11月の新刊:『反覆する岡本太郎』

2012年 11月 12日

e58f8de8a686e38199e3828be5b2a1e69cace5a4aae9838e_cover反覆する岡本太郎

あるいは「絵画のテロル」

北澤憲昭
四六判上製/本文210ページ+別丁図版8ページ/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-904-8 C0071 絶賛発売中!


《岡本太郎》とは誰だったのか?
アヴァンギャルド
と伝統主義、そのペルソナをこそ挟撃せよ!

戦時下にバタイユらと協働した〈アセファル〉から
〈3・11〉までをつらぬく類稀なアーティストの思想と実践を論じる、
先鋭な批評にして、昨今のブームを葬送する挑発的作家論!

《……『明日の神話』の「明日」とは、おぞましい災禍に
かつて襲われ、今後ふたたび襲われるかもしれない未来における
「いま、ここ」であり、そのような事態においてなお
堅持されるべき運命愛を、岡本は「神話」と呼んだのではないか——》

 

11月の新刊:『私は母を産まなかった/ALLENとMAKOTOと肛門へ』

2012年 11月 12日

私は母を産まなかった/ALLENとMAKOTOと肛門へ

ヤリタミサコ詩集 写真=萩原義弘

A4判変形64頁
定価2,000円+税
ISBN978-4-89176-921-5 C0092
好評発売中

子どもの頃の家族・人間関係のなかでの反発と否定、
そしてギンズバーグ、白石かずこ、塩見允枝子らと反響しあう現在を、
日常の言葉で強靭に、ときに郷愁をもって表出する注目の詩集。

【もくじ】
ALLENとMAKOTOと肛門へ
①階段を降りる シオミミエコへ
だけど 誰もぼくを知らない
ただいまの装置 1
ただいまの装置 2
ただいまの装置 3
ただいまの装置 4——こわれた昼
ただいまの装置 5——小川のままで
ただいまの装置 6——娘たち
ただいまの装置 7——雪の降る
ただいまの装置 8
私は母を産まなかった
I Didn’t Give Birth to my Mother
あとがき

【関連書】
『詩を呼吸する』
『ビートとアートとエトセトラ』
共にヤリタミサコ著、定価2,800円+税

 

書評情報

2012年 11月 12日

中川素子著 『スクール・アート』
2012年9月14日「週刊読書人」に書評がでました。
その他朝日新聞、日本経済新聞などにも紹介されています。
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schoolart_coverスクール・アート——現代美術が開示する学校・教育・社会

中川素子 著
A5判上製/232ページ+別丁カラー図版16ページ/定価=2800円+税
ISBN 978-4-89176-909-3 C0070 7月10日頃発売予定




現代美術は「学校」と「教育」をどのように表現してきたのか?

〈こどもたち〉と〈教育〉の現状を鋭く、ときにユーモラスに表現した
美術作品をよみとき、学校・教育・社会のあるべき姿を「美術」と「教育」の
接点からさぐる画期的な書き下ろし評論。[図版多数収録]

【本書に登場する美術家たち】
浅田政志、倉重迅、澤田知子、鉢&田島征三、石田徹也、藤阪新吾、
ジェームズ・ローゼンクイスト、タデウシュ・カントル、土門拳、
ピーター・ベラーズ、豊嶋康子、島田寛昭、河口龍夫、みかんぐみ、山本高之

【目次

まえがき

第1章 思い出やつながりとしての教育空間
第2章 教室の中の無気力な子どもたち
第3章 子どもたちに落ちる世界の影
第4章 システムとしての教育, そのずらしと崩し
第5章 教育とは「引き出すこと」

あとがき



中川敦著 『ドングリトプスとマックロサウルス』
2012年6月17日朝日新聞朝刊「視線」に森村泰昌氏の書評が掲載されました。
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e38389e383b3e382b0e383aae38388e38397e382b9ドングリトプスとマックロサウルス

中川淳
A4判上製32頁/定価=1500円+税
ISBN 978-4-89176-911-6 C8795 6月5日発売




小社から新たな絵本が刊行されます!

えんぴつでこすりだした まっくらなほらあな。
そこにすんでいたのは……?
ぼくといぬのブッチ そして
コラージュのきょうりゅう ドングリトプスと
フロッタージュのきょうりゅう マックロサウルスの
たのしい いちにち。


コラージュやフロッタージュといった
かんたんな絵画の技法を使って生まれる、
ファンタジーと冒険心あふれるものがたり。

絵を描く楽しみを知り、空想力を育みます。
幼児〜小学校低学年向き
(もちろん大人が読んでも楽しめます)

 

11月の新刊:『反絵、触れる、けだもののフラボン』

2012年 10月 27日

e38191e381a0e38282e381aee69bb8e5bdb1反絵、触れる、けだもののフラボン

見ることと絵画をめぐる断片

福山知佐子
四六判上製/176頁/定価=2200円+税
ISBN978-4-89176-923-9  C0070 11月1日頃発売!
装幀=coppice

「この書物をオビに凝縮するのは、至難の業です。
書いても描いても尽くせないいのちの豊穣に焦がれてヒトの世を生きる
福山知佐子は、どこまでも濃密なエロスの人だ」——谷川俊太郎


大野一雄、中川幸夫、若林奮らとの比類ない出会い、
花や動物たちとの全神経細胞を震わせる共振、
それら記述不可能な体験の深みに向けて言葉を酷使する。
主客未分のカオスの闇に晒され傷ついた眼、
あるいは「動植物の目」によって、「物」を見ることの
根源が執拗に生き直される、けだものの息による絵画論。



本書刊行を記念して、福山知佐子さんの個展が開かれます。
こちらもぜひお運び下さい。

福山知佐子個展

『反絵、触れる、けだもののフラボン』

KID AILACK ART HALL 5Fギャラリー
2012年11月7日(水)〜11月12日(月)
7日 16:00〜20:00
8日〜11日 13:00〜20:00
12日 13:00〜18:00

KID AILACK ART HALL
Tel: 03-3322-5564
Web:  http://www.kidailack.co.jp/
〒156-0043 東京都世田谷区松原2-43-11
[京王線/京王井の頭線・明大前駅より徒歩2分]

 

10月の新刊:『イカロスの飛行』

2012年 10月 27日

rqefbc8fe382a4e382abe383ade382b9e381aee9a39be8a18c_cover2レーモン・クノー・コレクション13

イカロスの飛行

石川清子訳
4/6判上製203頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-873-7 C0397 絶賛発売中!

イカロスが盗まれた? 飛んだ?

