7月の新刊:火星人にさよなら——異星人表象のアルケオロジー

2022年 6月 28日 コメントは受け付けていません。

書影 火星人 火星人にさよなら
異星人表象のアルケオロジー
鈴木雅雄(著)

判型:四六判上製
頁数:274頁+別丁カラー図版4頁
定価:2800円+税
ISBN:978-4-8010-0652-2 C0010
装幀:Gaspard Lenski
7月中旬頃発売!

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別の夢を見るために
先例のない異星人の物語を書いたC=I・ドゥフォントネー、惑星間コミュニケーションを試みたシャルル・クロ、目的なき革命/運行レヴオリユシオンを夢想するオーギュスト・ブランキ、火星人の霊魂に憑依された霊媒エレーヌ・スミスとその観察者フルールノワ……
ユートピア文学の残骸とSFの予兆のあいだで引き裂かれた時代において、異星人という《不可能なイメージ》を描いた者たちの夢の軌跡をたどる異色の試み。

《「異星人」とは、この宇宙には「人間」が実在するのだと、いわば瀬戸際での大逆転によって科学的に証明しようという、美しくも絶望的な夢の物語だったとするならば、こうした19世紀的な異星人像の最終的な破綻と、それに代わって登場する他者としての異星人表象は、すでに近代というプロジェクトの不可能性を宣告していたともいえる。》(本書「終章」より)



目次

序 章 SFの前史とそのノイズ
第一章 絶対と相対のあいだ――一九世紀フランス語圏の異星人表象
1 火星人のミイラ 
2 聖別と失墜 
3 キリストは火星人の罪を贖えるか 
4 ドラマがない 
5 イメージがない 
6 他者の想像力 

第二章 C゠I・ドゥフォントネー――〈本当らしく〉ないが科学的な夢をめぐって
1 時宜をえないテクスト 
2 傑作/奇書/駄作 
3 宇宙船はなぜ飛べるのか 
4 スター星の生物は進化するか 
5 なぜ顔は美しくありうるか 
6 必然性を要求しない科学 

第三章 シャルル・クロ、あるいは翻訳される身体
1 惑星間コミュニケーション 
2 第一原理:「脳力学」 
3 発明しない発明家1――カラー写真:知覚の分解 
4 発明しない発明家2――蓄音機:「遠さ」の技術 
5 創造しない詩人 
6 偶然の受け皿としての科学
第四章 星々は夢を見ない――オーギュスト・ブランキと革命的時代錯誤アナクロニスム
1 牡牛の城の老人 
2 一九世紀的宇宙観の転倒 
3 私たちは〈あるべき存在〉ではない 
4 目的のない革命/運行レヴオリユシオン
5 かくも過激な敗北 
6 革命的時代錯誤アナクロニスム
7 ユートピアとSFのあいだ 

第五章 火星人にさよなら――エレーヌ・スミスは科学にどのような夢を見せたか
1 無意識との契約 
2 王妃と水差し――霊媒が心理学者に望んだこと 
3 我が友レオポルド――心理学者が霊媒に望んだこと 
4 ハムレットとラプラス 
5 「これがあなたの望んだもの」
6 ファミリー・ロマンス 
7 fがない 
8 さよなら、さよなら、さよなら 

終章 別の夢を見るために
1 夢の終わるとき 
2 「人間」の夢、異星人の夢 
3 愚かな夢の方へ 


人名索引
あとがき 

著者について
鈴木雅雄(すずきまさお)
1962年、東京生まれ。東京大学大学院地域文化研究科博士課程満期退学。現在、早稲田大学教授。専攻、シュルレアリスム研究。著書に、『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社、2007年)、『ゲラシム・ルカ――ノン゠オイディプスの戦略』(水声社、2009年)、訳書に、ジョルジュ・セバッグ『崇高点』(水声社、2016年)、編著に、『マンガを「見る」という体験』(水声社、2014年)、『マンガ視覚文化論』(2017年)、『マンガメディア文化論』(以上、共編著、水声社、2022年)などがある。

関連書
ゲラシム・ルカ/鈴木雅雄/2500円+税
マクシム・アレクサンドル/鈴木雅雄/2800円+税
ジゼル・プラシノス/鈴木雅雄/3500円+税
崇高点/ジョルジュ・セバッグ/3000円+税

マンガを「見る」という体験/鈴木雅雄編/2800円+税
マンガ視覚文化論/鈴木雅雄・中田健太郎編/3200円+税
マンガメディア文化論/鈴木雅雄・中田健太郎編/4200円+税

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