6月の新刊:ポスト〈3・11〉小説論――遅い暴力に抗する人新世の思想

2018年 7月 2日 コメントは受け付けていません。

ポスト311ポスト〈3・11〉小説論
遅い暴力に抗する人新世の思想
《エコクリティシズム・コレクション》
芳賀浩一(著)

判型:四六判上製 
頁数:398頁 
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0329-3 C0095
装幀:滝澤和子
6月25日発売!


めぐりくる〈3・11〉その先へ
東日本大震災に触発され書かれた小説(「神様2011」、「還れぬ家」、「献灯使」、「東京自叙伝」、「さよならクリストファー・ロビン」等々)を天災と人災が不可分になった人新世の時代の文学として、ジェーン・ベネット、ティモシー・モートンらに言及しつつ環境批評の視点から読み解く。

目次
はじめに 人新世の文学

第一章 ポスト3・11小説、その概要と展望
1 ポスト〈3・11〉
2 ポスト〈3・11〉小説と環境批評
3 先行研究
4 ポスト〈3・11〉小説の出版と意義

第二章 人新世の批評理論としての物質的環境批評
1 無人間論的転換における新物質主義――『躍動するモノ』とジェーン・ベネット
2 生気物質論はいかなる解釈を導くか――物質的共感の世界
3 エージェンシーの問題
4 津波のエージェンシー
5 物質志向の存在論――ティモシー・モートンの環境批評
6 存在論の岐路――物質志向の存在論と生気物質論
7 生命記号論の展開
8 ポストモダン環境批評の展開
9 動物論
10 ポスト3・11小説と物質的環境批評

第三章 震災に揺れる「私」の世界
1 震災が生んだ語りの断層――椎名誠「かいじゅうたちがやってきた」と佐伯一麦『還れぬ家』
2 揺らぐ語りの秩序――大江健三郎『晩年様式集』
3 原発事故を起こした「私」たち――奥泉光『東京自叙伝』

第四章 震災によって揺らぐ「動物」と「人間」の境界
  ――ポスト3・11小説における熊
1 くまが人間らしく振舞うこと――川上弘美「神様 2011」
2 揺れが結ぶ人間とヒグマ――津島佑子「ヒグマの静かな海」
3 池澤夏樹『双頭の船』における動物の三様態(野生、家畜、ペット)
4 エネルギーのエージェンシーと古川日出男『冬眠する熊に添い寝してごらん』

第五章 ポストモダンから人新世の小説へ
1 高橋源一郎『さよならクリストファー・ロビン』と東日本大震災
2 環境と身体を繋ぐ環境批評的な小説――多和田葉子『献灯使』
3 ポストモダン後の世界へ――古川日出男『あるいは修羅の十億年』

第六章 東日本大震災とポストコロニアル小説
1 古川日出男『ドッグマザー』
2 東北の潜在性と木村友祐『イサの氾濫』
3 資源の簒奪と汚染――津島佑子「半減期を祝って」
4 古川日出男『女たち三百人の裏切りの書』

第七章 時を動かすモノ――ルース・オゼキ『ある時の物語』
1 津波の力――瓦礫とゴミ
2 メタファーとしての東日本大震災、津波、放射能
3 作家の仕事――消えた言葉はどこへ行くのか
4 動物たち
5 消えた人々に出会う

第八章 地球、人間、そして新しい「私」
  ――人新世文学としての川上弘美『大きな鳥にさらわれぬよう』
1 「神様2011」からの変奏
2 人間は「私」を超えられるか
3 ポスト人間、あるいは世界の人間化――ハラウェイ、ヘイルズ、ハイザから川上へ
4 わたし(母)たち
5 生気物質論と新しい人間

おわりに 「遅い」小説に何が出来るか


ポスト3・11小説リスト
参考文献

あとがき

著者について
芳賀浩一(はがこういち)
1970年,宮城県に生まれる。カリフォルニア大学ロサンゼルス校にてPhD.取得。現在、城西国際大学国際人文学部准教授。専攻、批評理論、比較文学。主な著書に、『文学から環境を考えるーーエコクリティシズム・ガイドブック(共著、勉誠出版、2014年)、Ecocriticism in Japan(共著、Lexington Books,2017)、『エコクリテシズムの波を超えてーー人新世の地球を生きる』(共著、音羽書房鶴見書店、2017年)などがある。

関連書
反復のレトリック—―梨木香歩と石牟礼道子と 山田悠介/4000円+税
失われるのは、ぼくらのほうだ 野田研一/4000円+税
他火のほうへ—―食と文学のインターフェイス 結城正美/2800円+税
動物とは「誰」か?—―文学・詩学・社会学との対話 波戸岡景太/2200円+税

Comments are closed.