書きかけの小説から、主人公イカロスが逃げ出した!?
彼を追跡する探偵モルコルや、他の作家たちのもとから逃げ出してきた
登場人物たちも町に紛れ込んでのドタバタ捜索劇。
定められた運命を逃れた彼らの行く末は?
主人公のいなくなった小説の結末は?
小説の可能性を追求し、言葉で遊び続けたクノーの遺作。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、第10回配本!

 

10月の新刊:『魔術的リアリズム』

2012年 10月 12日

–‚pƒJƒo[.indd魔術的リアリズム——20世紀のラテンアメリカ小説

寺尾隆吉

四六判上製/240頁/定価=2500円+税
978-4-89176-918-5 C0098 10月22日頃発売予定
装幀=宗利淳一+田中奈緒子



コンパクトなラテンアメリカ文学の入門書が新たに登場!

『グアテマラ伝説集』のアストゥリアスから、
『この世の王国』のカルペンティエールまで、
ルルフォの『ペドロ・パラモ』から、
ガルシア・マルケスの『百年の孤独』、
そして現代のラテンアメリカ作家たちまでも視野に入れ、
ラテンアメリカ文学の象徴とも言える「魔術的リアリズム」の手法を明らかにする
ラテンアメリカ文学ファン、そして外国文学愛好家必携の書。

想像力による世界の変革。

ボルヘス、ガルシア・マルケス、アジェンデ、バルガス・ジョサ……
数々の作家を世界に送り出し、一世を風靡したラテンアメリカ小説には
《魔術的リアリズム》という手法があった。
その重要な諸作品を歴史的背景とともに辿りながら、
物語に社会変革の希望を託した作家たちの手法を明らかにする。

《魔術的リアリズムの作家たちは(…)書く行為を現実と並存する
空想世界の構築と結びつけ、そこから現代世界の置かれた状況を
新たな目で捉え直すことで、変革への道標を示そうとする。(……)
その意味では、危機に生きる辺境のエネルギーを原動力とした文学作品こそ、
実は世界変革の可能性を内に秘めているのかもしれない》(本文より)




寺尾隆吉『魔術的リアリズム』(水声社)刊行記念イベント開催!

「ラテンアメリカ文学の魅力」

日時——2012年11月8日(木)19:30〜

講師——寺尾隆吉(フェリス女学院大学准教授)×鼓直(法政大学名誉教授)

会場——ジュンク堂書店池袋本店 4階カフェにて(くわしくはこちら→
■定員 40名(お電話又はご来店にてお申し込み先着順)
■入場料 1000円 (ドリンク付)
■受付 お電話又はご来店(1Fサービスカウンター)にて先着順に受付。
※トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。
※ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願いいたします。
お問い合わせ 池袋本店 TEL03-5956-6111

概要——ボルヘス、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ…… 。1960年代、ラテンアメリカ文学は世界的なブームを巻き起こしました。その象徴とも言えるのがノーベル賞作家、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』です。そのラテンアメリカ文学の隆盛とともに広く知られることになったのが、彼らの作品にしばしば見られる「魔術的リアリズム」と呼ばれる手法でした。ラテンアメリカ文学の歴史を顧みながらこの手法について明らかにしようとするのが、水声社より10月22日に発売する『魔術的リアリズム——20世紀のラテンアメリカ小説』です。
日本でもガルシア=マルケスなどラテンアメリカ文学が多く翻訳されました。その中でも、重要な作品を日本に多数翻訳、紹介した鼓直さんをゲストにお招きして日本がどのようにラテンアメリカ文学を受容していったのか、またはこれからのラテンアメリカ文学について、作家を紹介しつつ語り合っていただきます。

[講師紹介]

寺尾隆吉(てらお・りゅうきち)
1971年生まれ。フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専攻は現代ラテンアメリカ文学。主な著書に、『フィクションと証言の間で——現代ラテンアメリカにおける政治・社会動乱と小説創作』(松籟社、2007年)。主な訳書に、マリオ・バルガス・ジョサ『嘘から出たまこと』(現代企画室、2010年)など多数ある。

鼓直(つづみ・ただし)
1930年生まれ。法政大学名誉教授。日本スペイン協会理事長。ラテンアメリカ文学研究者。ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社、1972年)やホルヘ・ルイス・ボルヘス『奇伝集』(岩波文庫、1993年)など、ラテンアメリカの主要な作品を翻訳紹介した。「魔術的リアリズム」の手法を扱った作品など、翻訳は多数ある。

 

10月の新刊:『マザリナード』

2012年 9月 21日

e3839ee382b6e383aae3838ae383bce38389_cover2マザリナード——言葉のフロンド

クリスチアン・ジュオー/嶋中博章・野呂康 訳

A5判上製/376頁/定価=5000円+税
978-4-89176-919-2 C0022 10月03日頃発売予定



フランス気鋭の歴史学者が放つデビュー作!

17世紀フランスで勃発した内戦「フロンドの乱」の時期に大量に
書かれたパンフレット〈マザリナード〉とは何か、
またそれはどのように機能し、どのような意図のもとに書かれたのか?

叫ばれ、ばら撒かれる、言葉のパフォーマンス!

17世紀に生じたフランスの内戦、その名もフロンド。
この間、5,000にも及ぶ文書〈マザリナード〉が縦横無尽に飛び交う
——文芸が政治行為をテクスト化し、街は劇場となり、
言葉の闘争が繰り広げられる。噂の政治利用、操作、プロパガンダ、
説得……。政治における〈行為〉と〈行為者〉に着目し、
フロンドの乱の歴史記述に新たな地平を開く。

言葉による戦争、マザリナードとは何か?
噂はどのようにして政治に利用されたのか?
どのようにして古着屋はユダヤ人に仕立て上げられるのか?



【関連本】

歴史とエクリチュール——過去の記述

クリスチアン・ジュオー著/嶋中博章・杉浦順子・中畑寛之・野呂康訳
4000円+税

 

9月の新刊:『文体練習』

2012年 9月 21日

rqefbc8fe69687e4bd93e7b7b4e7bf92_cover4-4レーモン・クノー・コレクション7

文体練習

松島征・河田学・原野葉子・福田裕大訳
4/6判上製260頁/定価2200円+税
ISBN978-4-89176-867-6 C0397 9月28日頃発売!


何の変哲もない一つのエピソードを99通りの文体で書く、ただ、それだけ。
クノーの代名詞ともなったロングセラーが、新訳で生まれ変わる!
ウンベルト・エーコが自ら翻訳するほど愛し、イタロ・カルヴィーノは
「それ自体で独自のジャンルを構成する作品」と評し、
ウジェーヌ・イヨネスコがこれと同じ試みをしたいと切望した、クノーの出世作。

「ここには、練習が99個あります。フランス語のさまざまな様式や、
レトリックの文彩や、それにめっぽう文学的なジャンルなどを使いながら、
おなじひとつのささいな出来事がちがったふうに語られてゆくのですが、
当の出来事ときたらほとんど小話の、それも下書き程度のものでしかないのです。
この本には序文もなければ結論もありません。お読みになられた方は、
まだまだもっと違うやつだってぽんぽん思いつかれることでしょう。
ぞんぶんにやってみるといいのです。こころのおもむくままに」
——レーモン・クノー

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、第九回配本!

