のもとに現象学を研究してきた哲学者であり、同時にカトリック神学・哲学の奥深い研究者としても知られている。「存在」と「贈与」のつながりに今までにない視点からの探求が進められ、デリダの贈与論批判に対して、強力な批判の論陣を張ってきたことでも知られています。
日本にまだあまり知られていない、このマリオンの思想について、岩野先生による解説をふまえ、贈与の研究をさらに深化させていくための方向性を開いていきます。

第1回 贈与の現象学

交換と贈与。(モース、レヴィ=ストロース、バタイユ)
哲学における贈与論(ハイデッガー、デリダ)
形而上学(存在-神学)批判
現象学とその神学的転回
フッサールの「原理のなかの原理」と〈贈与〉(donation)
自然的態度の変更 :エポケー(主体、客体、対象性、存在者、存在者性の還元):贈与(don)から〈贈与〉(donation)へ
出来事と偶然
飽和した現象(phénomène saturé):啓示
贈与される者(l’adonné):主体に先立つもの、応答、責任
(主に扱うマリオンのテクスト:Réduction et donation, Etant donné )

第2回 デリダVSマリオン:贈与をめぐる論争

デリダ:贈与の不可能性
マリオン:贈与(don)と〈贈与〉(donation)の差異
可能性の条件と出来事:アプリオリ(言語)と絶対的アポステオリ(経験)
現前性なき現前者の可能性
コーラ(場)と否定神学
Es gibt:「ある」
啓示(Offenbarung)と開示(Offenbarkeit)
(主に扱うマリオンのテクスト:Etant donné, Figures de phénoménologie)

第3回   キリスト教と贈与

偶像(idole)と聖像(icône):不可視なものの可視化と可視を通して不可視のものを表現すること
存在なき神:×を施された神:贈与としての神
愛:贈与
聖体の秘跡と時間論:イエスの死と復活をベースにした「過去」と「未来」
中心の時間論:現在は神の贈与の結果
キリスト教の哲学:発見的思考
(主に扱うマリオンのテクスト:L’idole et la distance, Dieu sans l’être)



バタイユ書影ジョルジュ・バタイユ
——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性
岩野卓司
A5判上製/336頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-778-5  C0098  絶賛発売中!

伝統への反逆者、バタイユ。

その思想はアリストテレスから続く、伝統的な哲学の系譜・形而上学に裏付けられ、またそれを乗り越えるものだった……。バタイユの経済理論、哲学・文学作品を精査し、形而上学そのものを問い直しながら、その「外」へと開かれた「経験」の思想をあばく、極限の哲学。

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