 

9月の新刊:『文化の翻訳あるいは周縁の詩学』

2012年 9月 21日

e591a8e7b881e381aee8a9a9e5ada6_cover文化の翻訳あるいは周縁の詩学

内田慶市+鼓宗+柏木治+角伸明+近藤昌夫 著

A5判上製240頁/定価2,800円+税
ISBN978-4-89176-917-8 C0020 9月21日発売



《あらゆる文化は翻訳に抵抗する》

ユーラシア大陸に興った中国、イスラーム、西欧、そして日本という
四つの文明の〈接触〉〈衝突〉そして〈翻訳〉の諸相を、西学東漸、
ビザンツ帝国の崩壊と活版印刷術の発明、レコンキスタ、帝国主義と
反ユダヤ主義、明治維新という激動の時代を背景に活写する。


【目次】


プロローグ——右が左で、左が右で/内田慶市

第Ⅰ部/東西文化交渉の胎動
第1章/大陸の東——イソップの東漸/内田慶市
第2章/西端の半島——イベリア半島の言語統一と〈トレド翻訳学派〉/鼓宗
第3章/海峡の東西——「言語少年」とアラビア語印刷/柏木治

第Ⅱ部/文化の翻訳者たち

第1章/異文化をまたぐシャガール——なぜシャガールの魚は
ヴァイオリンと壁時計を抱えて空中に浮かんでいるのか?/角伸明
第2章/翻訳された二葉亭四迷——偏在する郊外/近藤昌夫

エピローグ
——文化の翻訳あるいは周縁の詩学/近藤昌夫

あとがき/近藤昌夫



【関連書】

都市と芸術の「ロシア」
近藤昌夫+鴻野わか菜+嵐田浩吉+杉谷倫枝+大平陽一+村田真一+竹内正実
2,500円+税

 

『中村真一郎 青春日記』刊行記念 パネルディスカッション開催!

2012年 9月 5日

中村日記ジャケ入稿直し戦後文学を代表する文人・中村真一郎の、旧制第一高等学校在学中の日記を翻刻した『中村真一郎 青春日記』(小社刊)は、早熟なこの作家の読書遍歴はもちろん、福永武彦をはじめとする作家たちとの交友からプライベートの一面までを、まざまざと現代によみがえらせる超一級の資料として、各メディアで好評をいただいております。

そこで今回、この日記に描かれたさまざまな事象のなかから、とりわけ「旧制高校」という文化・思想・生活に着目して、中村真一郎の会国際日本文化研究センターの共催で、パネルディスカッションを開催いたします。ふるってお運びください。


パネルディスカッション

「『中村真一郎 青春日記』と旧制高校」

◎日時:2012年9月15日(土) 14:00~

会場:国際日本文化研究センター 第1共同研究室(地図はこちら→

【14:00~16:00】

基調報告:依岡 隆児(徳島大学教授・ドイツ文学)

パネリスト:粕谷 一希(評論家)、竹内洋(教育社会学)

コメンテイター:清水徹(フランス文学)

司会:鈴木 貞美

【16:00~17:00】

会場との質疑応答

◎懇親会:プログラム終了後、日文研レストラン「赤鬼」にて

◎共催:国際日本文化研究センター、中村真一郎の会

◎お問い合わせ :中村真一郎の会 tel. 03-5689-8410



【講師紹介】

依岡隆児(よりおか・りゅうじ)
1961年、高知県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科独文学博士課程中途退学、文学博士(東北大学)。現在は、徳島大学教授。専攻は、ドイツ文学。主な著書に、『ギュンター・グラスの世界』(鳥影社、2007年)、主な訳書に、ギュンター・グラス『玉ねぎの皮をむきながら』(集英社、2008年)、同『女ねずみ』(共訳、国書刊行会、1994年)などがある。

粕谷一希(かすや・かずき)
1930年、東京都に生まれる。東京大学法学部卒業。中央公論社に入社後、『中央公論』『歴史と人物』の編集長を歴任、同社退社後は『東京人』を創刊。現在は評論家、都市出版株式会社相談役。主な著書に、『内藤湖南への旅』(藤原書店、2011年)、『鎮魂 吉田満とその時代』(文春新書、2005年)、『中央公論社と私』(文藝春秋、1999年)など多数がある。

竹内 洋(たけうち・よう)
1942年、東京都に生まれる。京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。京都大学大学院教育学研究科教授、関西大学社会学部教授などを経て、現在は、関西大学東京センター長。専攻は、教育社会学。主な著書に、『メディアと知識人』(2012年)、『革新幻想の戦後史』(2011年、吉野作造賞。以上、中央公論新社)など多数がある。

清水 徹(しみず・とおる)
1931年、東京都に生まれる。東京大学文学部卒業。明治学院大学名誉教授。〈中村真一郎の会〉幹事長。専攻は、フランス文学。主な著書に、『マラルメの〈書物〉』(水声社、2011年)、『ヴァレリーの肖像』(筑摩書房、2004年)、『書物について』(岩波書店、2001年)、主な訳書に、ルイ=ルネ・デ・フォレ『おしゃべり/子供部屋』(水声社、2010年)など多数がある。

鈴木 貞美(すずき・さだみ)
1947年、山口県に生まれる。東京大学文学部卒業。総合研究大学院大学博士。現在は、国際日本文化研究センター教授。〈中村真一郎の会〉常任幹事。専攻は、日本近現代文学。主な著書に、『日本語の「常識」を問う』(平凡社新書、2011年)、『日本人の生命観』(中公新書、2011年)『わび・さび・幽玄』(水声社、2006年)、『梶井基次郎の世界』(作品社、2001年)など多数がある。

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中村日記ジャケ入稿直し『中村真一郎 青春日記』

池内輝雄・傳馬義澄 編
翻刻=荒川澄子・安西晋二・石井佑佳・岡崎直也・河合恒・北原泰邦
A5判上製402頁/定価=5000円+税
ISBN 978-4-89176-908-6 C0095 好評発売中!


彷徨する魂。若き日の読書と交友

のちに《戦後派》の小説家、批評家、詩人として知られることになる
著者の筐底に秘められてきた旧制高校時代の膨大な日記の完全翻刻版
莫大な量の読書ノートにして福永武彦らとの交遊録でもある。
中村真一郎研究のみならず、近現代文学史を考えるうえで第一級資料

中村真一郎コレクション
既刊好評発売中(いずれも税抜き)

城北綺譚   1800円
日本古典にみる性と愛   2500円
全ての人は過ぎて行く  3000円

 

8月の新刊:『わが友ピエロ』

2012年 8月 20日

レーモン・クノー・コレクション5

rqefbc8fe3828fe3818ce58f8be38394e382a8e383ad_coverわが友ピエロ

菅野昭正訳
4/6判上製272頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-865-2  C0397  8月27日頃発売!




陰謀? 事故? 《ユニ・パーク》で巻き起こる謎の事件

遊園地《ユニ・パーク》で働くこととなった青年ピエロ。
人はいいがどじばかり踏んでいる彼は、ひっそりと
《ユニ・パーク》に隣接し、謎の王国ポルデーヴの王子が
まつられているという礼拝堂の主と知り合いになる。
そんななか、《ユニ・パーク》では、ある事件が巻き起こり……。
『ルイユから遠くはなれて』『人生の日曜日』とともに
「知恵の三部作」と呼ばれ、アルベール・カミュが称賛した、
「不滅の奇蹟の物語」。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、第8回配本!


*第8回配本に予定しておりました『文体練習』につきましては、
発売を9月下旬に延期させていただくこととなりました。
楽しみにお待ちくださっているお客様を始め関係各位には
多大なご迷惑をお掛けいたしますこと心よりお詫び申し上げます。

*いつもすてきな書籍を刊行されている 月曜社 さんより、
クノーの批評的エッセイ集『棒・数字・文字』が好評発売中です。
訳者は、『最後の日々』や、やはり月曜社さんから刊行されている
『オディール』の翻訳でしられている宮川明子さん。
こちらはクノーのエッセイストとしての代表作で、
その奇天烈かつ独創的な内容については、
すでに ウラゲツ☆ブログ さんでも紹介済みですね。
おもわず書棚に飾っておきたくなるような瀟酒な造本で、
クノーの魅力がいっそう広がることまちがいなし、の1冊、
ぜひ、本コレクションとあわせてご購読ください!


 

8月の新刊:『精神病院と社会のはざまで』

2012年 8月 10日

seishinbyoin_cover精神病院と社会のはざまで——分析的実践と社会的実践の交差路

フェッリックス・ガタリ/杉村昌昭訳
四六判上製/本文192ページ+別丁図版8ページ/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-916-1 C0010 8月20日頃発売!




精神の領土へ!
没後20年を経て、いまなお色褪せない思想とその実践


ギリシャのレロス島から、フランスのラボルド精神病院へ——。
稀代の哲学者の原点を知るための、もっともコンパクトなガイダンス。
ガタリ自身の日記、盟友ジャン・ウリによる追悼文、
貴重な写真などをモンタージュする。

【関連書】
カフカの夢分析 F・ガタリ/杉村昌昭訳 1800円+税
アンチ・オイディプスの使用マニュアル S・ナドー/信友建志訳 3800円+税
国家に抗する社会 P・クラストル/渡辺公三訳 3500円+税

 

編集部から:『ナチスのキッチン』藤原辰史さんインタビュー

2012年 8月 6日

nazi_kitchen小社刊、藤原辰史著『ナチスのキッチン——「食べること」の環境史』は、おかげをもちまして、各紙誌で好評をいただいております。先にご紹介した 各新聞、ウェブサイトのほか、7月29日付の朝日新聞朝刊では、作家の 出久根達郎さん が書評してくださいました。日本の現実とも重ねてとらえた貴重な評言、ありがとうございました。全文はこちらをクリック→(

また、同27日付の 週刊読書人 さんの企画、「2012年上半期の収穫から」では、ドイツ文学者の 池田浩士さん が取り上げてくださいました。

「食生活という最も基本的な日常の営みに即して、ナチズムと国民との関係(流行語で言えば「絆」)」の在り方を描き出したユニークな研究。私たち自身の生き方を問い直すうえでも、刺激的なてがかりとなる」

と高く評価していただいております。池田さん、ありがとうございました。
そのほか、各ブログをはじめ、Twitter、Facebook 等の SNS でもご高評くださったみまさま、著者の藤原さんともども感謝しております!

アマゾンさんでは品切れが続いておりますが、小社の倉庫にも在庫がない状態です……。全国のリアル書店さん、ネット書店さんではまだ入手可能ですので、ぜひ、いまのうちにお求めいただければ幸いです。



なお、その『ナチスのキッチン』をめぐって、2つのインタビューが公開されました。

ひとつはすでに USTREAM 上で閲覧できるもので、渋谷でユニークなコミュニティを形成している「渋家」で収録されたものです。藤原さんのモティーフに、若いひとたちが斬り込んでいます。90分弱にわたるセッション、ぜひご視聴ください。こちらをクリック→(



そしてもうひとつ、『図書新聞』8月4日号に掲載された、ロングインタビューです。著者自身が語る、本書の非常に充実した解説になっています。今回、図書新聞さんのおゆるしをえて、以下に全文を転載させていただきます。転載をご快諾いただいたS編集長に重ねて御礼申しあげます!

——

藤原辰史氏に聞く、『ナチスのキッチン』をめぐって

「台所」から見えたナチスの矛盾
「公衆食堂」が今後の面白い一つの拠点になるのではないか


▼藤原辰史著『ナチスのキッチン——「食べること」の環境史』
5・30刊、四六判452頁・本体4,000円・水声社


▼藤原辰史(ふじはら・たつし)氏:農業思想史、農業技術史専攻。東京大学大学院農学生命科学研究科講師。1976年北海道生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。主な著書に『カブラの冬』『ナチス・ドイツの有機農業』など。

—-

『ナチスのキッチン——「食べること」の環境史』。なんとも魅力的なタイトルである。「モーレツ社員」の時代なんかとっくに終わったのに、なぜまだ私たちは「瞬間チャージ」を喜び、石田徹也の絵に描かれるがごとき「燃料補給のような食事」を求めるのだろうか。本書の著者、藤原辰史氏に話を聞いた。(インタビュー日・6月28日。東京・神田神保町にて。聞き手・須藤巧〔本紙編集〕)


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◎人々を「未来へ、未来へ」と駆り立てるのがレシピ本

——本書には、タイトルからの予想に反して、実はナチスについて直接はあまり出てこないんですね。その代わりというわけではありませんが、19世紀後半から1945年までのドイツの「台所」におけるテイラー主義の導入と浸透の過程が跡付けられています。ナチスは「血と土」という、ある意味で「非合理的なもの」と、テイラー主義的な「合理的なもの」を奇妙なかたちで並立させていた。その奇妙な並立関係に台所という視点から迫っています。そうした発想のきっかけは何だったのでしょうか。


藤原:2008年に『食の共同体』(ナカニシヤ出版)という本を農学者仲間と共同執筆したのですが、きっかけは2005年に日本で食育基本法が成立したからでした。食を通じて児童・生徒を教育し、日本人の健康を保ち、日本の食文化を復興させ、更には農業を盛り上げていきましょうというような法律です。これに対して「気持ち悪いよね」と思った人たちが集まってつくったのが先の本です(笑)。私が担当したのは、ナチス時代の「主婦」政策だったのですが、そのときには台所についてなんて考えていませんでした。むしろ「食」の政策について考えていました。しかし、ナチス時代の「アイントプフ(雑炊)運動」や「無駄なくせ闘争」などを調べているうちに、「主婦」が毎日使っている台所という空間がどういうものだったのか知りたいと思うようになりました。

調べていくと、二つの方向が見えてきました。一つは、台所はゲルマン信仰として非常に重要な場所であるということです。台所の火をずっと守り続ける=家を守り続けることが、ゲルマン民族の根本だと。これは非合理的というか、神話的な話です。もう一つは、ナチス以前からずっと続いていた、台所のテイラー主義化・合理化・システムキッチン化です。ナチスにおいては、彼らが政権をとった1933年1月30日以前からの陸続きの部分が非常に多い。台所から見てもそう言えるんじゃないか。深い矛盾が、台所からも見えてきました。

——本書第4章は「レシピの思想史」と題されています。レシピの思想史なんて考えたことはありませんでした(笑)。

藤原:斎藤美奈子さんの『戦下のレシピ』(岩波アクティブ新書)という本があります。それを読んで、「レシピから歴史が書けるんだ!」と思ったんです。同じ発想でナチスを論じたいと思っていたんですが、具体的にドイツのどこにレシピが眠っているかわからなかった。図書館にもあるのですが、所蔵されている版が飛び飛びだったりして、系統的にレシピの変遷を追うことができませんでした。ここで役だったのが古本屋です。大きめの古本屋には「Kochbuch」(料理本)の棚があり、これを収集しながら穴を一つ一つ埋めていきました。ただ最初は、読んでみても、図がなかったり食材の意味が分からなかったりして、料理をイメージしにくかった。そこで、「はじめに」だけを拾い読みしてみました。すると、途端に面白くなった。一九世紀のベストセラーには、「料理とは、夫の愛を繋ぎ止めるための手段である」と書かれている(笑)。しかし、時代を追うにつれて、料理の目的が「夫を振り向かせる」ことから「家族の健康を守る」ことに、そしてナチ時代の末期には「機械になること」が推奨される。そうすると、私の頭の中に漠然とあったドイツ思想、もしくはヨーロッパの歴史の流れとは少し違ったものが見えてきたのです。

——そうしたレシピを読んでいくと、レシピは「人びとの未来の食生活の理想を表わしている」(p.262)と言えるという一節があります。これは膝を打つ指摘です。それから、ナチ時代には、アメリカ式の大量生産を夢見て、自動車(フォルクスワーゲンVolkswagen)やミシンなど、企業が開発しようとした消費財がたくさんあったんですね。その一つに「民衆冷蔵庫」があります。これは結局実現しませんでしたが、このような「ほとんど存在しない消費財」、つまり「実現はしなかったけれども、人びとの心にはある種の現実として映ったかもしれない〈未来〉の問題」(p.341)に、藤原さんは言及されています。「過去」を読むと「未来」が見えてくるというのはとても面白いですね。

藤原:でも、最初にレシピを読んだときにはそうした発想はなかったんです。レシピから、当該の時代の食生活の反映が見られればと思っていました。19世紀から20世紀への世紀転換期にはドイツで肉食がすごく増えていたので、レシピを見ても肉食が増えているに違いないという程度に考えていたんです。しかし、統計をとってみると野菜レシピが増えている。また「当時、こんなものは食べなかっただろう」とか「この階級の人がこんな派手なものを食べようと思わなかっただろう」とか、相当現実離れしたレシピも多かった。そして、現在もそうかもしれませんが、レシピ本を書く人ってテンションが高いんです。今現在の人々が食べているものを写生して「はい、どうぞ」と見せるレシピ本はつまらない。何か発明したり、考えもつかなかったような食材の組み合わせでつくった料理をみんなに紹介したいという高い欲求があるからこそ、現在でもレシピ本というジャンルは成り立つんだと気づきました。実際にナチ時代のレシピを見ると、当時の人では到底買えないような、ジーメンスなどの電器企業の道具をバシバシ使っている。しかもレシピには企業の広告が入っている。この道具を使えばこんな立派な料理がつくれて、そうすればこんな立派な家庭をつくれて、生活がもっと豊かになるよと。つまり、人々を「未来へ、未来へ」と駆り立てるのがレシピ本だということが見えてきました。

これはナチス研究をするにあたっても重要な視点です。「ナチスがやったこと」、ナチス時代の社会の「現実」を、多くの先行研究は研究してきました。もちろんそれはたくさんのことを明らかにしましたが、「やろうとして失敗したこと」とか、未来を担保にして人々にドイツの現実を「生きさせていた」政権がナチスだったということを、レシピを通して主張したかったんです。

◎「不穏な場所」としての台所に可能性がみえる

——本書において、女性、母、「主婦」の位置はどうなっていますか?

藤原:第1章第2項の「ドイツ台所外史——〈キッチンの集団化〉という傍流」では、社会主義者だったアウグスト・ベーベルと、彼に感化された女性運動家のリリー・ブラウンという二人を取り上げました。特にリリー・ブラウンは、アメリカのテクノロジーを間近に見てしまって、「これで女性を救うことができる」と思った。なぜなら、これだけのテクノロジーがあれば、一つの集合住宅に一個のキッチンを設置して大きな機械を入れてしまえば、「主婦」の労力は相当少なくなるし、あるいは「主婦」が家事労働をしなくても、誰かを雇ったり、交代で家事をしたりすれば、女性は解放されるんじゃないかという発想——現在でもあるシェアハウスの発想ですね——が19世紀の終わりごろに社会主義者から提出された。これは興味深いと思いました。現在でもこの発想が続いていれば面白いと思いましたが、しかしこれは、集団食堂のようなかたちで、第一次世界大戦中、必要やむを得ず人びとに利用されたに過ぎなかった。大戦が終わるとまた台所のプライベート化が進みます。アメリカのテクノロジーは参照しますが、「1家族・1台所」で、各家庭に「主婦」がペタッと貼りついていく。この過程の中に消えていった歴史を救い上げたいという思いはありました。少なくともそこには「女性解放」の理念がありました。社会主義者たちによる「主婦」の解放史の中に、「主婦」の台所仕事を軽減する、あるいはゼロにしようとする運動があった。台所を変えることによって、女性の位置づけを変えようとしていたんですね。

本書でかなりページを割いて紹介した人物に、シュッテ=リホツキーという共産主義者の建築家がいます。彼女は、テイラー主義に感化され、女性を解放するために「フランクフルト・キッチン」、つまりシステムキッチンの原型を設計したのですが(スターリンのソ連でも活躍しました)、それは現在の私たちのキッチンにも導入されていますよね。では、それによって「主婦」は解放されたのでしょうか。ある程度はそう言えるでしょう。「チン」一つで調理が終わったりしますから。しかし、それと引き換えに何が起こったでしょうか。台所が市場化し、企業がそこにモノを売りまくって、家計が厳しくなり、結局「主婦」たちは「夢」を見るけれども、台所器具を買うために働きにいったり内職をしたりする。そのまま現代に至っている気がするんです。あるところまでは「主婦」の解放であった一見まっとうなものが、企業や国家によって、悲しいかたちでまた女性を縛っていく。

——先に台所における信仰の話が出ましたが、もう少し詳しく聞きたいのですが。

藤原:ある集団の中で、ある人間が包丁を握っている。うまくやれば、それで集団の権力者を殺してのし上がることもできる(極端に言えば、ですけど)。そして台所では、食べ物を人間の胃袋に収めるために水や火などあらゆる手段を使って、「あらぶる自然」としての食べ物を刻んだり焼いたり引き裂いたりします。血や体液が飛び散り、細菌もウヨウヨ。だから台所は、本当はグロテスクで危険な場所で、現在でも管理しきれていないのです(火の取り扱いもそうです)。そういう場所には古くから信仰がありました。農業でもそうですよね。作物を収穫したら、神様に捧げ物をする。自然と人間が厳しく対峙するところには必ず信仰が生まれます。台所の信仰はドイツにもありましたが、これが近代になってまったく違うものになっていく。その最たるものが、繰り返しになりますがテイラー主義です。あるいは栄養学や家政学。それらの言葉で書かれたレシピは、しかしいつまでたっても、料理の一番奥にあるもの、一番面白くて難しい部分をまったく説明してくれません。

——さて、本書には読みどころが多数ありますが、10ページほどの「〈食べること〉の救出に向けて——あとがきにかえて」には驚きました。食をめぐる状況を考えるときに、極論かもしれないけれども、強制収容所に入ったいわゆる「囚人」と「主婦」は、真逆に見えるが、似ているのではないかという主張です。どうしてそうなったのか。藤原さんは、それは資本主義の問題に尽きると述べます。では、どうしたらいいのか。


藤原:私は、「公衆食堂」が、今後の面白い一つの拠点になるのではないかとずっと考えてきました。テイラー主義なり合理化なり企業なり国家なりが、奥の奥まで手を伸ばしたけれども、まだ管理しきれないのが台所という場所です。そういう場所があること自体が、私には面白いんです。例えば巨大なショッピングセンターのような均質化された場所でも、フードコートのような「朗らかな」場所がポコッと出てくる。「穴を開ける」までは行かなくても、均質化された四角い空間を少しずつ「腐らせ」たり「曲げ」たりしていくのは、やはりそうした食事をつくって食べる場所だろうと思うんです(とはいえ、フードコートには欲望の塊のようなファストフードのチェーン店が多いですけど)。そこでは少なくとも食に対する疑問や不満を共有できる。

そして共に食べることを通じて、食が商品化されているということ自体を問うていかなければならないと思っています。農地を公衆食堂につなぐこともできる。つくった場所と食べる場所がわかる食堂になれば、そこにいろんな人が集まってくる。食べるだけの人やつくるだけの人がいてもいい。「個食」にこだわる人がいてもいいんです。あるいは家族で食べに来たっていい。何かにすがらないと落ち着かない、不穏な場所としての台所の、その不安定さ加減こそが、私には逆に可能性にみえるんです。(了)

Courtesy of Tatsushi Fujihara and TOSHOSHIMBUN.

 

8月の新刊:『セクシュアリティ』

2012年 7月 31日

e382bbe382afe382b7e383a5e382a2e383aae38386e382a3_cover別冊水声通信

セクシュアリティ

A5判並製328頁 定価2800円+税
ISBN978-4-89176-915-4  C0010 8月1日頃発売!



ジャック・デリダ、ジュリア・クリステヴァ、エレーヌ・シクスー、
ディディエ・エリボンなど国内外の研究者・思想家たちが、
「文学」という言語の場と、「セクシュアリティ」について多くの可能性を追求した
フランス現代思想の原点に戻り、単純化された解放の論理や社会学によっては
とらえきれない「セクシュアリティ」の可能性を問う!


目次

【1】
エクリチュール、女性性、フェミニズム——フランソワーズ・ファン・ロッスム=ギュイヨンとの対談
エレーヌ・シクスー/岩野卓司訳(解題:「来るべきエクリチュールのために」岩野卓司)
クリステヴァ——セクシュアリティの変容? ジュリア・クリステヴァ/木村信子訳(解題:「クリステヴァの軌跡 精神的バイセクシュアリティへ」木村信子)

【2】
思弁=投機する——フロイトについて/超えて ジャック・デリダ/大西雅一郎訳(解題:「糸巻きを投げるフロイト、あるいはフロイトを投げる糸巻き」大西雅一郎)

【3】
エロティシズムと〈存在の連続性への開き〉をめぐって 湯浅博雄
魂の隠語 ジュネにおける同性愛と言語 合田正人
明かされた共同体——ジュネを読むバタイユとフーコー ディディエ・エリボン/福島勲訳(解題:「限定的モラルから一般的モラルへ 留保なき少数派としてのバタイユ」福島勲/「ミシェル・フーコーに関する補足的メモ」千條真知子)
ハイデガーとデリダ、ニーチェ(の)女性はどこに存在するのか?──性的および/あるいは存在論的差異 大西雅一郎

【4】
サルトルにおけるセクシュアリティ——同性愛の問題を中心に
澤田直
プルーストとコレット——同性愛、植物、動物 吉川佳英子
『ホモセクシュアルな欲望』の世紀−後——ギィー・オッカンガムの現在 関修

【5】
至高性と分身——ジョルジュ・バタイユ『わが母』における神学と近親相姦 岩野卓司
ヴェロニカ、あるいはファリック・シスターの増殖——ブランショとセクシュアリティ 郷原佳以
裏切るアンガジュマンのために——サルトルにおける語る(性的)マイノリティのスキャンダル 丸山真幸
ピエール・クロソウスキー、または受肉せる霊/言語 大森晋輔

 

7月の新刊:『〈フランス〉の誕生』

2012年 7月 18日

e38395e383a9e383b3e382b9e381aee8aa95e7949f_cover〈フランス〉の誕生——16世紀における心性のありかた

高橋 薫
A5判上製/576ページ/定価=8000円+税
ISBN 978-4-89176-891-1 C0070 7月25日頃発売予定

*店頭で見つからない場合はご注文ください。


〈フランス〉のひとびとは、なぜ王国の統一をめざしたのか。
統一は、なぜ可能であったのか。


ルネサンス後期のフランスの庶民、王侯貴族、文学者などの心性を、
ロンサール、モンクレチアン、フェビュス、オリヴィエなどの作品をひきつつ
動乱の時代を生きたひとびとの日々を暮し方から考察する。


目次

はしがき

第1部    アイデンティティの模索
第1章 16世紀フランス短話集に見られる他郷との接触について
第2章 ロンサール・自然・フランス

第2部    王権の発見
第3章 16世紀フランス人文主義悲劇に見られる君主像とその周辺
——ラザール・ド・バイフからアントワーヌ・ド・モンクレチアン
第4章 鹿の軛脚を王に捧げる——儀式とならなかった儀式

第3部    信と不信の間で

第5章 「迷信」妄想

註/結び


《関連書》
歴史の可能性に向けて——フランス宗教戦争期における歴史記述の問題
高橋薫  8000円+税

 

「ヘンリー・ミラー生誕120年記念展」開催中!

2012年 7月 12日

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代表作『北回帰線』や問題作『セクサス』など、文豪の全体像を知るうえで
もっとも充実したテクストとして、好評発売中の『ヘンリー・ミラー・コレクション』
そのヘンリー・ミラーの回顧展が、東京・青山の スパイラルガーデン で開催中です。
小社もご協力させていただいており、入場無料です。
ぜひ、ミラーのもうひとつの側面をお楽しみください。


アメリカの文豪ヘンリー・ミラーの生誕120年を記念し、
ミラーの最後の妻として知られるホキ徳田氏が中心となって、
展覧会を開催します。

この展覧会では、ミラーが趣味で描いていた
水彩画、写真、手書きの原稿、手紙、映画や展覧会のポスター、
掲載誌や新聞の切り抜き、手作りのコラージュなど、
日本未発表のものも含め多数展示し、
「文豪ヘンリー・ミラー」とは違う一面をお届けします。

また展示期間中には、
毎晩18:00〜20:00に日替りミニライブを開催いたします。

◆イベント概要
会期:2012年7月3日(火)〜7月16日(月・祝)11:00〜20:00
会場:東京都港区南青山5-6-23スパイラルガーデン(スパイラル1F→
〒107-0062 東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F(地図はこちら→
入場料:無料
主催:ヘンリー・ミラー展実行委員会
ヘンリーミラー・メモリアルバー「北回帰線」
特別協賛:大木製薬(株)、InterFM 76.1MHz
協賛:(株)日本エスカレーター広告協会、(株)光伸プランニング、
(社)日本旅行作家協会、港区観光協会、(株)シバヤマ
協力:(株)水声社、(株)文遊社、Cómo le va?、DIC(株)、
(株)アンドモア、月刊誌『正論』
楽器協力:ヤマハ(株)
監修コーディネイト:ホキ徳田/企画プロデュース:川幡浩
会場協力:(株)ワコールアートセンター
お問い合わせ:北回帰線(キタカイキセン→) TEL:03-5474-3900

 

『ナチスのキッチン』重版決定!

2012年 7月 11日

ナチス時代の台所、家事労働、レシピ、エネルギーを通して
現代社会を問い直す、貴重な成果。重版決定!

とうとう小社からも1冊もなくなり、
在庫確認のお問い合わせにもお応えできなかった
藤原辰史さんの労作、『ナチスのキッチン——「食べること」の環境史』は、
みなさまのご声援のおかげで重版が決定しました。

7月19日(木)出来予定となっております。
ご注文いただいている分から、順次出荷いたします!


amazon.co.jp ではひさしく品切れ状態が続いておりますが、
全国の大型書店店頭、もしくは他のネット書店にはまだ在庫がございます。
初版をお求めの方は、いまのうちにそちらへお急ぎください!




“今日われわれの食卓は、ナチスの呪縛からどれだけ離脱できているだろうか”
——原克さん(ドイツ文学)、日本経済新聞 7/8付

“人間らしさを失うことの落とし穴について考えさせる”
——「記者が選ぶ」欄、読売新聞 7/8付

“〔著者の試みは〕大きな武器と勇気を与えてくれる”
——三浦丈典さん(建築家)、産經新聞 7/1付


Web上では、このブログでとりあげられると
人文書の売上げが1ケタ(以上?)変わるという月曜社・小林さんの
「ウラゲツ☆ブログ」が紹介してくださったのを皮切りに
(こちらをクリック→)、その後も続々と紹介されました。

レヴュウサイト「HONZ」の土屋敦さんの書評がTwitter などで話題騒然!
本書掲載のレシピを用いて実際に料理してしまったという衝撃のレヴュウが、
ネット住民の度肝を抜きました。(

また、本書で論じられている「公共キッチン」に着目して、
実際に著者の藤原さんを渋谷のシェアハウスにまで連れて行った、
という本が好き! Bookニュース」ナガタさんのレヴュウ。(

さらに、紀伊國屋書店の「KINOKUNIYA 書評空間」では、
早瀬晋三さん(歴史学)が、400字詰め原稿用紙1,000枚近くになる
本書の魅力を、手際良くまとめてくださいました。(

そのうえ、7月28日発売予定の 図書新聞 では著者インタビューを掲載予定!
本書をめぐって著者の肉声が語られるインタヴュウになっています。乞うご期待!

そして、まさに書店配本日の5月31日、ジュンク堂書店池袋本店で
おこなわれ、大盛会の裡におわった刊行記念トークセッションの模様も、
Youtube 等で全編が視聴可能です()。藤原さんとの対話のために
京都からお越しくださったのは、山室信一さん(政治史)。
本書の裏話などが話題満載の90分、ぜひご覧になってみてください。

この本は、ナチス時代の「台所」を歴史的・空間的に読み解きながら、
日本の「現在」が浮かびあがってくる、文字通りの必読書です。
3/11 以降のわたしたちの生活・文化・社会を考えるうえでも示唆的なので、
ぜひ、ひとりでも多くのかたに手にとってもらいたい、と切望しています。


nazi_kitchenナチスのキッチン 「食べること」の環境史

藤原辰史
四六判上製456頁/定価 4000円+税
ISBN 978-4-89176-900-0 C0022 5月31日発売


ヒトラーから《食》を奪還せよ!

いま、もっとも重要な《食》と《エネルギー》の問題を
ファシズムの視座から考える出色の1冊!


ナチスによる空前の支配体制下で、
人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?
システムキッチン、家事労働から、食材、
そしてエネルギーにいたるまで、
台所という《戦場》の超克を試みた、
来るべき時代への《希望の原理》。
新発見の事実や貴重なレシピをはじめ、
未刊行資料・図版などを多数収録。

《どうして、「食べること」はここまで衰微して
しまったのだろうか。どうして、強制収容所という
私たちの生活世界からもっとも遠いところの現象が、
こんなにもリアルに感じられるのだろうか?
——これは、端的に言ってしまえば、
この世界が、ナチズムと陸続きだからである》



目次—————

序章 台所の環境思想史
歴史の基層としての台所/テイラー・システムとナチズム/
台所の変革者たち/台所をどうとらえるか

第1章 台所空間の「工場」化  建築課題としての台所
ドイツ台所小史/ドイツ台所外史/第一次世界大戦の衝撃/
フランクフルト・キッチン/考えるキッチン/ナチス・キッチン?/
労働者約一名の「工場」

第2章 調理道具のテクノロジー化  市場としての台所

電化される家族愛/台所道具の進歩の背景/マニュアル化する台所仕事
市場化する家事/報酬なきテイラー主義の果てに

第3章 家政学の挑戦
家政学とは何か/家政学の根本問題/家政学の可能性と限界
家政学のナチ化/家政学の戦時体制化/家政学が台所に与えた影響

第4章 レシピの思想史
ドイツ・レシピ少史/読み継がれる料理本/企業のレシピ/
栄養素に還元される料理

第5章 台所のナチ化  テイラー主義の果てに
台所からみたナチズム/「第二の性」の戦場/「主婦のヒエラルキー」の形成/
無駄なくせ闘争/残飯で豚を育てる/食の公共化の帰結

終章 来たるべき台所のために
労働空間、生態空間、信仰の場/台所の改革者たちとナチズム/
ナチスのキッチンを超えて

「食べること」の救出に向けて  あとがきにかえて

付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『実用的料理本』の版別レシピ構成

註/参考文献/人名索引

 

7月の新刊:『絵を書く』

2012年 7月 10日

e7b5b5e38292e69bb8e3818f_cover絵を書く

マリアンヌ・シモン=及川 編
A5判上製/288ページ/定価=4000円+税
ISBN 978-4-89176-906-2 C0090 7月13日頃発売予定



テクスト×イマージュ 炸裂する創造空間!

19世紀から現代までの芸術家/作家たち
(フロマンタン、ゾラ、ミショー、バルト、レリス……)は
言語とイマージュを通して、あるいは言語とイマージュの狭間で
どのような表象を生み出したのか。日仏の気鋭の研究者たちが、
秘められた〈創造〉の核心に迫る。[図版多数収録]

【執筆者】
マリアンヌ・シモン=及川 +アンヌ=マリー・クリスタン+
アルレット・アルベール=ビロー+イヴ・ペレ+千葉文夫+桑田光平+
寺田寅彦+フロランス・デュモラ+塚本昌則+アルメル・ルクレル


【目次】


まえがき/マリアンヌ・シモン=及川

I
・ ウージェーヌ・フロマンタン、作家にして画家/アンヌ=マリー・クリスタン
・ 造形芸術からエクリチュールへ
——文学以前のピエール・アルベール=ビロー/アルレット・アルベールービロー
・ アンリ・ミショー、エクリチュールと絵画の間で/イヴ・ペレ

II
・ ミシェル・レリスの肖像——アンドレ・マッソンの場合/千葉文夫
・ ベルナール・ノエル——画家の背後からの視線/マリアンヌ・シモン=及川
・ メディウムとしての写真——『明るい部屋』をめぐって/桑田光平

III
・ 自然主義作家が見せてくれるもの/寺田寅彦
・ 夢を描写する——アロイジウス・ベルトランと「心理学者」たち/フロランス・デュモラ
・ デッサンの度合い——ヴァレリーにおける夢の詩学/塚本昌則

IV
・クリストフ・ラミオ・エノスの詩における視覚的仕掛け/アルメル・ルクレル

 

7月の新刊:『スクール・アート』

2012年 7月 10日

schoolart_coverスクール・アート——現代美術が開示する学校・教育・社会

中川素子 著
A5判上製/232ページ+別丁カラー図版16ページ/定価=2800円+税
ISBN 978-4-89176-909-3 C0070 7月10日頃発売予定




現代美術は「学校」と「教育」をどのように表現してきたのか?

〈こどもたち〉と〈教育〉の現状を鋭く、ときにユーモラスに表現した
美術作品をよみとき、学校・教育・社会のあるべき姿を「美術」と「教育」の
接点からさぐる画期的な書き下ろし評論。[図版多数収録]

【本書に登場する美術家たち】
浅田政志、倉重迅、澤田知子、鉢&田島征三、石田徹也、藤阪新吾、
ジェームズ・ローゼンクイスト、タデウシュ・カントル、土門拳、
ピーター・ベラーズ、豊嶋康子、島田寛昭、河口龍夫、みかんぐみ、山本高之

【目次

まえがき

第1章 思い出やつながりとしての教育空間
第2章 教室の中の無気力な子どもたち
第3章 子どもたちに落ちる世界の影
第4章 システムとしての教育, そのずらしと崩し
第5章 教育とは「引き出すこと」

あとがき


【関連書】
『ブック・アートの世界——絵本からインスタレーションまで』
(中川素子+坂本満篇)  3000円

 

6月の新刊:『メリメとロシア作家たち』

2012年 6月 27日

e383a1e383aae383a1e381a8e383ade382b7e382a2_cover41メリメとロシア作家たち——ロシアへの想い

浦野進
A5判上製/256ページ+別丁図版8ページ/定価=4000円+税
ISBN 978-4-89176-914-7 C0098 6月29日頃発売予定


フランスとロシア、文学交流の物語。


プーシキン、ゴーゴリ、トゥルゲーネフ……。
19世紀ロシアの文豪たちを積極的に紹介し、
フランスとロシアの文壇を結びつけたのは、
『カルメン』の作者としても知られる、
フランスを代表する文豪プロスペル・メリメだった。

作家たちが交わした書簡を丹念に読み解き、
ロシアがメリメに与えた影響を浮き彫りにする、
メリメ初のモノグラフィー。


目次

はしがき
序章 フランスとロシアの架け橋
第1章 メリメとプーシキン
第2章 メリメとゴーゴリ
第3章 メリメとトゥルゲーネフ——その文学的交流
第4章 メリメとトゥルゲーネフ——二人をめぐる女性たち
第5章 メリメとロシア史
あとがき